不貞裁判で負けたらどうなる?4つの対処法と敗訴しないための対策

不貞裁判で負けたらどうなる?4つの対処法と敗訴しないための対策

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・取材】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこっと弁護士Q&A、東京新聞、毎日新聞、週刊女性他

不貞裁判では負けてしまうこともあります

負けてしまうことが明らかな事案でも対策次第で良い解決をできることもありますし、負けた後の対応次第で穏当な解決とすることもあります。

ホウペン

この記事でわかること

・不貞裁判で負けたら、慰謝料だけでなく、弁護士費用、遅延損害金、訴訟費用の支払い義務まで生じてしまう可能性があります。支払いに応じなければ差し押さえなどの強制執行をされます。

・不貞裁判で負けた場合には、控訴する方法があります。他にも、任意で支払いをしたり、分割払いの交渉をしたりすることもあります。どうしても払えない場合には自己破産を検討することになります。

・不貞裁判で負けないためには、証拠を集めしっかり反論することが大切です。負けが明らかであれば、示談や和解での解決を目指しましょう。

この記事を読めば、不貞裁判に負けることによるリスクを抑えるためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。

不貞裁判の解説は、「不倫の裁判とは?不貞・浮気の慰謝料や費用やデメリットと流れ・期間」をご覧ください。

不貞裁判で負けたらどうなるかについては、以下のショート動画でも60秒程度にまとめています。時間がない方は是非コチラをご覧ください。

目次

1章 不貞裁判で「負けた」とは?敗訴判決の例

1章 不貞裁判で「負けた」とは?敗訴判決の例
不貞裁判で「負けた」とは、相手の請求が認められて裁判所から支払いを命じられることをいいます

例えば、以下のような判決がされることになります。

1 被告は、原告に対し、金220万円を支払え。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。

この判決は、仮に執行することができる。

1-1 相手の請求が全面的に認められる「全部敗訴」

不貞裁判における全部敗訴とは、相手が求めている慰謝料の金額や主張が、裁判所にそのまま認められてしまうことをいいます

相手の提出した証拠が強力であったり、被告側の反論に根拠がなかったりする場合に、このような判決が出されます。

裁判所が「不貞行為があった」と判断し、さらに相手が請求した金額を妥当だと考えた結果、完敗という形になるのです。

例えば、相手が300万円の慰謝料を請求しており、裁判所がその全額の支払いを命じるケースなどです。

この場合、希望していた減額が一切叶わないため、経済的なダメージは最大となります

このように、相手の言い分が100パーセント通ってしまうことが全部敗訴であり、被告にとっては避けたい結果といえます。

1-2 言い分が一部だけ認められる「一部敗訴」

一部敗訴とは、不貞行為そのものは認められたものの、相手が請求している慰謝料の金額が減額されることをいいます

法律の世界では、不貞の事実はあっても、相手の請求額が相場より高すぎる場合には調整が行われるからです。

完全に勝ちとは言えませんが、ご自身の反論によって支払う金額を抑えられたという意味では、一定の成果があったとも捉えられます。

例えば、相手が300万円を請求してきたのに対し、こちらの事情を考慮して裁判所が100万円の支払いのみを命じるケースがあります。

他にも、不貞の回数が少なかったり、相手の夫婦仲がすでに冷え切っていたりすることを証明できた場合に、金額が下がることがあります。

したがって、たとえ不貞の事実が否定できなくても、適切な証拠を出したり誠実に反論したりすることで、この一部敗訴という形での着地を目指すことになります。

2章 不貞裁判で負けたらどうなる?

2章 不貞裁判で負けたらどうなる?
不貞裁判で負けた場合、単に慰謝料を支払うだけでなく、他にも様々な金銭的・法的な負担を背負うことになります

事前にリスクを把握しておけば、無理のない支払い計画を立てたり、差し押さえなどの最悪の事態を防ぐための準備をしたりすることができます。

例えば、不貞裁判で負けた場合に想定されるリスクとしては、以下の5つがあります。

リスク1:慰謝料の支払い義務が生じる
リスク2:強制執行(差押え)される
リスク3:弁護士費用を請求される
リスク4:遅延損害金を請求される
リスク5:訴訟費用を請求される

