勝手に給料下げられた!労基以外でどこに相談?違法となるケース3つ

勝手に給料下げられた!労基以外でどこに相談?違法となるケース3つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日


会社から勝手に給料を下げられてしまい困っていませんか

給料が減ってしまうと生活にも支障が生じてしまいますし、モチベーションも下がってしまいますよね。

勝手に給料を下げられたら、違法となることがあります

労働者としては、給料を下げられたとしてもすぐに辞めるべきではありません。

勝手に給料を下げられたと労基に相談しても動かない場合には、弁護士に相談すべきです

弁護士費用は、着手金は0円~40万円、報酬金は経済的利益の15%~30%程度です。

勝手に給料を下げられた場合には、適切に対処したうえで、会社に対して差額を請求していくことになります。

実は、給料を下げられてしまった場合に、不利になる対応をしてしまう労働者の方が多く、もっと早く相談していただきたかったと感じるケースが少なくありません

この記事をとおして、勝手に給料を下げられた場合に労働者が知っておくべき知識を分かりやすくお伝えすることができれば幸いです。

今回は、勝手に給料下げられた場合について、違法となるケース3つを説明したうえで、労基以外でどこに相談すべきかを解説していきます。

具体的には以下の流れで説明していきます。

この記事で分かること

この記事を読めば、勝手に給料を下げられた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。

1章 勝手に給料下げられたら違法?違法となるケース3つ

勝手に給料を下げられたら、違法となることがあります

勝手に給料を下げられた際に違法となるケースとしては、以下の3つがあります。

ケース1:減額の根拠がない場合
ケース2:減額が濫用となる場合
ケース3:嫌がらせ目的の場合

勝手に給料を下げられた際に違法となるケース3つ

それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。

1-1 ケース1:減額の根拠がない場合

勝手に給料下げられた際に違法となるケースの1つ目は、減額の根拠がない場合です

給料の金額は雇用契約の一部となっていて、契約の内容を一方が勝手に変えることはできないためです。

給料減額の根拠として、典型的なものとしては、以下の2つがあります。

・合意に基づく減額
・就業規則に基づく減額

1-1-1 合意に基づく減額

減額の根拠の典型例の1つ目は、合意に基づく減額です

雇用契約の当事者の双方が合意している以上は、給料を減額することもできるという根拠です。

書面にサインや押印をしなくても、口頭によっても合意は成立してしまいますので注意が必要です

ただし、給料を減額することの合意があったと言えるには、労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が必要とされています(最判平28年2月19日民集70巻2号123頁[山梨県民信用組合事件])。

1-1-2 就業規則に基づく減額

減額の根拠の典型例の2つ目は、就業規則に基づく減額です

労働者が合意していなくても、就業規則を根拠として減額を行うことができる場合があります。

例えば、毎年の給与の査定に基づいて、減額が行われるようなことがあります。

また、異動や降格に伴い、給与テーブルに従い、減額が行われるようなこともあります。

1-2 ケース2:減額が濫用となる場合

勝手に給料下げられた際に違法となるケースの2つ目は、減額が濫用となる場合です

仮に給与の減額に根拠があったとしても、大幅な減額については濫用として無効とになるとされています。

労働者の生活に大きな悪影響が生じることになってしまうためです。

例えば、給料を50パーセント減額するような場合には、根拠があっても濫用とされることが多いでしょう。

1-3 ケース3:嫌がらせ目的の場合

勝手に給料下げられた際に違法となるケースの3つ目は、嫌がらせ目的の場合です

労働者を退職に追い込む目的であったり、報復的な目的での不利益措置であったりする場合には、違法となることがあります。

会社側は労働者を退職するように強要することはできませんし、労働者が正当な行為をした際に不利益な取り扱いを行うことは禁止されていることも多いためです。

例えば、労働者がパワハラを告発したら、その報復として給料を下げられたという場合には、不利益取り扱いの禁止に反して違法となるでしょう。

2章 給料下げられた場合でもすぐに辞めるべきではない

給料を下げられた場合でも、すぐに辞めるべきではありません

在籍期間中の給料の差額しか請求することができないためです。

例えば、2025年2月分から基本給を35万円から20万円に減額されたとしましょう。

末日締めの場合には、労働者が2025年3月31日に辞めてしまった場合には、労働者が差額を請求できるのは、2025年2月分と3月分だけとなってしまいます。

差額の15万円×2か月分=30万円の給料の請求は認容される可能性はありますが、それ以上の給料の請求は難しくなってしまうのです

給料下げられた場合でもすぐに辞めるべきではない

そのため、勝手に給料を下げられた場合に減額が不当であるとして争いたい場合には、辞めないで在籍しながら請求を継続していくという対応をとることが多いのです

3章 勝手に給料下げられたのに労基は動かない…どこに相談すべき?

