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2025年3月8日
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更新日:2026/09/19
労働一般

労働局のあっせんでは、解雇や雇止め、労働条件の引下げなどをめぐるトラブルについて、話し合いの結果として解決金が支払われることがあります。
ただし、労働局あっせんの解決金について、すべての労働トラブルに共通する一律の相場が決められているわけではありません。
2012年度の幅広い個別労働関係紛争を対象とした調査では解決金中央値が15万6400円である一方、2023年度の解雇や雇止めなどの雇用終了をめぐる事案では中央値が23.5万円となっており、調査対象によって数字が異なります。
また、令和7年度に労働局で処理されたあっせん全体では27.0%で合意が成立しており、当事者双方が参加してあっせんを開催した事案では、58.4%で合意が成立しています。

この記事の要点
・労働局あっせんの解決金には、すべての事案に共通する一律の相場はありません。
・2012年度の個別労働関係紛争では解決金中央値が15万6400円、2023年度の解雇型雇用終了事案では23.5万円でした。
・令和7年度は処理件数全体の27.0%で合意が成立し、当事者双方が参加してあっせんを開催した事案では58.4%で合意しています。
この記事を読めば、労働局あっせんの解決金がどの程度になるのか、どのくらいの割合で解決しているのか、申請から解決金の支払までどのように進むのかが分かります。
目次

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労働局のあっせんによる解決金とは、労働者と会社とのトラブルを話し合いで終える際に、合意内容に基づいて支払われる金銭です。
労働局のあっせんでは、弁護士や大学教授などの労働問題の専門家であるあっせん委員が、労働者と会社の間に入って話し合いを促します。
あっせん委員は双方の主張を確認し、必要に応じて解決のための案を示します。
ただし、裁判のように一方当事者へ結論を強制する手続ではなく、会社に参加を強制することもできません。
そのため、解決金を支払うかどうかや、その金額についても、最終的には労働者と会社の話し合いによって決まります。
双方が解決金額やその他の条件について合意すれば、その内容に従ってトラブルを終えることになります。
労働局あっせんの解決金には、すべての事案に共通する一律の相場はありません。
解決金の目安を見る場合には、どのような紛争を対象とした調査なのかを確認する必要があります。
例えば、労働局あっせんの解決金相場を考える際に参考となるデータとしては以下の3つがあります。

それでは、労働局あっせんの解決金相場について順番に説明していきます。
2012年度に4労働局で受理された個別労働関係紛争853件を対象とした調査では、合意成立事案の解決金中央値は15万6400円でした。
この調査には、解雇などの雇用終了だけではなく、労働条件の引下げ、退職勧奨、配置転換などの事案も含まれています。
そのため、幅広い労働局あっせんの事案について解決金の水準を見る際には、参考になる調査です。
ただし、対象となったのは2012年度の事案であり、現在の賃金水準や近年の紛争の状況をそのまま示す数字ではありません。
また、中央値が15万6400円だからといって、個別の事案でこの金額を基準として解決金が決まるわけでもありません。
紛争の内容や双方の主張、話し合いの結果によって、実際の解決金額には幅があります。
事案によっては解決金が100万円を超えることもあります。
(参考:労独立行政法人 労働政策研究・研修機構‐労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析)
2023年度に4労働局で処理された解雇型雇用終了事案485件を対象とした調査では、金額を確認できた合意成立事案179件の解決金中央値は23.5万円でした。
解決金額は、10万円以上20万円未満が22.3%で最も多く、20万円以上30万円未満が17.9%で続いています。
また、第1四分位は10万円、第3四分位は45.7万円となっているため、中央に位置する半数の事案は10万円から45.7万円までの範囲に入っています。
解決金を賃金月額と比べると、中央値は約1か月分となっています。
ただし、この調査は解雇や雇止めなど、雇用終了をめぐる事案を対象としたものです。
そのため、23.5万円を労働局あっせん全体の相場として、そのまま他の労働トラブルへ当てはめることはできません。
不当解雇の解決金相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:労働政策研究報告書No.237「労働局あっせんにおける解雇型雇用終了事案の分析」|労働政策研究・研修機構(JILPT))
労働局あっせんでは、労働者が請求した金額がそのまま解決金として支払われるとは限りません。
2023年度の解雇型雇用終了事案の調査では、請求金額の中央値は90.3万円である一方、解決金額の中央値は23.5万円でした。
ただし、請求金額と解決金額では集計対象となる事案も異なるため、この差を一般的な減額幅と考えることはできません。
請求額は労働者が会社へ求める金額ですが、解決金は会社側の主張も踏まえて話し合った結果として決まります。
例えば、100万円を請求していても、早期にトラブルを終えることを優先し、それより低い金額で合意することがあります。
反対に、解決金中央値が23.5万円だからといって、最初から23.5万円を請求すべきという意味でもありません。
請求する金額と、最終的にどの条件であれば合意するのかは分けて考えることになります。
労働局のあっせんでは、申請したすべての事案で会社との合意が成立するわけではありません。
とくに、相手方の参加は強制されないため、会社が参加しなければ話し合いそのものを行えないことがあります。
令和7年度の最新データを見ると、処理件数全体と、当事者双方が参加してあっせんを開催した事案では、合意成立の割合が大きく異なります。
例えば、労働局あっせんの解決率を見る際のポイントとしては以下の3つがあります。