それでは、不貞裁判で負けた際の影響について順番に見ていきましょう。

2-1 リスク1:慰謝料の支払い義務が生じる

不貞裁判で負けた場合に発生する最も大きな負担は、裁判所から命じられた金額の慰謝料を支払う義務です

裁判所が不貞行為によって相手が精神的な苦痛を受けたと判断した以上、法律に基づいてその償いをする必要が出てくるのです。

裁判所から「被告は原告に対し、200万円を支払え」という判決が出された場合、その金額を支払わなければなりません。

2-2 リスク2:強制執行(差押え)される

判決が出た後も支払いに応じないでいると、ご自身の財産を無理やり回収される「強制執行」を受ける恐れがあります

国が判決の内容を実現するために、持ち主の意思に関わらず財産を取り押さえて、相手への支払いに充てる手続きを行うからです。

例えば、お勤め先から受け取る給料の一部が差し押さえられたり、銀行口座に預けている預金を没収されたりすることがあります。

給料が差し押さえられる際には、裁判所から勤務先に通知が届くため、トラブルを知られたり会社での居心地が悪くなったりする恐れも否定できません。

2-3 リスク3:弁護士費用を請求される

不貞裁判で負けると、ご自身の弁護士費用だけでなく、相手が負担した弁護士費用の一部も支払わなければならない場合があります

不貞行為という不法行為がなければ相手は弁護士に頼む必要もなかったと考えられるため、その損害の一部を敗訴した側に負担させることが認められているからです。

例えば、認められた慰謝料が200万円だった場合、その10パーセント程度にあたる20万円が、相手の弁護士費用相当額として上乗せされるケースがあります。

つまり、合計で220万円を支払うように命じられることになるのです

このように、敗訴した場合には慰謝料本体以外にも支払うべき項目が増えてしまうという点に注意が必要です。

2-4 リスク4:遅延損害金を請求される

不貞裁判で負けた際は、慰謝料に加えて「遅延損害金」という利息のようなお金も加算されます

不法行為に基づく慰謝料は、不貞行為があった時から支払い義務が発生していると考えられており、その期間の利息分を賠償する必要があるからです。

裁判が長引けば長引くほど、この金額はどんどん膨らんでいく仕組みになっています。

例えば、数年前に行われた不貞行為について今になって判決が出た場合、当時の時点から年3パーセント(2026年現在)の割合で計算された金額が上乗せされます。

200万円の慰謝料に対し、数年分の利息がつくだけで数十万円単位の差が出るケースもあるのです。

2-5 リスク5:訴訟費用を請求される

最後に、裁判そのものにかかった実費である「訴訟費用」も、負けた側が負担するように命じられるのが一般的です

訴訟費用とは、相手が裁判所に提出した訴状に貼った収入印紙代や、書類を送るための郵便切手代などのことを指します。

これらは裁判を行うための手続き費用であり、原則として負けた割合に応じて負担することが法律で決まっています

例えば、全部敗訴した場合には「訴訟費用は被告の負担とする」という一文が判決書に記載されることがあります。

金額としては数万円程度であることが多いですが、これも法律上の支払い義務として確定してしまいます。

3章 不貞裁判で負けた場合の対処法

3章 不貞裁判で負けた場合の対処法
不貞裁判で負けてしまったからといって、すべてを諦める必要はありません

判決が出た後でも、法律で認められた手続きや誠実な交渉を行うことで、より良い解決への道を探ることが可能です。

例えば、不貞裁判で負けた場合の対処法としては、以下の4つがあります。

対処法1:控訴する
対処法2:任意で支払う
対処法3:分割払いや免除を交渉する
対処法4:自己破産する

それでは、敗訴した後に取れる具体的なアクションについて順番に見ていきましょう。

3-1 対処法1:控訴する

裁判所の判決に納得がいかない場合は、上の段階の裁判所にもう一度判断を仰ぐ「控訴」という手続きが取れます

第一審の判決には事実の誤認があったり、法律の解釈が偏っていたりする可能性があるため、不服を申し立てる権利が認められているからです。

新しい証拠を見つけたり、反論の構成を変えたりすることで、結果が覆ることもあります。

例えば、第一審では認められなかった「婚姻関係が破綻していた」という主張を、別の証拠を用意して控訴審で改めて詳しく説明するケースもあります。

判決が届いてから2週間以内という期限があるため、迅速な判断が求められます。

