退職勧奨は弁護士に相談すべき理由5つ!ポイントや相談手順と注意点

退職勧奨は弁護士に相談すべき理由5つ!ポイントや相談手順と注意点

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法

退職勧奨をされたら早い段階で弁護士に相談することがおすすめです

会社側も弁護士に相談しながら退職勧奨を進めていることが多く、対等な立場で交渉するためにはあなた自身も弁護士に力を借りるべきです。

ホウペン

この記事の要点

・退職勧奨は、弁護士に相談することで、適切な方針を立ててもらうことができ、直接のやり取りも避けることができます。警告文書の送付やパッケージ条件の最大化、権利やリスクのレビューもしてもらえます。

・退職勧奨の弁護士費用は0~30万円+経済的利益の10%~20%です。

・退職勧奨を弁護士に相談する際には、退職勧奨に強い弁護士を探しましょう。そのうえで、安易に合意書にサインしたり、反論や回答をしたりする前に、資料を整理し、早い段階で相談の予約をとりましょう。

この記事を読めば、退職勧奨をされた場合にどのように弁護士を探せばいいかがよくわかるはずです。

目次

1章 退職勧奨は弁護士に相談すべき理由5つ

会社から退職勧奨をされたら弁護士に相談すべきです

退職勧奨をされた後、あなたがどのように対応していくかによって、結果は大きく変わってくる可能性があります。

例えば、退職勧奨について弁護士に相談すべき理由としては、以下の5つがあります。

理由1:適切な方針を立ててもらえる
理由2:会社と直接やり取りせずに済む
理由3:警告の文書を送ってもらえる
理由4:パッケージ条件を最大化してもらえる
理由5:権利やリスクについて助言してもらえる

1章 退職勧奨は弁護士に相談すべき理由5つ

それでは、それぞれの理由について順番に見ていきましょう。

1-1 理由1:適切な方針を立ててもらえる

退職勧奨をされたときは、まず弁護士に相談して適切な方針を立ててもらいましょう

労働問題の専門家である弁護士であれば、あなたの職場の状況を冷静に分析し、会社に残るべきか、それとも有利な条件で退職すべきかを的確に判断できます。

そして、あなたの目的を達成するためには、どのように対応していくべきか方針を立ててもらうことができます

労働者自身が有利だと思って行動した行動が実は不利であり、これが原因で交渉が難しくなってしまうと言ったことが後を絶ちません。

今後の進め方を最初に決めておくことで、迷わずに一貫した対応をできるようになります。

1-2 理由2:会社と直接やり取りせずに済む

弁護士に依頼すると、会社と直接やり取りをせずに済むようになります

弁護士は代理人として交渉を引き受けることができるため、退職勧奨について、これ以上あなたが会社の担当者と会ったり、電話で話したりする必要がなくなるからです。

例えば、毎日のように面談室に呼び出されて退職を迫られていたケースでも、弁護士が窓口になったら、会社はあなたへ直接退職勧奨ができなくなります。

会社からのプレッシャーに怯える日々から解放されるため、精神的なストレスを大きく減らすことができます。

1-3 理由3:警告の文書を送ってもらえる

弁護士に相談することで、会社に対して警告の文書を送ってもらうことができます

弁護士名義で届く書面が届くことにより、会社に対するプレッシャーにもなりますので、嫌がらせや執拗な退職強要も終了することが通常です。

例えば、あなたが何度も拒否しているのに関わらず、会社がしつこく退職を求めてくるケースがあるとします。

このような場合に弁護士から「違法な退職勧奨は止めてください」という警告文を送ると、会社側も態度を改め、強引な引き止めや嫌がらせを諦めることが多くあります。

会社の行き過ぎた行動を止めるためにも、弁護士からの警告は大きな力になります

1-4 理由4:パッケージ条件を最大化してもらえる

弁護士に交渉を任せることで、退職時に受け取るパッケージ条件(割増退職金などの優遇措置)を最大化してもらうことができます

労働者の権利を正しく主張し、法律的な根拠をもとに会社と掛け合ってくれるのは弁護士だけだからです。

例えば、会社から「給料の1ヶ月分を払うから辞めてほしい」と提示されていたケースでも、弁護士が交渉することで、給料の6ヶ月分や1年分といった、より手厚い金額に引き上げられることがあります。

