2025年3月8日
労働一般
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2025/12/20
退職勧奨


会社から退職勧奨されていて、退職合意書において会社都合であること明確にしておきたいと悩んでいませんか?
退職した後の生活を考えると少しでも有利に取り扱ってもらいたいと感じるのは当然のことですよね。
会社都合による退職合意書には、「甲と乙は、甲が、乙を令和●年●月●日付で、会社都合により、合意退職することを確認する」などの記載をしておきます。
退職勧奨により労働者が退職に応じる場合には、会社都合として処理するのが原則です。
労働者は、退職合意書に会社都合と記載しておくことにより、失業保険や社会保険について有利に取り扱ってもらうことができ、退職金の取り扱いが有利になることもあります。
ただし、退職合意書を作成する際に合意すべき事項は会社都合だけではなく、特別退職金やガーデンリーブなど労働者として獲得すべき条件は多岐にわたります。
会社都合についての交渉を先行させてしまうことにより、話し合いが労働者にとって有利に進まないこともあるため注意が必要です。
実は、退職合意書の条件は法的な交渉事項であり、会社は無知につけこんで労働者に不利な内容で提案してくることが少なくありません。
この記事をとおして、労働者が退職合意書の内容について会社と対等な立場で交渉できるように知っておいていただきたいことを誰でもわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、会社都合の退職合意書の雛型を紹介したうえで、メリット・デメリットと簡単な注意点4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、会社都合の退職合意書を作成する際にどのように進めればいいのかがよくわかるはずです。
目次
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会社都合により退職する際には、退職合意書に会社都合であることを明確に記載しておきましょう。
退職後に会社から、自己都合にチェックされた離職票が送られてきてトラブルになることが多いためです。
例えば、上記のテンプレートのように、「会社都合により」との文言を付しておくのが通常です。
トラブルにならないようにするために、離職票のどこにチェックするかまで合意しておくこともあります。
離職票の「4 事業主の働きかけによるもの」の「⑶ 希望退職の募集又は退職勧奨」の箇所の「その他」にチェックすることを確認しておくことなどがよくあります。
退職勧奨に応じて退職する場合は、基本的に会社都合として扱われます。
なぜなら、退職勧奨とは会社が労働者に退職を促す行為であり、労働者が自ら進んで辞めたいと申し出る「自己都合退職」とは性質が異なるからです。
例えば、ハローワークインターネットサービスでも、特定受給資格者の範囲に含まれる者として、「退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」が挙げられています。
(出典:ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要)
これに対して、会社側は、「退職勧奨に応じたら特別に会社都合にしてあげるよ」などと、あたかも特別な利益を提示しているかのように説得してくことがあります。
しかし、上記のとおり、退職勧奨の際に会社都合とすることは当たり前のことなので、会社側があなたに有利に取り計らっているというわけではないのです。
そのため、会社側の言っていることを鵜呑みにするのではなく、本当に退職に応じることが自分にとって有利なのか冷静に判断することが大切です。
退職合意書には、自己都合ではなく、会社都合と記載しておくことがおすすめです。
ただし、事案や状況、労働者の考え方次第では、会社都合ではなく、自己都合としたいという方もいるはずです。
退職合意書に会社都合と記載するメリット・デメリットを整理すると以下のとおりです。

それでは、これらを順番に説明していきますので、自己都合とするのが有利か、会社都合とするのが有利か検討してみましょう。
会社都合により退職する場合には、失業保険での取り扱いが有利になります。
早く受給することができ、失業保険の給付日数についても有利になります。


ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
会社都合退職の場合、国民健康保険料が軽減される制度があります。
国民健康保険料は、本来、前年の所得などにより算定されるのが通常です。
しかし、会社都合の退職であれば、前年の給与所得を30/100とみなして計算してもらうことができます。
軽減期間は、離職の翌日から翌年度末までとされていますが、当然、国民健康保険から脱退すると終了になります。
お住まいの区の役所などで申請する必要がありますので、忘れないように注意しましょう。
会社の退職金規程によっては、会社都合退職のほうが支給額が多くなる場合があります。
勤続年数や退職理由によって支給率が変わる仕組みを採用している会社では、自己都合と会社都合で数十万円以上の差がつくこともあります。
例えば、同じ勤続10年でも、自己都合は基本給の20か月分、会社都合は24か月分支給されるといった違いが設けられていることがあるのです。
転職の際の面接では、前職の退職理由を聞かれるのが通常です。
その際、会社都合と矛盾する説明をすることが難しくなってしまいます。
例えば、家族の介護の関係でより柔軟な働き方をしたくて転職したと言ったような説明だと、採用する側は一身上の都合で退職したと感じるでしょう。
後から雇用保険受給資格者証に記載されているコードから会社都合であることが分かると、採用面接の説明と整合していないと思われることがあります。
退職合意書では、会社都合の記載だけでなく、他にも重要な条件を取り決めておく必要があります。
なぜなら、退職後の金銭面や生活の自由、情報の取り扱いなどは、会社都合の一文だけでは守れないからです。
事前にきちんと取り決めておかないと、退職後に思わぬ不利益を受ける可能性があります。
例えば、退職合意書における会社都合以外の合意事項としては、以下のとおりです。
そこで、この章では会社都合以外で合意しておくべき主な項目を紹介します。
特別退職金とは、労働者が退職勧奨に応じる対価として、通常の退職金とは別に支払う金銭のことです。
特別退職金の相場は、賃金の3か月分~6か月分程度です。
ただし、交渉次第で1年分を超える特別退職金が支払われることもあります。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。
ガーデンリーブとは、最終出勤日から退職日までの就労免除期間のことです。
在籍して給与をもらいながら、転職活動に専念することができるため、キャリアや生活への不安が緩和されます。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
労働者は年次有給休暇をすべて消化したうえで退職したいと考えるのが通常です。
一方で、有給の買い取りとした方が、社会保険料が控除されず、労働者にとっても、会社にとっても有利になります。
また、労働者は、早く退職した方が、失業保険も早く受給できることになります。
そのため、会社は、労働者に対して、有給の買い取りを提示してくることがあるのです。
会社側は貸与品の返還を求める条項を入れてくることが多くなっています。例示されている物について期間内に返還できるか確認したうえで、合意するようにしましょう。
また、私物については、トラブルにならないよう最終出勤日までにすべて持ち帰るようにしておきましょう。
会社側は、退職合意書に口外禁止の条項を入れてくることが通常です。
特定の労働者にだけ有利な退職条件を提示したことが知られると、今後、他の従業員に対して退職勧奨を行う際に引き合いに出されかねないためです。
労働者としても、会社が口外しないことはメリットとなることもあります。
例えば、転職先の会社などにあなたが中々退職に応じてくれなくて困ったなどとの噂を流されることを防ぐことができます。
合意書には、お互い他に何も請求できないという条項を入れておくのが通常です。
合意後は、合意日までのことについて、労働者も会社に他の請求をすることができなくなりますが、会社も労働者に何も請求できなくなります。
これによって、法律関係が綺麗になったことが確認されます。
清算条項については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職合意書を作成するときは、十分に注意したうえで進めましょう。
退職合意書を作成した後は内容を変更することはできませんし、交渉の際の発言や態度によっても結果が大きく変わってしまうこともあるためです。
具体的には、退職合意書を作成する際の注意点としては、以下の4つがあります。
それでは、退職合意書を作成する際の注意点を順番に見ていきましょう。
会社から退職合意書の提示を受けても、その場で署名しないようにしましょう。
一度サインをしてしまうと、後から撤回することは容易ではありません。
また、会社側はサインがもらえた時点で目的を達成したと考えるため、それ以上の条件交渉は難しくなる傾向があります。
さらに、提示された文面をその場で正確に理解することは困難です。
「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせていただきます」とだけ答えて、持ち帰るようにしましょう。
会社が提示する退職合意書は、一方的に会社に有利な内容になっていることも多く、労働者に不利益となる条件が含まれている場合があります。
会社側は顧問弁護士に相談しながら進めていることが多く、労働者としても対等な立場で交渉していくためには弁護士からの助言を受けるべきです。
退職勧奨への対応については、法的な見通しに基づいて一貫した対応を行っていくことが成功の秘訣となります。
そのため、早い段階で一度弁護士に相談をすることがおすすめです。
退職合意書の交渉をする際には、発言や態様に十分に気を付けるようにしましょう。
会社は労働者の一挙手一投足を見ていますし、労働者の発言や態様によって結果が大きく変わってしまうことが多いためです。
退職自体は、退職届や退職合意書がなくても、労働者の高騰の発言や態度によっても成立してしまいます。
例えば、「退職自体は分かりました」「正直この会社で働き続けるのは難しいと感じている」「転職活動をしている」と言った発言により、交渉が難しくなってしまうこともあります。
退職合意書の条項を交渉する際には、まずは会社都合以外の特別退職金やガーデンリーブなどの条件から交渉していくのが通常です。
基本的な条件が整っていない段階で、会社都合退職としてくださいなどというとトラブルになってしまうことがあるためです。
例えば、会社は、労働者から、「会社都合退職としてください」との発言があったことをもって、退職処理を進めてしまうこともあります
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、会社都合の退職合意書の雛型を紹介したうえで、メリット・デメリットと簡単な注意点4つを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

まとめ
・会社都合の退職合意書の雛型は以下のとおりです。
・退職勧奨に応じて退職する場合は、基本的に会社都合として扱われます。
・退職合意書に会社都合と記載するメリット・デメリットを整理すると以下のとおりです。

・退職合意書における会社都合以外の合意事項としては、以下のとおりです。
合意事項1:特別退職金
合意事項2:ガーデンリーブ
合意事項3:有給の買い取り
合意事項4:貸与品や私物の返却
合意事項5:口外禁止
合意事項6:清算条項
・退職合意書を作成する際の注意点としては、以下の4つがあります。
注意点1:サインせず一度持ち帰る
注意点2:弁護士に相談する
注意点3:発言や態様に十分に気を付ける
注意点4:会社都合以外の部分を先に交渉する
この記事が会社から退職勧奨されていて、退職合意書において会社都合であること明確にしておきたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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