!.png)
2025年3月8日
労働一般
厚生労働省のブラック企業リスト(2024)!地域と掲載企業の傾向
ブラック企業リスト掲載の事案は、労働安全衛生法違反が多く、実際のイメージとは異なる部分があります。今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、ブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。
投稿日:2026/08/06
ハラスメント

職場でセクハラを受けたものの、すぐに対応できず、請求の期限が過ぎていないか不安になる方もいるでしょう。
セクハラの時効は、請求相手や法的根拠によって異なるため、確認が必要です。

この記事の要点
・加害者への慰謝料請求は原則3年ですが、生命・身体への被害や会社への請求では別の期間となる場合があります。
・期限を過ぎた可能性があっても、起算点、時効の完成猶予・更新、相手による時効の援用などを確認しましょう。
この記事を読めば、セクハラの時効と、期限が迫っている場合や過ぎた場合の対処法がよくわかるはずです。
目次

労働弁護士コンパスで
労働問題に強い弁護士を探す
セクハラに関する期限は、一律に「3年」と決まっているわけではなく、誰にどのような請求をするかによって異なります。
加害者に慰謝料を請求する場合は不法行為の時効が問題となりますが、会社に請求する場合は、使用者責任や安全配慮義務違反などの法的根拠によって期間が変わるためです。
また、刑事責任を求める場合は該当する犯罪の公訴時効を確認し、セクハラが原因で精神疾患を発症した場合に労災保険給付を求めるときは、給付ごとの請求期限を確認します。
会社の相談窓口や労働局への相談も、慰謝料請求や労災保険給付の請求とは別の手続です。
そのため、セクハラを受けた日だけで期限を判断せず、請求相手、求める内容、法的根拠を確認したうえで、適用される期限を計算する必要があります。
| 請求方法・手続 | 主な相手・窓口 | 主な期限 | 起算点 |
| 加害者への慰謝料請求 | セクハラをした本人 | 原則3年 生命・身体への被害は5年 セクハラ行為の時から20年 | 損害と加害者を知った時又はセクハラ行為があった時 |
| 使用者責任に基づく慰謝料請求 | 会社 | 原則3年 生命・身体への被害は5年 セクハラ行為の時から20年 | 損害と加害者を知った時又はセクハラ行為があった時 |
| 安全配慮義務違反に基づく慰謝料請求 | 会社 | 原則5年又は10年 生命・身体への被害は20年となる場合がある | 権利を行使できると知った時又は権利を行使できる時 |
| 会社の相談窓口への相談 | 勤務先又は元勤務先 | 損害賠償請求と同じ一律の法定期限はない | ― |
| 労働局への相談・紛争解決援助 | 都道府県労働局 | 損害賠償請求と同じ一律の法定期限はない | ― |
| 刑事手続 | 警察・検察 | 成立する犯罪や行為時期によって異なる | 原則として犯罪行為が終わった時 |
| 労災保険給付の請求 | 労働基準監督署 | 給付の種類により2年又は5年 | 給付を受ける権利を行使できる時 |
加害者本人へのセクハラの慰謝料請求では、不法行為の時効を確認します。
加害者への慰謝料請求の時効を整理すると以下の3つです。

