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2025年3月8日
労働一般
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2026/04/04
残業代

「年俸制で働いているけど、残業代が出ないのは普通?」「契約書に固定残業代込みって書いてあるけど、超えた分は請求できないの?」と悩んでいませんか。
結論からいうと、年俸制でも原則として法定労働時間を超えて働いた分の残業代は発生します。年俸制はあくまで賃金の決め方のひとつにすぎず、それだけを理由に残業代を受け取る権利がなくなるわけではありません。たとえ雇用契約書に固定残業代や管理職といった文言があったとしても、実態として固定残業代の内訳が明確でなかったり、管理監督者の条件を満たしていなければ、未払い残業代を請求できる可能性があります。
本記事では、年俸制の基本的な仕組みを確認したうえで、残業代が発生する条件と発生しないケース、具体的な計算方法、未払い残業代を請求する手順までをわかりやすく解説します。自分も残業代を請求できるか確認したい人は、ぜひ参考にしてください。
目次

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年俸制とは、1年間に支払う賃金の総額をあらかじめ定め、その金額を12分割や14分割(うち2回分を賞与として支給)などの方法で毎月支給する給与体系をいいます。
月給制との違いは、賃金の総額を年単位で決める点にありますが、年俸制であること自体は、残業代の有無や受け取る権利を左右するものではありません。 あくまで賃金の決め方のひとつにすぎず、労働時間規制や割増賃金のルールとは別に考える必要があります。
また、年俸制だからといって1年分をまとめて払えばよいというわけでもありません。労働基準法24条2項では「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」 と定められています。
そのため、実務上は「年俸600万円を12分割して毎月50万円支給する」といった形で運用されるのが一般的です。そして、残業代や深夜・休日労働の割増賃金は一般的に、年俸額を年間の所定労働時間で割るなどして1時間当たりの賃金額を求め、それを基礎に計算します。
以上のように年俸制であっても、月給制と同じように残業代のルールが適用されるのが原則である点を押さえておきましょう。
「年俸制だから残業代は出ない」と会社から説明されるケースがありますが、実際には発生条件を満たしているかどうかが判断のポイントになります。
ここからはまず、年俸制でも残業代が発生する基本ルールと、時間外労働をさせるために必要な36協定について順に確認していきましょう。
原則として、年俸制であっても、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて働かせた場合には残業代が発生します。
労働基準法37条1項は、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働について、通常の賃金に一定の割増率を上乗せした割増賃金を支払わなければならないと定めています。これは年俸制・月給制といった給与体系にかかわらず適用されるルールであると認識しておきましょう。
年俸制は、あくまで「賃金をどう決めるか」という仕組みにすぎず、それだけで残業代の有無が決まるわけではありません。
残業代が発生するかどうかは、法定労働時間を超えて働いたか、深夜労働や休日労働があったか、固定残業代の定めが有効かなどによって判断されます。
そのため、「年俸制だから残業代は出ない」と考えるのではなく、契約内容に加えて、実際の働き方もあわせて確認することが大切です。
会社が労働者に法定労働時間を超える残業や法定休日労働を命じるには、年俸制かどうかにかかわらず、36協定の締結と届出が必要です。
もし36協定が締結されていないのに残業させられていた場合は残業自体が会社の違法行為になりますが、働いた事実が無かったことになるわけではなく、当然残業代も請求可能です。つまり、「36協定がない=残業代が出ない」ではなく、「36協定がなくても働いた分の残業代は請求できる」 という点を理解しておきましょう。
なお、36協定の有無は、就業規則や労使協定書で確認できる場合があります。手元の資料でわからないときは、勤務先に確認したり、必要に応じて労働基準監督署に相談したりすることも検討しましょう。
残業代が発生しない典型例として、以下のようなものが挙げられます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
年俸の中に一定時間分の残業代をあらかじめ含める「固定残業代(みなし残業)」の仕組みが設けられており、固定残業代の想定時間内であれば追加の残業代は発生しません。