3-2 対処法2:任意で支払う

判決を受け入れ、差し押さえなどの強制的な手続きが始まる前に自ら進んで支払うことも有力な選択肢です

ご自身で期限までに支払いを済ませれば、勤務先への給料差し押さえを避けられたり、余計なトラブルを広げずに済んだりするからです。

早期に解決させることで、精神的な区切りをつけやすくなるメリットもあります。

例えば、判決で決まった金額を相手の指定口座に一括で振り込み、領収書や合意書を取り交わして決着させるケースがあります。

これにより、遅延損害金がこれ以上増えるのを防いだり、周囲に知られるリスクを抑えたりすることができます。

したがって、支払い能力がある場合には、速やかに任意で支払うことが穏便な解決策となります

3-3 対処法3:分割払いや免除を交渉する

判決で決まった金額を一括で支払うのが難しい場合は、相手方と直接話し合って分割払いや一部免除の交渉を試みることがあります

相手方にとっても、強制執行の手続きには手間や時間がかかりますし、財産が見つからなければ回収できないため、話し合いで確実にお金を回収できる方が望ましいためです。

例えば、「月々5万円ずつ、3年かけて支払いたい」という申し出をしたり、一部をまとめて支払う代わりに残りを免除してもらったりする交渉が考えられます。

遅滞なく支払いをした場合には一部を免除してもらう条件を設定することもあります。

ただし、判決が出た後は相手が有利な立場にあるため、必ずしも応じてもらえるとは限りません

3-4 対処法4:自己破産する

慰謝料の金額があまりに高額で、どうしても支払いの目処が立たない場合には、最終的な手段として自己破産を検討することもあります

裁判所から免責の許可を得ることで、法律上の支払い義務をなくし、経済的な再生を図ることができる制度だからです。

不貞行為が「悪意で加えた不法行為」に該当すると判断された場合は、自己破産をしても支払いを免除されないケースもありますが、広く裁量免責がされているのが実情です。

例えば、借金も重なっていて生活が破綻している際に、弁護士と相談しながら法的な整理を進めることもあります。

なお、自己破産をすると、しばらくの間ローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりするなどの影響もありますので弁護士に相談しながら進めましょう。

4章 不貞裁判で負けるケース

4章 不貞裁判で負けるケース
不貞裁判において、どのような状況で敗訴の判断が下されるのかを理解しておくことは、ご自身の置かれた状況を客観的に判断するために役立ちます

負ける可能性が高いケースを事前に知っておけば、リスクを避け、早めに有利な条件での和解を模索したりできるようになるからです。

あらかじめ見通しを立てることで、精神的にも金銭的にも過度な負担を負わずに済むようになります。

例えば、不貞裁判で負けるケースとしては、以下の4つがあります。

ケース1:不貞行為に争いがなく適正金額を請求されている場合
ケース2:不貞行為の証拠があり不合理な反論しかできない場合
ケース3:「婚姻関係破綻」や「独身と騙されていた」証拠がない場合
ケース4:裁判所から敗訴の心証を示されている場合
ケース5:答弁書を出さず裁判に出頭しない場合

それでは、不貞裁判で負けやすい具体的なケースについて順番に見ていきましょう。

4-1 ケース1:不貞行為に争いがなく適正金額を請求されている場合

不貞行為があった事実を認めており、相手が請求している金額も相場の範囲内である場合は、裁判で争っても負ける可能性が高くなります

法律上、不貞行為をした側には損害を賠償する義務があり、相手の請求内容が正当であれば、裁判所がそれを退ける理由がないからです。

このような状況でむやみに争い続けると、反省の色がないと受け取られたり、かえって金額が上がってしまったりすることもあります。

例えば、相場が100万円から200万円程度の事案で、相手が150万円を請求しているようなケースなどです。

この場合、裁判を続けても「全額支払いなさい」という判決が出る可能性もありますので、早めに和解に応じることが考えられます。

このように、事実関係と金額の両方に争う余地が少ないときは、敗訴を前提とした対応を考えなければなりません

不倫慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-2 ケース2:不貞行為の証拠があり不合理な反論しかできない場合