それでは、加害者への慰謝料請求の時効について順番に見ていきましょう。
加害者に対する慰謝料請求の時効は、原則として、被害者が損害と加害者を知った時から3年です。
セクハラによる精神的苦痛については、加害者の不法行為を理由に慰謝料を請求することになるためです。
例えば、被害を受けた時点で、誰による行為かを把握し、精神的苦痛が生じたことも認識していた場合には、その時から3年が進む可能性があります。
一方、損害が後から明らかになった場合などには、セクハラ行為があった日と時効の起算点が一致しないこともあります。
そのため、行為日から一律に3年を数えるのではなく、損害と加害者をいつ知ったのかを確認する必要があります。
セクハラによって生命又は身体が害された場合には、損害と加害者を知った時からの期間が、3年ではなく5年になります。
生命や身体への損害については、民法が通常の不法行為とは別に、長い時効期間を定めているためです。
例えば、身体への接触によってけがをした場合には、5年の時効が適用される可能性があります。
また、セクハラが原因で精神疾患を発症し、生命又は身体を害する不法行為と評価される場合にも、5年となる可能性があります。
もっとも、精神的苦痛を受けたすべてのケースで、当然に5年となるわけではありません。
診断内容、症状、受診時期、セクハラとの因果関係などを踏まえて判断することになります。
損害や加害者を知った時期とは別に、不法行為の時から20年という期限があります。
この期間は、被害者が損害や加害者を知らない場合でも進みます。
例えば、加害者を特定できないまま時間が経過した場合でも、原則としてセクハラ行為から20年が経過すると時効が完成します。
生命又は身体を害した場合であっても、この20年の期間が25年に延びるわけではありません。
そのため、損害と加害者を知った時からの3年又は5年と、行為時からの20年をそれぞれ確認し、先に完成する期限を把握する必要があります。
なお、2020年4月1日より前に行われたセクハラについては、改正前の民法や経過措置が関係するため、現在の条文だけで判断することはできません。
会社に慰謝料を請求する場合は、どの責任を根拠にするかによって時効が異なります。
会社への慰謝料請求の時効を整理すると以下の3つがあります。

それでは、会社への慰謝料請求の時効について順番に見ていきましょう。
会社に使用者責任を問う場合の時効は、原則として、損害と加害者を知った時から3年です。
使用者責任は、従業員が業務に関連して他人へ損害を与えた場合に、会社にも賠償を求める不法行為責任の一つです。
例えば、上司が職場での立場を利用してセクハラを行ったというケースでは、行為と業務との関係が認められ、会社が使用者責任を負う可能性があります。
セクハラによって生命又は身体を害された場合には、損害と加害者を知った時からの期間が3年ではなく5年となります。
精神疾患を発症した場合にも、生命又は身体を害する不法行為に当たると判断されれば、5年の時効が適用される可能性があります。
また、損害や加害者を知った時期とは別に、セクハラ行為の時から20年という期限も確認する必要があります。
会社の安全配慮義務違反を理由に慰謝料を請求する場合は、権利を行使できることを知った時から5年、又は権利を行使できる時から10年が時効となります。
会社には、労働者が生命や身体などの安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をする義務があります。
例えば、会社がセクハラ被害を把握した後も必要な対応をせず、被害が続いたというケースでは、安全配慮義務違反を理由とする請求をできることがあります。
安全配慮義務違反に基づく請求では、5年と10年のうち、先に期間が経過した時点で時効が完成します。
会社がセクハラの危険を把握できたか、相談後にどのような対応をしたかなどによって、安全配慮義務違反の有無や権利を行使できる時期が変わります。
そのため、セクハラ行為があった日だけではなく、会社への相談時期や会社の対応内容も確認する必要があります。
安全配慮義務違反によって生命又は身体を害された場合には、権利を行使できる時からの時効期間が10年ではなく20年となります。
生命や身体への損害については、通常の債務不履行よりも長い期間が定められているためです。
例えば、セクハラによって精神疾患を発症し、会社の安全配慮義務違反との因果関係が認められるケースでは、20年の期間が適用される可能性があります。
一方、権利を行使できることを知った時から5年という期間は、生命又は身体への損害がある場合でも変わりません。
そのため、生命又は身体への被害があれば、必ず20年間請求できるという意味ではありません。
なお、使用者責任に基づく請求にも、セクハラ行為の時から20年という期限があります。
安全配慮義務違反の20年とは法的根拠や起算点が異なるため、それぞれ分けて期間を計算する必要があります。
セクハラの時効を正しく計算するには、どの日から期間が進むのかを確認する必要があります。
起算点を誤ると、請求できると考えていた時点ですでに時効が完成していることもあります。
セクハラの時効の起算点は以下のとおりです。

