残業代未払いの罰則3つ!泣き寝入りにしないための簡単な対処法3つ

残業代未払いの罰則3つ!泣き寝入りにしないための簡単な対処法3つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法
【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日


残業代が支払われず会社に不満を感じていませんか

「残業代が発生しているのかわからない」「会社と揉めたくない」といった理由から、残業代の未払を放置してしまっている方も少なくないのではないでしょうか。

残業代の未払は違法行為であり、会社には罰則が科される可能性があります

しかし、残業代が支払われていないと感じる場合でも、全てのケースで違法となるわけではありません

例えば、固定残業代制が採用されている場合には、固定部分を超えて労働しなければ残業代は発生しません。

そのため、残業代未払いの罰則を求める前に、本当に残業代が発生しているのか冷静に確認していくことが大切なのです。

実は、残業代の未払いは職場全体に影響する問題であり、声を上げることが職場環境の改善に繋がることもあります

この記事をとおして、残業代未払いで泣き寝入りしないための対処法を知っていただければ幸いです。

今回は、残業代未払いの罰則について説明した上で、未払いの見分け方と対処法をわかりやすく解説していきます。

具体的には、以下の流れで解説していきます。

この記事を読めば、残業代の未払いにどのような罰則があるのかよくわかるはずです。

1章 残業代未払いの罰則3つ

残業代の未払いは違法行為であり、法律上さまざまな罰則が科せられます

どのような罰則があるのか知ることで、具体的な対処法を把握でき、迅速な行動にも繋がります。

具体的には、残業代未払いの罰則としては、以下の3つがあります。

罰則1:刑事罰
罰則2:民事責任
罰則3:労働基準監督署による是正勧告

残業代未払いの罰則3つ

それでは、これらの罰則について順番に説明してきます。

1-1 罰則1:刑事罰

残業代未払いの罰則1つ目は、刑事罰です

法律では、残業代を支払わなければ6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されるとされています

拘禁刑とは、受刑者を刑事施設に収容する刑罰であり、これまでの懲役刑と禁固刑を一本化したものです。

残業代の未払いは違法行為とされ、悪質なケースでは罰則の対象となるのです。

例えば、残業代の未払いが発覚し、労働基準監督署から是正勧告を受けたにもかかわらず、これを無視する場合には、書類送検されることがあります。

さらに、労働基準監督署の調査を妨害するなど悪質なケースでは逮捕されることもあります

この場合、残業代の未払いによって刑事罰を受けるのは、会社代表者となることが多いです。

労働基準法第119条
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
一 …第三十七条…の規定に違反した者

1-2 罰則2:民事責任

残業代未払いの罰則2つ目は、民事責任です

会社は発生した残業代を労働者に支払わなければならず、支払わないことは違法となります。

なぜなら、会社と労働者は労働契約を締結しており、残業代を含め賃金を支払う義務があるためです。

つまり、労働者は賃金を支払うよう求める権利を有しており、会社に残業代を請求することができるのです

残業代の支払いが遅延している場合には、年3%の割合で遅延損害金も請求することができます。

また、労働者の請求により、裁判所は裁量で付加金という未払いの残業代と同額の制裁金を更に追加して支払うよう命じることもあります。

労働基準法第114条(付加金の支払)
裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。

1-3 罰則3:労働基準監督署による是正勧告

残業代未払いの罰則3つ目は、労働基準監督署による是正勧告です

労働基準監督署とは、労働基準法の実施に関して調査や指導の権限を持っている行政機関をいいます

残業代の未払いは労働基準法に反する行為のため、労働基準監督署による是正勧告の可能性があるのです。

例えば、残業代の未払いが発覚した場合、労働基準監督署は事実を調査し必要があれば是正勧告を行います。

労働基準監督署に残業代の未払いを相談した場合、大まかに以下の4つの流れで解決まで進みます。

①相談
②立入調査
③是正勧告
④逮捕・送検

2章 残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント5つ

残業代が支払われていないと感じる場合でも、すべてのケースで違法となるわけではありません

具体的な行動に移す前に、残業代発生しているのか、本当に未払いなのか冷静に確認することが大切です。

残業代が発生しているのか確認するためのチェックポイントは以下の5つです。

☑時間外労働をしている
☑管理監督者ではない(深夜手当は例外)
☑残業が禁止されていない(労働とは、許可、黙示の許可)
☑固定残業(みなし残業)時間よりも働いている
☑残業代が全額支払われていない