退職パッケージについては、以下の記事で詳しく解説しています。

1-5 理由5:権利やリスクについて助言してもらえる

弁護士は、あなたが持っている法律上の権利や、今後のリスクについて正確に助言してくれます

退職の話し合いを進める中では、未払い残業代や失業保険の手続きや、有給休暇の消化など、見落としてはならない大切な権利がたくさんあるからです。

また、会社側から提示される退職合意書には労働者に一方的に不利な条項が含まれていることが多くサインした後にトラブルになってしまうこと多いです。

弁護士であれば、これらの権利やリスクに見落としがないかを確認して、あなたが不利にならないように助言をしてくれます。

2章 退職勧奨で弁護士に相談すべきケース

退職勧奨を受けたら基本的に弁護士に相談していただいて問題がありません

相談だけであれば無料で行えることも増えていますので、悩む前に相談をしてみるといいでしょう。

退職勧奨の中でも、とくに弁護士に相談すべきケースを5つ挙げると以下のとおりです。

ケース1:退職合意書を交付された
ケース2:自宅待機を命じられた
ケース3:断っても執拗に退職勧奨される
ケース4:解雇を仄めかされた
ケース5:不合理な異動を打診された

2章 退職勧奨で弁護士に相談すべきケース

それでは、それぞれのケースについて順番に見ていきましょう。

2-1 ケース1:退職合意書を交付された

会社から退職合意書を交付されたケースは、すぐに弁護士へ相談すべきタイミングです

退職合意書は、サインをしてしまうと「お互いに納得して会社を辞めた」という証拠になり、後から取り消すことが容易ではなくなるからです。

例えば、退職勧奨の面談の中で「これに名前を書いてハンコを押して提出してね」と書類を渡されるケースがあります。

書類の内容には、労働者に不利な条件や、後から会社にお金を請求できない仕組みが隠されていることが少なくありませんので、サインをする前に弁護士に相談しましょう。

退職合意書については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-2 ケース2:自宅待機を命じられた

