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2025年3月8日
労働一般
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投稿日:2026/10/24
不当解雇

会社から解雇を告げられた後に、突然「解雇を撤回するので復職してください」と求められることがあります。
一度会社との関係が悪化していると、すぐに職場へ戻ることには抵抗が生じやすい一方、復職を拒否すると、バックペイの請求や今後の解決金に影響することがあります。

この記事の要点
・解雇撤回には法律上の論点があり、会社が復職を求めてきた場合には、復職条件や会社の受入体制を確認したうえで対応する必要があります。
・復職したくない場合でも、理由なく拒否したり連絡を無視したりすると不利益につながることがあるため、証拠を残しながら慎重に対応することが必要です。
この記事を読めば、解雇撤回後に復職拒否できるか、バックペイにどのような影響があるか、どのように対応すればよいかがよくわかるはずです。
目次

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解雇撤回とは、会社が一度行った解雇を取り消し、労働者との雇用関係を続ける扱いに戻そうとすることです。
解雇は会社から労働者に対する一方的な労働契約終了の意思表示であり、有効に成立した解雇については、会社が後から自由に撤回できるわけではありません。
裁判例でも、解雇の意思表示を会社が一方的に撤回することはできないとの判断が示されています。
ただし、不当解雇として解雇の無効を争っている場合には、少し考え方が異なります。
解雇が無効であれば、法律上は雇用契約が終了せずに続いているため、会社が「解雇を撤回します」と伝えたかどうかにかかわらず、労働者には雇用契約上の地位が残っていることになります。
そのため、会社が解雇の無効を認めたうえで復職を求めてきた場合には、「解雇撤回には同意していない」という理由だけで復職を拒否できるとは限りません。
会社が解雇を撤回したり復職を求めたりするのは、労働者から解雇の有効性を争われ、会社側がそのまま解雇を維持することにリスクがあると判断した場面が中心です。
例えば、会社が解雇撤回や復職を求める主な場面としては以下の3つがあります。

それでは、会社がどのようなタイミングで解雇撤回や復職を求めることがあるのかを順番に見ていきましょう。
解雇が不当であるとの通知書を送った直後は、会社から解雇撤回を伝えられやすい場面です。
通知書には、解雇を無効と考える理由や、雇用契約上の地位、解雇後の賃金などを請求する旨を記載することがあります。
会社としては、通知書を受け取った段階で、解雇理由や手続を改めて確認し、そのまま争った場合の見通しを検討することになります。
その結果、解雇を維持することが難しいと判断し、労働審判や訴訟に進む前に解雇を撤回して復職を求めることがあります。
特に、弁護士から通知書が届いた場合には、その後に法的手続へ進むことも想定されるため、この段階で会社の対応が変わることがあります。
労働審判で解雇が不当であることを前提とした審判が出された後に、会社が解雇を撤回して復職を求めることがあります。
労働審判では、双方の主張や証拠を確認したうえで調停による解決を試み、調停がまとまらなければ、労働審判委員会が事案に応じた審判を行います。
会社としては、解雇が無効であることを前提とする内容の審判が出されると、そのまま争いを続けた場合の見通しを改めて検討することになります。
労働審判に異議を申し立てれば訴訟へ移行しますが、その前後で会社が解雇を撤回し、労働者に復職を求めることもあります。
この場合には、会社が単に「解雇を撤回する」と伝えているだけなのか、雇用契約上の地位を認めたうえで具体的に復職を求めているのかを確認する必要があります。
労働審判とは何かについては、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
訴訟で解雇無効の判決が確定した場合には、会社から復職を求められることがあります。
この場面は、会社が任意に解雇を撤回する場合とは少し異なります。
解雇が無効であり、労働者が雇用契約上の地位を有することが判決で認められれば、法律上は雇用関係が続いていることになります。
そのため、会社が判決に従って労働者を受け入れ、勤務を再開するよう求めることがあります。
労働者が復職を望んでいなかったとしても、地位確認やバックペイを求めて争ってきた以上、会社からの復職要請を無視してよいとは限りません。
復職日や労働条件などを確認し、今後の対応を検討する必要があります。
解雇撤回後に復職を拒否できるかは、労働者が復職したくないという理由だけでは決まりません。
不当解雇の無効やバックペイを求めている場合には、就労意思・就労能力があるか、会社がどのような形で復職を求めているかによって、その後の請求への影響が変わります。
例えば、復職拒否について判断するときのポイントとしては以下の4つがあります。

