
2025年2月22日
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2025/06/28
労働災害
労災申請をしてほしいのに会社に対応してもらうことができず悩んでいませんか?
なぜ会社が協力的ではないのかよくわからず困っている方もいますよね。
労災申請の際、会社は手続きについて助力し、事業主として証明を行わなければいけません。
しかし、会社は、労災と認定された場合に一定のリスクがあるため、労災申請を嫌がることが少なくありません。
会社は、労災を認めないために様々な言い分を述べて、労災の申請への協力を拒否しようとするのです。
もし、会社が労災申請への協力を拒否する場合でも、諦める必要はありません。
実は、会社が拒否する場合でも、労働者自身で労災の申請を行うことができるのです。
労災の申請の際に労働者自身で丁寧に事実関係を説明していくことができれば、適切な認定をしてもらうことができる可能性も高まることになります。
この記事をとおして、労災申請への対応が悪い会社側の思惑と労働者がどのように対処していけばいいのかをわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、労災申請で会社の対応が悪い場合について、会社が嫌がる理由2つを説明したうえで、労災申請を拒否された場合の対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、労災申請をしてほしいのに会社に対応してもらえない場合にはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
労災申請の際、会社は手続きについて助力し、事業主として証明を行わなければいけません。
前提として、労災を申請するのは、労働者本人であり、会社ではありません。
もっとも、労働者が事故のため自分で労災申請を行うことが難しい状況である場合には、会社は手続を行うことができるよう助力しなければいけないとされています。
また、労災の申請書には、事業主証明欄と言う箇所があり、会社が「負傷又は発病年月日」等を証明することになっています。
(出典:主要様式ダウンロードコーナー (労災保険給付関係主要様式)|厚生労働省)
このように労災の申請については、労働者自身が行うものですが、会社も助力や証明等の一定の対応をしなければいけないのです。
しかし、会社が素直に労災申請に対応してくれないことがあり、このような場合には労災申請がスムーズにいかないことがあります。
労災申請を会社が嫌がるのには、理由があります。
労災の認定がされてしまうことによって、会社に不利益が生じてしまうことがあり、会社はこれを避けようとしているのです。
具体的には、会社が労災申請を嫌がる理由としては、以下の2つがあります。
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
労災申請を会社が嫌がる理由の1つ目は、損害賠償請求のリスクがあるためです。
労災と認定された場合には、裁判でも業務に起因して労働者が負傷したり、疾病を発症したりしたと判断される可能性が高くなります。
労災と認められた場合でも、労災保険によりすべての損害が補償されるわけではありません。
例えば、休業損害は一部しか補償されませんし、慰謝料は全く補償されません。
そのため、通常、労働者は労災が認定された後は、労基署に対して、調査資料一式の開示を求めたうえで、会社に不足分の損害の賠償を請求します。
会社は損害賠償請求に発展すると多額の支払いをしなければいけなくなる可能性があり、これを避けようとするのです。
労災申請を会社が嫌がる理由の2つ目は、労災保険料が上がるためです。
労災保険では、メリット制が設けられていることがあります。
労災保険のメリット制とは、事業場での労災の発生状況に応じて保険料や保険料率が調整される制度です。
つまり、労災の発生件数が多いと、会社の労災保険料も増加してしまうということになります。
そのため、会社は労災保険料が増額されると負担になるため、労災申請を嫌がるのです。
労災を会社が認めない言い分としては様々です。
法律上、労災と認められるためには、いくつかの条件を満たしている必要があるためです。
例えば、労災を会社が認めない言い分として、よくあるものを3つ挙げると以下のとおりです。
それでは、これらの言い分について順番に説明していきます。
労災を会社が認めない言い分の1つ目は、精神疾患が生じていないというものです。
負傷と異なり精神の疾患だと、会社側から具体的な症状や状況が分かりにくいため、その発祥の有無から争いになることがあります。
例えば、うつ病や適応障害などについて、労働者が診断書を取得していた場合でも、診断書のみでは精神疾患の発症と認めてもらえない場合もあります。
産業医との面談も受けるようにと指示されるケースも少なくありません。
このように精神疾患については、そもそも発症していないとして争いになることもあるのです。
労災を会社が認めない言い分の2つ目は、業務起因性がないというものです。
負傷や疾病については、業務以外の理由によるものであるため、私傷病であるとの言い分となります。
例えば、負傷の場合であれば、就業時間外に業務とは関係なく怪我をした場合です。
精神疾患であれば、業務中に強い心理的負荷が生じたといえるような出来事がなかったり、プライベートで強い心理的負荷が生じるような出来事があったりした場合です。
とくに精神疾患だと業務起因性の認定に一定のハードルがありますので、この点が争いになることが非常に多くなっています。
労災を会社が認めない言い分の3つ目は、労働者でないというものです。
労働者ではないとして、労災保険の対象にならない場合があります。
例えば、業務委託や請負として、指揮監督を受けずに業務を行っている場合などです。
このように雇用契約により働いているわけではない場合には、労働者ではないとの言い分で、会社に労災と認めてもらえないことがあります。
もし、会社が労災申請への協力を拒否する場合でも、諦める必要はありません。
労災申請は会社が協力しない場合でも、労働者が行うことができるためです。
具体的には、労災を会社が拒否する場合には、以下の手順で対処しましょう。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
労災を会社が拒否する場合の対処手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
労災の見通しや手続の流れ、申請する際のポイントなどについて助言をしてもらうといいでしょう。
労災において適切な判断をしてもらうためには、労働者に有利な事情を労基署に説得的に説明していく必要があります。
ただし、労災については専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、労災事件の実績のある弁護士を探すといいでしょう。
労災を会社が拒否する場合の対処手順の2つ目は、書面で協力と証明を求めることです。
労災の申請書には事業主証明欄があり、事業主の証明がない場合には、労基署に証明をしてもらえない経緯を説明する必要があります。
そのため、書面などの形に残る方法で協力を求めることにより、証明を得られなかった経緯を労基署に説明できるようにしておきましょう。
労災を会社が拒否する場合の対処手順の3つ目は、労災の申請をすることです。
労災の申請は労働者本人で行うものとなりますので、様式に必要事項を記入しましょう。
インターネットからダウンロードすることができますし、労基署で様式を受け取る方法もあります。
また、必要に応じて、意見書や証拠などを添付することが考えられます。弁護士にサポートしてもらうことがおすすめです。
労災を会社が拒否する場合の対処手順の4つ目は、労基署の調査に協力をすることです。
労災を申請したら、労基署は、会社や労働者、関係者に対して、調査を行うことになります。
ヒアリングに呼ばれることもありますので、協力するようにしましょう。
ポイントを理解したうえで、有利な事実関係については積極的に伝えていくようにしましょう。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、労災申請で会社の対応が悪い場合について、会社が嫌がる理由2つを説明したうえで、労災申請を拒否された場合の対処法を解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が労災申請をしてほしいのに会社に対応してもらうことができず悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
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