それでは、セクハラの時効の起算点について順番に見ていきましょう。
加害者への慰謝料請求では、被害者が損害と加害者を知った時から、原則として3年又は5年の時効が進みます。
「損害を知った時」とは、セクハラによって精神的苦痛や身体の被害が生じたことを現実に認識した時です。
法律上セクハラに当たると判断できた時や、請求できる慰謝料の金額がわかった時まで待つわけではありません。
「加害者を知った時」とは、誰がセクハラを行ったのかを把握した時を指します。
例えば、上司から直接セクハラを受け、その場で精神的苦痛を感じたというケースでは、行為があった時点で損害と加害者の双方を知ったと判断される可能性があります。
一方、匿名のメッセージによるセクハラなど、当初は行為者がわからなかったケースでは、加害者が判明した時が起算点となる可能性があります。
そのため、セクハラ行為の日だけではなく、被害を認識した日と加害者が判明した日も確認する必要があります。
損害と加害者を知った時とは別に、セクハラ行為があった時から20年という期限があります。
被害者が損害や加害者を知らない状態でも、法律関係がいつまでも確定しないことを避けるために設けられている期限です。
例えば、職場で身体に触れられたというケースでは、原則として、その行為が行われた日が20年の起算点となります。
被害を受けた正確な日がわからない場合には、勤務記録、メール、予定表、相談記録などから時期を絞り込みます。

コラム1:精神疾患が後から判明した場合
セクハラの後に精神疾患が判明しても、診断を受けた日が必ず時効の起算点になるわけではありません。
診断前から不眠、気分の落ち込み、出勤困難などの症状があり、セクハラによる被害を認識していた場合には、診断日より前から時効が進んでいる可能性があります。
一方、当初は予測できなかった精神疾患が後から発症し、それまでの精神的苦痛とは別の損害と評価できる場合には、その損害を知った時から別に時効が進む余地があります。
最高裁判所も、同じ出来事から複数の異なる損害が生じた場合に、それぞれの損害を知った時を別に判断しています(最高裁判所令和3年11月2日判決)。
また、行為から一定期間が経過した後に性質上初めて現れる損害については、損害が発生した時を20年の起算点とする判例があります(最高裁判所令和3年4月26日)。

コラム2:セクハラが繰り返された場合
セクハラが繰り返されている場合でも、最後の行為があった日に過去のすべての行為の時効が更新されるわけではありません。
原則として、個々のセクハラ行為ごとに、行為日と損害を知った時を確認します。
例えば、数年前の発言と最近の身体接触が別の行為と評価されるケースでは、古い発言についてのみ時効が完成し、最近の身体接触については請求できる可能性があります。
一方、同じ加害者による行為が短期間に繰り返され、内容や目的も密接に結び付いている場合には、一連の行為として評価される余地があります。
個々の行為として扱うか、一連の行為として扱うかは、行為の間隔、内容、場所、加害者、被害の生じ方などによって判断されます。
そのため、最後の行為だけを記録するのではなく、覚えている範囲で各行為の日時と内容を時系列にしておきましょう。
2020年4月1日前後に起きたセクハラでは、改正前と改正後のどちらの民法が適用されるかを確認する必要があります。
民法改正により、生命・身体への被害や安全配慮義務違反の時効が変わったためです。
確認する点は以下の2つです。
それでは、民法改正による時効の違いについて順番に見ていきましょう。
2020年4月1日の民法改正により、一部の時効期間が変わりました。
加害者や会社に不法行為責任を問う場合、通常の慰謝料請求は、改正前も改正後も損害と加害者を知った時から原則3年です。
一方、生命又は身体を害された場合は、改正前は3年でしたが、改正後は5年になりました。
会社の安全配慮義務違反についても、改正前は権利を行使できる時から原則10年でした。
改正後は、権利を行使できることを知った時から5年又は権利を行使できる時から10年となります。
生命又は身体への損害では、10年の期間が20年になります。
改正前と改正後のどちらが適用されるかは、セクハラの行為日だけでは判断できません。
生命又は身体を害する不法行為では、2020年4月1日の時点で改正前の3年の時効が完成していなければ、改正後の5年が適用されます。
一方、施行時点ですでに3年が経過していた場合には、改正によって請求権が復活するわけではありません。
安全配慮義務違反では、請求権が生じた時期に加えて、雇用契約が結ばれた時期が関係する場合もあります。
そのため、行為日、損害を知った日、雇用契約を結んだ日などを確認したうえで、時効を判断します。