相手が言い逃れのできない決定的な証拠を持っており、こちら側の主張が不自然な言い訳に終始してしまう場合も、敗訴を免れるのは難しくなります

裁判所は提出された証拠を総合的に判断するため、客観的な事実と矛盾するような主張は信用できないと判断されてしまうからです。

無理な嘘を重ねたり、あり得ない言い訳を続けたりすることは、裁判官の印象を悪くする結果を招きます。

例えば、ラブホテルに出入りする写真や、肉体関係を認める音声データがあるにもかかわらず、「ただ相談に乗っていただけだ」と主張するようなケースです。

したがって、強い証拠を突きつけられている状況では、事実を認めた上で謝罪や減額の交渉に切り替えることが賢明です。

不貞行為の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。

ホテルで不倫してないは通じないかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

4-3 ケース3:「婚姻関係破綻」や「独身と騙されていた」証拠がない場合

「相手の夫婦関係はすでに壊れていた」あるいは「独身だと言い寄られて騙されていた」という主張をしても、それを裏付ける証拠がない場合は負けてしまうことがあります

これらの主張は、認められれば慰謝料の支払い義務がなくなったり減額されたりする反論となることもありますが、簡単には認められずハードルは高くなっています

例えば、相手から「離婚間近だ」と聞かされていたとしても、それを証明する証拠がないことも多いですし、その発言だけで信じるのは迂闊すぎます。

また、不倫相手が戸籍を偽造して独身と騙していたような場合はともかく、既婚者と聞いていなかったというだけでは不倫の責任を免れるのは難しいでしょう。

このように、法的にはあり得る反論であっても、相場観を無視して、証拠や根拠のない主張をしても意味がありません

既婚者だと知らなかった場合については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4 ケース4:裁判所から敗訴の心証を示されている場合