会社から突然、自宅待機を命じられた場合も、速やかに弁護士へ相談してください

自宅待機は、会社があなたを職場から孤立させ、退職に向けた外堀を埋めるために使われる典型的な手段だからです。

例えば、「明日から仕事に来なくていいので、家で指示を待つように」と言われ、パソコンや社内システムのアカウントを止められてしまうケースがあります。

あなた自身が何も言わずに出社しないでいると、労働者自身も納得した上で出社していなかったと指摘されることもあります。

2-3 ケース3:断っても執拗に退職勧奨される

退職を断っているにも関わらず、執拗に退職勧奨が続くケースは、弁護士への相談した方がいいでしょう

労働者が拒否しているのに何度も繰り返す行為は、退職強要や違法なパワハラにあたる可能性が高いからです。

例えば、毎日のように上司から呼び出されて何時間も説教をされたり、大声で怒鳴られたりするケースがあります。

このような強引なやり方は、退職を無理やり承諾させようとする不当な行為です。弁護士に対応を相談して警告の文書を送ってもらうなどするといいでしょう。

2-4 ケース4:解雇を仄めかされた

会社から解雇を仄めかされた場合は、弁護士に相談してください

「辞めないならクビにする」という脅し文句は、労働者を恐怖させて無理に退職届を書かせるための、会社側のよくある手口です。

例えば、面談の中で「自分から辞めないなら、懲戒解雇にするから履歴書にキズがつくよ」と言われるケースがあります。

しかし、日本の法律では会社が労働者を簡単にクビにすることはできません

労働法や判例に基づいて弁護士に見通しを相談したうえで、不当な可能性が高ければ、弁護士の力も借りて毅然とした態度で対応していきましょう。

不当解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-5 ケース5:不合理な異動を打診された

退職を拒んだ後に、不合理な異動を打診されたケースも、弁護士に相談すべき重要な場面です

これは、あなたが自主的に「辞めます」と言うように仕向けるための、嫌がらせ目的の配置転換である可能性が高いからです。

例えば、これまでずっと事務職として働いていた人に対して、突然、未経験の遠方の工場へ明日から行くように命じるケースがあります。

嫌がらせとしての異動や大幅な労働条件の変更権利の濫用として無効になることがあります。

会社の一方的な命令に従う前に、弁護士に相談して対処法を教えてもらいましょう。

退職に追い込む異動については、以下の記事で詳しく解説しています。

3章 退職勧奨で弁護士を選ぶポイント

退職勧奨のトラブルを円満に解決するためには、あなたに合った最適な弁護士を選ぶことが大切です

弁護士といってもそれぞれ得意な分野が異なるため、労働者の味方になって会社としっかり渡り合える人を見極める必要があります。

適切な選び方を知っておくことで、心から信頼できる専門家と出会い、より有利な条件で解決を目指すことができるようになります。

具体的には、退職勧奨で弁護士を選ぶポイントは以下の5つです。

ポイント1:退職勧奨に注力している弁護士を選ぶ
ポイント2:類似の事案の解決実績を確認する
ポイント3:複数の弁護士に相談する
ポイント4:料金体系をよく確認する
ポイント5:リスクを説明してくれるかを確認する

3章 退職勧奨で弁護士を選ぶポイント

それでは、それぞれのポイントについて順番に見ていきましょう。

3-1 ポイント1:退職勧奨に注力している弁護士を選ぶ

弁護士を探すときは、退職勧奨のトラブルに注力している人を選ぶことが最も大切です

法律の世界はとても広いため、日頃から労働問題や退職勧奨の事案を多く扱っている弁護士のほうが、会社側の出方を熟知しており、頼りになるからです。

例えば、お医者さんに内科や外科などの専門があるように、弁護士にも「離婚問題が得意」「労働問題に強い」といった得意分野があります。

インターネットのホームページなどを見て、労働者側の退職勧奨に関する情報をたくさん発信している事務所を探すのがおすすめです

あなたの心強い味方になってもらうためにも、まずは専門性の高い弁護士を選びましょう。

労働弁護士コンパスで退職勧奨に注力している弁護士を探す

3-2 ポイント2:類似の事案の解決実績を確認する

相談の際には、あなたと似たようなケースでの解決実績があるかどうかを確認してください

過去に同じような退職勧奨のトラブルを解決した経験が豊富であれば、今回もどのような手順で会社と交渉すればよいかを、最初から見通すことができるからです。

例えば、「外資系企業から退職勧奨された」「一方的に自宅待機にされた」という状況の場合、過去にそれらの問題を解決した実績がある弁護士なら、すぐに的確な対応策を出してくれます。

法律相談の場で「私と似たケースを扱ったことはありますか」と率直に聞いてみることで、安心して任せられるかどうかが判断できます。

労働弁護士コンパスで退職勧奨の解決事例を探す

3-3 ポイント3:複数の弁護士に相談する

最初から一人の弁護士に決めてしまわず、複数の弁護士に相談してみることもポイントです

何人かの意見を聞き比べることで、アドバイスの内容に納得がいくだけでなく、「相性の良い弁護士」が見つかるからです。

例えば、ある事務所では「会社に残る方向で戦おう」と言われたとしても、別の事務所では「割増退職金をもらって次に進むほうが有利だ」と言われるケースもあります。

いくつかの法律事務所の無料相談などを上手に利用して、説明が分かりやすく、親身になって話を聞いてくれる先生を選ぶのが良いでしょう。

3-4 ポイント4:料金体系をよく確認する

依頼を決める前に、弁護士費用の料金体系を細かく確認しておくことが不可欠です

最初にいくら支払い、最終的にどれくらいの費用がかかるのかが明確になっていないと、せっかく会社からお金を勝ち取っても、手元にいくら残るのか分からず不安になってしまうからです。

