中退共の退職金がもらえない理由5つ!いつもらえる?簡単なもらい方

中退共の退職金がもらえない理由5つ!いつもらえる?簡単なもらい方

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法

中退共に加入しているはずなのに退職金がもらえないと、退職後の生活費や今後の予定に影響して困ってしまうケースがあります

「会社が手続きをしてくれないのではないか」「自分は本当に退職金を受け取れるのか」と不安になりますよね。

ホウペン

この記事の要点

・中退共の退職金がもらえない主な理由には、掛金納付月数が足りない場合、退職金共済手帳を受け取っていない場合、会社が手続きを進めていない場合などがあります。

・中退共の退職金は、原則として労働者本人が請求して受け取るものですので、会社に確認するだけでなく、中退共への照会や弁護士への相談も検討することが大切です。

この記事を読めば、中退共の退職金がもらえない理由や確認方法、会社が対応してくれない場合の対処法がよくわかるはずです。

目次

1章 中退共の退職金がもらえないと感じたら最初に確認すべきこと

中退共の退職金がもらえないと感じたら、まずは制度の仕組みと会社の退職金制度を整理することが必要です

中退共は会社が本人に直接支払う制度ではないため、会社から振り込まれないだけで「もらえない」と誤解していることもあります。

例えば、中退共の退職金がもらえないと感じたら、最初に確認すべきことは、以下の2つです。

確認事項1:会社の退職金制度が中退共を採用しているか
確認事項2:中退共は本人に直接支払われる制度であること

1章 中退共の退職金がもらえないと感じたら最初に確認すべきこと

それでは、中退共の退職金がもらえないと感じたときに最初に確認すべきことについて順番に見ていきましょう。

1-1 確認事項1:会社の退職金制度が中退共を採用しているか

中退共の退職金がもらえないと感じたら、まず会社の退職金制度が中退共を採用しているかを確認しましょう

退職金制度がある会社でも、その制度が必ず中退共とは限りません。会社独自の退職金制度、企業型確定拠出年金、別の退職金共済制度などを使っていることもあります。そのため、「退職金あり」と聞いていたとしても、中退共から退職金を受け取れるとは限らないのです。

例えば、求人票や入社時の説明では「退職金あり」と書かれていたものの、制度の中身は中退共ではなく、会社独自の退職金規程に基づくものだったというケースもあります。この場合、中退共に対して退職金を請求しても、中退共の制度を利用していなければ支払いを受けることはできません。

まずは、退職金共済手帳、雇用契約書、就業規則、退職金規程、会社から配られた説明資料などを確認し、自分の退職金制度が中退共なのかを調査しましょう

1-2 確認事項2:中退共は本人に直接支払われる制度であること

中退共の退職金は、会社からではなく、中退共から退職した本人に直接支払われる制度です

そのため、退職後に会社から退職金が振り込まれないからといって、すぐに「中退共の退職金がもらえない」と決まるわけではありません。中退共の退職金は、退職した本人が請求手続きをして、自分の預金口座に振り込んでもらう仕組みです。

例えば、会社から退職金の振込みがないため不安になっているものの、実際には退職金共済手帳を使って本人が中退共に請求する必要があるというケースもあります。この場合、会社に「退職金を払ってください」と求めるだけでは、手続きが進まないことがあります。

まずは、中退共の退職金は会社が直接支払うものではなく、本人が中退共に請求して受け取るものだと理解しておきましょう

2章 中退共の退職金がもらえない主な理由5つ

中退共の退職金がもらえないときは、まず原因を5つに分けて考えると整理しやすくなります

原因によって、待つべきなのか、会社に確認すべきなのか、中退共へ問い合わせるべきなのかが変わるためです。

例えば、主な理由としては以下の5つがあります。

理由1:掛金の納付月数が11か月以下である
理由2:会社が被共済者退職届を出していない
理由3:会社が退職金共済手帳を渡してくれない
理由4:請求書類の不備や掛金入金待ちで支払いが遅れている
理由5:そもそも中退共に未加入又は一部期間しか加入していない

2章 中退共の退職金がもらえない主な理由5つ

それでは、中退共の退職金がもらえない主な理由について順番に見ていきましょう。

2-1 理由1:掛金の納付月数が11か月以下である

中退共の退職金がもらえない代表的な理由は、掛金の納付月数が11か月以下であることです

中退共では、加入してから1年未満で退職した場合、原則として退職金は支給されません。つまり、会社が中退共に加入していたとしても、自分について掛金が納められた期間が短いと、退職金を受け取れないことがあります。