裁判の途中で、裁判官から「こちら側の主張を認めるのは難しい」という心証を示された場合も、そのまま判決に進めば負ける可能性が高いです

裁判官は審理の過程で、どちらの言い分が正しいかという結論を固めていくため、和解の勧告などを通じて間接的に予想される結果を伝えてくることがあるからです。

例えば、裁判官から「今の証拠では不貞を否定するのは厳しいので、和解を検討しませんか」と促されるケースがあります。

これは「このままでは負ける判決を出しますよ」というメッセージである場合が多いです。

したがって、裁判所から厳しい見通しを示されたときは、判決で負ける前に和解による柔軟な解決を目指す方向へ切り替えるべきタイミングといえます

4-5 ケース5:答弁書を出さず裁判に出頭しない場合

訴状が届いたのに答弁書を出さず裁判所にも出頭しない場合には、負けてしまうことになります

日本の裁判制度では、相手の主張に対して反論をしない場合、相手方の主張が正しいと認められてしまうためです。これを擬制自白と言います。

例えば、訴状が届いているのに「自分は悪くないから放っておこう」と考え、答弁書を出さず第一回の裁判にも出席しないケースなどです。

したがって、たとえ納得がいかない内容であっても、答弁書を提出し、期日には出頭するようにしましょう

5章 不貞裁判で負けないための対策

5章 不貞裁判で負けないための対策(修正)
不貞裁判で負けないためには、早い段階から適切な準備と対応を進めることが大切です

裁判は、単に事実を述べる場ではなく、証拠に基づいてどちらの主張が正しいかを競う場だからです。

例えば、不貞裁判で負けないための対策としては、以下の4つがあります。

対策1:証拠を集め反論する
対策2:裁判前に示談交渉で解決する
対策3:判決前に訴訟上で和解をする
対策4:弁護士に相談する

それでは、敗訴を回避するための具体的な対策について順番に見ていきましょう。

5-1 対策1:証拠を集め反論する

相手の主張に対抗するために、こちら側に有利となる証拠を一つでも多く集めて論理的に反論することが基本の対策となります

裁判所は、客観的な証拠がある主張を優先して採用するため、こちらの言い分を裏付ける資料があるだけで判決の結果が大きく変わるからです。

自分の身を守るための材料を揃えることで、不当な責めを負わされるリスクを減らすことができます。

例えば、相手から「独身だと騙されていた」場合に、マッチングアプリのプロフィール画面や「結婚しよう」と言われたメッセージのやり取りを提示するケースなどです。

他にも、不貞が始まる前から相手の夫婦仲が悪かったことを示すSNSの投稿や日記などを証拠として出すことも考えられます。

5-2 対策2:裁判前に示談交渉で解決する

裁判という公の場で争う前に、話し合いによる示談で決着をつけることも有効な回避策です

裁判になると、判決が出るまでに長い時間がかかったり、遅延損害金や弁護士費用の上乗せが発生したりして、最終的な負担が増える恐れがあるからです。

当事者同士の合意で解決できれば、裁判で負けるというリスクそのものをなくすことができます。

例えば、弁護士を通じて相手方と交渉し、相場よりも少し低い金額で早期に支払う合意書を交わすケースがよくあります。

これにより、周囲に事情を知られる可能性を低く抑えたり、精神的なストレスを早く解消したりすることが可能になります。

したがって、話し合いの余地があるうちは、裁判を避けて示談による解決を模索するのが賢明な判断といえます

不倫慰謝料の減額交渉については、以下の記事で詳しく解説しています。

5-3 対策3:判決前に訴訟上で和解をする

すでに裁判が始まってしまった後でも、判決が下される前に和解という形で決着をつける方法があります

和解であれば、裁判官が強制的に決める判決とは異なり、お互いの譲歩によって支払い条件を柔軟に決めることができるからです。

判決で負けるよりも有利な条件を引き出せる可能性があり、支払い義務の内容をコントロールできるメリットがあります。

分割払いとすることもありますし、慰謝料以外にも口外禁止などの約束をすることもあります。

和解が成立すれば、その時点で裁判は終了し、控訴される心配もなくなります

このように、裁判所の心証が厳しいと感じたときは、判決という白黒をつける結果を待たずに、和解による着地を目指すことがリスク回避につながります。

5-4 対策4:弁護士に相談する

自分一人で対応しようとせず、法律のプロである弁護士に早い段階で相談することが、敗訴対策となります

不貞裁判で負けないためには、法的な見通しを正確に立てて、適切な方針を策定していくことが不可欠だからです。

相手方の主張矛盾点や過大な請求には毅然と対応し、無理な反論などは避けて必要以上に負担が大きくなるのを避けてもらうことができます。

弁護士が代理人となれば、相手方や裁判所とのやり取りをすべて任せられるため、心理的な負担も大幅に軽減されます。

6章 不貞裁判で負けた裁判例

不貞裁判で負けた裁判例はたくさん蓄積されています

これらの裁判例を見ていくことで、裁判所がどのような場合に敗訴判決を出すのかイメージが湧きやすくなるでしょう。

例えは、不貞裁判で負けた裁判例を厳選して以下の3つを紹介していきます。

年月日概要認容額
東京地判令和6年10月8日被告は一度も争うことなく、全面的に敗訴する結果となりました。裁判所は被告の欠席を「自白」と認定しています。不貞による苦痛の重さが考慮され、原告側の主張がすべて認められた厳しい判決内容です。220万円
東京地判令和7年1月20日不貞をした被告が裁判で負けました。長期の不貞と出産が、平穏な家庭を壊したと厳しく判断されました。多額の共有財産が被告へ渡った点も重視されています。被告は原告の深い苦痛を償う義務を負いました。220万円
東京地判令和7年3月19日被告らは一切反論せず、敗訴しました。不倫相手との間に3人の子をもうけ、即座に再婚した悪質さが重く見られました。裁判所は原告の甚大な苦痛を認め、被告らに高額な賠償金の支払いを命じました。220万円

それでは、これらの裁判例について順番に説明していきます。

6-1 裁判例1:東京地判令和6年10月8日|反論せず欠席

6-1 裁判例1:東京地判令和7年1月20日
【事案】
原告の夫が、妻と不貞行為をした被告の男性に対し、損害賠償を求めた事案です。 被告は妻が既婚者と知りながら、計3回の性交渉を行いました。この不貞により、原告らの婚姻関係は破綻状態に至りました。

【結論】
被告に計220万円の支払いを命じました

【理由】
被告が裁判に出廷せず、一切の反論も行わなかったためです。

裁判所は被告が事実を認めたものとみなしました。証拠からも、不貞が婚姻関係に与えた悪影響や原告の精神的苦痛が認められました。

その結果、請求された慰謝料と弁護士費用の全額が相当であると判断されました。

6-2 裁判例2:東京地判令和7年1月20日|出産+共有財産使い込み

6-2 裁判例2:東京地判令和7年1月20日
【事案】
妻である原告が、夫と不貞行為をして子をもうけた被告に対し、慰謝料等を請求した事案です。
被告は夫が既婚者と知りながら交際を続けました。発覚後、原告は適応障害を患い、夫婦は別居に至りました。

