2025年3月8日
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2025/10/30
残業代


残業代の未払いを労働基準監督署に相談したいと悩んでいませんか?
あなたが苦労して残業をしたのに会社側が残業代を払わなければ不満に感じますよね。
残業代の未払いは、労働基準監督署に相談することができます。これは退職後でも同様です。
労働基準監督署への相談であれば、費用はかからないというメリットがあります
ただし、労働基準監督署の是正指導には強制力がなく、法的な争点があると動いてもらえないことがあり、残業代について必ずしもあなたに有利に計算してもらえるとは限らないというデメリットがあります。
残業代の未払いについて労働基準監督署に相談したいと考えている場合には、失敗しないためにいくつか注しておいてほしい点があります。
労働基準監督署に相談しても動いてもらえない場合には、法的手続きを進めていくことも検討しましょう。
もし、残業代の金額が50万円を超えるような場合には、労働基準監督署に相談する前に、一度弁護士に相談して対応を助言してもらうことをおすすめします。
実は、残業代はその計算方法により金額は大きく変わってきますし、会社はできる限り残業代の金額を下げようと様々な法的主張をしてきます。
労働者が対等な立場で適正な残業代を回収するためには、法律や判例の正しい知識が必要になってくるのです。
この記事をとおして、残業代の未払いを労働基準監督署に相談したいと考えている方に是非知っておいていただきたい知識やノウハウを分かりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、残業代の未払いは労働基準監督署に相談できることを説明したうえで、労基署のデメリットや注意点3つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、残業代の未払いを労働基準監督署に相談したいと感じた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
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残業代の未払いは、労働基準監督署に相談することができます。
労働基準監督署は、労働基準法等の法令に違反する問題を監督しており、調査や是正指導をしているためです。
残業代の支払いは労働基準法37条により規定された会社の義務ですので、残業代の未払いは労働基準法違反となります。
例えば、「毎月40時間も残業しているのに、1円も残業代が支払われていない」といったケースでは、会社に対して是正を促すよう動いてくれることがあります。
会社が法律を守っていないと判断されれば、改善の指導がなされる可能性があります。
残業代をきちんと払ってもらうためには、まず労働基準監督署に相談するという選択肢があることを覚えておきましょう。
労働基準監督署は全国に321所ありますので、相談の際には管轄の労働基準監督署を探しましょう。
退職した後でも、残業代の未払いについて労働基準監督署に相談することは可能です。
会社に在籍していなくても、働いていた当時の未払い分について相談できます。
なぜなら、労働基準法は退職した労働者も守っており、未払い賃金の請求権は退職によって消えるわけではないからです。
労働基準監督署も、在職中か退職後かを問わず、違法な未払いがあれば調査や是正指導の対象とします。
例えば、「半年前に退職した会社で残業代が払われなかった」といった場合でも、タイムカードや給与明細などの証拠があれば、労働基準監督署に相談することで動いてもらえることがあります。
相談内容が具体的で証拠がそろっていれば、監督官が元の会社に事情を確認し、支払いを促してくれるケースもあります。
このように、退職後であっても残業代の未払いをあきらめる必要はありません。
労働基準監督署は残業代の未払いについて相談できる便利な窓口です。
ですが、実際に相談する前に、良い面と悪い面の両方を知っておくことが大切です。
なぜなら、労基署は民間の弁護士と違い、法律上できることに限りがあるため、すべてのトラブルを解決してくれるとは限らないためです。
思っていたように動いてもらえなかった、ということも起こり得ます。
残業代の未払いを労働基準監督署に相談するメリットとデメリットを整理すると以下のとおりです。