それでは、解雇撤回後に復職を求められたときの判断ポイントを順番に説明していきます。
不当解雇の無効を主張してバックペイを請求する場合には、原則として、その会社で働く意思と働ける状態にあることが前提となります。
バックペイは、労働者が働ける状態であったにもかかわらず、会社側の事情によって働けなかった期間の賃金を請求するものだからです。
そのため、地位確認とバックペイを求めながら、「最初から会社に戻るつもりはない」と伝えると、就労意思がなかったとして会社から争われることがあります。
会社との信頼関係が壊れて復職に抵抗がある場合には、事前に法的な請求と自分の気持ち、見通しを整理しておく必要があります。
解雇の無効とバックペイを求めるのであれば、会社から復職を求められた場合に実際に対応できることも想定しておいた方がよいでしょう。
会社が労働者の雇用契約上の地位を認め、現実に働ける状態を整えたうえで復職を求めてきた場合には、単純に復職を拒否することは難しくなります。
解雇が無効で雇用関係が続いているのであれば、会社が労務を受け入れる意思を示した後も働かないことについて、会社だけに責任があるとはいえなくなるためです。
もっとも、「解雇を撤回するので出社してください」と連絡が来ただけで、常に同じ結論になるわけではありません。
復職日や勤務場所、仕事内容、賃金などが示されているか、会社が実際に労働者を受け入れる準備をしているかなども確認することになります。
そのため、復職を求められたときは、すぐに拒否するのではなく、会社がどのような条件と態勢で復職を求めているのかを確認することになります。
会社から具体的に復職を求められているのに、理由なく出社を拒否したり連絡を無視したりすると、無断欠勤などを理由に再度解雇されることがあります。
解雇が無効で雇用関係が続いている場合には、労働者にも労働契約に従って勤務する義務があるためです。
ただし、会社から突然「明日から出社してください」と言われた場合や、復職後の労働条件が十分に説明されていない場合まで、出社しなかったことが直ちに正当な解雇理由になるわけではありません。
また、再度の解雇が行われた場合には、最初の解雇とは別に、その解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当といえるかが問題になります。
会社から復職を求められたときは無視せず、出社できない事情がある場合には、その理由を会社に伝えておくことが必要です。
会社が解雇について謝罪していないことだけを理由に、復職を拒否できるとは限りません。
会社が労働者の雇用契約上の地位を認め、復職後の条件を示したうえで受入体制を整えている場合には、謝罪がないという事情だけで会社による就労拒否が続いているとはいえないことがあるためです。
そのため、「会社が謝罪するまでは出社しない」と回答すると、その後のバックペイなどについて争いが生じることがあります。
一方で、解雇に至った経緯から職場でのハラスメントなど具体的な問題が残っている場合には、その問題への対応状況も復職できるかを判断する事情になります。
復職を拒否する場合には、謝罪の有無だけではなく、実際に働くうえでどのような支障が残っているのかを具体的に確認した方がよいでしょう。
会社から復職を求められても、日時だけを確認してすぐに出社するのではなく、復職後にどのような条件で働くことになるのかを確認しておく必要があります。
復職条件が曖昧なまま出社すると、従前とは異なる条件を示されたり、会社側に十分な受入準備がなかったりすることがあるためです。
例えば、復職を求められたら確認したい事項としては以下の5つがあります。