例えば、着手金は一見すると安く抑えられているように見えても、解決したときにもらえる報酬金の割合が大きく設定されているケースもあります。

見積書や契約書を出してもらい、「この場合は全部でいくらかかりますか」と遠慮なく質問をしましょう。

お金のことで後からトラブルにならないよう、明朗な会計の事務所を選ぶことが大切です

3-5 ポイント5:リスクを説明してくれるかを確認する

良い弁護士を選ぶためには、良いことばかりではなくリスクもきちんと説明してくれるかを確認してください

退職勧奨の交渉を進める上では、必ずしもこちらの思い通りの結果になるとは限らず、一定のデメリットや注意点が発生することもあるからです。

例えば、会社と徹底的に戦うことで「あなたの望まない結論になってしまう」というケースや、「裁判にまで発展すると費用がかさむ」というケースもあります。

都合の悪い現実からも目を背けず、誠実に先々のリスクまで伝えてくれる弁護士こそ、本当に信頼できるプロだと言えます。

あなたの味方として長く寄り添ってくれる人を見極めましょう

4章 退職勧奨の弁護士費用の相場

退職勧奨の解決を弁護士に任せる場合の費用は、全体で「0円〜30万円+経済的利益の10%〜20%」がおおよその相場です。

以下では退職勧奨の弁護士費用の一般的な内訳とそれぞれの相場を一覧でご紹介します。

相談料:1時間0円〜1万円
着手金:0円〜30万円
報酬金:経済的利益の10%〜20%

4章 退職勧奨の弁護士費用の相場
それでは、それぞれの費用について順番に見ていきましょう。

4-1 相談料|0円~1万円

相談料とは、正式に依頼をする前に、弁護士にあなたの悩みを直接聞いてアドバイスをもらうための費用です

相場としては「1時間あたり0円〜1万円」程度に設定されていることが多くあります。

例えば、最近では「初回相談は1時間無料」としている法律事務所も増えているため、最初の段階ではまったくお金をかけずに話を聞いてもらえるケースもあります。

あなたが抱えている不安や疑問を整理するためにも、まずは無料相談を行っている事務所をいくつか探して利用してみるのがおすすめです。

法律相談料については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-2 着手金|0円~30万円

着手金とは、弁護士に会社との交渉や手続きを正式にスタートしてもらうために、最初に見舞金や準備金のような形で支払う費用のことです

退職勧奨の着手金の相場は「0円〜30万円」程度となっています。

例えば、着手金をあらかじめ「0円」に設定し、まとまったお金が今すぐ用意できない労働者の方でも気軽に依頼できるように工夫しているケースもあります。

ただし、着手金が低く抑えられている場合は、その分だけ後から支払う成功報酬が高めになることもありますので、事前の確認が必要です

弁護士の着手金相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-3 報酬金|経済的利益の10%~20%

報酬金とは、弁護士が会社と掛け合ってくれた結果、あなたにとって有利な形で問題が解決したときに支払う「成功報酬」のことです

相場は、会社から勝ち取った「経済的利益の10%〜20%」程度と決められていることが一般的です。

例えば、弁護士の交渉によって、会社から割増退職金や解決金として200万円を受け取ることができたケースを考えてみましょう。

報酬金の割合が20%であった場合は、その200万円の中から40万円を弁護士に支払う形になります。

あなたが実際に得をした分から支払う仕組みのため、大金を損する心配は少なくなっています

弁護士の成功報酬については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4 実費などのその他の費用|数千円~1万円程度

