
2025年2月22日
不当解雇
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2025/06/14
労働一般
労働審判の勝率がどのくらいか不安に感じていませんか?
せっかく労働審判をしても負けてしまう可能性が高いのであれば、申し立てない方がいいのではないかと思う方もいるかもしれません。
労働審判の勝率とは、労働審判において概ね請求が認められる割合のことです。
労働審判では70%が調停により解決すると言われていますので、勝率を出すことは難しいです。
労働審判において、一般に労働者の勝率が高いと言われる類型は、不当解雇や未払い残業代です。
労働審判において勝率を上げたい場合には、徹底した準備と勝つための工夫が重要となります。
また、労働審判においては、労働者が行ってしまいがちなNG行動がいくつかあり、これらを避けることで勝率が下がることを防ぐこともできるでしょう。
実は、労働審判は、通常の訴訟とは異なりとくに専門性の高い手続きとなっていますので、経験の有無によっても結果は大きく変わってくる可能性があります。
この記事をとおして、労働審判を考えている労働者の方々に勝率を上げるために必要な知識やノウハウをわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、労働審判の勝率について、労働者側の勝率を簡単に上げる方法5つとNG行動を解説していきます。
この記事を読むと以下のことが分かります。
この記事を読み終わったら、労働審判で勝つにはどうすればいいのかがよく理解できるようになっているはずです。
目次
労働審判の勝率とは、労働審判において概ね請求が認められる割合のことです。
労働審判では申し立てを行う際、申立の趣旨として労働審判委員会にどのような判断をしてもらいたいかを記載することになります。
例えば、残業代を請求する際には、相手方が申立人に対して●●万円の金員を支払うように求めるとの審判を求めていきます。
労働審判では全3回の期日までに調停による解決を目指すことになり、調停が成立しない場合には、申立に対して労働審判委員会が審判を下すことになります。
審判では、申立が認められないことがあれば、申立がすべて認められることもありますし、申立の一部だけが認められることもあります。
概ね請求の内容が認められたような場合を勝ち、ほとんど請求の内容が認められなかったような場合を負けと言われることが多いでしょう。
例えば、500万円の残業代を請求したのに10万円しか認められなかったという場合には負けと感じる方が多いでしょう。
他方で、500万円の残業代を請求して490万円が認められた場合には、勝ちと感じる方が多いでしょう。
労働審判の勝率は、労働審判全体の中でどの程度の割合で勝つことができるかということです。
労働審判とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判では、勝率を出すことは難しいです。
労働審判では約70%が調停により解決すると言われているためです。
調停と言うのは、和解のことです。当事者同士が話し合いを行い合意することにより解決することになりますので、労働審判委員会が審判を下すことはありません。
調停では申し立て内容にとどまらず柔軟な話し合いが行われることになります。
調停条項の中には口外禁止条項が入れられることが多いため、どのような内容で和解が成立したかについては、第三者に言えないことも多いです。
そのため、労働審判では勝率を出すことが難しくなっています。
労働審判における勝率は、紛争の類型によっても変わってきます。
請求する内容に次第で労働者が主張立証しなければいけない内容も変わりますし、その難易度も異なるためです。
例えば、比較的労働者の勝率が高いと言われる類型として、以下の2つがあります。
それでは、これらの類型について順番に説明していきます。
労働審判において、労働者の勝率が比較的高い類型として、不当解雇が挙げられることがあります。
解雇するだけの十分な理由があるかについては、会社側が立証する責任を負っています。
日本の労働法では、解雇の条件はとても厳格に考えられています。
解雇をするには、客観的に合理的な理由が必要なので、会社の主観的な判断だけで解雇することはできません。
また、解雇は最終手段と言われていますので、他の手段を尽くしたうえで、他に雇用を継続する方法がないと言える必要があります。
加えて、改善指導等により将来問題点が改善する可能性があるような場合にも、解雇をすることは難しいとされています。
そのため、不当解雇の事案については、労働者に勝ち目があると言われることが多いのです。
また、未払い残業代についても、労働審判において、比較的労働者の勝率の高い類型として挙げられることがあります。
残業代については、残業時間や給料金額等の労働条件から法律や就業規則で定められた計算ルールにより金額を算定することができるためです。
タイムカードや労働条件通知書、就業規則を開示するように会社に求めていくことで、未払いの残業代について立証しやすいことが多いのです。
ただし、残業の証拠が全くなかったり、管理監督者性や固定残業代性が争点となったりする際には、事案により請求が認められないような場合も出てきます。
労働審判を申し立てる前に、弁護士に見通しを相談した方が良いでしょう。
労働審判において勝率を上げたい場合には、徹底した準備と勝つための工夫が重要となります。
会社側も、なるべく少ない負担で済むように反論をしてくるためです。
例えば、労働審判で労働者側の勝率を上げる方法としては、以下の5つがあります。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
労働審判で労働者側の勝率を上げる方法の1つ目は、弁護士のサポートを受けることです。
労働審判については、労働者の請求が認められるかについて、法律に基づいて審理されることになります。
どのような法律構成により請求をしていくかによって結果は大きく変わってくることもあります。
請求が認められるためには法律上一定の条件があり、要点を抑えて事実関係を整理したうえで、証拠を整理して裁判所に提出する必要があります。
そのため、法律の専門家である弁護士のサポート受けることがおすすめなのです。
ただし、労働審判は訴訟と異なり、とくに専門的な手続きとなりますので、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働審判の実績のある弁護士を探した方が良いでしょう。
労働審判で労働者側の勝率を上げる方法の2つ目は、証拠を集めることです。