【結論】
被告に計220万円の支払いを命じました

【理由】
被告は既婚と知りつつ肉体関係を伴う交際を続けました。不貞により子が誕生しました。円満な婚姻生活を破壊し、原告を別居と適応障害に追い込みました

また、夫婦の共有財産から850万円が被告に流出していたことも考慮されました。これら一切の事情から、被告の賠償責任が認められました。

6-3 裁判例3:東京地判令和7年3月19日|反論せず欠席

6-3 裁判例3:東京地判令和7年3月19日|反論せず欠席
【事案】
原告と被告Y1の婚姻中に、被告らが不貞行為を行いました。被告らの間には、不貞により3人の子が誕生しました

その後、原告と被告Y1は離婚しました。原告が、精神的苦痛への賠償を求めた事案です。

【結論】
被告らは連帯して220万円を支払え

【理由】
被告らは法廷に出頭せず、反論もしませんでした。裁判所は、不貞の事実を自白したものとみなしました。

被告らは長期間不倫し、3人の子をもうけています。原告との離婚後、わずか1か月で再婚した事情も考慮されました。

裁判所は、原告の苦痛は甚大であると判断し、賠償額を算定しました

7章 不貞裁判で負けた場合によくある疑問

7章 不貞裁判で負けた場合によくある疑問
不貞裁判で負けた場合によくある疑問としては、以下の4つがあります。

Q1:不貞裁判に負けたら前科がつく?
Q2:不貞裁判で負けたら家族や会社に知られる?
Q3:不貞の証拠がなければ嘘をついてもいい?
Q4:第一審で負けても控訴審で勝てる可能性はある?

これらの疑問を順番に解消していきましょう。

7-1 Q1:不貞裁判に負けたら前科がつく?

A.不貞裁判で負けても、前科がつくことはありません

不貞裁判は民事裁判であり、個人間の金銭トラブルを解決するためのものだからです。

前科とは刑事裁判で有罪判決を受けた際につくもので、不貞行為そのものは現在の法律では犯罪とはされていません。

例えば、裁判で高額な慰謝料の支払いを命じられたとしても、それはあくまで民事上の義務であり、警察に逮捕されたり履歴書に罰金刑などを書いたりする必要はありません。

7-2 Q2:不貞裁判で負けたら家族や会社に知られる?

A.裁判で負けたからといって、裁判所から家族や会社に自動的に連絡が行くことはありません

裁判はあくまで当事者間で行われるものであり、その結果が第三者に通知される仕組みにはなっていないからです。

ただし、判決後の対応を誤ると、間接的に知られてしまうリスクは残ります。

例えば、判決が出た後も支払いを拒み続け、給料の差し押さえを受けた場合には、裁判所から勤務先に通知が届くため事情を知られてしまいます。

浮気を会社にバラされることについては、以下の記事で詳しく解説しています。

7-3 Q3:不貞の証拠がなければ嘘をついてもいい?

A.たとえ証拠が乏しいと感じても、裁判で嘘をつくことは避けるべきです

裁判では宣誓を行った上で真実を述べる義務があり、明らかな嘘が発覚すると裁判官の信用を完全に失ってしまうからです。

また、後から決定的な証拠が出てきた場合に、嘘をついていたことが不利に働き、慰謝料が増額される恐れもあります。

例えば、肉体関係があったにもかかわらず「一度も会っていない」と嘘をつき、後からホテルの領収書などが出てきたケースでは、不誠実な態度として厳しい判断が下されることになります。

7-4 Q4:第一審で負けても控訴審で勝てる可能性はある?

A.第一審で負けても、控訴審で結果が覆る可能性はゼロではありません

新しい証拠を提出したり、第一審での判断の誤りを専門的な視点から指摘したりすることで、結論が変わるケースがあるからです。

ただし、全く同じ主張を繰り返すだけでは、結果を変えるのは難しいのが現実です。

例えば、第一審では言葉足らずだった反論を、弁護士と相談してより説得力のある論理に組み直して主張するケースなどが挙げられます。

逆転を目指すのであれば、判決が出てから早急に準備を整える必要があります。

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9章 まとめ

以上のとおり、今回は、不貞裁判で負けたらどうなるかを説明したうえで、4つの対処法と敗訴しないための対策を解説しました。

この記事が不貞裁判で負けた場合について不安に感じている方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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【連載・執筆等】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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