
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
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2025/06/18
給与未払い・減額
基本給を下げられてしまい困っていませんか?
お給料は生活をしていく糧になるものであり、とくに基本給となると簡単に下げることができないのではないかと感じる方も多いですよね。
結論としては、基本給であっても、下がる場合がないというわけではありません。
基本給であっても法的な理由があれば下がってしまうことがあります。
基本給が下がるのが違法となるケースとして多いのは法的理由のない減額です。その他にも減額幅が大きすぎることによって違法となる場合などもあります。
基本給の減額については、何日前までに事前の告知をしなければいけないという明確なルールがあるわけではありません。
当然ではありますが、労働者側は、基本給が下がることによるメリットはほとんどなく、デメリットばかりとなります。
基本給が下がった場合には、生活と権利を守るために、労働者自身が行動をしていく必要があります。
実は、中小企業の中には法律をよく理解していない会社もあり、法律上は許されない場合であっても、勝手に基本給を下げる会社が少なくなりません。
この記事をとおして、基本給を下げられてしまった方に知っておいていただきたい知識やノウハウをわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、基本給が下がることあるかについて、4つの理由と告知なしの減額や違法なケースを解説していきます。
具体的には、以下のことを説明していきます。
この記事を読めば、基本を下げられてしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
基本給であっても、下がる場合がないというわけではありません。
法律上の理由があれば、基本給であっても下げることができる場合があるためです。
例えば、これまで30万円の基本給をもらっていた場合であっても、来月から基本給が28万円になってしまうというような場合もあります。
ただし、基本給は、お給料の中で一番大切な部分であり、労働者としても安定して支給してもらえると考えている部分となります。
そのため、手当などに比べて簡単に減額することはできない性質の給料となっています。
このように基本給だから下がることがないというわけではありませんが、理由もなく簡単に減額することは許されないのです。
基本給であっても法的な理由があれば下がってしまうことがあります。
法律上、基本給を下げることが禁止されているというわけではないためです。
例えば、基本給が下がる理由としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
基本給が下がる理由の1つ目は、人事評価です。
就業規則などで人事評価の条項が定められているような場合には、これに基づいて減額の査定をされてしまうことがあります。
例えば、毎年4月に人事評価を行い、当該評価をもって給料の査定を行うとされているような場合です。
評価が悪いと現在の給料ランクから下がってしまい、基本給が減ってしまうというようなことがあります。
ただし、人事評価が不合理な場合などには、減額は無効となる可能性があります。
基本給が下がる理由の2つ目は、異動です。
業務内容ごとに給与テーブルが定められているような会社の場合には、異動により業務が変わったことで基本給も変わってしまうことがあります。
例えば、営業部からマーケティング部に異動になるような場合において、営業部とマーケティング部でそれぞれ給与テーブルが異なっていたとしましょう。
そうすると、異動後はマーケティング部の給与テーブルに従うことになる結果、基本給が下がってしまうということがあります。
ただし、異動が無効な場合や異動と給与が必ずしも関連していない場合などには、減額が無効となることがあります。
基本給が下がる理由の3つ目は、給与テーブルの変更です。
会社が給与テーブルを作成していて、その給与テーブルに従い基本給金額決まっているような場合には、給与テーブルが変わることで基本給が下がることがあります。
例えば、あなたがM2というランクで採用されて、これまで、給与テーブル上、M2のランクの基本給が30万円とされていたとしましょう。
しかし、会社が給与テーブルを変更し、M2のランクの基本給を28万円に減額したとします。
そうすると、あなたのお給料も給与テーブルに従い28万円になってしまいます。
ただし、給与テーブルを労働者に不利益に変更することについては、合理性がなければ無効とされることがあります。
基本給が下がる理由の4つ目は、欠勤です。
労働者が基本給をもらうことができるのは、労働を行うからです。働いていない日については、お給料は発生しないのが原則です。
例えば、土日が休みで、平日が所定就労日の会社において、風邪を引き所定就労日である平日に1日欠勤したとしましょう。
そうすると1日分の給料が発生しないことになります、その月にもらえる基本給の金額も減ることになります。
ただし、働けない原因が会社側にある場合には、労働をしていない日についても給料を請求できる可能性があります。
基本給が下がる場合には、違法となることがあります。
基本給については、労働者の生活の糧となる大切なものです。法律上も、会社側が基本給を下げることが許されない場合があるのです。
例えば、基本給を下げることが違法となるケースとしては、以下の3つがあります。
それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。
基本給が下がるのが違法となるケースの1つ目は、法的理由のない減額です。
基本給の金額は雇用契約の内容となっていますので、法的な理由なく一方的に減額を行うことはできません。
例えば、社長の一存で下げたいから基本給を下げると言ったことはできないのです。
何も法的な理由のないような場合には基本給の減額は違法となります。
基本給が下がるのが違法となるケースの2つ目は、大きな金額の減額です。
基本給の減額について法的な理由がある場合であっても、その減額幅が大きすぎる場合には濫用として違法となることがあります。
例えば、基本給を50%減額するような場合などには、法的な理由があったとしても、生活への悪影響が大きすぎて違法となることもあるでしょう。
基本給が下がるのが違法となるケースの3つ目は、会社側の原因で出勤できないことによる減額です。
働かなければお給料が支払われないのが原則です。しかし、会社側の原因で働くことができなかった場合には、例外となります。
例えば、会社側が嫌いな労働者を孤立させるために仕事を与えず、家で待っているようにと指示したような場合です。
このような場合には、働くことができなかった原因は会社側にあることになりますので、基本給は全額払われることになります。
事前の告知なしで突然基本給が下げられてしまうこともあります。
基本給の減額については、何日前までに事前の告知をしなければいけないという明確なルールがあるわけではないためです。
例えば、末日締め翌月25日払いの会社において、5月末に6月分以降のお給料から減額になる旨を告知しても、そのことから直ちに違法になるとはいえません。