例えば、入社後すぐに中退共へ加入していても、10か月で退職した場合には、原則として中退共の退職金は支給されません。また、入社から1年以上働いていても、会社が中退共に加入させた時期が遅ければ、掛金の納付月数が11か月以下となるケースもあります。

そのため、「勤続年数」だけで判断せず、自分について中退共の掛金が何か月分納められているのかを確認することが大切です

2-2 理由2:会社が被共済者退職届を出していない

会社が被共済者退職届を出していないために、手続きが進んでいないこともあります

中退共では、従業員が退職した場合、会社側でも退職に関する手続きをする必要があります。この手続きが遅れると、中退共側で退職したことを確認できず、退職金の請求や支払いに進みにくくなります。

例えば、退職後に会社から退職金共済手帳を受け取っていないうえ、会社に確認しても「まだ手続き中です」と言われ続けるケースもあります。このような場合には、会社が必要な退職手続きを済ませているかを確認する必要があります。

退職後しばらく経っても中退共の手続きが進まないときは、会社に対して、被共済者退職届を提出したかどうかを確認しましょう

2-3 理由3:会社が退職金共済手帳を渡してくれない

会社が退職金共済手帳を渡してくれないことも、中退共の退職金がもらえないと感じる原因になります

中退共の退職金を請求するには、退職金共済手帳を受け取ったうえで、退職金請求書などを準備する必要があります。退職金共済手帳を会社が保管したままにしていると、本人が請求手続きを進めにくくなります。

例えば、退職後に会社へ退職金共済手帳の交付を求めても、「後で送ります」と言われたまま届かないケースもあります。この場合、単に待ち続けるだけでは、退職金の請求が遅れてしまうおそれがあります。

退職金共済手帳を受け取っていない場合は、まず会社に交付を求めましょう。それでも渡してもらえない場合には、中退共本部へ問い合わせることを検討してください。

2-4 理由4:請求書類の不備や掛金入金待ちで支払いが遅れている

中退共の退職金は、請求すればすぐに振り込まれるわけではありません

退職金請求書の記入漏れ、添付書類の不足、口座情報の確認、退職月分までの掛金の入金確認などがあるためです。これらに不備や確認待ちがあると、支払いまでに時間がかかることがあります。

例えば、請求書を出したものの住民票や本人確認書類に不足があるケース、退職月分の掛金の入金確認が終わっていないケースでは、支払いが遅れることがあります。このような場合は、「もらえない」のではなく、支払いに必要な確認がまだ終わっていないだけです。

請求後にすぐ入金されない場合でも、まずは書類不備の連絡が来ていないか、振込予定の通知が届いていないかを確認しましょう

2-5 理由5:そもそも中退共に未加入又は一部期間しか加入していない

そもそも会社が中退共に加入していない、又は自分について一部期間しか加入していないこともあります

中退共は、会社が制度に加入し、従業員ごとに掛金を納めることで退職金が発生する制度です。そのため、会社に退職金制度があると思っていても、中退共に加入していなければ、中退共から退職金を受け取ることはできません。

例えば、求人票や入社時の説明では「退職金あり」とされていたものの、実際には会社独自の制度だったケースや、入社して数年後から中退共に加入したため、加入前の期間は中退共の計算に入らないケースもあります。

このような場合には、中退共への加入状況だけでなく、就業規則、退職金規程、雇用契約書、求人票なども確認しましょう。会社の説明と実際の制度が違う場合には、会社への確認や弁護士への相談も検討することが大切です。

3章 中退共の退職金をもらえる条件と金額の考え方

中退共の退職金は、掛金の納付月数によって、もらえるかどうかや金額の考え方が変わります

退職金があると聞いていても、加入期間が短いと支給されない場合や、掛金総額より少ない場合があるためです。

例えば、中退共の退職金をもらえる条件と金額のポイントとしては以下の5つがあります。

ポイント1:納付月数11月以下は原則として支給されない
ポイント2:12月以上23月までは掛金納付相当額を下回る
ポイント3:24月以上42月以下は掛金納付相当額となる
ポイント4:43月以上は運用利息等が加算される
ポイント5:自己都合退職でも退職事由だけで金額は変わらない

3章 中退共の退職金をもらえる条件と金額の考え方

それでは、中退共の退職金をもらえる条件と金額の考え方について順番に見ていきましょう。

3-1 ポイント1:納付月数11月以下は原則として支給されない

中退共では、掛金の納付月数が11月以下の場合、原則として退職金は支給されません

ここで注意したいのは、会社で働いた期間そのものではなく、中退共の掛金が何月分納められているかが問題になることです。入社から1年以上経っていても、中退共への加入が遅れていれば、納付月数が11月以下になることがあります。

