労働基準監督署へのタレコミ通報の方法３つ！その後は？匿名や退職後も可

労働基準監督署へタレコミや通報をしたいと悩んでいませんか？

労働基準法に違反するような劣悪な職場環境で働いていれば公的な機関の力を借りたいと感じるのも当然ですよね。

労働基準監督署へのタレコミ（通報）とは、労働者が労働基準監督署に対して会社が労働基準法等の法令に違反していることを伝えることです。

これは匿名でも行うことが可能で、対面の他にメールや電話により行う方法もあります。

会社は労働基準監督署へのタレコミ（通報）をされた場合には、電話があり調査をされた後、是正を勧告され、悪質性が特に高い事案では送検され刑事上の処罰をされることもあります。

労働基準監督署へのタレコミ（通報）で実際に動いてもらうためには、いくつかのコツがあります。

実は、労働基準監督署はどのような案件でも対応してくれるわけではありませんので、相談可能な内容やその方法について十分に理解したうえで活用していくようにしましょう。

この記事をとおして、労働基準監督署へ通報をしたいと考えている方の是非知っておいていただきたい知識やノウハウを分かりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。

今回は、労働基準監督署へのタレコミ通報の方法３つを説明したうえで、その後はどうなるのか、匿名や退職後でも可能かを解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、労働基準監督署へのタレコミをしたいと感じた場合にどのように通報すればいいのかがよくわかるはずです。

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１章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）とは

労働基準監督署へのタレコミ（通報）とは、会社の違法な働かせ方や労働条件について、労働者が公的な機関である労働基準監督署に知らせることをいいます。

労働者が１人でも声を上げることができます。

会社の行為が労働基準法などの法律に違反していると感じたとき、外部の機関に助けを求めることができる手段の一つが「労働基準監督署への通報」です。

上司に相談しても改善されない場合や、会社に直接言いづらい状況では、労働基準監督署を活用することが有効です。

例えば、残業代が支払われていないのに働かされている場合や、休日出勤を強制されたり、労災の報告がなされなかったりといった状況があれば、通報の対象になります。

労働基準監督署へのタレコミ（通報）は、労働者の権利を守るための正当な行動です。自分を守る手段として、制度の存在を知っておくだけでも安心につながります。

残業代が出ない場合については、以下の記事で詳しく解説しています。

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２章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）は匿名でも可能