会社への相談や労働局の制度は、慰謝料請求の時効とは分けて考える必要があります。
被害の確認や職場環境の改善に役立つ一方、相談しただけで民事上の時効が止まるとは限らないためです。
社内相談窓口への相談には、慰謝料請求の3年又は5年と同じ法定期限はありません。
会社には、セクハラの相談に対応する窓口を設け、相談を受けた場合に事実関係を確認するなどの措置を講じることが求められているためです。
もっとも、時間が経つほどメールなどの記録が残っていなかったり、関係者の記憶が曖昧になったりする可能性があります。
社内規程で相談方法が定められている場合もあるため、できるだけ早めに窓口を確認して相談しましょう。
退職後でも、在職中に受けたセクハラについて会社へ相談を申し出ることはできます。
退職したことだけで、在職中の被害や慰謝料請求権がなくなるわけではないためです。
例えば、退職後に精神疾患が判明したケースでは、在職中の行為や当時の会社の対応について調査を求めることが考えられます。
ただし、退職から長期間が経過していると、会社が確認できる資料や関係者が限られることもあります。
会社への相談とは別に、慰謝料請求の時効が完成していないかも確認しましょう。
会社への相談だけで解決しない場合には、都道府県労働局の雇用環境・均等部又は雇用環境・均等室へ相談できます。
労働局では、利用できる制度や法律の内容について案内を受けられます。
また、労働者と会社との紛争について、労働局長による助言、指導、勧告を求める制度や、紛争調整委員会による調停を申し立てる制度があります。
これらの制度は主に労働者と会社との紛争を対象とするため、加害者個人への慰謝料請求とは分けて検討します。
労働局のあっせんの解決金の相場は、以下の記事で詳しく解説しています。
社内窓口や労働局へ相談しただけでは、原則として慰謝料請求の時効は止まりません。
会社が調査している間にも、民事上の時効が進む可能性があります。
時効の完成を防ぐには、裁判を起こす、慰謝料の支払いを催告する、協議を行う旨を書面で合意するなど、法律上の要件を満たす対応が必要です。
ただし、相談の際に慰謝料の支払いを明確に求めた場合には、催告に当たる可能性があります。
また、労働局の正式な調停が打ち切られた場合には、通知を受けた日から30日以内に訴えを起こすことで、調停を申し立てた時点までさかのぼって時効の完成が猶予される特則があります。
セクハラの内容によっては、慰謝料請求とは別に、刑事手続や労災保険の利用を検討できます。
刑事手続では成立する犯罪ごとに公訴時効が異なり、労災保険でも給付ごとに請求期限が定められているためです。
法律上、「セクハラ罪」という名称の犯罪はありません。
セクハラに当たる行為のうち、刑法などが定める犯罪の要件を満たすものについて、刑事責任が生じます。
例えば、同意なく身体を触る行為は不同意わいせつ罪、性的な姿を無断で撮影する行為は性的姿態等撮影罪に当たる可能性があります。
一方、性的な発言や私生活への質問などは、セクハラに当たっても犯罪には当たらないことがあります。
公訴時効は、検察官が加害者を起訴できる期間であり、原則として犯罪行為が終わった時から進みます。
被害届や告訴を提出しただけでは公訴時効は止まらず、原則として公訴が提起された場合に進行が止まります。
そのため、刑事責任を求める場合には、どの犯罪が成立する可能性があるのかを確認し、早めに警察や弁護士へ相談することになります。
性犯罪の公訴時効を確認するときは、行為の内容だけでなく、行為があった時期にも注意が必要です。
2023年の法改正により、性犯罪の名称や成立要件が変わり、公訴時効も延長されたためです。
現在の法律では、不同意わいせつ罪の公訴時効は12年、不同意性交等罪は15年です。
これらの犯罪によって被害者がけがをした場合には、20年となることがあります。
また、犯罪行為が終わった時に被害者が18歳未満であった場合には、18歳になるまでの期間が公訴時効に加算されます。
2023年7月13日より前の行為については、強制わいせつ罪や強制性交等罪など、当時の法律に基づいて犯罪の成立を判断します。
一方、公訴時効の延長については、2023年6月23日時点で改正前の公訴時効が完成していなかった犯罪にも適用されます。
同日時点ですでに公訴時効が完成していた場合には、法改正によって刑事責任を追及できる状態に戻るわけではありません。
セクハラが原因で精神疾患を発症した場合には、一定の要件を満たすことで労災保険の対象となる可能性があります。
労災保険給付の請求期限は、受けようとする給付の種類によって2年又は5年です。
主な期限は以下のとおりです。
| 労災保険給付 | 請求期限 |
| 自己負担した治療費に関する療養の費用 | 2年 |
| 休業補償給付 | 2年 |
| 介護補償給付 | 2年 |
| 葬祭料 | 2年 |
| 障害補償給付 | 5年 |
| 遺族補償給付 | 5年 |
例えば、休業補償給付は、療養のために働けず、賃金を受けなかった日ごとに請求権が生じ、その翌日から2年が進みます。
障害補償給付は、傷病が治った日の翌日から5年です。
ここでいう「治った」とは、症状が完全になくなった場合だけでなく、治療を続けても症状の改善が見込めない状態を含みます。
会社の調査や社内相談の結果を待っていても、労災保険給付の期限が自動的に延長されるわけではありません。
そのため、精神疾患の診断を受けた場合には、医療機関の受診日や休業日を確認し、労働基準監督署への相談を検討しましょう。
労災の申請期限については、以下の記事で詳しく解説しています。
セクハラの時効が迫っている場合は、法律上の手続によって完成を防ぐ必要があります。
方法によって、時効の完成を一時的に先延ばしする「完成猶予」と、期間を初めから数え直す「更新」に分かれるためです。
セクハラの時効を止める主な方法は以下の5つです。