例えば、入社から1年2か月で退職したとしても、会社が入社後しばらくしてから中退共に加入させたため、掛金の納付月数が10月分しかないというケースもあります。この場合、勤続期間だけを見ると1年を超えていても、中退共の退職金は原則として支給されません。

そのため、中退共の退職金がもらえるかを確認するときは、勤続年数だけではなく、掛金の納付月数を確認しましょう。

3-2 ポイント2:12月以上23月までは掛金納付相当額を下回る

掛金の納付月数が12月以上23月以下の場合には、中退共の退職金は支給されますが、掛金納付相当額を下回る金額になります

これは、中退共が長く加入している人の退職金を手厚くする仕組みになっているためです。そのため、1年以上加入していれば必ず掛金相当額がそのまま戻る、というわけではありません。

例えば、会社が毎月1万円の掛金を1年6か月分納めていたとしても、単純に「1万円×18か月=18万円」がそのまま支給されるとは限りません。納付月数が12月以上23月以下の範囲では、掛金納付相当額より少ない退職金になる可能性があります。

短期間で退職した場合には、「1年以上だから全額もらえるはず」と考えるのではなく、納付月数ごとの支給ルールを確認しましょう

3-3 ポイント3:24月以上42月以下は掛金納付相当額となる

掛金の納付月数が24月以上42月以下になると、退職金は掛金納付相当額となります

この期間まで加入していれば、少なくとも短期加入によって掛金納付相当額を下回る段階は過ぎることになります。そのため、12月以上23月以下の場合と比べると、退職金額の見通しは立てやすくなります。

例えば、毎月1万円の掛金が30か月分納められている場合には、考え方としては「1万円×30か月=30万円」が掛金納付相当額になります。実際の金額は中退共の退職金額表や試算で確認する必要がありますが、おおまかな目安としてはこのように考えます。

2年以上加入している場合には、まず掛金月額と納付月数を確認し、退職金額表や中退共の試算を使って金額を確認しましょう

3-4 ポイント4:43月以上は運用利息等が加算される

掛金の納付月数が43月以上になると、掛金納付相当額に運用利息等が加算される仕組みになります

中退共の退職金は、基本退職金と付加退職金を合計したものです。長く加入するほど、掛金だけでなく運用による上乗せが反映されやすくなるため、長期加入者ほど有利になりやすい仕組みです。

例えば、同じ掛金月額でも、2年程度の加入と10年以上の加入では、退職金額の考え方が変わります。43月以上加入している場合には、単純に掛金月額と納付月数を掛けるだけでなく、運用利息等の加算も含めて確認する必要があります。

そのため、43月以上加入している方は、退職金額表や中退共の退職金試算を使い、自分の掛金月額と納付月数に応じた金額を確認するようにしましょう

3-5 ポイント5:自己都合退職でも退職事由だけで金額は変わらない

中退共の退職金額は、自己都合退職か会社都合退職かという退職理由だけで変わるものではありません

中退共から支払われる退職金は、基本的に掛金月額と納付月数に応じて決まります。そのため、自己都合退職だから当然に減額される、会社都合退職だから当然に増額される、という仕組みではありません。

例えば、同じ掛金月額で同じ納付月数の人が2人いる場合、一方が自己都合退職で、もう一方が会社都合退職であっても、中退共の退職金額は退職理由だけで変わりません。退職理由よりも、掛金月額と納付月数を確認することが大切です。

ただし、懲戒解雇などの場合には、一定の手続きを経て減額が問題となることがあります。この点は、会社が自由に減額できるわけではないため、後の章で改めて説明します。

4章 退職金共済手帳をもらっていない場合の対処法

退職金共済手帳をもらっていない場合でも、すぐに中退共の退職金をあきらめる必要はありません

退職金共済手帳は、退職金を請求するために必要な書類ですが、会社が渡してくれないときの相談先も用意されているためです。

例えば、退職金共済手帳をもらっていない場合の対処法としては、以下の4つがあります。

対処法1:まずは会社に退職金共済手帳の交付を求める
対処法2:渡されないときは中退共本部へ問い合わせる
対処法3:会社とのやり取りはメールや書面で残す
対処法4:会社に連絡しにくい場合は弁護士相談を検討する

