行政書士に内容証明作成を依頼すべき?弁護士に依頼するメリット3つ

行政書士に内容証明作成を依頼すべき?弁護士に依頼するメリット3つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・取材】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこっと弁護士Q&A、東京新聞、毎日新聞、週刊女性他

行政書士は、内容証明を作成する権限を有しており、慰謝料請求の内容証明作成を依頼することができます

しかし、相手方とのトラブルが予想される場合には、弁護士に依頼する方が安く抑えられる場面があります。

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この記事の要点

・内容証明は、文書の内容・差出人・日付を証明する郵便方法であり、不倫における慰謝料請求において使われる場面があります。

・行政書士は「権利義務に関する書類」として内容証明を作成できますが、法的判断が必要な事項については作成できないため、弁護士に相談することが結果的に安価となるケースがあります。

この記事を読めば、内容証明の作成を誰に依頼すればいいのかがよくわかるはずです。

目次

1章 内容証明の法的意味|内容証明がよく使われるケース3つ

1章 内容証明 法的意味
不倫の慰謝料請求でよく使われる内容証明郵便ですが、それ自体に裁判のような強制力や、支払いを義務付ける法的な効果はありません

内容証明は「誰が、誰に、いつ、どのような内容の手紙を送ったか」という事実を、郵便局が証明する仕組みに過ぎないからです。

書面の内容と送付した事実を客観的に残しておくことは、その後の話し合いや手続きを有利に進めるために役立ちます。

1-1 内容証明の法的意味

内容証明は、送った手紙の存在やその中身を郵便局が証明してくれる郵便方法ですが、法的な強制力はありません

あくまで「このような請求を間違いなく行いました」という証拠を残すための手続きであるため、法律上当然に慰謝料支払い義務が発生するわけではないのです。

例えば、あなたが「〇月〇日までに慰謝料300万円を支払ってください」という内容証明を送っても、相手はその支払いを拒否したり、無視することは法律上可能なのです。

内容証明を送っただけで解決とはいかず、最終的な解決には相手との合意や裁判の手続きが必要となる場合があるのです

内容証明それ自体は、強制的に従わせるものではなく、こちらの意思を伝え、後々の言い逃れを防ぐための「証拠作り」の一手段にすぎないのです。

1-2 内容証明がよく使われるケース3つ

内容証明は、不倫の慰謝料請求だけでなく、後からトラブルになることを防ぎたい場面でよく使われています

口頭での約束や普通の郵便では「言った・言わない」の水掛け論になりやすいため、記録として残せる内容証明が適しているからです。

例えば、内容証明が使われやすいケースとしては、以下の3つがあります。

慰謝料請求:不倫の相手方に、慰謝料の支払いを求めるケース
催告書:慰謝料の支払期日を過ぎた場合に、支払を催促するケース
契約解除:相手方に債務不履行があった場合に、支払の催促や解除の通知を行うケース

このように、相手方にこちらの意思や請求の事実を伝え、将来の裁判に備えて証拠を残したい場面において、内容証明は有効な手段です。

2章 行政書士に内容証明を依頼するメリット・デメリット

行政書士に内容証明の作成を依頼すると、代わりに作成してもらえる反面、相手との交渉や揉め事の解決までは頼めないという特徴があります

行政書士は書類作成のプロですが、本人の代わりに相手と話し合ったり裁判をしたりする権限は持っていないからです。

例えば、行政書士に内容証明の作成を依頼するメリットとデメリットとしては、以下の6つがあります。

メリット1:内容証明の形式やルールに沿って作成してもらえる
メリット2:文面を整理しやすい
メリット3:弁護士よりも費用を抑えられる場合がある
デメリット1:法的な見通しを踏まえた内容にできない
デメリット2:相手との交渉ができない
デメリット3:慰謝料請求や不倫トラブルなど紛争性のある案件に対応できない