労働審判において、労働者と会社との間で争いのある事実関係については、証拠に基づき審理されることになります。
仮に労働者が嘘をついておらず記憶に基づいて話していたとしても、証拠がなければそのような事実はなかったと認定されてしまうことがあります。
例えば、あなたが月に100時間近い残業を行っていたとしても、これを裏付ける証拠が何もなければ残業していた時間を立証できず、残業代を請求できないことがあります。
そのため、労働審判で勝率を上げたいと考えた場合には、証拠を集めておくことが重要です。
ただし、事案により集めるべき証拠は異なっていますので、早めにどのような証拠を集めるべきか弁護士に相談しておくといいでしょう。
労働審判で労働者側の勝率を上げる方法の3つ目は、想定質問への対策をする。
労働審判では、訴訟とは異なり、労働審判の第1回期日に口頭により事実関係について質問を30分~1時間程度行われることになります。
労働審判委員会は、第1回期日前の事前評議により申立書や答弁書、補充書面、証拠から心理方針につき協議を行います。
そして、第1回期日が始まると労働者と会社に対して事実関係のヒアリングを行い、おおよそ心証(請求に対する労働審判委員会の判断)を形成します。
そこで、第1回期日の労働審判委員会からの質問に対して、一貫した回答をできているかどうかということが結果に影響してくることになります。
そのため、労働者が労働審判の勝率上げたいと考えた場合には、想定質問への対策をしておくことが重要なのです。
労働審判で労働者側の勝率を上げる方法の4つ目は、裁判所の心証を聞き弱点を補うことです。
労働審判では第1回期日において事実関係のヒアリングされた後、労働審判委員会の心証が示される傾向にあります。
その際、各争点について、労働審判委員会がどのように考えているか、どのような事実を重視しているかなどが分かることがあります。
裁判所から不利な心証を示された場合であっても、第2回期日までに弱点を補うような主張立証を補充することで、裁判所の心証が有利に変わることがあります。
そのため、労働審判では、労働審判委員会の話をよく聞いたうえで、適切な対応していくことが重要です。
労働審判で労働者側の勝率を上げる方法の5つ目は、訴訟も覚悟することです。
調停は、当事者双方が合意した場合に初めて成立することになります。
つまり、労働者がどれだけ有利な心証を裁判所から示されている場合であっても、会社側が和解に応じない限り、調停は成立しません。
このような場合に、労働者が絶対に訴訟は避けたいということになってしまうと、会社側が応じる和解金額まで歩み寄らざるを得なくなってしまいます。
他方で、労働者が訴訟を覚悟している場合には、労働審判委員会から有利な心証を示されている以上は、必要以上に歩み寄る必要はなく、強気な交渉が可能となります。
そのため、労働審判で労働者側の勝率を上げたいと考えた場合には、ときに訴訟を覚悟することも必要となります。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
残業代請求の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判においては、労働者が行ってしまいがちなNG行動がいくつかあり、これらを避けることで勝率が下がることを防ぐこともできるでしょう。
これらは対策しやすい部分ですので、どのような行動をすると労働審判で不利になってしまうことがあるのか知っておくと有利に振舞えるでしょう。
例えば、労働審判の勝率が下がるNG行動としては、以下の4つがあります。
それでは、これらのNG行動について順番に説明していきます。
労働審判でのNG行動の1つ目は、法律や判例の分析と検討を怠ることです。
法律や判例がどのような事実関係を重視しているかを知ることで、どのような主張や証拠を整理すればいいのかがわかります。
また、会社に対して請求を行うにしても、複数の法律構成が考えられる場合もあり、どのような根拠が請求していくかにより難易度も結論も大きく変わってくることがあります。
これらの法律や判例の分析をすることなく、労働審判を申し立てても、労働審判委員会から不利な判断をされてしまう可能性があります。
労働審判でのNG行動の2つ目は、口頭だけで説明しようとすることです。
労働審判は口頭主義と言われていますが、実際に口頭ですべて説明することは困難です。
労働審判委員会は、申立書や答弁書、補充書面、証拠に基づいて、第1回期日前の事前評議でおおよその方針を協議することになります。
書面で十分な主張をできていなければ、事実関係のヒアリングの際にも適切な質問がされなかったり、説明をしても理解してもらえなかったりすることもあります。
そのため、申立書や補充書面、証拠により、労働審判委員会の心証を掴みにいくことが大切であり、口頭だけで説明しようとすることはNGです。
労働審判でのNG行動の3つ目は、関係ない話ばかりすることです。
労働審判では、労働者の請求を認めるかどうかを判断するのに必要な事項を審理することになります。
会社が悪いことをしているかどうか、会社がブラックかどうかを判断する場ではありません。
例えば、請求内容と関係のないのに、会社のコンプライアンス違反を指摘したり、社長や上司が違法なことをやっていると指摘したりしても意味がありません。
全3回という短い期日において、請求を認めてもらうために説明しなければいけない事項は他にたくさんあり、関係のない主張に労力と時間を割くべきではありません。
労働審判でのNG行動の4つ目は、当日本人が出頭しないことです。
第1回期日では労働審判委員会から事実関係のヒアリングをされることになります。
細かい事実関係は、代理人弁護士が体験したものではなく、当事者本人が体験したものとなりますので、これらの質問には本人が自分の言葉で説明する必要があります。
そのため、当日本人が出頭しない場合には、不利な判断をされてしまう可能性があります。
労働審判に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、労働審判の勝率について、労働者側の勝率を簡単に上げる方法5つとNG行動を解説しました。
この記事で説明したことを簡単にまとめると以下のとおりです。
本記事でお伝えしたことが、労働審判の勝率がどのくらいか不安に感じている方の役に立てば嬉しいです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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