4章 退職金共済手帳をもらっていない場合の対処法

それでは、退職金共済手帳をもらっていない場合の対処法について順番に見ていきましょう。

4-1 対処法1:まずは会社に退職金共済手帳の交付を求める

退職金共済手帳をもらっていない場合は、まず会社に対して交付を求めましょう

中退共の退職金を請求するには、退職金共済手帳に含まれる退職金請求書などを使って手続きを進めるのが基本です。会社は、退職する従業員に対して、必要な記入をしたうえで退職金共済手帳を渡す流れになります。

例えば、退職後に会社から何の案内もなく、退職金共済手帳も届いていないというケースもあります。この場合、会社の担当者が手続きを忘れている可能性や、社内で処理が止まっている可能性もあります。

まずは、会社に対して「中退共の退職金を請求したいので、退職金共済手帳を交付してください」と伝えましょう

4-2 対処法2:渡されないときは中退共本部へ問い合わせる

会社に求めても退職金共済手帳を渡してもらえない場合は、中退共本部へ問い合わせましょう

退職金共済手帳は、退職金を請求するための大事な書類です。会社が手帳を渡してくれないままでは、本人が請求手続きを進めにくくなります。そのため、中退共では、事業主に請求しても渡してもらえない場合の問い合わせ先を案内しています。

例えば、会社に何度連絡しても返事がないケースや、「確認中です」と言われたまま時間だけが過ぎているケースがあります。このような場合、会社とのやり取りだけを続けるのではなく、中退共本部に相談して、どのように進めればよいか確認すると進展する可能性があります。

会社から退職金共済手帳を渡してもらえないときは、放置せず、中退共本部へ問い合わせることを検討しましょう

4-3 対処法3:会社とのやり取りはメールや書面で残す

退職金共済手帳の交付を求めるときは、会社とのやり取りをメールや書面で残しておきましょう

退職金共済手帳を請求したこと、会社がどのように返答したこと、いつまでに対応すると説明したことが残っていないと、後から経緯を説明しにくくなるためです。特に、会社が対応を先延ばしにしている場合には、連絡の記録が役に立つことがあります。

例えば、会社に電話で確認しただけだと、「いつ」「誰に」「何を求めたのか」があいまいになりやすいです。一方で、メールや書面であれば、退職金共済手帳の交付を求めた日付や会社の回答を確認しやすくなります。

会社へ連絡するときは、退職日、中退共の退職金を請求したいこと、退職金共済手帳の交付を求めることを簡潔に書きましょう。感情的な表現を避け、事実と求める対応を整理して伝えることがポイントです。

4-4 対処法4:会社に連絡しにくい場合は弁護士相談を検討する

会社に連絡しにくい事情がある場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

退職時に会社とトラブルになっている場合や、退職勧奨、解雇、未払い残業代などの問題がある場合には、退職金共済手帳の交付だけを会社に求めても、話し合いが進みにくいことがあります。また、会社から強い言い方をされるのが不安で、自分では連絡しにくいという方もいるはずです。

例えば、退職理由をめぐって会社と対立しているケースや、会社から連絡を無視されているケースでは、本人だけで対応しようとすると精神的な負担が大きくなることがあります。このような場合、弁護士に相談することで、退職金共済手帳の問題だけでなく、他の労働問題も一緒に解決できる可能性があります。

退職金共済手帳を渡してもらえない状態が続いている場合や、会社とのやり取りに不安がある場合には、早めに専門家へ相談することも選択肢に入れておきましょう

5章 中退共の退職金はいつもらえる?もらい方と入金までの流れ

中退共の退職金は、退職後に自動で振り込まれるものではなく、本人が請求手続きをすることで受け取る制度です

手続きの流れを知らないと、退職金共済手帳を受け取った後に何をすればよいか迷ってしまいます。

例えば、中退共の退職金をもらう流れとしては、以下のとおりです。

STEP1:退職金共済手帳を受け取る
STEP2:退職金請求書と添付書類を準備する
STEP3:書留郵便等又は電子申請で請求する
STEP4:支払いは1か月から2か月半程度が目安となる
STEP5:退職日から5年の時効に注意する

5章 中退共の退職金はいつもらえる?もらい方と入金までの流れ

それでは、中退共の退職金のもらい方と入金までの流れについて順番に見ていきましょう。

5-1 STEP1:退職金共済手帳を受け取る

中退共の退職金をもらうためには、まず会社から退職金共済手帳を受け取る必要があります

退職金共済手帳が届かない場合は、会社に対して交付を求めましょう。会社に連絡しても渡してもらえない場合には、中退共本部への問い合わせも検討する必要があります。

5-2 STEP2:退職金請求書と添付書類を準備する

退職金共済手帳を受け取ったら、退職金請求書と添付書類を準備しましょう

中退共の退職金は、本人が請求書を出して受け取る仕組みとなっています。請求書に記入漏れがある場合や添付書類が足りない場合には、支払いまでに時間がかかることがあります。そのため、最初から必要書類をそろえておくことが必要です。