これまでご紹介した費用のほかに、実費と呼ばれる細かい出費がかかることもあるため注意が必要です

実費とは、事件を解決するまでにどうしても必要となる、法律事務所の外へ支払う実際のお金のことです。

例えば、会社へ送る警告文や通知書の郵送代、弁護士が交渉のために会社へ出向く際にかかった交通費などがこれにあたります。

依頼をする際には、こうした実費がどのように精算されるのかも、あらかじめ確認しておくとさらに安心です

弁護士費用の実費については、以下の記事で詳しく解説しています。

5章 退職勧奨を弁護士に相談する手順

会社から退職勧奨をされたら焦らずに冷静に対処していくようにしましょう

弁護士に相談する際の流れをあらかじめ知っておくことで、退職勧奨をされても慌てずに落ち着いて対処できるようになり、あなたの権利をしっかりと守ることができます。

会社から退職勧奨をされたら以下の手順で弁護士に相談するといいでしょう。

手順1:合意書にサインせず一度持ち帰る
手順2:退職勧奨に強い弁護士を探す
手順3:メールや電話で予約を取る
手順4:法律相談を行う

5章 退職勧奨を弁護士に相談する手順

それでは、それぞれの手順について順番に見ていきましょう。

5-1 手順1:合意書にサインせず一度持ち帰る

退職勧奨を受けたら、まずは会社から出された合意書などの書類にサインをせず、一度自宅へ持ち帰るようにしましょう

その場で名前を書いてしまうと、後から撤回することは容易ではなく、これ以上の交渉が難しくなってしまうためです。

面談の中で上司から「サインをしないと解雇する」、「サインをしないならこの条件は撤回する」と迫られるケースがあります。

不安に感じてしまうかもしれませんが、「弁護士に相談したいので一度持ち帰ります」とだけ回答するようにしましょう。

5-2 手順2:退職勧奨に強い弁護士を探す

無事に書類を持ち帰ることができたら、次は退職勧奨の問題に強い弁護士を探しましょう

インターネットを活用して、労働者の視点に立って退職勧奨やパッケージ交渉に力を入れている法律事務所を検索するのがいいでしょう。

例えば、労働弁護士コンパスを利用すれば、退職勧奨に注力している弁護士を簡単に探すことができます。

画面に表示された弁護士のプロフィールを見比べながら、解決事例が豊富に載っているところや、説明が丁寧で分かりやすいところをいくつかピックアップしてみるのが良い方法です

労働弁護士コンパスで退職勧奨に注力している弁護士を探す

5-3 手順3:メールや電話で予約を取る

相談してみたい弁護士が見つかったら、法律事務所のホームページにある専用フォームや電話から、法律相談の予約を入れましょう

多くの法律事務所は予約制になっているため、いきなり事務所に行ってもお話を聞いてもらえないことがあるからです。

例えば、平日の昼間は会社にいて電話がかけづらいというケースでは、夜間や休日でも送ることができるメールの問い合わせフォームを使うのが便利です。

「会社から退職を勧められて困っている」という簡単な内容と、あなたの希望する日時を伝えて、相談の日を調整しましょう。

5-4 手順4:法律相談を行う

予約した日時になったら、法律事務所へ出向くか、あるいはオンラインなどの指定された方法で、いよいよ弁護士との法律相談を行います

上司からこれまでに言われた言葉や、面談が行われた日付などをメモに残しておき、それを相談の場で見せるといいでしょう。

弁護士はあなたの味方ですので、恥ずかしがったり隠したりせず、不安に思っていることを何でも打ち明けてください。

これからの具体的な解決策や、必要な費用についての丁寧な説明を受けることができます

6章 退職勧奨を弁護士に相談する際の注意点

弁護士に相談をしてトラブルを解決するためには、事前の準備や日頃のちょっとした行動に気をつけることが大切です

いくつかの注意点を押さえておかないと、弁護士に相談してもリカバリーが難しくなってしまうことがあります。

退職勧奨を弁護士に相談する際の注意点としては、以下の4つがあります。

注意点1:相談前に安易な反論や回答は行わない
注意点2:基本的な資料を用意しておく
注意点3:相談の予約は早めに入れる
注意点4:相談に業務用の携帯電話やPCは使わない