それでは、各ポイントについて順番に見ていきましょう。
労働基準監督署に相談する最大のメリットは、費用がかからないという点です。誰でも無料で相談できます。
これは、労基署が厚生労働省の一部門であり、労働者の権利を守るために設置された行政機関だからです。
相談するためにお金を払う必要もなければ、調査や是正指導をしてもらっても費用は発生しません。
例えば、費用を全くかけずに数万円の残業代を取り戻すようなことが出来る場合もあるのです。
お金の心配をせずに相談できるのは、特に経済的に不安定な退職後の労働者にとって大きな助けになります。
労働基準監督署の是正指導には、法的な強制力がありません。
つまり、会社が従わなかった場合に、無理やり支払わせることはできないのです。
これは、労基署が裁判所とは異なり、是正指導という形で会社に改善を促すことができるにすぎず、会社の財産を差し押さえるような権限はないためです。
従わない企業に対して罰則が科されるのはまれで、多くの場合は「お願いベース」にとどまります。
例えば、労基署が「残業代を支払いなさい」と会社に伝えても、会社側が「払わない」と突っぱねてしまえば、それ以上の強制的な手段はとれないこともあります。
そのため、労基署に相談すれば必ず解決する、というわけではないことを理解しておく必要があります。
残業代の未払いに法律上の争点があると、労働基準監督署は動いてくれないことがあります。
法的争点については司法機関である裁判所で判断すべき事項であり、労働基準監督署では判断が難しいことがあるためです。
例えば、固定残業代の制度の有効性が争点となったり、そもそも「その時間は労働時間なのか」が争点になったりしている場合には、労基署が判断を避ける傾向があります。
これは、労基署が「白黒つけにくいケース」については、当事者同士の話し合いや裁判を通じて解決するべきだと考えているからです。
労働基準監督署は、あくまで明らかな違法行為に対して動くのが基本です。
このように、複雑な法的判断が必要になるケースでは、労基署では対応できない可能性があることに注意が必要です。
労働基準監督署は、必ずしも労働者に有利な方法で残業代を計算してくれるわけではありません。
あくまで中立的な立場で対応するため、会社側の言い分も踏まえた結果、あなたが思っていたよりも少ない金額で整理されることがあります。
なぜなら、労基署は「最低限守らなければならない基準」をベースに対応しており、より有利な解釈や交渉による上乗せなどは基本的に行わないからです。
例えば、「毎月の残業が60時間だったのに、会社が提出した記録では30時間とされてしまった」という場合でも、証拠が不十分ならば会社側の主張が採用されることがあります。
適正な金額をしっかり取り戻すには、計算方法や証拠の出し方について専門的な知識が必要になる場合もあります。
残業代の未払いを労働基準監督署に相談することは有効な手段ですが、失敗しないためには事前に知っておくべき注意点があります。
こうした点を知らずに相談をしてしまうと、せっかくの相談が無駄になってしまうリスクもあるため、ポイントを押さえてから行動するようにしましょう。
例えば、残業代の未払いを労働基準監督署に相談する際の注意点としては、以下の3つがあります。

それでは、それぞれの注意点について順番に見ていきましょう。
残業代の未払いを相談する際は、電話やメールよりも直接、労働基準監督署に出向いて相談する方が確実です。
対面での相談の方が、事実関係を正確に伝えやすく、担当者にしっかり話を聞いてもらえる可能性が高まります。
なぜなら、電話やメールでは情報が断片的になったり、対応が後回しにされたりすることがあるからです。
直接出向いて説明すれば、より具体的に状況を伝えることができ、労基署側の理解も深まります。
例えば、「毎日2時間残業していたが、残業代が払われていない」という相談を電話で伝えたとしても、勤務内容や会社の対応まで細かく伝えきるのは難しいでしょう。
対面なら、その場で書類を見せながら説明することができ、話の行き違いも防げます。
しっかりとした対応をしてもらうためにも、できる限り直接訪問して相談することをおすすめします。
労働基準監督署に相談に行く前に、残業の証拠を集めておくことが非常に大切です。
証拠がなければ、労基署も動くことができません。
なぜなら、労基署は事実に基づいて会社に是正指導を行うため、証拠が不十分だと相談しても取り合ってもらえないことがあるからです。
客観的な資料がなければ、あなたの主張を裏付けることができません。
例えば、タイムカードのコピー、日報、業務のメール履歴、勤務シフト、給与明細などは有力な証拠になります。
自分で記録したメモでも、他の資料とあわせれば意味を持つことがあります。
確実に対応してもらうためには、こうした証拠を準備し、時系列でまとめてから相談に行くようにしましょう。
意外と知られていないのが、労基署に相談しても残業代の時効は止まらないという点です。
労基署に申告しただけでは、法律上の「時効のカウント」は進み続けてしまうのです。
労働基準監督署への申告が時効の中断(更新)事由とされていないためです。
労基署が動いている間に時効が来てしまい、本来請求できるはずだった分が請求できなくなる可能性もあります。
例えば、3年前の残業代が未払いだったとしても、何の手続きもせずに相談だけして時間が過ぎれば、その分が時効で消滅する恐れがあります。
時効を止めるには、会社への催告や訴訟・労働審判の申立てなど、正式な法的手続きが必要です。
相談に満足せず、時効管理を意識した対応を心がけましょう。
労働基準監督署に相談しても、必ずしも残業代を回収できるとは限りません。
労働基準監督署に相談しても動いてもらえない場合には、法的手続きを進めていくことも検討しましょう。
例えば、残業代の未払いで労働基準監督署が動いてくれない場合の対処法としては、以下の4つがあります。