ただし、この定めが法的に有効といえるためには、単に「残業代込み」と書かれているだけでは足りません。通常の賃金部分と固定残業代部分が明確に区別され、何時間分の残業に対する対価なのかがわかる必要があります。たとえば「基本給40万円、固定残業代10万円(月30時間分)」のように明確に区分されている必要があり、30時間を超えて残業した場合は当然に残業代を受け取る権利があります。
そのため、雇用契約書や賃金規定で、固定残業代の金額と対応する時間数が明記されているかを確認しましょう。
裁量労働制が適法に導入されている場合、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた「みなし労働時間」分だけ働いたものと扱われます。そのため、通常の残業代は実労働時間ではなく、みなし労働時間を前提に判断されるのが原則です。
もっとも、裁量労働制には専門業務型と企画業務型があり、どの仕事にも自由に適用できる制度ではありません。厚生労働省は、専門業務型については省令・告示で定められた対象業務に限られ、企画業務型については企業の本社等で事業運営上の重要な決定に関する企画・立案・調査・分析を行う労働者が対象になるとしています。
自分の業務が法令上の対象業務に該当しないのに裁量労働制が適用されている場合、その適用が無効または違法と判断され、通常どおり残業代を請求できる可能性があります。
専門業務型裁量労働制の対象となる具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
また、企画業務型裁量労働制の対象となるには、以下の4点全てを満たしている必要があります。
会社から「裁量労働制だから残業代は出ない」と言われても、その説明をそのまま受け入れず、労使協定の内容や、実際に業務の進め方を自分の裁量で決められているかを確認することが大切です。
【参考】
専門業務型裁量労働制について
企画業務型裁量労働制について
労働基準法上の管理監督者に当たる場合は、労働時間や休日に関する規制の適用が除外されるため、通常の残業代が発生しないことがあります。
ただし、ここでいう管理監督者は、単なる会社内の役職名とは別概念です。課長や店長、マネージャーという肩書があるだけでは足りず、以下のような要件を満たしているかどうか実態に基づいて判断されます。
いわゆる名ばかり管理職のように、権限や待遇が不十分な場合は、管理監督者には当たらないと判断されるケースが多くあります。なお、管理監督者であっても、深夜労働の割増賃金は適用されるため、22時〜翌5時の深夜帯に働いた場合は、その分の割増賃金を請求可能です。
個人事業主として業務委託契約を結んでいる場合、原則として労働基準法上の労働者には当たらないため、残業代の規定も直接は適用されません。そのため、契約上「業務委託」「請負」とされている場合は、通常の未払い残業代請求が難しいことがあります。
ただし、契約書の名称だけでは判断できないのも事実です。以下のように、働き方の実態が雇用に近い場合には、法律上は労働者と認められる余地があります。
業務委託契約を結んでいるにもかかわらず以上のような働き方をしている場合は、残業代についてだけでなく、労働者としての権利を主張できる可能性があるため、弁護士や労基署に相談することをおすすめします。
年俸制の残業代は、以下の3ステップで計算します。
年俸制における残業代計算の基本的な手順を順番に見ていきましょう。
最初に確認したいのは、年俸の中に含まれている賞与やボーナスを、残業代計算の基礎に入れるべきかどうかです。
労働基準法37条5項および労働基準法施行規則21条によって、毎月の給与とは別に不定期に支給されるボーナスや年2回の賞与などは、原則として残業代の計算基礎から除外されます
もっとも、年俸制では賞与の扱いについて注意が必要です。たとえば年俸を14等分し、そのうち2回分を定期賞与として固定額で支給している場合、見た目は「賞与」でも、実質的には最初から年俸総額の一部として確定している賃金といえます。この場合は、残業代の基礎に含めて計算する必要がある可能性が高いでしょう。
つまり、「賞与」という名称だけで一律に計算から除外するのではなく、臨時に支払われるものか、あらかじめ支給額が確定しているものかを見極めることが重要です。特に、年俸通知書や雇用契約書に賞与額が固定で記載されている場合は、残業代の計算基礎に含まれる可能性が高いため注意しましょう。
賞与やボーナスのうち基礎賃金に含めない部分を整理したら、次は残業代計算のもとになる基礎賃金を時給額に直します。
年俸制では年額で賃金が定められているため、まず割増賃金の基礎に含める年俸額を確認し、これを年間の所定労働時間で割って、1時間あたりの基礎賃金を算出します。