6章 退職勧奨を弁護士に相談する際の注意点

それでは、それぞれの注意点について順番に見ていきましょう。

6-1 注意点1:相談前に安易な反論や回答は行わない

弁護士に相談する前の段階では、会社に対して安易な反論や回答を行わないように注意してください

あなたが感情的に言い返してしまったり、逆に会社の言い分を認めるような発言をしてしまったりすると、後からの交渉で不利な材料として使われる危険があるからです。

労働者が有利だと感じている内容が実は方針と整合しない不利な内容であったと言うことも多いのです。

会社から何を言われても、「今すぐには判断できないので、弁護士に確認してからお答えします」とだけ伝えて、返事を保留するのが賢い方法です。

6-2 注意点2:基本的な資料を用意しておく

法律相談に行く前には、あなたの職場での状況が分かる基本的な資料をできるだけ手元に用意しておきましょう

客観的なデータや書類がたくさんあるほうが、弁護士もあなたの置かれた状況を正確に把握でき、より具体的なアドバイスをしやすくなるからです。

例えば、会社から渡された退職合意書、これまでの雇用契約書や給与明細、上司から退職を迫られた日付のメモや面談の録音データなどです。

すべてを完璧に揃える必要はありませんが、手元にあるものだけでもまとめて持参すると、相談がスムーズに進みます。

6-3 注意点3:相談の予約は早めに入れる

会社から退職の打診があったら、相談の予約はできるだけ早めに入れるように心がけてください

退職勧奨は、会社側がスケジュールを決めてどんどん手続きを進めようとするため、のんびりしているとあっという間に回答の期限が迫ってしまうからです。

6-4 注意点4:相談に業務用の携帯電話やPCは使わない

弁護士を探したり、連絡を取り合ったりする際には、会社から支給されている業務用の携帯電話やPC(パソコン)を使わないでください

業務用の機器は、会社側が通信履歴やメールの内容をチェックできるようになっていることが多く、秘密が漏れてしまう恐れがあるからです。

例えば、会社のメールアドレスから法律事務所へ問い合わせをしたりするケースなどです。

あなたの方針が会社に筒抜けになってしまいますし、私的に業務用PCを利用したことを退職勧奨の理由に加えられる可能性もあります。

連絡は必ずあなた自身の個人のスマートフォンやパソコンで行うように徹底した方がいいでしょう。

7章 退職勧奨段階から弁護士が入るメリット・デメリット

退職勧奨をされたとき、まだ会社をクビ(解雇)になっていない段階から弁護士を立てることには、多くのメリットがあります

早い段階で専門家が加わることで、あなたの心身を守りながら有利に話し合いを進められますが、一方で事前に知っておくべきデメリットもいくつか存在します。

退職勧奨段階から弁護士が入るメリット・デメリットを整理すると以下のとおりです。

メリット1:解雇後より料金を抑えやすい
メリット2:早期解決に繋がりやすい
メリット3:早くから有利な証拠を集めやすい
メリット4:不利な発言や態様を回避できる
デメリット1:費用が掛かる
デメリット2:働き続ける場合に気まずくなりやすい

7章 退職勧奨段階から弁護士が入るメリット・デメリット

それでは、それぞれの内容について順番に見ていきましょう。

7-1 メリット1:解雇後より料金を抑えやすい

退職勧奨の段階で弁護士に依頼するメリットの1つは、実際に解雇されてしまった後よりも、弁護士費用全体の料金を低く抑えやすい点です

まだクビになっていない時期の話し合いのほうが、大きな裁判などに発展する可能性が低く、解決までの手続きがシンプルで済むことが多いからです。

例えば、すでに会社を解雇されて給料が止まってから裁判で争うとなると、解決までに長い時間がかかり、その分だけ弁護士費用も高額になってしまうケースがあります。

早い段階の「話し合い」の範囲内で解決ができれば、少ない着手金や報酬金で済むことが多いため、お財布への負担を軽くできます。

7-2 メリット2:早期解決に繋がりやすい

退職勧奨の段階から弁護士が介入することで、トラブルの早期解決に繋がりやすくなります

弁護士が入ることで、会社側も弁護士を代理人つけることが多く、法律に基づいた建設的、合理的な話し合いを行いやすくなります。

弁護士があなたの代理人となった途端、会社側も真剣な態度に変わり、わずか数週間で納得のいく退職条件が決まって円満に解決するケースもあります。

7-3 メリット3:早くから有利な証拠を集めやすい

早い段階から弁護士に相談していると、あなたにとって有利な証拠を先手先手で集めやすくなります

どのようなやり取りが法律上の武器になるのかを弁護士からあらかじめ教わることができるため在職中から証拠を保全しておけるためです。

解雇された後だと、証拠を集めることが難しくなってしまっていることも多いのです。

7-4 メリット4:不利な発言や態様を回避できる

弁護士がついていることで、あなたが会社の前で不利な発言をしたり、問題のある態度をとったりすることを避けやすくなります

会社からの突然の揺さぶりに対して、どのように振る舞えば法律的に安全なのかを弁護士に確認しながら対応していくことができます。

例えば、会社側から異動を提示された場合などには、よく考えずに断ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、退職勧奨の理由や労働条件、法的な見通しに基づいて慎重に対応するべき部分であり、解雇された後の見通しにも大きな影響が出る可能性もあります

7-5 デメリット1:費用が掛かる

退職勧奨段階から弁護士に頼む場合のデメリットとしては、やはりどうしても一定の弁護士費用が掛かってしまうという点が挙げられます

どれだけ親身になってくれる弁護士であっても、専門的な業務を依頼する以上、最低限のまとまったお金が必要になるからです。

例えば、会社の提示してきた条件に納得がいかず、弁護士に交渉してもらった結果、最終的な受取額がほとんど変わらなかったというケースを考えてみましょう。

この場合、手元に入るお金が増えていないのに弁護士費用だけを支払うことになり、結果としてマイナスになってしまうこともあります。

事前の相談で「費用に見合う効果があるか」をしっかり見極めることが大切です

7-6 デメリット2:働き続ける場合に気まずくなりやすい

もう1つのデメリットは、もしあなたが退職勧奨を断って、そのまま今の会社で働き続けることを選んだ場合に、職場での人間関係が少し気まずくなりやすい点です

あなたが弁護士を立てたことで、会社側や上司があなたに対して腫れ物に触るような態度をとったり、警戒心を強めたりすることがあるからです。

例えば、法律的には何も間違っていない状態であっても、同僚や上司との間に目に見えない壁ができてしまい、毎日の仕事がなんとなく居心地悪く感じられてしまうケースがあります。

