不貞行為に家の出入りは含まれない!慰謝料の請求で使われる証拠4つ

不貞行為に家の出入りは含まれない!慰謝料の請求で使われる証拠4つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・取材】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこっと弁護士Q&A、東京新聞、毎日新聞、週刊女性他

不貞行為というのは、法的には、配偶者以外の異性と肉体関係をもつこととされています

家に出入りしたことのみを理由に慰謝料請求が認められる可能性は低いですが、その状況から肉体関係がうかがわれたり、他に証拠があったりする場合には注意が必要です。

ホウペン

この記事の要点

・不貞行為は、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことと解釈されており、単に家に出入りしただけでは不貞行為ということはできません。

・しかし、家の出入りや他の証拠から、不貞行為があったと推認されることもあり、必ずしも慰謝料請求が認められないわけではありません。

・慰謝料の請求があった場合、請求内容を踏まえ慰謝料相場を調べるなど減額交渉に向けて行動していくことが重要となります。

この記事を読めば、家の出入りが不貞行為にあたるのかよくわかるはずです。

目次

1章 不貞行為とは/どこからが不貞行為なのか?

1章 不貞行為とはどこからが不貞行為なのか?

不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことをいいます

異性との食事や親密なメッセージのやり取り等があるだけでは、直ちに不貞行為があったとはいえないのです。

もっとも、肉体関係が明らかでない場合でも、それに類似する親密な関係がある場合には、不貞行為があったと推認される場合があります

例えば、配偶者以外の異性と何度も会い、「また2人でゆっくりしたい」というようなやり取りがある場合、相応に親密な関係にあることがうかがえます。

不貞行為があったかは、肉体関係の直接的な証拠がある場合は別として、親密な関係を推測できる事情があるのかを状況から総合的に判断することになります。

どこから不倫になるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

2章 不貞行為に家の出入りは含まれない

2章 不貞行為に家の出入りは含まれない

不貞行為は、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことをいうため、単なる家の出入りは含まれません

家に出入りしたという事実だけでは、肉体関係があったとはいえないためです。

例えば、仕事の打ち合わせのために訪問した場合や、友人として食事をしていたという事実だけで不貞行為があったのというのは難しいでしょう。

しかし、家の出入りをしていただけのケースでも、慰謝料請求が問題にならないわけではありません

家内の様子を外から知ることはできず、出入りの時間帯、滞在時間、回数、同席者の有無、前後の行動といった事情から、不貞行為があったと推認される可能性があるのです。

家の出入りを理由に慰謝料請求された場合、請求内容を確認して対応方針を立てていくことが重要となります。

3章 家の出入りが不貞行為でないと言い逃れできないケース3つ

家の出入りだけでは、直ちに不貞行為があったとはいえません

しかし、時間帯や滞在時間の長さなど他の証拠が合わさると、「何もなかった」という説明が難しくなります。

ケース1:異性の家に長時間滞在していた場合
ケース2:度々異性の家へ出入りしていた場合
ケース3:同棲している場合

家の出入りが不貞行為でないと言い逃れできないケース3つ

それでは、家の出入りが不貞行為でないと言い逃れできないケースについて順番に説明していきます。

3-1 ケース1:異性の家に長時間滞在していた場合

異性の家に長時間滞在していた場合には、単なる家の出入りよりも、不貞行為を疑われやすくなります

異性の家で長時間過ごしていた場合、通常の友人関係や仕事上の関係とは説明しづらくなってしまうためです。

例えば、夕方に異性の家に入り朝まで滞在していた場合には、何もなかったと説明するのは難しいでしょう。

滞在が長時間にわたる場合には、単なる訪問とは見られにくくなり、不貞行為があったのではないかと疑われてしまう原因となるのです。

3-2 ケース2:度々異性の家へ出入りしていた場合

異性の家へ何度も出入りしていた場合には、不貞行為ではないという説明が難しくなることがあります

同じ異性の家へ繰り返し出入りしていると、単なる用事や偶然の訪問ではなく、予定された行動と見ることができるためです。

異性の家への出入りが一度きりではなく、度々繰り返されている場合には、不貞行為があったと疑われる事情になることがあります。

3-3 ケース3:同棲している場合

他の異性と同棲している場合には、不貞行為があったと認定される可能性が高いです

男女が一緒に暮らしていれば、肉体関係にあったものと推認されやすいためです。

例えば、別居中や単身赴任中の夫が、他の女性と一緒に暮らしているような場合です。

実は、別居中に探偵の調査で、同棲が判明しトラブルになるということが少なくないのです。

4章 不貞行為と家の出入りに関する証拠4つ

家の出入りだけでは不貞行為とはいえませんが、他の証拠との組み合わせ次第では慰謝料請求が認められる可能性があります

例えば、不貞行為と家の出入りに関する証拠としては以下の4つがあります。

証拠1:家の出入りが分かる写真や動画
証拠2:滞在時間や回数を示す記録
証拠3:家に滞在したことがわかる位置情報の記録
証拠4:親密な関係が分かるメッセージや録音