労働基準監督署へのタレコミ（通報）は、匿名でも行うことが可能です。

名前を出さなくても、会社の違法な行為を知らせることができます。

通報したことが職場に知られるのが怖いと感じる方は多いです。

そのため、匿名での通報が認められているのは、労働者にとって大きな安心材料になります。

自分の名前を出さないことで、不利益な扱いを受ける心配も少なくなります。

例えば、「残業代が支払われていない」「有給を取らせてもらえない」「パワハラがひどい」などの内容を、労働基準監督署に名前を伏せて伝えることができます。

メールや電話でも匿名での通報は可能です。

ただし、匿名の通報では詳細な事情が伝わりづらかったり、証拠が足りなかったりすることで、調査が行われないこともあります。

状況によっては、実名の方が動いてもらいやすいこともあるため、通報の内容に応じて判断することが大切です。

３章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）の方法３つ

労働基準監督署へタレコミ（通報）を行う方法は、いくつかあります。

状況に合わせて、通報しやすい手段を選べるのは大きなメリットです。

どの方法にも特徴があり、自分に合った方法で、無理なく通報するといいでしょう。

例えば、労働基準監督署へのタレコミ（通報）の方法としては、以下の３つがあります。

それでは、３つの通報方法について順番に見ていきましょう。

３－１　方法１：メール

メールは、時間を気にせず落ち着いて通報できる方法です。忙しくて電話できない方や、文章でしっかり伝えたい方に向いています。

メールを使えば、自分の言いたいことをゆっくり整理して伝えることができます。

匿名で送りたい場合でも、送信者名を記載せずに送ることができます。

具体的には、厚生労働省の「労働基準関係情報メール窓口」送信フォームに必要事項を記入し、内容確認ボタンをクリックし、送信します。

時間に余裕がある場合や、客観的に伝えたい場合には、まずメールを活用してみましょう。

３－２　方法２：電話

電話は、すぐに相談したいときや、簡単な説明で伝えたいときに便利な方法です。言葉で直接伝えることで、緊急性が伝わりやすくなります。

労働基準監督署の担当者が電話で対応してくれるため、不明な点をその場で質問できたり、どう対応すればいいかを聞けたりします。

匿名での通報も可能で、名前を名乗らずに事情を伝えることもできます。

例えば、「朝から晩まで働かされて、休憩もない状況なんです」といった内容を電話で相談すれば、担当者が必要な情報を聞き取ってくれます。

電話での通報は、特に急ぎの相談をしたい場合に向いています。思い切って声をかけることで、一歩踏み出せることもあります。

３－３　方法３：対面【おすすめ】

対面での通報は、最も丁寧に相談できる方法であり、労働基準監督署が実際に動いてくれる可能性も高くなります。

署の窓口で直接担当者に会って話せるため、細かい事情を伝えやすく、資料や証拠をその場で見せることもできます。

匿名での通報も可能ですが、実名で相談すればさらに信頼度が高まります。

例えば、残業時間の記録や給与明細などを持参して、「こういう働かせ方をされて困っています」と伝えることで、担当者が状況を具体的に把握してくれます。

対面での通報は少し勇気がいりますが、もっとも信頼性の高い方法です。

確実に状況を伝えたいときや、きちんと対応してもらいたい場合は、窓口に足を運ぶことをおすすめします。

４章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）をされたらどうなる

会社が労働基準監督署に通報されたら、調査や是正の働きかけが行われることになります。

労働者が通報した内容に応じて、段階的な対応が取られるのが一般的です。

例えば、労働基準監督署へタレコミ（通報）がされたら、以下のようなステップがあります。

それでは、労働基準監督署の対応の流れについて順番に見ていきましょう。

４－１　流れ１：電話がある

労働基準監督署に通報があると、まずは会社に電話で連絡が入ることがあります。

この電話では、通報内容に関する対応を行うために、会社に来てもらう日程を調整したり、監督官が会社を訪問するための日程を調整したりすることが一般的です。

いきなり立ち入り調査が入るわけではなく、まずは事情の確認や調査のための調整が行われることが多いのです。

電話での連絡は、事実確認のスタート地点であり、重要な対応機会といえます。

４－２　流れ２：調査される

労働基準監督署が必要だと判断した場合、実際に会社へ調査に入ることがあります。これがいわゆる「臨検監督（りんけんかんとく）」と呼ばれるものです。

調査では、労働者の勤務実態や賃金台帳、就業規則などの資料が確認されます。調査担当者が会社に出向き、必要に応じて社員への聞き取りが行われることもあります。

例えば、タイムカードと給与明細を突き合わせて、「労働時間に対して適切な残業代が支払われているか」などをチェックします。

この調査が入ることで、労働基準監督署は通報内容が事実かどうかを確認することになります。

４－３　流れ３：是正を勧告される

調査の結果、労働基準法に違反している点が確認された場合、労働基準監督署は会社に対して「是正勧告書」や「指導票」などを交付します。

これは、「〇〇の点を改善してください」という行政からの注意喚起のようなものです。法的な強制力はないものの、改善されない場合はさらに厳しい対応に進む可能性があります。

例えば、「残業代を未払いのままにしておくのは違法です。速やかに支払ってください」と書かれた是正勧告書が渡されることがあります。

是正勧告が出ることで、会社は改善しなければならない状況となり、結果的に労働環境の改善につながることもあります。

４－４　流れ４：送検される

違反の内容が特に悪質である場合、会社や経営者は「送検（そうけん）」されることもあります。

これは、労働基準監督署が事件として検察に書類を送ることを意味します。

送検された場合、検察が刑事事件として処理を行い、最終的には罰金や懲役などの刑事罰が科される可能性もあります。

特に安全配慮義務違反や重大な賃金不払いなどが対象となります。

例えば、「長時間労働が原因で労災が発生したのに適切な対応を怠っていた」と判断されたケースでは、経営者が送検されることもあります。

送検はあくまで最終段階ですが、そこまで進むような事案では、会社の信用にも大きく影響します。

通報によって重大な違法行為が明るみに出ることもあるのです。

５章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）で動いてもらうコツ３つ

労働基準監督署に通報しても、必ずしもすぐに調査や指導が行われるとは限りません。

実際に動いてもらうためには、伝え方にいくつかのポイントがあります。

逆に、信頼性の高い情報をしっかり伝えられれば、調査に発展することも十分あります。

例えば、労働基準監督署へのタレコミ（通報）で動いてもらうコツとしては、以下の３つがあります。

それでは、１つずつ詳しく見ていきましょう。

５－１　コツ１：実名で通報する

労働基準監督署に通報する際に実名を伝えることで、通報の信頼性が高まり、調査につながりやすくなります。

匿名でも通報は可能ですが、誰がどういう状況にあるのかがわからない場合、通報の内容が抽象的と判断されてしまい、対応が見送られることもあります。

実名を伝えることで、担当者はより具体的な情報を確認しやすくなり、会社に対しても具体的な指導を行いやすくなります。

例えば、「●●株式会社で働く△△と申します。残業代が支払われていない状態が続いており、実態を見ていただきたいです」と伝えると、担当者も状況をイメージしやすくなります。