それでは、復職する前に確認しておきたい事項を順番に説明していきます。
まず、いつ、どこへ出社し、どのような仕事に復職するのかを確認しましょう。
「明日から出社してください」とだけ連絡されても、出社場所や担当業務が分からなければ、実際に勤務することは困難です。
解雇前とは異なる勤務地や配属先、業務内容を示された場合には、なぜ変更するのかについても確認しておくとよいでしょう。
役職を外されている場合や、従前とは大きく異なる業務を命じられる場合には、その変更が労働契約や就業規則などに照らして認められるかが別途問題になることもあります。
復職要請の内容と自分の回答は、後から確認できるようメールなどで残しておくとよいでしょう。
復職後の賃金や労働時間などが、解雇前から変更されていないかも確認する必要があります。
会社が解雇を撤回したとしても、それだけで従前より低い賃金や不利な勤務条件への変更に同意したことにはなりません。
基本給、各種手当、所定労働時間、勤務日、在宅勤務の有無など、これまでの条件から変更される部分がないかを確認しましょう。
変更がある場合には、その内容だけではなく、会社がどのような根拠で変更すると説明しているのかも確認します。
特に、新たな雇用契約書や労働条件に関する同意書を提示された場合には、その場で署名せず、内容を確認するために持ち帰ることを検討した方がよいでしょう。
基本給が下がることがあるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
復職後の条件だけではなく、解雇されてから復職するまでの賃金を会社がどのように扱うのかも確認しましょう。
解雇が無効であり、会社側の事情によって働くことができなかった場合には、その期間の賃金をバックペイとして請求できることがあります。
会社が復職を求めてきたとしても、それ以前の期間の賃金について当然に解決したことになるわけではありません。
そのため、解雇日から復職日までの給与を支払うのか、支払う場合には金額と支払日を確認しておく必要があります。
賞与についても、解雇期間中に支給日があった場合には、就業規則や賃金規程、賞与の支給条件などを確認します。
会社が解雇に伴って社会保険や雇用保険の資格喪失手続きをしている場合には、その後の処理についても確認が必要です。
解雇が無効で雇用関係が継続していることを会社も認めるのであれば、健康保険や厚生年金について、資格喪失の状態をそのままにしておくことは適切ではありません。
会社に対して、既に行った資格喪失手続きを速やかに取り消すなど、資格記録を実際の雇用関係に合わせるよう求めることになります。
雇用保険についても、資格喪失届や離職票が既に処理されている場合には、訂正や取消しが必要になることがあります。
すでに離職票を受け取っている場合や失業等給付の手続きをしている場合には、その状況も会社やハローワークに伝えたうえで確認した方がよいでしょう。
解雇になった場合の失業保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
会社が実際に労働者を受け入れる準備をしているかも確認しておきましょう。
復職するよう連絡されても、出社したところ担当する仕事がなく、席やPC、社内システムの利用権限なども用意されていなければ、通常どおり働くことはできません。
また、上司や人事担当者が復職を把握しているか、出社後に誰の指示を受けて勤務するのかも確認しておくとよいでしょう。
これらの状況は、会社が現実に復職させようとしていたのか、それとも形式的に出社を求めただけなのかを判断する事情にもなります。
実際に出社した場合には、出社したことが分かる写真を残したり、会社との面談を録音したりする方法もあります。
会社が解雇撤回を伝えても、実際には労働者を受け入れる準備がされておらず、形式上だけ復職を求めているように見える場合があります。
ただし、解雇撤回が方便かどうかは会社の言葉だけで決めるのではなく、復職後の労働条件や実際の受入体制などから判断する必要があります。
例えば、方便的な解雇撤回を疑う場面としては以下の3つがあります。

それでは、会社が本当に復職を受け入れようとしているのかを判断するうえで注意したい場面を順番に説明していきます。
会社から復職を求められて実際に出社したにもかかわらず、仕事や席、PCなどが何も用意されていない場合には、形式上だけ復職を求めていることを疑う事情になります。
本当に勤務を再開してもらうのであれば、通常は担当業務を決め、仕事に必要な設備や社内システムを利用できる状態にしておく必要があるためです。
例えば、出社しても担当業務を指示されず、上司も復職について知らされておらず、一日中待機するような状態であれば、通常どおり働ける環境が用意されているとはいいにくいでしょう。
このような状況は、会社が「出社するよう求めた」という形だけを作ろうとしていたのではないかを判断する一つの事情となります。
解雇撤回後に、従前の職務とかけ離れた非現実的なポジションへの異動を求められた場合にも注意が必要です。
会社には人事異動を行う権限が認められることがありますが、復職を求めながら、実際には勤務を続けることが難しい条件を示しているのであれば、復職要請の実態を見る必要があります。
例えば、これまで経験のない業務へ突然変更され、具体的な仕事内容も説明されていない場合には、本当にそのポジションで勤務させる予定なのか疑問が生じます。
勤務地、職務内容、役職などを大きく変更する場合に、会社から合理的な説明がされているかも判断材料となります。
退職に追い込む異動については、以下の記事で詳しく解説しています。
復職後の労働条件を明らかにしないまま、出社した日に新たな同意書への署名を求められる場合にも注意しましょう。
解雇が無効で従前の雇用契約が続いているのであれば、復職することと、新しい労働条件への変更に同意することは別の問題だからです。
例えば、同意書に賃金の減額、役職の変更、これまでとは異なる勤務条件などが記載されていることがあります。
そのような書面への署名を復職の条件として求められる場合には、会社がどのような条件で雇用関係を続けようとしているのかを確認する必要があります。
解雇撤回後に復職を拒否した場合、それ以降も当然にバックペイを請求できるわけではありません。
解雇が無効であり、労働者に働く意思と能力があるにもかかわらず、会社側の事情によって働けなかった期間については、バックペイを請求できることがあります。
もっとも、会社が「解雇を撤回します」と伝えただけで、それまで会社が労働者の就労を拒んでいた状態が直ちに解消するとは限りません。
例えば、復職後の勤務地や仕事内容、賃金などが明らかにされていない場合や、実際に出社しても仕事や席が用意されていない場合には、なお会社側の事情によって働けない状態が続いていると判断される余地があります。
一方で、会社が労働者の雇用契約上の地位を認め、復職後の労働条件や復職日を具体的に示し、実際に働ける環境を整えたうえで出社を求めている場合には、その後も働かないことについて会社側だけに責任があるとはいいにくくなります。
そのような状況で理由なく復職を拒否すると、拒否した後のバックペイを請求することが難しくなることがあります。
また、復職要請を受けた時点で「戻るつもりはありません」と回答すると、会社から、そもそも働く意思がなかったとして、それ以前のバックペイについても争われることがあります。
そのため、復職したくない場合でも、解雇撤回を方便と決めつけてすぐに拒否するのではなく、復職条件や会社の受入体制を確認したうえで対応することになります。
解雇を撤回された場合には、復職するかどうかをすぐに決めるのではなく、会社の対応を確認しながら順番に進めることになります。
特に、復職拒否の仕方によってはバックペイやその後の交渉に影響するため、やり取りを証拠に残しておく必要があります。
例えば、解雇を撤回された場合の対処法としては以下の5ステップがあります。