それでは、順番に見ていきましょう。
まずは、残業代の回収について労働問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談すれば、あなたの状況に合った対応方法を具体的にアドバイスしてもらえます。
また、弁護士に依頼することで、あなたに代わり法的な手続きをしてもらうこともできるでしょう。
早い段階で弁護士に相談しておくことで、今後の対応に無駄がなくなり、より確実な回収につながります。
弁護士と相談したら、まずは会社に対して通知書を送るという方法があります。
通知書とは、「未払い残業代を払ってください」という内容を正式な文書で伝えるものです。
なぜなら、通知書を送ることで請求の意思を明確に示すことができ、催告として残業代の進行を一時的に止めることができます。
内容証明郵便で送れば、いつ誰に何を送ったかも記録に残せます。
例えば、「2023年4月から2024年3月までの残業代50万円を支払ってください」という内容を明記した通知書を送ります。
通知書を送ることは、交渉や法的手続きへの第一歩です。証拠や金額の根拠をしっかり整理してから作成しましょう。
通知書を送った後は、会社と直接交渉を行うことになります。
弁護士に依頼すれば、交渉も代理してもらえるため、精神的な負担も軽減されます。
なぜなら、労働者本人が会社と直接やり取りするのは簡単ではなく、法律の知識がないと会社に押し切られてしまう可能性があるからです。
弁護士が間に入ることで、冷静で法律的に正しい交渉が可能になります。
例えば、「会社は残業を認めていないが、タイムカードがある」といった場合、弁護士が証拠を精査し、会社に対して法的根拠をもとに支払いを求めてくれます。
交渉で解決できれば、裁判よりも早く負担も少なく済む可能性があります。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討しましょう。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。
解決まで1年以上を要することもあります。
残業代の未払いを取り戻すなら労働基準監督署ではなく弁護士がおすすめです。
弁護士に依頼することで、あなたに有利な形で残業代を回収できる可能性が高まり、精神的な負担も軽くなることも多いです。
例えば、残業代の未払いを取り戻すなら労基ではなく弁護士がおすすめの理由としては、以下の3つがあります。

それでは、順番に見ていきましょう。
弁護士に依頼すれば、最終的な差押えまで一貫して対応してもらえるという強みがあります。
会社が支払いに応じない場合でも、弁護士が裁判を起こし、判決や和解に基づいて差押え手続きを行うことができます。
これは、弁護士だけが法律上の代理人として強制執行まで対応できる資格を持っているためです。
労基署や本人では対応できない場面でも、弁護士なら手続きを進められます。
例えば、裁判で「残業代50万円を支払え」という判決が出ても、会社が払わなければ何も始まりません。
そうしたときに、弁護士が会社の預金口座などを差し押さえて強制的に支払わせることができます。
このように、最終的な解決まで責任をもって進めてもらえるのが、弁護士に依頼する大きなメリットです。
残業代の未払いには、複雑な法的な争点が絡むことが少なくありません。
労働基準監督署では、法的な争点となる部分については、判断を下すことができない場合があり、争点とならない明らかな違法部分のみしか指導してもらえないことがあります。
これに対して、弁護士であれば裁判例や法令をもとに、適切な判断をして主張を組み立て交渉、説得していくことが出来ます。
例えば、会社が「あなたは管理職だから残業代は出ない」と言ってきた場合でも、本当に法律上の管理監督者に該当するかどうかは法律上の判断が必要です。
会社側が固定残業代を払っていると言ってきた場合でも、固定残業代が法的に有効となるためには、いくつかの条件を見たいしている必要があります。
その他、早出部分は労働時間ではない、毎日1時間以上休憩を取っていたなど、様々な反論が出され争点となることが多いです。
弁護士に相談すれば、あなたにとって有利な形で残業代の金額を計算してもらえる可能性があります。
弁護士は、なるべくあなたに有利な金額となるよう裁判例や就業規則、賃金規程、賃金の性質、働き方を確認したうえで主張をしてくれるためです。
例えば、基礎賃金をいくらとするか、月平均所定労働時間を何時間とするか、どこからどこまでを労働時間とするかなどにより、金額は大きく変わってきます。
計算次第で残業代の金額が数百万円程度変わってくるようなことも珍しくないのです。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、残業代の未払いは労働基準監督署に相談できることを説明したうえで、労基署のデメリットや注意点3つを解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ
・残業代の未払いは、労働基準監督署に相談することができます。
・退職した後でも、残業代の未払いについて労働基準監督署に相談することは可能です。
・残業代の未払いを労働基準監督署に相談するメリットとデメリットを整理すると以下のとおりです。

・残業代の未払いを労働基準監督署に相談する際の注意点としては、以下の3つがあります。
注意点1:電話やメールではなく対面で相談する
注意点2:証拠を集めてから行く
注意点3:労基に伝えても時効が止まるわけではない
・残業代の未払いで労働基準監督署が動いてくれない場合の対処法としては、以下の4つがあります。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
・残業代の未払いを取り戻すなら労基ではなく弁護士がおすすめの理由としては、以下の3つがあります。
理由1:差押えまで代理してもらえる
理由2:法的な争点があっても対応できる
理由3:残業代を有利に計算してもらえる
この記事が残業代の未払いを労働基準監督署に相談したいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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