弁護士を入れて徹底的に戦う際には、その後に会社へ残る場合の職場の雰囲気や、あなた自身の心の負担についても少しだけ覚悟しておく必要があります。

8章 退職勧奨で弁護士を探している人によくある疑問

退職勧奨で弁護士を探している人によくある疑問としては、以下の5つがあります。

Q1:退職勧奨を弁護士に相談するのにお金はかかる?
Q2:遠方でも退職勧奨を弁護士に相談できる?
Q3:弁護士に相談すれば退職勧奨に同席してもらえる?
Q4:会社が弁護士を立てて退職勧奨してきたけど違法?
Q5:弁護士に依頼した場合に退職勧奨の交渉にかかる期間は?

8章 退職勧奨で弁護士を探している人によくある疑問

それでは、それぞれの疑問について順番に解消していきましょう。

8-1 Q1:退職勧奨を弁護士に相談するのにお金はかかる?

A.最初の相談だけであれば、お金をまったくかけずに専門家のアドバイスを受けられるケースが多いです

最近では、退職勧奨に力を入れている弁護士が「初回相談は30分から1時間まで無料」といったサービスを実施していることもあります。

8-2 Q2:遠方でも退職勧奨を弁護士に相談できる?

A.お住まいの地域に関わらず、遠方に住んでいる場合でも退職勧奨について弁護士に相談することは可能です

現在は、わざわざ法律事務所まで足を運ばなくても、電話やインターネットを使ったオンラインミーティングで相談を受け付ける事務所が増えているからです。

例えば、あなたの家の近くに退職勧奨に詳しい弁護士が見つからないケースでも、都市部にある実績豊富な法律事務所へパソコンやスマートフォンから繋いで、画面越しに面談を行うことができます。

書類のやり取りも、電子契約やメールで行えるため、どこにいても質の高いサポートを受けることができます。

8-3 Q3:弁護士に相談すれば退職勧奨に同席してもらえる?

A.弁護士に依頼をすれば、会社との退職面談に同席してもらえるケースもあります

ただし、基本的には弁護士があなたの「代理人」となった後は、会社との直接のやり取りはすべて弁護士が引き受けるため、あなたが面談に出席すること自体が少なくなります。

例えば、会社側が「どうしても本人と直接話したい」と言ってきたケースや、あなたが職場に出向いて話し合いたいと希望したケースなどでは、弁護士が横に座って一緒に交渉に臨むことがあります。

8-4 Q4:会社が弁護士を立てて退職勧奨してきたけど違法?

A.会社側が弁護士を代理人に指定して退職勧奨を行ってくることがありますが、この行為自体は法律違反ではありません

労働者側が弁護士に依頼するのが自由なように、会社側が弁護士に依頼することも自由であるためです。

例えば、ある日突然、人事から面談を設定されて、参加してみたら弁護士も同席していたと言ったことがよくあります。

こちらも弁護士を立てて対等な立場で対応すれば、必要以上に恐れることはありません。

8-5 Q5:弁護士に依頼した場合に退職勧奨の交渉にかかる期間は?

A.弁護士が間に入ってから解決するまでの期間は、およそ「数週間から3ヶ月」程度が一般的な目安となります

裁判を起こさずに、お互いの話し合い(交渉)によって条件を決めるケースが多いため、比較的スピーディーに決着がつく傾向にあるからです。

例えば、会社側が「これ以上の揉め事は避けたい」と考えているケースでは、弁護士が書面を送ってからわずか3週間ほどで割増退職金の金額が決まり、円満に解決することもあります。

9章 退職勧奨に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

退職勧奨に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

10章 まとめ

以上のとおり、今回は、退職勧奨は弁護士に相談すべき理由5つを説明したうえで、ポイントや相談手順と注意点を解説しました。

この記事が退職勧奨をされて弁護士に相談することを悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法
【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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