それでは、労働局あっせんの解決率について順番に説明していきます。
令和7年度に労働局で処理されたあっせんは4,220件で、このうち合意が成立したのは1,141件でした。
処理件数全体に占める合意成立の割合は27.0%です。
もっとも、この4,220件には、相手方があっせんに参加しなかった事案や、申請が取り下げられた事案なども含まれています。
そのため、27.0%という数字だけで、実際に話し合いを行った場合の解決しやすさを判断することはできません。
あっせんの利用を検討する場合には、相手方が参加した事案の数字もあわせて見る必要があります。
令和7年度に当事者双方が参加してあっせんを開催した事案は1,916件でした。
あっせん開催による合意成立件数を当事者双方の参加件数で割った割合は58.4%です。
つまり、会社もあっせんへ参加して話し合いまで進んだ場合には、半数を超える事案で合意が成立しています。
一方で、当事者双方が参加しても、条件が折り合わず合意に至らない場合もあります。
あっせんは双方が受け入れられる条件を探す手続であるため、解決案を強制することはできません。
令和7年度に処理された4,220件のうち、一方当事者があっせんに参加しなかった事案は2,006件でした。
これは処理件数全体の47.5%に当たります。
労働局のあっせんには、会社に参加を強制する仕組みがありません。
そのため、労働者があっせんを申請しても、会社が参加しなければ話し合いによる解決へ進めないことがあります。
会社が参加しない場合や、参加しても条件が折り合わない場合には、労働審判や訴訟など別の手続を検討することになります。
(参考:厚生労働省:「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します)
労働局のあっせんの対象となる紛争には条件があり、その条件は個別労働紛争であることです。
個別労働紛争とは、個々の労働者と使用者との間で生じるトラブルをいいます。
例えば、個別労働紛争の具体例として以下の4つが挙げられます。
他方で、次の3つはあっせんの対象にはなりません。
そのため、労働局のあっせん手続を利用したい場合には、個別労働紛争に該当するか確認しておくといいでしょう。
解決金相場は、実際の事例を見ていくと分かりやすくなります。
例えば、解決金相場の把握に役立つ事例3つを簡単に整理すると以下のとおりです。
(出典:大阪労働局‐あっせん事例)
それでは、これらの事例について順番に説明していきます。
労働局によるあっせんの解決金相場がわかりやすい事例1つ目は、いじめによる休業の事案です。
この事案は、労働者が同僚からのいじめにより休業したため、事業主に対して30万円の支払を求めた事案です。
あっせん手続においては、労働者が復職の意思がないことを示したため、12万円の解決金を支払う旨の和解が成立しました。
パワハラの慰謝料相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働局によるあっせんの解決金相場がわかりやすい事例2つ目は、退職勧奨の事案です。
この事案は、労働者が業務災害により休職していたところ、傷病が治癒した時点で退職勧奨を受けたため、事業主に対して30万円の支払を求めた事案です。
あっせん手続においては、復職の意思がないことなどから、25万円の解決金を支払う旨の和解が成立しました。
労働局によるあっせんの解決金相場がわかりやすい事例3つ目は、雇止めの事案です。
この事案は、労働者が保険加入の便宜のため、合意の上で2年の雇用期間を1年間と変更していたところ、これを根拠に1年で雇止めされたため、事業主に対して契約更新を求めた事案です。
あっせん手続においては、契約更新を行わずに、90万円を支払う旨の和解が成立しました。
雇い止め法理については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働局のあっせん手続きには、大まかな流れがあります。
具体的には、あっせん手続きの流れ4つを簡単に整理すると以下のとおりです。
この中で、労働者が行う必要があるのは、申請手続きとあっせんにおける話し合いとなります。
労使間で紛争が発生し、労働局にあっせん申出が行われると、労働局がこれを調査し、紛争調整委員会へ委任することになります。
委任後は、あっせんの開始通知が行われ、当事者は参加意思があるか示すことになります。参加意思があればあっせん手続が開始されますが、なければ打ち切りとなり他の紛争解決手続きを用いることになります。
あっせん手続の結果、当事者が合意すればその内容の和解が成立し、不合意なら他の紛争解決手続きを用いることになります。
あっせん手続は、解決速度に重点を置いた手続であるため、事案に適した金額を獲得するには事前準備が大切となります。
具体的には、労働局によるあっせんの解決金を増額する方法3つを簡単に整理すると以下のとおりです。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
労働局によるあっせんの解決金を増額する方法1つ目は、弁護士に相談することです。
労働局によるあっせん手続では、当事者の双方とも弁護士をつけていないことがほとんどです。
しかし、あっせん手続も当事者による話し合いの場であるため、合意を成立させるには根拠に基づいた説得的な主張をしていく必要があります。
また、合意の結果作成する和解書は法的効力を有するため、公平な内容にするには法的視点からのチェックが重要となります。
そのため、あっせん手続をどのように進めるべきか悩んだら、弁護士に相談することをおすすめします。

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労働局によるあっせんの解決金を増額する方法2つ目は、証拠を集めることです。
あっせん手続は任意の話し合いであるため、相手の理解を得るには証拠を集めておくことが重要となります。
重要な証拠は事例により異なりますが、労働問題で証拠として用いられることの多い物10個を整理すると以下のとおりです。
労働局のあっせん手続までには、これらの証拠があるのか確認しておくといいでしょう。
労働局によるあっせんの解決金を増額する方法3つ目は、労働審判・訴訟を利用することです。
労働局によるあっせん手続の解決金相場は、労働審判や訴訟よりも低くなっています。
具体的には、両手続における解決金の平均と中央値は以下のとおりです。
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構‐労働政策研究報告書No.174)
そのため、事案に応じた適正な解決金を求める場合には、あっせん手続ではなく労働審判や訴訟を用いることになります。
労働審判の解決金相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判の解決金相場については、以下の動画でも詳しく解説しています。
労働局によるあっせんや労働審判に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上の通り、今回は、労働局あっせんの解決金相場を説明したうえで、解決率や3つの事例、解決金の支払までの流れについて解説しました。
この記事が、労働局あっせんの解決金や手続について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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