4章 不貞行為と家の出入りに関する証拠4つ

それでは、不貞行為と家の出入りに関する証拠について順番に説明していきます。

4-1 証拠1:家の出入りが分かる写真や動画

家の出入りが分かる写真や動画は、不貞行為を疑わせる証拠として使われることがあります

写真や動画があると、誰が、いつ、どこの家に出入りしたのかを明らかにしやすくなるためです。

例えば、異性と一緒にマンションへ入り、又は同じ建物から出てくる様子を撮影した写真は、実際に家へ出入りしていたことを示す資料になります。

しかし、写真に写っているのが本人か分からない場合等には、証拠として機能しないこともあるため、以下の事項を確認しておくとよいでしょう

☑撮影された場所(異性の家やマンションが映っているか)
☑写っている人物が本当に自分か

不倫と証拠写真については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-2 証拠2:滞在時間や回数を示す記録

滞在時間や回数を示す記録も、慰謝料請求で使われることがあります

滞在時間が長く、出入りの回数が多い程、親密な関係にあったことがうかがえる資料として使えるためです。

例えば、挨拶のため5分だけ訪問した場合と、3年にわたって2時間以上の訪問が繰り返されていた場合では、後者の方がより親密な関係にあったといえるでしょう。

慰謝料請求において証拠として出された場合、以下の事項を確認しておくとよいでしょう。

☑滞在時間を示す根拠が明確か
☑出入りの回数を示す根拠が明確か
☑訪問目的を示す証拠があるか
☑同席者がいなかったことを示す証拠があるか

4-3 証拠3:家に滞在したことがわかる位置情報の記録

GPSなどの位置情報も、家に滞在していたことを示す証拠として使われることがあります

位置情報は、家に入った後、その場所から滞在していたことがデータから読み取ることが可能なためです。

例えば、相手の家に入った時間帯と、スマートフォンの位置情報が一致しているというケースもあります。

また、車のカーナビ履歴やドライブレコーダーの記録から、特定の家の近くにいたことが分かる場合もあります。

ただし、無断でスマートフォンにアプリを入れたり、勝手にログインして位置情報を確認された場合は、不正アクセス等の法的問題を生じることがあります

ドライブレコーダーと不倫の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。

GPSの設置については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4 証拠4:親密な関係が分かるメッセージや録音

親密な関係が分かるメッセージや録音も、不貞行為を推認させる証拠として使われることがあります

家の出入りだけでは説明しにくい場合でも、メッセージや録音によって2人の関係性が分かることがあるためです。

例えば、LINEやメールに、宿泊を前提にした内容や、肉体関係をうかがわせる表現が残っているケースもあります。

また、話し合いの中で不貞行為を認めるような発言をしてしまい、証拠として出されることもあります。

録音内容が出された場合には、どのような内容の発言がされているのかを確認しておくといいでしょう

LINEと不倫の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。

5章 不貞行為と家の出入りの慰謝料相場

不貞行為と家の出入りの慰謝料相場
家の出入りだけを理由に慰謝料を請求された場合、不貞行為まではうかがえなければ、仮に示談が成立する場合でも慰謝料の相場は数十万円程度でしょう

不貞行為があった場合とは異なり、夫婦関係に与える影響が少ないと考えられるためです。

他方で、家の出入りに関する状況や態様、他の証拠などから、不貞行為があったことが裏付けられる場合の慰謝料相場は50万円~300万円程度となります。

金額に幅があるのは、離婚の有無の他、婚姻期間や不貞行為の回数など様々な事情を考慮して判断されるためです。

特に、離婚の有無が金額に与える影響は大きく、100万円以上変動することもあります。

不貞行為の慰謝料請求は一律で300万円というわけではないため、どのような理由を根拠に慰謝料を請求しているのか確認しておくとよいでしょう

不貞行為の慰謝料相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

6章 家の出入りと不貞行為に関する法的手続の流れ3つ

家の出入りを理由に慰謝料を請求された場合でも、万全な準備を整えて手続を進めていくことが重要です

具体的には、家の出入りと不貞行為に関する法的手続は、以下の3つの流れに分けられます。

手続1:慰謝料請求
手続2:減額交渉
手続3:示談または訴訟

家の出入りと不貞行為に関する法的手続の流れ3つ

それでは、家の出入りと不貞行為に関する法的手続の流れについて順番に説明していきます。

6-1 手続1:慰謝料請求

家の出入りを理由とする慰謝料請求は、内容証明郵便などで行われることが多いです

書面には、相手方の主張内容として、不貞行為があったとされる日時、請求金額、支払期限、連絡先などが書かれていることがあります。

突然慰謝料を請求されると、不安に感じてしまう方も少なくありません。

しかし、慰謝料を請求されたからといって、請求額全額を支払わなければならないわけではありません

当初請求されている慰謝料金額については過大となっていることが多いためです。

まず何を根拠に慰謝料を請求されているのか、回答期限はいつまでか、差出人の名前や代理人の有無などを確認しましょう。

ただし、話し合いの内容は録音されることもあるため、まずはどのように対応していくべきか弁護士等の相談を通じて検討しておくとよいでしょう

6-2 手続2:減額交渉

請求内容を確認した後は、請求自体を争うのか、慰謝料の減額を求めるべきかを検討します

家の出入りのみによる慰謝料の相場は数十万円のため、これを超える金額が請求された場合には減額交渉していくことが重要となります

例えば、相手から300万円の慰謝料を請求されたものの、証拠は家の出入りの写真だけで、滞在時間も短かった場合には、請求金額が適正な相場を外れている可能性があります。