例えば、退職金請求書のほかに、マイナンバー入りの住民票や身元確認書類などが必要になることがあります。また、振込先口座を確認するために、通帳のコピーなどを添付することで金融機関の口座確認印を省略できる場合もあります。

書類を準備するときは、退職金請求書の記入内容、本人確認書類、振込先口座の情報を落ち着いて確認しましょう。不備があると入金が遅れることがあるため、送付前にもう一度見直すことをおすすめします。

5-3 STEP3:書留郵便等又は電子申請で請求する

書類の準備ができたら、中退共に退職金を請求します

請求方法としては、請求書と添付書類を中退共本部へ郵送する方法があります。マイナンバーを含む書類を送ることになるため、追跡できる書留郵便や特定記録郵便などを使うと安心です。また、電子申請を利用できる場合には、電子申請で手続きを進める方法もあります。

例えば、郵送で請求する場合には、退職金請求書と添付書類を封書に入れ、中退共本部の給付業務部へ送ります。普通郵便で送ると到着確認がしにくいため、後から「届いていないのではないか」と不安になりやすいです。

請求するときは、郵送した日、送付方法、追跡番号、同封した書類を控えておきましょう。万が一、後から確認が必要になった場合にも、手続きの経過を説明しやすくなります。

5-4 STEP4:支払いは1か月から2か月半程度が目安となる

中退共の退職金は、請求後すぐに振り込まれるわけではありません

請求書類の確認、退職月分までの掛金の入金確認、書類不備の確認などがあるためです。目安としては、請求が受け付けられてから、書類に不備がない状態で1か月から2か月半程度と考えておきましょう。

例えば、請求書類に記入漏れがある場合や、会社側の掛金入金の確認が終わっていない場合には、通常より時間がかかることがあります。この場合、「退職金がもらえない」のではなく、支払いに必要な確認が終わっていない状態である可能性があります。

支払いの準備ができると、本人には退職金等振込通知書が送られます。請求後しばらくは、郵便物や中退共からの連絡を見落とさないようにしましょう。

5-5 STEP5:退職日から5年の時効に注意する

中退共の退職金を請求するときは、退職日から5年の時効に注意しましょう

退職金を請求できる期間には限りがあります。退職日から5年の間に請求しないと、時効によって請求する権利が消えてしまう可能性があります。退職してから時間が経っている方は、早めに確認する必要があります。

例えば、数年前に退職した会社で中退共に加入していた可能性があるものの、退職金を受け取った記憶がないというケースもあります。このような場合には、退職日や当時の会社名、在籍期間などを整理し、中退共への照会を検討しましょう。

退職金共済手帳がない場合や、加入していたか分からない場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。退職日から5年が近い場合には、できるだけ早く中退共や専門家に相談し、請求できる可能性を確認しましょう。

6章 会社が中退共の退職金を受け取る・減額することはできるか

6章 会社が中退共の退職金を受け取る・減額することはできるか

中退共の退職金は、会社が自由に受け取ったり、勝手に減額したりできるものではありません

中退共は、退職する従業員本人に退職金を支払う制度だからです。

6-1 会社が中退共の退職金を受け取ることはできない

会社が中退共の退職金を受け取ることはできません

中退共の退職金は、退職した従業員本人の請求に基づいて、中退共から本人に直接支払われる制度です。そのため、会社が「退職金はいったん会社が受け取る」「中退共から振り込まれたお金を会社に戻してほしい」と言うことは、制度の仕組みとは合いません。

例えば、会社から「中退共の退職金は会社の退職金制度の一部だから、会社に返してください」と言われたとしても、中退共から支払われる退職金は本人が受け取るものですので、会社にそのまま渡す必要があるとは限りません。

中退共の退職金について会社から返還を求められた場合には、すぐに応じず、退職金規程を確認しましょう。不安がある場合には、中退共や弁護士へ相談することが大切です。

6-2 懲戒解雇でも当然に退職金がなくなるわけではない

懲戒解雇された場合でも、中退共の退職金が当然になくなるわけではありません

懲戒解雇と聞くと、「退職金は一切もらえない」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、中退共の退職金は、会社が社内で懲戒解雇と判断しただけで自動的にゼロになるものではありません。