それでは、解雇を撤回された場合の対処法を順番に説明していきます。
会社から復職を求められたら、まず通知の内容を確認しましょう。
連絡を無視したり、理由なく復職を拒否したりすると、就労意思がないと主張されたり、無断欠勤を理由に再度解雇されたりすることがあります。
復職日や勤務場所などが不明確な場合には、会社へ確認してから対応しましょう。
復職日、勤務地、仕事内容、賃金などは、メールや書面で確認しておきましょう。
会社からの説明が不十分な場合には、確認事項を伝えたうえで、出社する意思があることも分かる形で回答します。
やり取りを文書に残しておけば、後から「復職を拒否した」と主張された場合にも経緯を示しやすくなります。
復職できる状況であれば、実際に出社して就労意思を示す方法があります。
出社した日時や会社の受入状況が分かる写真を残し、担当者との面談があれば録音しておくとよいでしょう。
会社が仕事や席を用意していなかった場合にも、当日の状況を記録しておけば後の交渉で確認できます。
復職時に新たな労働条件を記載した同意書などへの署名を求められることがあります。
書面には、賃金の減額や役職変更など従前より不利な条件が含まれている場合もあります。
その場ですぐに署名せず、持ち帰って内容を確認してから対応しましょう。
実際に復職した後も会社から退職を求められる場合には、退職条件を交渉することがあります。
労働者には働く意思があり、退職しなければならない理由もないのであれば、会社の希望に応じて退職する代わりに金銭を上乗せするよう求めることも考えられます。
解決金だけではなく、退職日や離職理由なども含めて条件を決めることになります。
解雇撤回後に復職せず金銭解決を目指す場合には、復職への対応がバックペイや解決金の交渉に影響します。
特に、会社から復職を求められた直後に「復職するつもりはない」と明言すると、そもそも就労意思がなかったとして、撤回前のバックペイについても会社から支払いを争われることがあります。
また、会社が雇用関係を続ける意思を示しているのに労働者が復職しない場合には、高額な解決金を支払って退職してもらう必要はないとして、解決金の交渉にも影響することがあります。
一方で、実際に復職したにもかかわらず、会社がなお退職を求めてくる場合には、労働者には働く意思があり、退職しなければならない理由もないことを前提に、退職に応じる条件として金銭の上乗せを交渉することも考えられます。
不当解雇の解決金の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
解雇撤回後の復職やバックペイについては、会社が「解雇を撤回する」と通知しただけで一律に結論が決まるわけではありません。
裁判例では、解雇に至った経緯や復職条件の説明、会社の受入態勢、労働者側の対応などを踏まえて判断されています。
例えば、解雇撤回・復職拒否に関する裁判例として以下の3つがあります。

