
2025年2月22日
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2025/06/22
労働災害
安全配慮義務違反で会社を訴えたいと考えていませんか?
業務が原因で怪我を負ったり、病気になってしまったりしたのに、その負担を自分が負わなければいけないというのは納得できませんよね。
安全配慮義務違反の訴えとは、会社側が労働者の安全に配慮する義務を怠ったことによって生じた損害を賠償するようにとの請求を裁判所に申し立てることです。
労働者が安全配慮義務違反で会社を訴えたいケースは、ハラスメントや長時間労働、業務中の事故などが多くなっています。
ただし、怪我や病気が発生していない場合、発生していても業務によるものではない場合、会社に義務違反がない場合には、損害賠償を請求することは難しくなっています。
安全配慮義務違反で訴えたいと考えた場合には、あなた自身行動を起こしていく必要があり、準備をしたうえで適切な続きを踏んで請求を行うべきです。
実は、安全配慮義務違反の訴えについては、専門性が高く、法的な知識やノウハウの有無などによっても、結果が大きく変わってくる可能性があります。
この記事をとおして、安全配慮義務違反で訴えたいと考えている労働者の方々に是非知っておいただきたいことをわかりやすく伝えていくことができれば幸いです。
今回は、安全配慮義務違反を訴えたい方に向け、3つのケースと難しい例、請求の手順を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、安全配慮義務違反で訴えたい場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
安全配慮義務違反の訴えとは、会社側が労働者の安全に配慮する義務を怠ったことによって生じた損害を賠償するようにとの請求を裁判所に申し立てることです。
安全配慮義務とは、使用者(会社)が労働者の生命や健康を守るために必要な配慮をする法的義務のことです。
この義務は、労働契約法第5条に定められており、会社は労働者が安心して働ける環境を提供する責任があります。
会社側がこのような義務を怠ったことによって、労働者に損害が生じた場合には、労働者は、会社に対して、損害を賠償するように請求することができます。
安全配慮義務違反による損害賠償請求は、労災とは別の法的手続きとなり、会社の過失が必要となります。
例えば、休業損害、医療費・薬品日、慰謝料、弁護士費用などを請求していくことが通常です。
労災によっても一部は補填されることになりますが、労災で保障されない差額等についても賠償を求めていくことができます。
労働者が安全配慮義務違反で会社を訴えたいと考えるケースにはいくつかあります。
働き方の多様化に伴い安全配慮義務違反の類型についても様々となっています。
例えば、安全配慮義務違反で訴えたいケースを3つ挙げると以下のとおりです。
それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。
安全配慮義務違反で訴えたいケースの1つ目は、ハラスメントです。
パワハラやセクハラなどのハラスメントが職場で行われ、会社が適切な対応を取らなかった場合、安全配慮義務違反に該当する可能性があります。
例えば、上司から日常的に罵倒されて精神的に追い詰められた結果、うつ病を発症した場合、会社が適切なハラスメント対策を講じていなければ、損害賠償を請求できることがあります。
安全配慮義務違反で訴えたいケースの2つ目は、長時間労働です。
過重な長時間労働によって、過労死や過労自殺が発生することは社会問題にもなっています。
長時間労働を放置し、適切な労務管理を行わなかった会社は、安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
例えば、月100時間を超える残業が続いた結果、労働者が脳・心臓疾患を発症した場合、会社に対して損害賠償を請求できることがあります。
安全配慮義務違反で訴えたいケースの3つ目は、業務中の事故です。
業務中に事故が発生し、適切な安全対策が取られていなかった場合も、安全配慮義務違反とされる可能性があります。
例えば、高所作業中に転落事故が発生したにもかかわらず、安全設備が不十分だった場合や、必要な安全指導が行われていなかった場合などが該当します。
安全配慮業務違反による訴えが認められるには、一定の法的条件を満たしていることが必要となります。
法律上の条件が満たされていない場合には、訴えを提起したとしても、裁判所に請求を認めないとの判決をされてしまう可能性があります。
例えば、安全配慮義務違反の訴えが難しい例としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの例について順番に説明していきます。
安全配慮義務違反の訴えが難しい例の1つ目は、負傷・疾病・障害・死亡が生じていない場合です。
具体的な健康被害が生じていない場合には安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求をすることが難しい可能性があります。
例えば、そもそも精神疾患を発症したという事実があるのか、怪我はどの程度の物であったのかなどが争われることがあります。
ただし、負傷や疾病、障害、死亡が生じていなくても、安全配慮義務違反ではなく、職場環境配慮義務違反などを理由に損害賠償を請求するという構成もあり得ます。
安全配慮義務違反の訴えが難しい例の2つ目は、業務起因性がない場合です。