会社独自の退職金規程では不支給とされる場合があっても、中退共の退職金は別の制度となります。

そのため、懲戒解雇を理由に退職金をあきらめるのではなく、それが中退共の退職金の話なのか、会社独自の退職金の話なのかを区別して考えましょう

懲戒解雇とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。

6-3 中退共の退職金を減額するには所定の手続きが必要になる

中退共の退職金を減額するには、会社が一方的に決めるだけでは足りません

中退共の退職金を減額するには、厚生労働大臣の認定を受けるなど、所定の手続きが必要になります。会社が「懲戒解雇だから退職金を減額する」と社内で決めただけでは、中退共の退職金が当然に減るわけではありません。

例えば、会社が中退共の退職金を減額したい場合には、減額の理由について認定を受けたうえで、中退共に対して減額の申出をすることになります。また、減額が認められる場合でも、全額を減額できるわけではありません。

さらに、減額された分が会社に戻るわけでもありません。減額分は共済制度の中で扱われるものであり、会社が利益として受け取れるものではありません。

そのため、会社から「中退共の退職金は減額する」「懲戒解雇だから支払わない」と言われた場合には、会社の説明だけで判断せず、所定の手続きが取られているのかを確認しましょう

6-4 会社独自の退職金規程がある場合は別途確認する

中退共とは別に会社独自の退職金規程がある場合には、その内容も確認する必要があります

中退共の退職金と会社独自の退職金は、制度の性質が違うためです。中退共の退職金は本人に直接支払われるものですが、会社独自の退職金については、就業規則や退職金規程に支給条件、減額事由、不支給事由などが定められていることがあります。

例えば、会社の退職金規程に「退職金は中退共から支給される額をもって充てる」と書かれているケースもあります。また、中退共とは別に会社が上乗せ退職金を支給する制度を設けているケースもあります。この場合、中退共の退職金がもらえるかどうかと、会社独自の退職金を追加で請求できるかどうかは、分けて考える必要があります。

そのため、会社から退職金について説明を受けた場合には、中退共の話なのか、会社独自の退職金規程の話なのかを整理しましょう

とくに、退職金の返還、減額、不支給を求められている場合には、就業規則や退職金規程を確認したうえで、必要に応じて弁護士に相談することをおすすめします。

7章 中退共の退職金がもらえないときの相談先

中退共の退職金がもらえないときは、相談先を間違えないことが大切です

中退共の加入状況や請求手続き、会社独自の退職金制度、賃金控除などの労働条件、会社との争いでは、確認すべき相手が変わるためです。例えば、相談先としては以下の4つがあります。

相談先1:加入状況や手続きは中退共へ確認する
相談先2:退職金規程や会社独自制度は会社へ確認する
相談先3:賃金控除や労働条件の問題は労基署に相談する
相談先4:会社が対応しない・争いがある場合は弁護士に相談する

7章 中退共の退職金がもらえないときの相談先

それでは、中退共の退職金がもらえないときの相談先について順番に見ていきましょう。

7-1 相談先1:加入状況や手続きは中退共へ確認する

中退共の加入状況や請求手続きについて分からないことがある場合は、まず中退共へ確認しましょう

中退共は、退職金共済手帳、退職金の請求、退職金額の試算、加入証明など、制度そのものに関する問い合わせ先だからです。会社に確認してもはっきりしない場合でも、中退共に問い合わせることで、手続きの進め方が分かることがあります。

例えば、退職金共済手帳が届かない場合、退職金の請求方法が分からない場合、退職金額の目安を知りたい場合には、中退共に確認するのが自然です。会社の説明だけでは不安が残る場合にも、制度を扱っている窓口に確認することで、次に何をすべきか整理しやすくなります。

中退共の退職金がもらえないと感じたら、会社だけに確認するのではなく、中退共本部の相談窓口も利用しましょう。

7-2 相談先2:退職金規程や会社独自制度は会社へ確認する

退職金規程や会社独自の退職金制度については、会社へ確認しましょう

中退共は、中退共制度に関する窓口です。そのため、会社が独自に設けている退職金制度の内容や、就業規則、退職金規程の具体的な運用までは、基本的に会社に確認する必要があります。

例えば、退職金制度が中退共だけなのか、中退共とは別に会社独自の上乗せ退職金があるのかは、会社の就業規則や退職金規程を確認しないと分からないことがあります。また、会社独自の退職金については、支給対象者、計算方法、支払時期などが規程で決められていることがあります。