不安があるかもしれませんが、実名の通報は本気度が伝わる手段の１つです。

より確実に動いてもらいたいと考える場合には、匿名より実名を検討しましょう。

５－２　コツ２：対面で通報する

労働基準監督署に直接出向いて対面で通報することで、詳細な事情を丁寧に伝えることができ、調査につながる可能性が高くなります。

電話やメールでは限られた情報しか伝えられないことがありますが、対面ならその場で質問に答えたり、説明を補足したりすることができるため、通報の説得力が増します。

相手の反応を見ながら話せるので、誤解も防ぎやすくなります。

例えば、実際の就労状況や困っていることを口頭で具体的に説明し、「こういった働かせ方は法律に違反していませんか？」と率直に相談することができます。

対面の通報はやや手間がかかりますが、調査や是正を求める立場として、より強い印象を与える方法といえます。

５－３　コツ３：証拠を持参する

労働基準監督署に通報する際には、証拠となる資料を一緒に持参することが重要です。

証拠があることで、通報の内容に具体性が出て、調査の必要性が高いと判断されやすくなります。

口頭だけで伝えても、裏付けがなければ事実関係の確認が難しいため、資料があることで状況の把握がスムーズになります。

特に、労働時間や賃金に関する問題では、記録が重要な意味を持ちます。

例えば、「タイムカードのコピー」「給与明細」「シフト表」「業務チャットの画面の印刷」などを用意すると、実態が具体的に伝わります。

通報の際には、できるだけ客観的な記録をそろえておくことで、労働基準監督署に真剣に対応してもらいやすくなります。証拠は説得力のある通報の土台です。

６章　労働基準監督署へのタレコミ（通報）でよくある疑問

労働基準監督署へのタレコミ（通報）でよくある疑問としては、以下の５つがあります。

これらの疑問について順番に解消していきましょう。

６－１　Q１：労働基準監督署への通報は退職後もできる？

Ａ：退職後でも通報は可能です。働いていたときに法律違反があった場合、それが過去のことであっても、労働基準監督署に伝えることはできます。

むしろ、退職後の方が会社との関係がなくなっている分、通報しやすくなる方も多いです。

ただし、通報の内容によっては、当時の資料や記録をそろえておくことが重要になります。

退職しているからといって諦める必要はありません。過去の違法行為であっても伝える価値があります。

６－２　Q２：労働基準監督署へ通報したその後は？

Ａ：通報の内容に応じて、労働基準監督署は電話で連絡したり、調査を行ったり、是正を勧告したりすることがあります。

ただし、すぐに動くとは限らず、状況によって対応が異なります。また、必要に応じて、通報した方へ再度ヒアリングなどが行われることもあります。

通報したからといって必ず会社に何らかの処分が下るとは限らないことは理解しておきましょう。

行政の対応には限界があるため、状況によっては弁護士などへの相談も検討する必要があります。

６－３　Q３：労働基準監督署へ家族や第三者も通報できる？

Ａ：労働者本人でなくても、家族や第三者からの通報も可能です。

労働条件や職場環境に問題があると感じた方が、代わりに知らせることができます。

労働基準監督署は「誰からの情報か」よりも、「通報の内容が具体的で信頼できるか」を重視します。

そのため、本人でなくても状況が正しく伝われば、調査が行われることもあります。

例えば、「息子が毎日深夜まで働かされていて体調を崩している」などと家族が通報することもあります。

ただし、事実確認のために本人への聞き取りが必要となる場合もあるため、できれば本人の協力も得られるとよりスムーズです。

６－４　Q４：労働基準監督署へ病院が通報することもある？

Ａ：病院、とくに労災病院などが労働基準監督署へ通報されることがあります。

労災病院では、窓口で労働者が治療費を支払わない代わりに、病院が労働基準監督署に請求手続きを行うためです。

このように労災病院からの通報により労働基準監督署が法令違反を知ることもあります。

６－５　Q５：労働基準監督署への通報バレることもある？

Ａ：通報者の情報は原則として保護されますが、絶対にバレないとは言い切れません。

会社側が状況から推測して気づく可能性はあります。

労働基準監督署は、通報者が不利益を受けないよう細心の注意を払います。

しかし、通報内容が特定の部署や人物に関わるものであれば、社内で誰が通報したか予想されてしまうことがあります。

例えば、「〇月から××部署で残業が異常に多くなっている」といった詳細な通報内容だと、状況から特定されやすくなります。

そのため、通報時には伝える情報の範囲や表現を慎重に考えることも大切です。

７章　労働基準監督署ではなく弁護士に相談するべき場合もある

労働問題によっては、労働基準監督署よりも弁護士に相談した方が解決につながるケースがあります。

労働基準監督署は、労働基準法等に違反しているかどうかを確認して、是正を勧告するのが主な役割です。

しかし、不当解雇やパワハラなど、労働基準法等に関する法令以外の労働問題については取り扱うことができません。

また、労働基準監督署には強制力がありませんので、会社が是正に従わなければ、会社の財産を差し押さえるようことはできません。

加えて、労働基準監督署は司法機関でもないため、法的な争点があるような場合には、是正を命じることができないこともあります。

例えば、「パワハラで精神的に苦しめられたので慰謝料を請求したい」「未払い残業代を回収するため会社財産を差し押さえたい」「不当解雇に納得がいかない」といった場合には、労基署ではなく弁護士の出番です。

このような相談については労働基準監督署ではなく、弁護士に相談することがおすすめです。

８章　労働問題に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

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９章　まとめ

以上のとおり、今回は、労働基準監督署へのタレコミ通報の方法３つを説明したうえで、その後はどうなるのか、匿名や退職後でも可能かを解説しました。

この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。

この記事が労働基準監督署へタレコミや通報をしたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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