2章 行政書士に依頼するメリットデメリット
それでは、これらのメリットデメリットについて順番に説明していきます。

2-1 メリット1:内容証明の形式やルールに沿って作成してもらえる

行政書士に内容証明の作成を依頼すると、内容証明郵便の形式に沿った書面を代わりに作ってもらえます。

内容証明には、1行に書ける文字数や、1枚あたりの行数などが法律で厳しく定められています。

例えば、自分で1から文字数を数えて書類を作ろうとすると、間違えて郵便局の窓口で受け付けてもらえなかったり、何度も書き直したりすることになるケースもあります。

行政書士に依頼することで、形式的なミスで時間を無駄にすることなく、スムーズに発送の手続きを進められます

2-2 メリット2:文面を整理しやすい

行政書士に相談をしながら進めることで、主張したいポイントを整理した書面が完成します

不倫の被害に遭った直後は感情的になる場面もあり、法的に重要性の低い主張を並べてしまいやすいからです。

例えば、専門家が客観的な視点で事実関係を聞き取ってくれることで、請求に必要な事実だけをまとめた文章に仕上げやすくなります。

第三者が入ることで、書くべき内容を落ち着いて整理することができるのです。

2-3 メリット3:弁護士よりも費用を抑えられる場合がある

行政書士への依頼は、弁護士に依頼する場合に比べて、支払う報酬額を安価に抑えられる傾向があります

行政書士の仕事は主に「書類の作成」であり、その後の交渉等の費用が含まれないため、安価に引き受けてもらえるケースがあるのです。

2-4 デメリット1:法的な見通しを踏まえた内容にできない

行政書士に依頼する場合、内容証明を送った後に「どのように交渉していくか」という先のことまで見据えた文面の作成は難しいです

行政書士は書面の作成を専門としており、紛争状況に適した助言を行う権限まではないためです。

先の見通しを立てながら進めたい場合は、行政書士よりも弁護士への相談が適している場合があるのです。

2-5 デメリット2:相手との交渉ができない

行政書士に内容証明の作成を依頼した場合、反論への対応や、慰謝料の金額についての交渉を代わりにしてもらうことはできません

弁護士以外がトラブルに関し交渉を引き受けることは、法律によって禁止されているからです。

例えば、内容証明を送った後に相手から「減額してほしい」と言われたり、「不倫なんてしていない」と電話がかかってきたりするケースもあります。

行政書士はあなたの代わりに交渉できないため、こうした場合にはあなた自身が直接相手と連絡を取り合って交渉しなければいけなくなってしまうのです。

2-6 デメリット3:慰謝料請求や不倫トラブルなど紛争性のある案件に対応できない

言い争い等のトラブルが予想される場合は、行政書士よりも弁護士に頼む方が結果的にスムーズに進むことがあります

弁護士であれば、内容証明を送るだけでなく、その後の話し合いや裁判まで一括して対応することができるためです。

例えば、行政書士に内容証明を頼んだものの、相手に無視された場合、自分で手続きを進めることとなってしまうのです。

トラブルになることが分かっている場合は、手続きを代わりに進められる弁護士に任せる方が精神的な負担も少なく進めることができます。

3章 行政書士が内容証明を作成するのは違法?

行政書士が内容証明を作成することは、法律で認められた業務であり違法ではありません

しかし、行政書士は争いのある事案について交渉を行うことができず、権限を越えた場合には非弁行為となることがあります

過去の裁判例において、内容証明の作成が非弁行為とされた事例を紹介します。

3章 行政書士が内容証明を作成するのは違法?

【事案】
行政書士が、不倫の慰謝料請求に関する内容証明の作成したところ、大阪弁護士会がこれを非弁行為として告発したため、大阪弁護士会へ損害賠償を求め提訴しました。