会社に確認するときは、「退職金制度の内容を確認したいので、就業規則や退職金規程を見せてください」と伝えましょう

7-3 相談先3:賃金控除や労働条件の問題は労基署に相談する

賃金控除や労働条件に関する問題がある場合は、労基署への相談を検討しましょう

中退共の掛金は、原則として事業主が負担するものです。そのため、給与から中退共の掛金名目で不自然な控除がされている場合や、退職金制度について就業規則と違う説明をされている場合には、労働条件の問題として整理する必要があります。

例えば、給与明細に退職金共済掛金のような名目で控除があるケースや、就業規則では退職金制度があるのに会社が一切説明してくれないケースもあります。このような場合、中退共の手続きだけではなく、賃金や労働条件の問題として確認した方がよいことがあります。

労基署は、すべての退職金トラブルを本人の代わりに解決してくれる場所ではありません。しかし、賃金不払い、違法な控除、労働条件に関する疑問がある場合には、相談先の一つになります。

7-4 相談先4:会社が対応しない・争いがある場合は弁護士に相談する

会社が対応してくれない場合や、退職金をめぐって争いになっている場合は、弁護士への相談を検討しましょう

中退共への確認や労基署への相談だけでは、会社との交渉や請求を十分に進められないことがあるためです。とくに、会社独自の退職金、未払い残業代、不当解雇、退職勧奨などが関係している場合には、複数の労働問題をまとめて整理する必要があります。

例えば、会社が退職金共済手帳を渡さないだけでなく、退職理由についても争っているケースや、未払い残業代もあるケースでは、中退共の手続きだけを確認しても根本的な解決にならないことがあります。

このような場合、弁護士に相談することで、証拠の集め方、会社への請求方法、解決までの見通しについて助言してもらうことができます

中退共の退職金がもらえない問題に会社との対立が含まれている場合は、早めに弁護士へ相談し、自分にどのような権利があるのかを確認しましょう。

会社固有の退職金をもらえないケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。

8章 退職金以外にも確認すべき労働問題

中退共の退職金がもらえないと悩んでいる場合でも、退職金だけに意識を向けすぎないようにしましょう

退職の前後では、未払い残業代、不当解雇や退職勧奨、パワハラなど、ほかの労働問題も一緒に発生していることがあるためです。

例えば、退職金以外に確認すべき労働問題としては以下の3つがあります。

・未払い残業代がある場合
・不当解雇や退職勧奨がある場合
・パワハラがある場合

8章 退職金以外にも確認すべき労働問題

それでは、退職金以外にも確認すべき労働問題について順番に見ていきましょう。

8-1 未払い残業代がある場合

中退共の退職金を確認するときは、未払い残業代がないかも一緒に確認しましょう

退職時には、退職金のことに意識が向きやすいですが、長時間労働をしていた場合には、残業代が正しく支払われていないことがあります。

とくに、固定残業代、管理職扱い、持ち帰り業務、始業前や終業後の作業がある場合には、未払い残業代が問題になることがあります。

例えば、退職金がもらえないことをきっかけに給与明細を確認したところ、毎月長時間働いていたのに残業代がほとんど支払われていないことに気づくケースも多いです。

未払い残業代には時効があるため、退職後に時間が経っている場合は注意が必要です。タイムカード、勤怠記録、給与明細、業務メール、チャット履歴などを確認し、残業代の請求ができるか早めに整理しましょう。

残業代が出ないのが当たり前かについては、以下の記事で詳しく解説しています。

8-2 不当解雇や退職勧奨がある場合

退職金の問題とあわせて、不当解雇や退職勧奨がなかったかも確認しましょう

会社との関係が悪化したうえで退職している場合、退職金の不支給だけでなく、退職そのものに問題があることがあります。

解雇された場合には、その解雇が有効といえるのかを確認する必要があります。不当な解雇であれば、バックペイや損害賠償を請求できる可能性があります。

また、退職勧奨や解雇により退職する場合には、原則として、会社都合として処理されることになります。

会社固有の退職金の金額や失業保険にも影響してくる可能性があります。

会社から解雇された場合については、以下の記事で詳しく解説しています。

退職勧奨された場合については、以下の記事で詳しく解説しています。

8-3 パワハラがある場合

退職のきっかけにパワハラがある場合も、退職金とは別に確認しておきましょう

パワハラを受けたことが原因で退職した場合、退職金の問題だけでなく、会社や加害者に対する損害賠償請求が問題になることがあります。また、パワハラによって心身の不調が出ている場合には、労災申請を検討できることもあります。

