
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/05/05
退職勧奨
外資系企業から退職パッケージを提示されたもののどうすればいいのかよくわからずに悩んでいませんか。
退職するように言われてパニックになっている状態で、聞き覚えのないことを言われてしまい混乱してしまっている方もいますよね。
退職パッケージとは、会社側が労働者のために用意する退職条件のことをいいます。
退職パッケージの内容としては、主には特別退職金ですが、他にもガーデンリーブ、有給買取、アウトプレースメント、会社都合退職などがあります。
外資系企業が退職パッケージを提示してくるのは、解雇の紛争を避けたうえで、労働者に退職に応じてもらうためであり、企業文化が影響していることもあります。
外資系企業の退職勧奨時のパッケージの相場は、賃金の3ヶ月分~1年6ヶ月分程度です。
パッケージ金額については法的に決まりがあるわけではなく、適正な金額にも幅がありますので、良い条件を獲得したい場合には、増額交渉を行う必要があります。
また、パッケージを交渉する際には、税務上の処理についても注意する必要があります。交渉する条件次第で税金の金額も変わってくることになるためです。
実は、パッケージの金額については交渉したかどうかで大きく変わってきます。私はこれまで多くの外資系企業の退職勧奨の相談を受けてきましが、もう少し早く相談してほしかったと感じることが少なくありません。
この記事をとおして、私のこれまでの経験を踏まえてパッケージ交渉の考え方やノウハウをわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、退職パッケージとは何かを説明したうえで、外資系の退職勧奨パッケージ相場と交渉方法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、外資系企業から退職パッケージを提示された際にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
退職パッケージとは、会社側が労働者のために用意する退職条件のことをいいます。
外資系企業は、退職させることにした労働者に対して、退職勧奨を行ってきます。
そして、会社は、退職勧奨の際に、退職パッケージとして労働者に有利な退職の条件を提示してきます。
例えば、ある日、人事からミーティングを設定されます。ミーティングに参加すると、あなたをこれ以上雇用することはできないので退職してほしいと言われます。
その際に、会社側は、提案を用意したなどと述べて、退職合意書を交付してきます。そこに退職パッケージの内容が記載されているのが通常です。
このように退職勧奨の際に会社から提示される労働者に有利な退職条件をまとめて退職パッケージと表現することがあります。
外資系企業が労働者に対して提示してくるパッケージの内容は、会社によって異なりますし、同じ会社でも労働者ごとに異なる条件を提示していることもあります。
退職パッケージの内容については法律などでとくに決まったものではないためです。
例えば、外資系企業で提示されることが多い退職パッケージの内容としては、以下の5つがあります。
それでは、これらのパッケージの内容について順番に説明していきます。
退職パッケージの内容の1つ目は、特別退職金です。
特別退職金とは、通常の退職金とは別に退職に応じる対価として特別に支払われる退職金のことです。
退職金制度のない会社でも支払われることがあります。パッケージの内容として最も典型的なものとなります。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職パッケージの内容の2つ目は、ガーデンリーブです。
ガーデンリーブとは、最終出勤日から退職日までの就労免除期間のことです。
就労免除期間中については、会社から給与の支給を受けながら、転職活動に集中することができますので、労働者はキャリア上のブランクなく転職しやすくなります。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
退職パッケージの内容の3つ目は、有給買取です。
有給化を残したまま退職することになると、残日数は消滅してしまうことになります。
労働者としては、有給休暇をすべて消化したうえで退職したいと考えるのが通常です。
労働者が有給を消化してから退職するよりも、有給買い取りの方が、社会保険料の負担の関係では、労働者も会社も有利になります。
また、労働者は、有給買取の方が、税金の関係でも有利なことが多いですし、転職先が決まっている場合などには無駄に在籍し続けなければいけない期間を短縮できます。
退職パッケージの内容の4つ目は、アウトプレースメントです。
アウトプレースメントとは、会社が費用負担を行うことで労働者が受けることができる外部企業が行っている転職支援サービスのことです。