【結論】
原告の控訴を棄却しました

【理由】
行政書士は内容証明作成の権限を有しており、作成それ自体は直ちに違法とはなりません

しかし、独自の判断で和解案を提案し主体的に依頼人を指導したことが、弁護士法が禁じる法律事務に該当するため、行為の内容が単なる書類作成を超えていました

よって、本件での行政書士による内容証明の作成は非弁行為に該当し、損害賠償請求は認められないと判断されました。

4章 行政書士による内容証明作成の相場

4章 行政書士による内容証明作成の相場

行政書士に内容証明の作成を依頼する場合の費用は、弁護士に依頼する場合と比べて安く設定されやすい傾向があります

行政書士の主な業務は「書類の作成」であり、交渉ができないためその分安価に設定しやすいのです。

例えば、行政書士に内容証明の作成だけを頼む場合は、1~3万円程度で収まるケースが多く見られます。

一方で、弁護士に内容証明からその後の交渉まで依頼すると、10万円~30万円の着手金に加えて、成功報酬がかかります。

このように比較すると、確かに弁護士に依頼した方が高いように感じる方もいるかもしれません。

ただし、不倫慰謝料の請求について、通知書の作成だけで簡単に終わるケースはほとんどありません

行政書士に依頼をした場合でも、結局、何度も通知書を出したけど解決できず、その後弁護士に依頼することになり二重に費用が掛かってしまうということも想定されます。

書面の作成だけですぐに解決できることが明らかであれば行政書士を活用するという方法もあるかもしれませんが、基本的には弁護士への相談がおすすめです。

5章 内容証明の依頼費用を安く抑える方法3つ

内容証明の作成を依頼する際、工夫をすることで、費用を安く抑えることができます

事前準備をしておいたり、事務所の手続きやサービスを上手に活用したりすることで、適切な内容での依頼が可能となるのです。

例えば、内容証明の依頼費用を安く抑える方法として、以下の3つがあります。

方法1:依頼前に事実関係や証拠を整理しておく
方法2:内容証明だけの依頼か交渉込みかを確認する
方法3:初回相談無料や見積もりを活用する

5章 内容証明の依頼費用を安く抑える方法3つ
それでは、安く抑える具体的な方法について順番に見ていきましょう。

5-1 方法1:依頼前に事実関係や証拠を整理しておく

依頼前に、不倫の事実関係や手元にある証拠を整理しておくと、費用を抑えやすくなります

トラブルの内容がひと目で分かれば、相談回数を少なく済ませることができ、適切に状況を進めやすくなるためです。

例えば、不倫が始まった時期などを時系列で記載したメモや、写真やメールの履歴を持参することで法的な見通しを立てやすくなります。

事前の準備をしておくことで、スムーズに書類の作成に取りかかることができ、費用の節約にも繋がるのです。

5-2 方法2:内容証明だけの依頼か交渉込みかを確認する

申込み前に、その料金が「内容証明の作成」だけの費用なのか、「その後の交渉」まで入っているのかを確認しておくことが重要です

目的と合わない手段を選んでしまうと、後から追加費用を請求されて予算オーバーになってしまう恐れがあるのです。

例えば、交渉までお願いできると考えて依頼したのに、内容証明の単発の費用であり、結局、その後に費用が嵩んでしまうということもあります。

余計な出費を抑えるためにも、見た目の金額だけに捉われるのではなく、解決までにいくらの費用が必要かを考えましょう

5-3 方法3:初回相談無料や見積もりを活用する

「初回の無料相談」や「見積もり」を積極的に利用することで、最終的な費用を安く抑えられることがあります

依頼前に具体的な金額を知ることができ、料金を比較しながら依頼先を選ぶことができるためです。

提供されているサービスを上手に使うことで、納得できる料金で手続きを進めていくことが可能となります。

6章 行政書士による内容証明に関するよくある疑問

行政書士による内容証明についてよくある疑問としては、以下の3つがあります。

Q1:行政書士名義で内容証明を送ることはできますか?
Q2:行政書士から届いた内容証明は無視してもいいですか?
Q3:行政書士による内容証明は住所を知られずに出せる?

6章 行政書士による内容証明に関するよくある疑問3つ
それでは、よくある疑問について順番に見ていきましょう。

6-1 Q1:行政書士名義で内容証明を送ることはできますか?

A.行政書士に依頼をすれば、「行政書士〇〇」という名義と職印が入った内容証明を相手方に送ることができます

行政書士は、依頼人の代わりに書類を作成する権限を有しているためです。

例えば、行政書士が内容証明を作成する場合には、「作成代理人」として行政書士の氏名を添えて送るケースが見られます。

ただし、行政書士は交渉を代理することはできません。そのため、行政書士の名前を記載してあったとしても、行政書士が交渉してくれるわけではありません。

6-2 Q2:行政書士から届いた内容証明は無視してもいいですか?

A.行政書士から内容証明を受け取った場合、無視することはやめた方がいいでしょう

内容証明自体に強制力はなくても、無視を続けると穏便な解決は難しいと判断され、裁判等のより大きなトラブルへ発展するおそれがあるためです。

放置をしても状況が良くなることはありませんので、届いた書面の内容を確認し、早めに弁護士へ相談するといいでしょう。

慰謝料請求を無視した場合のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。

6-3 Q3:行政書士による内容証明は住所を知られずに出せる?

A.行政書士に内容証明を依頼する場合、差出人が行政書士となるため、住所を知られずに内容証明を出すことができるとの意見もあるようです

ただし、行政書士は交渉を代理することはできず、本人の住所の記載がないと、相手方が通知書を受け取っても回答書の送付先が分からず混乱してしまう可能性もあります。
通知だけで解決することは少ないので、その後の交渉まで見据えたうえで対応を考えておいた方がいいでしょう。

代理人としてその後の交渉まで代わりにしてもらいたいのであれば、弁護士に依頼するのが穏当でしょう。

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8章 まとめ

以上の通り、今回は、行政書士に内容証明を依頼するめメリットとデメリットを説明したうえで、費用の相場や安く抑える方法を解説しました。

この記事が、行政書士に内容証明の作成を依頼すべきか悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・執筆等】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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