たとえば、割増賃金の基礎に含める年俸額が600万円で、年間所定労働時間が1,920時間であれば、基礎時給は600万円 ÷ 1,920時間 = 3,125円です。年俸制では、賃金の支払い方が12分割とは限らず、年俸の一部を賞与として支給するケースもあります。そのため、毎月の支給額だけをもとに機械的に計算すると、基礎賃金を実際より低く見積もってしまうおそれがあります。
また、割増賃金の基礎から除外できる賃金は、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金など、法令で限定的に定められています。ただし、これらは名称ではなく実質で判断されるのが原則です。
たとえば「住宅手当」という名前でも、住宅費に応じて支給されるものではなく、全員に一律で定額支給されている場合は、割増賃金の基礎に含める必要があります。手当や賞与を名称だけで安易に除外すると、残業代を実際より少なく計算してしまう可能性があるため注意が必要です。
なお、年俸に固定残業代が含まれている場合でも、その部分が通常の賃金と明確に区分され、かつ法定の割増賃金額を下回らないことが必要です。実際の時間外労働等が想定を超えた場合や、各月の固定残業代相当額が法定計算額に足りない場合には、不足分を別途支払わなければなりません。
1時間あたりの基礎賃金が算出できたら、最後に実際の労働時間の種類ごとに割増率を当てはめて残業代を計算します。
2026年3月時点では、法定外残業および深夜労働には25%以上、法定休日労働には35%以上の割増率が適用されます。さらに、時間外労働が深夜に及んだ場合は、それぞれの割増率を加算して計算します。たとえば、基礎時給が3,125円の人が法定外残業を10時間した場合、3,125円×1.25×10時間で、3万9,063円(端数は四捨五入)になります。
なお、固定残業代が含まれている場合は、その分を除いたうえで基礎時給を算出します。たとえば、月額50万円のうち固定残業代が10万円(30時間分)であれば、基礎賃金は40万円となり、基礎時給は40万円÷160時間=2,500円です。ある月に45時間の時間外労働をした場合、固定残業の30時間を超えた15時間分が追加の対象となり、2,500円×1.25×15時間=46,875円を別途請求できます。
また、1か月に60時間を超える時間外労働については、割増率は50%以上に引き上げられます。そのため、長時間残業が常態化している場合は、25%で一律に計算してしまうのではなく、月60時間超の部分がないかを必ず確認しましょう。
未払いの残業代を会社に請求する場合は、以下の手順を踏みましょう。
以下では、未払い残業代を請求する際の基本的な進め方を順に解説します。
未払い残業代を請求するうえで、まず着手すべきなのは証拠の確保です。
残業代請求では、会社に対して「実際に何時間働いたのか」「どのような賃金が支払われていたのか」を示す必要があるため、勤務実態と給与実態の両方がわかる資料を集めておくことが重要です。会社が労働時間を正確に管理していない場合でも、客観的な記録や日常的に残っているデータの積み重ねが、後の交渉や裁判で有力な資料になることがあります。
勤務実態がわかる証拠としては、たとえば次のようなものが考えられます。
これらは複数を組み合わせることで労働時間の裏づけとして強力な証拠になります。後から、証拠を集めることが難しくなってしまうことも多いので、自分で取得可能な資料はできるだけ速やかに手元に保存しておくことが重要です。
証拠を集めたら、次は実際の勤務時間を整理し、未払い残業代の概算を出しましょう。
ここでは、始業・終業時刻、休憩時間、法定休日の出勤有無、深夜労働の有無などを日ごとに整理し、法定労働時間を超えた部分を洗い出していきます。
年俸制の場合は、まず残業代計算の基礎になる賃金額を確認し、賞与やボーナスとして除外すべき部分があるか、固定残業代が含まれているかなどを見極めたうえで、1時間あたりの基礎賃金を出す必要があります。そのうえで、法定外残業、深夜、法定休日ごとに割増率を当てはめて概算額を把握していきます。
この段階では「月あたりの残業時間×基礎時給×割増率」で月単位の残業代を出し、それを対象月数分合算する程度で十分です。厳密に計算するのではなく概算を算出することを意識しましょう。「毎月どの程度の未払いがありそうか」「時効となる3年分まで請求するとどの程度になるか」といった目安がわかれば、会社との交渉方針や弁護士への相談の必要性も判断しやすくなるでしょう。
未払い額の概算がまとまったら、会社に対して残業代請求の通知書を送付します。
在職中であれば残業代請求書として、退職を予定している場合には退職届とあわせて送る形にすることもあります。通知書には、以下のような項目を盛り込みましょう。
口頭や電話だけで済ませると、後から「そのような請求は受けていない」と争われるおそれがあります。そのため、内容証明郵便など、送付の事実と内容が残る方法を使うことが有効です。
通知書を送付した後は、会社との交渉に入ります。会社が認めれば未払い分が支払われて解決することもあります。