負傷・疾病・障害・死亡が業務と関連しないプライベートな原因によるものである場合には、その責任を会社に追求することが難しいことがあります。
例えば、適応障害やうつ病が業務に起因したものと言えるには、強い心理的負荷があったと言えるようなエピソードがあることが大切となります。
労働者自身は、心理的負荷が大きいと感じていたとしても、裁判所には心理的負荷が強いエピソードであるとは判断してもらえないことも少なくありません。
安全配慮義務違反の訴えが難しい例の3つ目は、会社に義務違反がない場合です。
会社が適切な安全対策を講じていた場合、安全配慮義務違反には該当しません。
例えば、業務中の事故が発生したものの、会社が十分な安全教育を行っていた場合などがこれに当たります。
このような場合には、会社に対して、損害賠償を請求することが難しい可能性があります。
安全配慮義務違反で訴えたいと考えた場合には、あなた自身行動を起こしていく必要があり、準備をしたうえで適切な手続きを踏んで請求を行うべきです。
会社が安全配慮義務違反を素直に認めない事例が少なくなく、労災の申請についても会社に行ってもらえないことがあります。
このような場合に労働者が何も行動を起こさないでいると問題が顕在化せずに終わってしまうことになります。
具体的には、安全配慮義務違反を訴えたい場合の手順としては、以下のとおりです。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
安全配慮義務違反を訴えたい場合の手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
法的な見通しを立てたうえで、事実関係を丁寧に整理したうえで、証拠を集める必要があるためです。
また、安全配慮義務どのように構成し、いかなる事実からこれに違反したと主張するのかによっても、結果は大きく変わってきます。
ただし、安全配慮義務違反の訴えに関しては専門性が高いので、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労災について実績のある弁護士を探すといいでしょう。
安全配慮義務違反を訴えたい場合の手順の2つ目は、労基署に労災を申請することです。
労災の申請をすると労基署で調査をして、労災に該当するかどうかを認定してもらうことができます。
労災と認定された場合には、一定の補償をしてもらうことができます。
また、労基署が調査した資料については開示を求めることで交付してもらうことができます(一部マスキングなどが施されます)。
これにより安全配慮義務違反を訴えるにあたっての証拠も充実することになります。
ただし、労基署の労災の調査は1年~1年6か月程度かかることも多く、早めに申請をした方が良いでしょう。
安全配慮義務違反を訴えたい場合の手順の3つ目は、交渉することです。
方針を決め十分な証拠等も集まったら、会社に対して、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を請求しましょう。
内容証明郵便を会社に対する送付することにより請求を行うといいでしょう。
これに対して、会社から回答があったら争点が明らかになりますので、話し合いで折り合いをつけることが可能かどうか協議しましょう。
示談により解決することができれば、早期に少ない負担と労力で良い解決をすることができる可能性があります。
安全配慮義務違反を訴えたい場合の手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
労働審判とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
安全配慮義務違反を訴えたい人によくある疑問としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A.はい、可能です。労災保険の給付とは別に、会社の過失を理由に損害賠償請求を行うことができます。
労災保険の給付では、損害がすべて補償されるわけではありません。
例えば、休業損害は一部しか補填されませんし、慰謝料については全く払われません。
そのため、労災を受給している場合であっても、不十分な部分については会社に損害賠償を請求していくことになります。
A.労災の申請をして認定されなかった場合でも、安全配慮義務違反で訴えることは可能です。
裁判所は、労基署の判断に拘束されませんので、労基署では労災が認定されなかった場合でも、裁判では労災が認められる可能性もあります。
ただし、見通しについて十分に弁護士に確認した方が良いでしょう。
A.安全配慮義務違反の時効は、2020年3月31日までのものは10年、2020年4月1日以降のものは5年です。
起算日などが争いになることも多いため、労災事故から5年以内には訴えるようにしましょう。
2020年4月1日に改正民法が施行され、債務不履行の時効期間が10年から5年とされたためです。
安全配慮義務違反に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、安全配慮義務違反を訴えたい方に向け、3つのケースと難しい例、請求の手順を解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事でお伝えしたことが、安全配慮義務違反で会社を訴えたいと悩んでいる方の役に立てばうれしいです。
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