それでは、セクハラの時効を止める方法について順番に見ていきましょう。
時効が迫っている場合は、裁判、労働審判又は支払督促を申し立てる方法があります。
これらの手続が続いている間は、時効の完成が猶予されるためです。
会社への慰謝料請求では労働審判を利用できる場合がありますが、加害者個人だけを相手とする請求は原則として労働審判の対象になりません。
判決などによって権利が確定すると、手続が終わった時から時効が新たに進みます。
権利が確定しないまま手続が終わった場合は、原則として終了から6か月以内に裁判を起こすなどの対応が必要です。
労働審判とは何かについては、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
内容証明郵便で慰謝料の支払いを求め、相手に届くと、その時から6か月間は時効が完成しません。
内容証明郵便を使えば、いつ、どのような請求をしたのかを証明しやすくなります。
ただし、催告によって時効期間が初めから数え直されるわけではありません。
また、6か月の間に同じ催告を繰り返しても、完成猶予の期間を延ばすことはできません。
そのため、催告後は6か月以内に裁判などを申し立てられるよう準備を進めます。
加害者又は会社と、慰謝料請求について協議する旨を書面で合意する方法もあります。
書面による合意があれば、原則として合意から1年間は時効が完成しません。
1年より短い協議期間を定めた場合はその期間、相手から書面で協議を拒否する通知があった場合は通知から6か月が基準となります。
メールなどの電磁的な記録による合意も、書面による合意と同様に扱われます。
単に話し合いを続けているだけでは足りないため、協議の対象や合意日を書面に残しましょう。
加害者又は会社が慰謝料を支払う義務を認めると、時効はその時から新たに進みます。
これを「時効の更新」といいます。
例えば、慰謝料の一部を支払った場合や、支払義務を認める書面を作成した場合には、債務の承認に当たる可能性があります。
もっとも、会社が自らの債務を認めても、加害者個人に対する請求の時効まで更新されるとは限りません。
誰が、どの請求について支払義務を認めたのかがわかる記録を残す必要があります。
将来の慰謝料回収が難しくなるおそれがある場合には、仮差押えを検討します。
仮差押えとは、裁判の結果が出る前に、相手の預金や不動産などを暫定的に押さえる手続です。
仮差押えが行われると、その手続が終了してから6か月が経過するまで、時効は完成しません。
ただし、申立てには慰謝料請求権があることや、財産を保全する必要があることを示す資料が必要です。
裁判所から担保を求められることもあるため、仮差押えが必要かどうかは弁護士に相談して判断しましょう。
セクハラの時効が迫っている場合は、証拠を集めるだけでなく、期限と請求方法を早めに確認する必要があります。
時効が完成すると、相手が援用した場合に慰謝料を請求できなくなる可能性があるためです。
期限を守るための対応は以下の4つです。