しかし、実際には「年俸制だから残業代はない」「固定残業代で全て支払い済み」などと反論されるケースも少なくありません。その場合は、契約書や勤怠資料を踏まえて、会社の主張が法的に成り立つのかを個別に検討しながら交渉を進める必要があります。
話し合いで解決できないときは、「労働審判」または「訴訟」といった裁判所の手続を利用することになります。
| 手続き名 | 概要 |
| 労働審判 | ・裁判官1人と労働審判員2人で構成される委員会が当事者間に入り、話し合いによる解決を試みる ・原則として3回以内の期日で解決を目指すため、訴訟よりも迅速な解決が期待しやすい |
| 訴訟 | ・裁判所が証拠や主張を詳しく審理し、最終的に判決で結論を示す正式な裁判手続 ・争点が複雑な場合や、会社が強く争う姿勢を見せる場合には訴訟に進むこともある。 |
また、未払い残業代請求では、一定の場合に裁判所が付加金の支払いを命じることもあります。付加金とは、会社が割増賃金などを支払っていなかった場合に、裁判所が未払額と同額の追加金銭の支払いを命じることができる制度です。裁判所は、未払割増賃金等と同一額の付加金の支払いを命ずることができると労働基準法114条によって定められています。
たとえば、未払い残業代が100万円の場合、さらに100万円の付加金が上乗せされ、合計200万円の支払いが命じられる可能性があります。
実際にどの手続を選ぶべきかは、請求額、証拠の強さ、会社の対応姿勢、退職済みかどうかなどによって変わります。判断に迷った場合は、まず弁護士に相談して方針を決めるのが確実です。

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未払い残業代を請求するときは、「本当に請求できるのか」だけでなく、「どう進めるのが現実的か」「どのタイミングで動くべきか」まで見据えることが大切です。
以下では、未払い残業代請求を進める際に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
未払い残業代の問題で迷ったときは、できるだけ早い段階で弁護士や労働基準監督署などの外部機関に相談することが大切です。特に以下のいずれかに当てはまるような場合は、残業代を請求できる可能性が高いため、早急に相談することをおすすめします。
特に年俸制の事案では、固定残業代が有効か、賞与部分を基礎賃金に含めるべきかなど、問題が複雑になりやすく、自己判断では見落としが生じることがあります。
弁護士に相談すれば、請求の見通しや必要な証拠、通知書の作成方法、交渉や労働審判に進んだ場合の戦略まで、具体的な助言を受けやすくなるでしょう。
また、労働基準監督署(労基署)や総合労働相談コーナーは、無料で相談できる公的窓口として有用です。
労基署は、残業代未払いなど労働基準法違反の疑いがある場合に、会社への監督指導や是正勧告につながる可能性がある窓口です。
総合労働相談コーナーは、解雇・賃金・ハラスメントなど幅広い労働問題について、まず事情を整理しながら相談できる窓口です。どこに相談すべきか迷う場合の入口としても活用しやすいでしょう。
まずは公的窓口で全体像を把握し、必要に応じて弁護士へ相談するのもおすすめです。

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未払い残業代の請求は、労働者に認められた正当な権利です。もっとも、実際に進めるにあたっては、一定の負担や注意点があることも理解しておく必要があります。
たとえば、主なデメリットとしては次のような点が挙げられます。
もっとも、こうした負担があるからといって、残業代請求をあきらめる必要はありません。
重要なのは、あらかじめ想定されるデメリットを理解したうえで、ひとりで抱え込まずに適切な相談先を活用することです。特に、退職を考えている場合や未払い額が大きい場合は、早い段階で弁護士に相談したほうが、結果として負担を抑えられるでしょう。
未払い残業代請求で特に注意したいのが時効です。
未払い残業代の請求権は、発生から3年で時効を迎えるため、長く放置すると古い分から請求できなくなるおそれがあります(労働基準法115条)。
つまり、残業代も放置していると、古い分から順に請求できなくなるおそれがあります。毎月未払いが発生している場合でも、一括して永遠に請求できるわけではなく、請求のタイミングが遅れるほど回収できる範囲が狭くなるのです。
そのため、退職してからまとめて請求しようと先延ばしにしてしまうのは危険です。
ただし、内容証明郵便で支払いを求める通知を送れば、一時的に時効の進行を止めることもできます(ただし催告から6ヶ月以内に訴訟等の手続を取る必要があります)。これらの法的な手続きを確実に進めるには専門知識が求められるため、消滅時効が近いと感じたらまずは早急に弁護士へ相談するのが安全です。
以下では、年俸制の残業代についてよくある疑問をQ&A形式でまとめました。未払いの残業代について悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