それでは、それぞれの裁判例について順番に説明していきます。
東京高決平成21年11月16日は、会社が行った解雇を一方的に撤回できるかが問題となった裁判例です。
この事案では、会社から解雇された労働者が退職金を請求したのに対し、会社側は解雇を撤回したことなどを理由に支払いを争いました。
裁判所は、解雇は会社が労働者に対して一方的に行う労働契約解除の意思表示であり、会社が一方的に撤回することはできないと判断しました。
また、労働者が解雇撤回に同意したとの会社側の主張についても、そのような同意を認めることはできないとしています。
もっとも、この裁判例は、解雇後の退職金請求が問題となった事案です。
不当解雇として解雇の無効を主張している労働者に対し、会社が解雇の無効を認めて復職を求める場面まで、常に労働者の同意がなければ何の効果も生じないと判断した裁判例ではありません。
そのため、この裁判例だけを理由に、会社からの復職要請を拒否しても問題ないと考えることは避けた方がよいでしょう。
ダイワクリエイト事件は、会社から一度出勤を拒まれた労働者に対し、その後、会社が出社を求めた事案です。
会社代表者は、労働者に仕事はない旨を伝えて出社しないよう求めた後、数日後にはメッセージで繰り返し出勤を求めました。
その後、会社は無断欠勤を理由に労働者を解雇しましたが、裁判所はこの解雇を無効と判断しました。
会社からの出社要請についても、それまで出勤を拒んでいた事実を前提とせず、その拒絶を撤回する内容とも評価できないとして、労務の受領拒絶状態が解消したとは認めませんでした。
そのため、労働者が出社しなかったことについて引き続き会社側に責任があるとして、バックペイの請求も認められています。
この裁判例からは、会社が形式的に「出社してください」と伝えただけで、当然にその後のバックペイが発生しなくなるわけではないことが分かります。
K’sエステート事件は、解雇撤回後のどの時点までバックペイを請求できるかについて参考になる裁判例です。
会社は、労働者から解雇が無効であるとの通知を受けて解雇を撤回し、復職するよう求めました。
裁判所は、解雇撤回と労務提供の指示をしただけでは、それまでの受領拒絶状態が直ちに解消したとはいえないとしました。
当初、労働者が復職後の賃金や仕事内容、職場環境などを確認するまで就労を拒んだことについても、解雇までの経緯を踏まえれば相応の理由があるとしています。
一方で、その後のやり取りによって賃金、勤務地、仕事内容などが明らかになり、会社が職場環境について一定の対応を示したことも考慮されました。
さらに会社から一定の期間を設けて就労意思を確認されたにもかかわらず、労働者が具体的な問題を示さないまま就労意思を明らかにしなかった時点では、労務を提供できる状況になっていたと判断されています。
その結果、それ以降の不就労については会社側に責任があるとは認められず、バックペイの範囲も限定されました。
解雇撤回後のバックペイは、撤回通知の有無だけではなく、復職に向けて会社と労働者がどのような対応をしたかによって結論が変わることが分かります。
解雇撤回後は、復職要請への対応やバックペイとの関係で迷いやすい点があります。
例えば、よくある疑問としては以下の5つがあります。
それでは、これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.解雇撤回通知や復職要請を無視することは避けた方がよいでしょう。
会社から就労意思がないと主張されたり、その後のバックペイや解決金の交渉に影響したりすることがあるためです。
復職条件に不明点がある場合には、無視するのではなく、書面で確認しましょう。
A.翌日に出社しなかっただけで、直ちに無断欠勤として有効な解雇理由になるとは限りません。
突然の復職要請で準備期間がなく、復職後の条件も説明されていない場合には、その事情も考慮されます。
出社が難しい場合には、理由と出社可能な時期を会社へ伝えておきましょう。
A.謝罪がないことだけを理由に復職を拒否するのは慎重に考えた方がよいでしょう。
会社が雇用契約上の地位を認め、勤務できる環境を整えている場合には、謝罪がなくても復職できる状態と判断されることがあります。
復職できない具体的な支障がある場合には、その内容を会社に伝えることになります。
A.転職先が決まっただけで、不当解雇を争えなくなるわけではありません。
ただし、新しい会社で働き始めた時期や収入、元の会社で働く意思がいつまであったかによって、バックペイの範囲などに影響することがあります。
転職を検討している段階から、今後の請求への影響を確認しておくとよいでしょう。
A.再度解雇された場合には、その解雇について改めて有効性を検討することになります。
復職を拒否したという事実だけで再度の解雇が当然に有効になるわけではなく、会社が復職条件を説明していたか、出社できる準備期間があったかなども問題になります。
再度の解雇も不当であれば、雇用契約上の地位やバックペイを求めて争うこ都を検討します。
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以上のとおり、今回は、解雇撤回されたら復職拒否できるかについて、バックペイへの影響と対処法5つを解説しました。
この記事が解雇を撤回されて悩んでいる労働者の助けになれば幸いです。
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