それでは、セクハラの時効が迫っているときの対応について順番に見ていきましょう。
まずは、セクハラを受けた日時、相手、場所、言動の内容を時系列にまとめましょう。
時効の起算点や、複数の行為を一連のセクハラとして扱えるかを検討するには、被害の経過を確認する必要があるためです。
具体的には、以下の内容を記載します。
正確な日付を思い出せない場合は、無理に断定する必要はありません。
例えば、「2024年6月上旬」「社内会議の後」などと記載し、メール、勤務表、予定表などから時期を確認します。
被害の経過を時系列にすることで、適用される時効や必要な対応を検討しやすくなります。
セクハラに関する資料は、元の状態を保ったまま保存しましょう。
慰謝料を請求する場合には、セクハラの内容や被害の程度を示す資料が必要になるためです。
保存する資料としては、以下のものが挙げられます。
録音やメールは一部だけを切り取らず、前後の内容が確認できる状態で保存します。
データを加工せず、元のデータと複製したデータをそれぞれ残しておくとよいでしょう。
一方、無断で他人のアカウントへログインするなど、不適切な方法による証拠収集は避ける必要があります。
会社のセクハラ調査でも、相談者、行為者、第三者から事情を確認し、事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められています。
セクハラの証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。
次に、誰に対して、どのような法的根拠で慰謝料を請求するかを検討します。
請求相手と法的根拠によって、時効期間や起算点が異なるためです。
加害者本人には、不法行為を理由として慰謝料を請求することが考えられます。
会社に対しては、加害者の使用者としての責任や、職場の安全に配慮しなかった責任を問える可能性があります。
例えば、会社が相談を受けた後も必要な対応をせず、セクハラによる被害が続いたというケースでは、安全配慮義務違反を検討することがあります。
加害者への請求が時効に近い場合でも、会社への請求には別の期間が適用されることがあります。
そのため、一つの法的根拠だけで判断せず、加害者と会社の双方について請求できる可能性を確認しましょう。
時効が迫っている場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
時効期間は、被害の内容、行為時期、請求相手、法的根拠によって変わるため、自分だけで正確に計算することが難しい場合があるためです。
もっとも、弁護士へ相談しただけで時効が止まるわけではありません。
期限までの時間が短い場合には、相談後すぐに裁判上の請求や催告などの手続が必要になることもあります。
そのため、資料がすべてそろうまで待たず、わかる範囲の情報を持って相談することをおすすめします。
時効が過ぎたように見えても、すぐに慰謝料請求を諦める必要はありません。
起算点や請求の根拠によっては、まだ時効が完成していない可能性があるためです。
セクハラの時効が過ぎた可能性がある場合の対処法は、以下の5つです。
それでは、時効が過ぎた可能性がある場合の対処法について順番に見ていきましょう。
時効期間が過ぎていても、相手が時効を援用しているか確認しましょう。
時効の援用とは、加害者や会社が、時効を理由に支払いを拒むことです。
相手が時効を援用しなければ、裁判所は時効を理由に請求を退けることができません。
時効を計算した日が正しいか、改めて確認しましょう。
セクハラが複数回あった場合には、行為ごとに時効が異なる可能性があります。
また、加害者への請求、会社の使用者責任、安全配慮義務違反では、時効の期間や起算点が異なります。
古い行為について時効が完成していても、後の行為や別の責任について請求できることがあります。
途中で時効が止まったり、数え直しになったりしていないか確認しましょう。