契約書に「固定残業代込み」と書かれているだけで、ただちに追加の残業代を受け取れなくなるわけではありません。
固定残業代が有効といえるためには、以下の3つすべてが雇用契約書や賃金規定などに明記されている必要があります。
たとえば、「基本給30万円(固定残業代を除く)、固定残業代5万円(月30時間分)、30時間を超える時間外労働分は別途支給する」 といった記載は、有効性が認められやすい記載例です。これに対し、「年俸に残業代を含む」「営業手当の一部は残業代とする」 など、時間数や金額の内訳が明確ではない記載は、固定残業代としては無効と判断され、法律に則った残業代を請求できる余地があります。
そのため、契約書に「固定残業代込み」と書かれていても、すぐに請求をあきらめる必要はありません。まずは、基本給と固定残業代が分かれているか、対象時間数が明示されているか、超過分の支払いについて書かれているかの3点を確認することが大切です。
【参考】
固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。
管理職だから残業代が出ないとは限りません。法律上、残業代の対象外となるのは、役職名のある人ではなく、労働基準法上の管理監督者にあたる人です。
課長や店長、マネージャーといった肩書があっても、権限や待遇の実態が管理監督者にあたらない場合は、残業代を請求できる可能性があります。
また、仮に管理監督者にあたる場合でも、深夜労働(22時〜翌5時)の割増賃金は支給されます。 そのため、「管理職なので一切残業代は出ない」と説明されていても、実際には請求できるケースが多いのが事実といえるでしょう。
【参考】
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために
未払い残業代を請求したことで、「解雇されるのではないか」「減給や嫌がらせを受けるのではないか」と不安に感じる人は少なくありません。特に在職中に請求する場合、会社との関係悪化を心配して、請求をためらってしまうこともあるでしょう。
しかし、残業代の請求自体は労働者の正当な権利行使です。残業代を請求したことだけを理由に解雇や減給などの不当な扱いをした場合、会社側の行為が違法と判断される可能性は十分にあるでしょう。また、未払い残業代などの労基法違反を労基署に申告したことを理由に、会社が解雇その他の不利益取扱いをすることは、労働基準法104条2項で禁止されています。
もっとも、現実には、請求後に職場での対応が冷たくなったり、配置や評価をめぐって不安を感じたりするケースがあり得ます。そのため、不利益な扱いが心配な場合ほど、給与明細や勤怠記録、会社とのやり取りなどの証拠を確保したうえで、早めに弁護士や労基署などに相談することが大切です。
年俸制の残業代トラブルは、会社側の説明が本当に適法なのかを見極める必要があり、一般の人にとって判断が難しい場面が多いのが実情です。
誤った理解のまま会社と交渉してしまうと、本来受け取れるはずの残業代を見逃してしまったり、不利な条件で話をまとめてしまったりするおそれもあります。
労働弁護士コンパスでは、未払い残業代請求や労働トラブルに注力する弁護士を探すことが可能です。労働問題に詳しい弁護士へ早い段階で相談すれば、自分のケースで残業代を請求できる可能性があるのか、どのような証拠を集めるべきか、会社への通知や交渉をどう進めるべきかといった点を具体的に整理しやすくなります。
未払い残業代の問題をひとりで抱え込まず、適切なサポートを受けながら解決を目指したい方は、専門家への相談を検討してみてください。

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年俸制は、1年間の賃金総額をあらかじめ定める給与体系にすぎず、それだけで残業代が発生しなくなるわけではありません。法定労働時間を超えて働いた場合には、原則として残業代が発生します。
もっとも、固定残業代の定めが有効に設けられている場合や、適法な裁量労働制が採用されている場合、労働基準法上の管理監督者に当たる場合などには、例外的に通常の残業代が発生しないことがあるので注意しましょう。
また、年俸制の残業代を正しく判断するには、年俸の中に賞与や固定残業代が含まれているか、役職名ではなく実態として管理監督者に当たるかなど、契約内容と働き方の両面から確認することが重要です。
年俸制の残業代トラブルは法的な争点が複雑になりやすく、会社側と適切にやり取りするには専門的な知識が求められます。「自分も請求できるかもしれない」「会社の説明が本当に正しいのかわからない」と少しでも感じたら、早めに労働問題に詳しい弁護士へ相談し、自分の権利を守りましょう。
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