減額交渉に備え、以下の事項を確認しておきましょう。

☑家の出入りの態様
☑婚姻期間の長さ
☑家の出入りの回数や滞在時間
☑離婚の話しが出ているか
☑幼い子どもの有無

6-3 手続3:示談または訴訟

交渉の結果話がまとまった場合、示談書を作成して解決することになります

口約束だけで終わらせると、後から「まだ請求できる」「約束が違う」と争いになるおそれがあるためです。

示談書には、慰謝料の金額、支払期限、支払方法、接触禁止や清算条項などを記載することが一般的です。

例えば、慰謝料を〇万円に減額し、〇月〇日までに一括で支払う代わりに、それ以上の請求をしないと定めるケースもあります。

一方で、話し合いがまとまらない場合には、訴訟に進むことがあります

訴訟では、請求する側が、不貞行為または慰謝料が発生する事情を主張し、証拠によって立証することになります。

そのため、示談で終わらせるべきか、訴訟で争うべきかは、証拠の内容と請求額を踏まえて慎重に判断する必要があります。

示談交渉や訴訟に不安を感じる方は、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

7章 不貞行為と家の出入りに関するよくある疑問4つ

不貞行為と家の出入りに関するよくある疑問としては、以下の4つがあります。

Q1:食事のために家に出入りしただけでも不貞行為になりますか?
Q2:不貞行為の証拠はどのタイミングで出されますか?
Q3:複数人で家に出入りしていた場合は不貞行為の証拠になる?
Q4:マンションと戸建で家の出入りが不貞行為となるかに差はある?

不貞行為と家の出入りに関するよくある疑問4つ
7-1 Q1:食事のために家に出入りしただけでも不貞行為になりますか?

A.食事のために家に出入りしただけでは、不貞行為にはあたりません

不貞行為は、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことをいうためです。

しかし、食事のための出入りであっても、状況次第では不貞行為と疑われてしまうケースがあります。

例えば、夜間に2人きりで家に入り朝まで滞在した場合、食事をしていただけという言い逃れは難しいでしょう。

また、食事の前後に恋人同士のようなメッセージがある場合や、肉体関係をうかがわせるやり取りがある場合には、不貞行為があったと判断されてしまう可能性があります。

食事が不貞行為になるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

7-2 Q2:不貞行為の証拠はどのタイミングで出されますか?

A.不貞行為の証拠が出されるタイミングは、個々の事案によって異なり、一概にどのタイミングで出されると特定することはできません

具体的には、慰謝料請求の初期段階、交渉中、調停中、訴訟中など、様々なタイミングで出されることがあります。

請求する側が最初からすべての証拠を出すとは限らず、相手の反応を見ながら、一部だけ提出することもあります。

例えば、最初の請求書面だけでは不貞行為があったことだけが示され、回数や期間は示されないことがあります。

交渉に柔軟性をもたせるために、あえて一部の情報のみ開示しているのです。

証拠を出されるタイミングによって対応は変わるため、請求を受けた段階で弁護士へ相談しておくのがオススメです。

不貞行為の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。

7-3 Q3:複数人で家に出入りしていた場合は不貞行為の証拠になる?

A.複数人出入りに出入りしていた場合には、2人で出入りしていた場合に比べ不貞行為があったとは言いにくいでしょう

男女が密室で2人となっていた場合と比べ、他の人の目があり不貞行為に及ぶとは考えにくいためです。

そのため、他に不貞行為をうかがわせる証拠がないのであれば、慰謝料請求は難しい可能性が高いです。

7-4 Q4:マンションと戸建で家の出入りが不貞行為となるかに差はある?

A.マンションと戸建てで、家の出入りが不貞行為となるかに大きな差はありません

ただし、マンションのエントランスまでしか入っておらず、家の中に入っていない場合には、長時間であったとしても不貞行為を推認することは難しい可能性があります。

8章 不倫慰謝料に強い弁護士を探すなら弁護士コンパス

不倫慰謝料に強い弁護士を探したい場合には、是非、不倫慰謝料弁護士コンパスを活用ください

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9章 まとめ

以上のとおり、今回は、家の出入りが不貞行為にあたるのか説明したうえで、証拠となるものや慰謝料相場について解説しました。

この記事が家の出入りが不貞行為にあたるのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・執筆等】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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