ただし、労働者に対して減額を告知していない場合には、そもそも減額の根拠となる法的な理由が存在しないとされる可能性があります。
また、労働者に何ら事前の説明せずに給与テーブルを不利益に変更するような場合には、合理性が否定されやすく、無効と判断されやすいです。
当然ではありますが、労働者側は、基本給が下がることによるメリットはほとんどなく、デメリットばかりとなります。
もらえるお給料の金額が少なくなる以上、労働者にとって良いことはあまりないのです。
例えば、基本給が下がるメリットとデメリットを整理すると以下のとおりです。
強いてメリットを上げるとすれば減額された金額や月給、年収次第では、社会保険料が安くなる可能性があります。
これに対して、デメリットとして、基本給を下げられる以上、月給が減ることになります。
また、賞与や退職金についても、基本給をベースに算定されることが多いため、減ることがあります。
更に、転職の際にも、現在の年収を参考にして給料金額が決められることも多いため、条件が悪くなってしまいがちです。
このように基本給が下げられても労働者にとって良いことなどほとんどありません。
基本給が下がった場合には、生活と権利を守るために、労働者自身が行動をしていく必要があります。
会社は基本給の減額が有効であることを前提に手続を進めてしまいますので、労働者が行動を起こさなければ、減額された基本給を取り戻すことはできないためです。
具体的には、基本給が下がった場合の対処法は以下のとおりです。
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
基本給が下がった場合の対処法の1つ目は、弁護士に相談することです。
基本給の減額が不当かどうかは法的な事項であり、まずは見通しについて弁護士に助言してもらうべきだからです。
弁護士に相談することで、いつ頃、どのような手続をとればいいのか、費用倒れにならないかなどについて、丁寧に助言してもらうことができるためです。
ただし、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、給料の減額の事例への実績のある弁護士を探すといいでしょう。
基本給が下がった場合の対処法の2つ目は、減額に同意していない証拠を残すことです。
会社は、労働者が何も言わないでいると、労働者自身が給料の減額に同意していたなどの主張をしてくることがあるためです。
例えば、メールやチャットで「基本給の減額には同意できない」、「基本給の減額に不満がある」などと伝えておくことが考えられます。
また、面談で基本給の減額に不満がある旨を告げておき、録音をしておくことも考えられます。
基本給が下がった場合の対処法の3つ目は、遡って差額を請求することです。
未払い給料の時効は3年となっており、不当な減額により未払いとなっている基本給については時効にかかっていない範囲で遡って請求することができます。
退職後に未払いの給料の差額を請求することも可能です。
例えば、基本給を5万円下げられた方が3年分の基本給を遡って請求する場合には、5万円×36か月=180万円を請求することになります。
このように基本給を不当に下げられてしまった場合には、遡って給料の差額を請求するようにしましょう。
話し合いにより示談が成立する場合には、早期に少ない負担で良い解決をできる可能性があります。
基本給が下がった場合の対処法の4つ目は、労働審判・訴訟を申し立てることです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判とは、全3回の期日の中で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には裁判所が審判を下します。早期に実態に即した解決をすることが期待できます。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
ただし、審判には労働者も会社も異議を出すことができ、いずれかが異議を出したら通常の訴訟に移行します。
訴訟については、期日の回数の制限などはとくになく、月1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことが多いです。解決まで1年以上要する傾向にあります。
基本給が下がる際によくある疑問としては、以下の5つがあります。
これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A.基本給が下がり手当が上がる場合について、法的な理由のない場合に違法となるのは手当が上がらないケースと同様です。
これに対して、給与テーブルの変更等の法的理由がある場合には、基本給が下がっているだけではなく、手当が上がっている場合には、不合理とは言えないことがあります。
減額金額や増額金額の幅等にもよりますが、基本給を減額されるだけの場合に比べて、労働者へ絵の不利益が小さいとされる可能性があるためです。
A.ライフプラン手当とは、基本給等の給料の一部を確定拠出年金などに充てる場合に用いられる手当の名称です。
基本給の一部をライフプラン手当に充てるような場合には、その分、基本給の金額が下がってしまう可能性があります。
基本給が下がることにより、賞与や退職金の金額にも影響する可能性がありますので注意が必要です。
A.育休明けであっても、通常、基本給は下がりません。
育休の取得を理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されているためです。
ただし、育休中にこれまでのポジションが埋まってしまい、他のポジションに異動になるような場合には、基本給が変わる可能性もないわけではありません。
A.退職時に有給休暇を取得した場合には、基本給が下がるかどうかは有給休暇の取り扱い次第です。
有給休暇を取得した場合の賃金の算定方法は、出勤した場合と同様に扱うほかにも、平均賃金により算定する方法等もあるためです。
出勤したものと取り扱い計算するような場合には、退職時に有給休暇を取得した場合でも基本給は下がらないことになります。
A.55歳を過ぎたことを理由に当然に基本給の減額が許されるわけではありません。
ただし、会社の定める給与制度によっては、役職定年などにより基本給が下がる可能性もあります。
基本給の減額に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、基本給が下がることあるかについて、4つの理由と告知なしの減額や違法なケースを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が基本給を下げられてしまい困っている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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鈴木晶
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籾山善臣
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