例えば、上司から人格を否定する発言を繰り返されたケース、退職を迫るために過度な叱責を受けたケース、ほかの従業員の前で継続的に責められたケースなどでは、パワハラとして損害賠償を請求できる可能性があります。

パワハラがある場合には、録音、メール、チャット、日記、診断書、相談記録などを残しておきましょう

パワハラを訴える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

9章 中退共の退職金がもらえない場合によくある疑問

中退共の退職金がもらえない場合によくある疑問としては、以下の8つがあります。

Q1:中退共に加入しているか自分で確認できますか?
Q2:退職金共済手帳をもらっていなくても請求できますか?
Q3:中退共の退職金はいつ振り込まれますか?
Q4:会社が中退共の退職金を受け取ることはありますか?
Q5:懲戒解雇や自己都合退職でも退職金はもらえますか?
Q6:11月以下で退職した場合の掛金はどうなりますか?
Q7:中退共の退職金とは別に会社へ退職金を請求できますか?
Q8:退職金請求と一緒に証拠を整理した方がいいですか?

9章 中退共の退職金がもらえない場合によくある疑問

それでは、中退共の退職金がもらえない場合によくある疑問について順番に見ていきましょう。

9-1 Q1:中退共に加入しているか自分で確認できますか?

A.中退共に加入しているかは、退職金共済手帳、雇用契約書、就業規則、退職金規程、会社の説明資料などで確認できます

ただし、会社が中退共に加入していても、自分が加入対象になっているとは限りません。分からない場合は、会社だけでなく中退共本部への確認も検討しましょう。

9-2 Q2:退職金共済手帳をもらっていなくても請求できますか?

A.退職金共済手帳をもらっていない場合は、まず会社に交付を求める必要があります

退職金共済手帳には、退職金請求に必要な書類が含まれています。会社に求めても渡されない場合は、中退共本部へ問い合わせましょう。会社とのやり取りは、メールや書面で残しておくと安心です。

9-3 Q3:中退共の退職金はいつ振り込まれますか?

A.中退共の退職金は、請求を受け付けてから1か月から2か月半程度で振り込まれるのが一つの目安です

ただし、書類不備がある場合や、退職月分までの掛金確認が終わっていない場合は、通常より時間がかかることがあります。請求後は、中退共からの郵便物や連絡を確認しましょう。

9-4 Q4:会社が中退共の退職金を受け取ることはありますか?

A.会社が中退共の退職金を受け取ることは、原則としてありません

中退共の退職金は、退職した本人の請求により、本人の預金口座へ直接振り込まれる制度です。会社から返還や精算を求められた場合は、すぐに応じず、退職金規程や合意内容を確認しましょう。

9-5 Q5:懲戒解雇や自己都合退職でも退職金はもらえますか?

A.懲戒解雇や自己都合退職でも、それだけで中退共の退職金が当然にもらえなくなるわけではありません

中退共の退職金額は、基本的に掛金月額と納付月数で決まります。

ただし、懲戒解雇などの場合には、厚生労働大臣の認定がされれば、減額されることがあります。

9-6 Q6:11月以下で退職した場合の掛金はどうなりますか?

A.掛金の納付月数が11月以下の場合、中退共の退職金は原則として支給されません

この場合でも、掛金が会社に戻るわけではありません。支給されない掛金などは、中退共制度全体の長期加入者の退職金支払財源に組み込まれます。ただし、通算制度や他制度からの引継ぎがある場合は例外もあります。

9-7 Q7:中退共の退職金とは別に会社へ退職金を請求できますか?

A.中退共とは別に会社独自の退職金制度がある場合は、会社へ退職金を請求できる可能性があります

そのため、中退共の退職金だけでなく、就業規則や退職金規程も確認しましょう。会社独自の上乗せ退職金がある場合もあれば、中退共からの支給額を会社の退職金に充てる制度になっている場合もあります。

9-8 Q8:退職金請求と一緒に証拠を整理した方がいいですか?

A.退職金請求と一緒に、関連する証拠も整理しておきましょう

退職金については、退職金共済手帳、就業規則、退職金規程、会社の説明資料が手がかりになります。未払い残業代、不当解雇、退職勧奨、パワハラもある場合は、勤怠記録、給与明細、録音、メール、診断書なども保存しておきましょう。

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11章 まとめ

以上のとおり、今回は、中退共の退職金がもらえない理由5つを説明したうえで、いつもらえるか、及び、簡単なもらい方を解説しました。

この記事が、中退共の退職金がもらえないことに悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法
【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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