勝手に給料を下げられたのに労基に動いてもらえない場合には、弁護士に相談するべきです

労基が動いてくるのは、労働基準法等に違反する事例となります。給料の減額自体は直ちに労働基準法違反となるわけではありません。

給料の未払いについては労働基準法違反となりますので、この点について労基に相談することは考えられますが、法的な争点となることが多く動いてもらえないこともあります

また、労基に動いてもらっても、労基は強制的に未払い金額を回収することはできませんので、問題が解決しないことも多いのです。

これに対して、弁護士であれば、法的な争点が生じても裁判所を通じた解決を行うことができます

また、会社側が差額の支払いに応じない場合でも、判決を獲得した後に強制的に会社の財産を差し押さえて、未払い金額を回収することができます。

そのため、勝手に給料を下げられた場合には、弁護士に相談することがおすすめなのです。

4章 勝手に給料下げられた場合の弁護士費用

勝手に給料下げられた場合の弁護士費用

弁護士費用は、着手金は0円~40万円報酬金は経済的利益の15%~30%程度です。

着手金とは、弁護士が依頼に着手する際に必要なお金で、委任契約を締結した後すぐに支払うことになります

仮に失敗してしまった場合でも、通常、着手金は返金してもらうことが出来ません。見通しについて十分に確認した後に依頼するといいでしょう。

報酬金とは、成功の程度に応じて支払うことになるお金です。委任契約が終了する際に支払うことになります

給料を下げられた事案では、差額の給料を回収できた場合や減額が無効であることが九人出来た場合に支払うことになります。

その他、相談料として0円~2万円程度がかかります

~実費~

弁護士費用の他に、実費が必要になるのが通常です

実費というのは、郵送費や印紙代、交通費など、自分でやる場合にもかかるような費用です

交渉だけで解決するような場合には、数千円程度で足りることが多いでしょう。

労働審判を申し立てることになる場合には、上記に加えて2~3万円程度必要になります。

訴訟を提起する場合にも、上記に加えて2~3万円程度必要になります。

5章 勝手に給料下げられた場合の対処法

勝手に給料を下げられた場合には、適切に対処したうえで、会社に対して差額を請求していくことになります

労働者が何も言わないでいると、会社側は一方的に減額した給料を支払い続けることになり、これが不当であったとしても自分の権利を守ることはできなくなってしまいます。

具体的には、勝手に給料下げられた場合の対処法としては、以下の4つがあります。

対処法1:減額に同意できない旨を伝える
対処法2:減額の根拠を確認する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判・訴訟を提起する

勝手に給料下げられた場合の対処法

それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。

5-1 対処法1:減額に同意できない旨を伝える

勝手に給料下げられた場合の対処法の1つ目は、減額に同意できない旨を伝えることです

労働者が何も言わないでいると、減額に同意していたなどと反論をされることが多いためです。

何も言わなかったことから直ちに減額に同意したと認定されることは少ないですが、同意をしていたことを推認させる一つの事情とされてしまう指摘されることになります

労働者としては、メールやチャット、録音など、形に残る方法で、明確に減額に同意できない旨を伝えた証拠を残しておいたほういいでしょう。

5-2 対処法2:減額の根拠を確認する

勝手に給料下げられた場合の対処法の2つ目は、減額の根拠を確認することです

会社側がどのような根拠によって給料を減額しているかによって、法的な見通しは変わりますし、労働者として準備するべき主張や証拠も変わってきます。

例えば、会社に対して、給料を減額するには法的な根拠が必要となりますので、具体的な根拠を明らかにするように求めます等の連絡をすることになります。

会社側から就業規則等を根拠として示されるようであれば、規定を見たうえで、どのような場合にいくら減額できるのか等を確認します

合意を根拠として示されるようであれば、いつ頃のどのようなやり取りからなぜ合意が成立したとされているのかを確認したうえで、合意していないことが分かる証拠などを集めます。

5-3 対処法3:交渉する

勝手に給料下げられた場合の対処法の3つ目は、交渉することです

双方の主張が明らかになれば、争点や見通しも見えてきますので、話し合いで折り合いをつけることが可能か協議をすることになります。

労働審判や訴訟となると時間もコストも必要となるため、早期に話し合いで解決できるということであれば、労働者としてもメリットがあるためです。

5-4 対処法4:労働審判・訴訟を提起する

勝手に給料下げられた場合の対処法の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです

話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。

労働審判とは、全3回の期日の中で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には裁判所が審判を下します。早期に実態に即した解決をすることが期待できます

ただし、審判には労働者も会社も異議を出すことができ、いずれかが異議を出したら通常の訴訟に移行します。

訴訟については、期日の回数の制限などはとくになく、月1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことが多いです。解決まで1年以上要する傾向にあります

6章 【補足】勝手に給料下げられたのが手当の場合どうなる?

勝手に給料下げられたのが手当の場合は、給料が下がった理由次第で不当か否か異なります

手当に関しては、支給条件を満たした際に支給されるのが通常であるためです。

これまでより支給金額が少なくなったとしても、給料が減額されたわけではなく、条件を満たさなくなっただけということもあります

例えば、扶養している家族の人数が減ったため家族手当の金額が少なくなったような場合には、条件を満たさなくなったため手当が少なくなっただけ、給料を減額されたとはいえないでしょう。

これに対して、就業規則の改定によってこれまでどおり支給条件を満たしているにもかかわらず手当が減った場合には給料が減額されたといえるでしょう。

このような場合には、就業規則の改定に合理的な理由があるかどうか、就業規則が周知されているかといった観点から、手当の減額の有効性が判断されることになります

7章 給料の減額に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

給料の減額に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

8章 まとめ

以上のとおり、今回は、勝手に給料下げられた場合について、違法となるケース3つを説明したうえで、労基以外でどこに相談すべきかを解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると、以下のとおりです。

まとめ

・勝手に給料を下げられた際に違法となるケースとしては、以下の3つがあります。
ケース1:減額の根拠がない場合
ケース2:減額が濫用となる場合
ケース3:嫌がらせ目的の場合

・給料を下げられた場合でも、すぐに辞めるべきではありません。

・勝手に給料を下げられたのに労基に動いてもらえない場合には、弁護士に相談するべきです。

・弁護士費用は、着手金は0円~40万円、報酬金は経済的利益の15%~30%程度です。

・勝手に給料下げられた場合の対処法としては、以下の4つがあります。
対処法1:減額に同意できない旨を伝える
対処法2:減額の根拠を確認する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判・訴訟を提起する

この記事が勝手に給料を下げられて困っている労働者の方の助けになれば幸いです。

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籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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