それでは、これらのチェックポイントについて順番に説明していきます。

2-1 ポイント1:時間外労働をしている

残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント1つ目は、時間外労働をしていることです

時間外労働とは、労働基準法で定められた法定労働時間を超えて働くことをいいます

具体的には、1日8時間、1週に40時間を超えた場合には、時間外労働ということになります。

時間外労働を命じるには、会社と労働者が36協定を締結しなければならず、これがなければ会社は罰則の対象となります。

しかし、36協定がない場合であっても、残業代は支払わなければいけません

なお、変形労働時間制やフレックスタイム制のように特殊な形態の場合には、時間外労働の算出方法が異なるため注意が必要です。

2-2 ポイント2:管理監督者ではない

残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント2つ目は、管理監督者ではないことです

管理監督者とは、労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいいます。

管理監督者に労働時間の規制はなく、時間外労働と休日労働について残業代は支払われません。

しかし、深夜手当(22時~5時の間)は時間帯に着目した規制のため、通常の従業員と同様に支払われます

また、労働基準法上の管理監督者に該当しないにもかかわらず、会社から管理監督者と扱われている「名ばかり管理職」については時間外残業代や休日残業代が支払われます。

管理監督者と名ばかり管理職の見分け方は以下の3つです。

①経営者との一体性があるか
②労働時間の裁量があるか
③対価に正当性があるか

2-3 ポイント3:残業が禁止されていない

残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント3つ目は、残業が禁止されていないことです

残業が禁止されている場合、残業代が発生しない可能性があります。

労働とは使用者の指揮命令下で働くことをいうため、残業が禁止されている場合には労働にあたらず残業代が発生しないのです。

しかし、労働者が残業することについて、使用者が許可または黙示の許可をした場合には、残業代が発生することがあります

例えば、期日に間に合わない量の仕事を任されている場合等には、残業にあたると判断される可能性があります。

2-4 ポイント4:固定残業(みなし残業)時間よりも働いている

残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント4つ目は、固定残業時間よりも働いていることです

固定残業とは、あらかじめ定められた残業時間を基に、毎月一定の残業代を支払う制度をいいます。

つまり、初めから給料に残業代が含まれてしまっているのです

しかし、定められた残業時間を超えた場合には、残業代が支払われていないため、この部分については残業代を請求することができます。

固定残業代は、やばいのかについては以下の記事で詳しく解説しています。

2-5 ポイント5:残業代が全額支払われていない

残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント5つ目は、残業代が全額支払われていないことです

賃金は全額労働者に支払わなければならず、これは残業代についても同様です。

そのため、時間外残業代や休日残業代が足りているか確認しておくといいでしょう

また、残業代は遅刻や早退を理由に、賃金のマイナス分と相殺されることがあります。

しかし、労働者は残業代を全額請求する権利があり、残業代と相殺することは違法となります

残業代の支払いにあたっては、基本給との違いが分かるように支払わなければいけないという点にも注意が必要です。

3章 残業代未払いの場合の対処法3つ

残業代が未払いとなる理由はさまざまですが、待っていても支払われることはありません

そのため、残業代を支払ってもらうには、労働者側が行動を起こす必要があるのです。

未払いの残業代を請求するための対処法は以下の3つです。

対処法1:残業の証拠を集める
対処法2:残業代の未払時期を確認する
対処法3:弁護士に相談する

残業代未払い場合の対処法3つ

それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。

3-1 対処法1:残業の証拠を集める

残業代未払いの場合の対処法1つ目は、残業の証拠を集めることです

残業代を請求するには、どの程度残業したのかを明らかにする必要があります。

例えば、残業代請求の証拠になるものとして以下の4つがあります。

①タイムカードや日報
②PCのログイン・ログアウト時刻
③業務メール送信記録
④労働時間のメモ

退職後に証拠を集めるのは難しいため、退職が予定されている場合には事前に集めておくといいでしょう。

3-2 対処法2:残業代の未払時期を確認する

残業代未払いの場合の対処法2つ目は、残業代の未払時期を確認することです

残業代には時効期間があり、「給料日の翌日」から3年経過すると時効にかかります

しかし、未払いの態様が悪質な場合には、請求の根拠が変わり、時効期間も「損害及び加害者を知った時」から起算されます

例えば、嫌いな労働者にだけ残業代を支払わないよう等、会社が意図的に未払いにしている場合には、時効期間が損害及び加害者を知った時となる可能性があります。

そのため、残業代を請求する場合には、どの時点からの残業代が未払いなのか把握しておくといいでしょう。

3-3 対処法3:弁護士に相談する

残業代未払いの場合の対処法3つ目は、弁護士に相談することです

残業代を請求するには、労働者が証拠集めや残業代の計算のほか、会社への請求手続きなどを行わなければいけません。

また、会社に残業代を請求した場合、法的に反論され支払いを拒まれることも少なくなく、事前に調査して適切な主張を行う必要があります。

働きながらこうした手続を行うことは非常に大変なため、弁護士に相談し、必要であれば依頼することがおすすめです

4章 残業代請求に強い弁護士を探すなら弁護士コンパス

残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

5章 まとめ

以上のとおり、今回は、残業代未払いの罰則について説明した上で、未払いの見分け方と対処法をわかりやすく解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。

ホウペン

まとめ

・残業代未払いの罰則3つを簡単に整理すると以下のとおりです。
罰則1:刑事罰
罰則2:民事責任
罰則3:労働基準監督署による是正勧告

・残業代未払いにおける罰則発生のチェックポイント5つを簡単に整理すると以下のとおりです。
ポイント1:時間外労働をしている
ポイント2:管理監督者ではない(深夜手当は例外)
ポイント3:残業が禁止されていない(労働とは、許可、黙示の許可)
ポイント4:固定残業(みなし残業)時間よりも働いている
ポイント5:残業代が全額支払われていない

・残業代未払いの場合の対処法3つを簡単に整理すると以下のとおりです
対処法1:残業の証拠を集める
対処法2:残業代の未払時期を確認する
対処法3:弁護士に相談する

この記事が残業代が支払われず困っている方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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籾山 善臣

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