裁判上の請求、催告、書面による協議の合意などがあれば、時効の完成が猶予されることがあります。
また、相手が慰謝料の支払義務を認めた場合には、その時から時効が新たに進みます。
通知書、メール、合意書、支払記録などを確認しましょう。
慰謝料請求が難しくても、会社へ対応を求められる場合があります。
会社には、セクハラの相談に対応し、事実確認や被害者への配慮、再発防止を行うことが求められているためです。
在職中であれば、加害者との接触を避けるための配置変更などを求めることも考えられます。
時効期間が過ぎていても、相手と示談交渉をすることはできます。
相手が時効を援用せず、任意に慰謝料の支払いや謝罪に応じる可能性があるためです。
ただし、相手が交渉を拒否することもあるため、請求できる余地を確認してから進めましょう。
セクハラの時効に関するよくある質問としては、以下の6つがあります。
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.退職後でも、時効が完成していなければ慰謝料を請求できます。
退職したことで、加害者や会社に対する請求権が直ちになくなるわけではありません。
ただし、退職後も時効は進むため、早めに期限を確認しましょう。
A.診断書があるだけで、完成した時効がなくなるわけではありません。
一方、精神疾患が後から判明した場合には、損害を知った時期や5年の時効が問題となることがあります。
診断日だけで判断せず、症状が現れた時期や受診の経過も確認します。
A.録音などの証拠があっても、時効の完成を防げるわけではありません。
証拠はセクハラの事実を示すものであり、時効とは別の問題だからです。
もっとも、相手が時効を援用しなければ、請求が認められる余地はあります。
A.正確な日を覚えていなくても、わかる範囲で被害の時期を確認します。
メール、勤務表、予定表、相談記録などから、行為があった日を絞り込めることがあります。
「〇年〇月頃」などと記録し、確認できた事実と記憶を分けて残しましょう。
A.会社が調査している間も、原則として民事上の時効は進みます。
社内調査や相談窓口への申告だけでは、時効の完成猶予や更新にはならないためです。
期限が迫っている場合には、調査の終了を待たずに法的な対応を検討します。
A.会社の事後対応に問題がある場合には、会社自身の責任を問えることがあります。
例えば、相談後に必要な調査を行わなかった場合や、相談を理由に不利益な扱いをした場合です。
元のセクハラ行為とは別の責任が生じる可能性があるため、それぞれの行為と時効を確認します。
セクハラに強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

労働弁護士コンパスで
労働問題に強い弁護士を探す
以上のとおり、今回は、セクハラの時効は何年かを説明したうえで、慰謝料請求の期限と過ぎた場合の対処法を解説しました。
この記事がセクハラの時効に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
人気記事
!.png)
2025年3月8日
労働一般
ブラック企業リスト掲載の事案は、労働安全衛生法違反が多く、実際のイメージとは異なる部分があります。今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、ブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。

2025年2月22日
不当解雇
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。

2025年4月13日
ハラスメント
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントのことを言います。今回は、逆パワハラとは何かを説明したうえで、6つの事例や判例と簡単な対処法5つを解説します。