会社は、労働者の転職への不安を取り除くために、外部企業と契約して、労働者の転職を支援しようとすることがあるのです。
退職パッケージの内容の5つ目は、会社都合退職です。
まず、会社都合退職として扱うことにより、失業保険を早く受給することができ、受給できる日数も増える傾向にあります。また、在籍期間が短い人も受給しやすくなります。
ハローワークインターネットサービスでは、退職勧奨による退職については特定受給資格者、つまり会社都合退職として扱うとしています。
そのため、会社都合退職となることは当然のことではありますが、会社側は退職勧奨に応じるメリットとして強調してくることがよくあります。
また、会社に退職金制度がある場合には、通常の退勤の金額は、会社都合退職による退職の方が、自己都合退職の場合よりも大きくなるのが通常です。
そのため、退職勧奨に応じれば、「通常の退職金も100%満額支払われますよ」などと言って、退職にメリットがあると説明してきます。
外資系企業が退職パッケージを提示してくるのには、理由があります。
退職パッケージが提示される理由を知ることで、労働者としてもが交渉する際の武器になることもあります。
具体的には、外資系が退職パッケージを提示する理由としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
外資系が退職パッケージを提示する理由の1つ目は、労働者に退職してもらうためです。
退職勧奨は、あくまでも労働者に自主的に退職するように働きかけるものにすぎず、これに応じるかどうかは労働者の自由です。
労働者は、いきなり退職するように言われても、生活やキャリアに不安があり、退職には応じられないと回答するのが通常です。
そのため、会社側は、労働者を説得するための材料として、退職パッケージを提示するのです。
外資系が退職パッケージを提示する理由の2つ目は、解雇して紛争になるのを避けたいためです。
会社は、労働者が退職に応じない場合に、一方的に労働者を退職させるためには、解雇を行う必要があります。
しかし、解雇は、労働者の同意がない代わりに、厳格な法律上の条件があります。
この法律上の条件が満たされていない場合には、会社は、裁判所から高額の支払いを命じられてしまうリスクがあります。
そのため、会社は、労働者を解雇して紛争になることを避けるために、パッケージを提示して、退職に同意してもらおうとするのです。
外資系が退職パッケージを提示する理由の3つ目は、パッケージを支払う文化があるためです。
外資系企業では、退職金制度がない代わりに、退職の際に勤続年数や貢献度に応じたパッケージを支払う文化があることがあります。
外国では解雇に関して金銭補償を行う制度があることもあり、労働者を退職させる際に一定の金銭の支払いをすることに理解がある場合もあります。
このように外資系企業の性質や文化によっては、パッケージを提示することが自然なこともあるのです。
外資系企業の退職勧奨時のパッケージの相場は、賃金の3ヶ月分~1年6ヶ月分程度です。
法律でパッケージ金額が決まっているわけではないため、事案によりかなり幅があります。
一般的には、勤続年数を基準にして、勤続年数×1か月分程度のパッケージが提示されることが少なくありません。
例えば、勤続年数が3年程度の従業員であれば、賃金の3ヶ月分程度のパッケージを提示される傾向にあります。
もっとも、勤続年数のみではなく、以下のような要素もパッケージ金額に影響を与えることになります。
退職勧奨パッケージの金額は最終的には交渉により決まりますので、1年分を超えるパッケージになることもあります。
例えば、勤続年数が2年程度の従業員であっても、交渉次第では1年程度のパッケージを支払ってもらえるようなこともあります。
ただし、逆に、会社側は、5~6ヶ月勤務した従業員に対しても、2ヶ月程度のパッケージしか提示してこないこともよくあります。
退職パッケージについて、良い条件を獲得したい場合には、増額交渉を行う必要があります。
パッケージ金額については法的に決まりがあるわけではなく、適正な金額にも幅があるためです。
会社側は支払い金額を抑えるため、労働者が何も言わなければ少ない金額しか提示してこない傾向にあります。
具体的には、退職パッケージの増額交渉方法としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます
退職パッケージの増額交渉方法の1つ目は、退職合意書にサインせず持ち帰ることです。
一度、退職合意書にサインをしてしまうと、後からこれを覆すことは容易ではないためです。
会社側は、退職合意書へのサインを獲得した時点で目的を達成してしまいますので、サインした後はパッケージの交渉にも応じようとしません。
その場で退職合意書の内容を正確に理解することは困難ですので、「弁護士に相談したいので、一度持ち帰らせてください。」とだけ回答するようにしましょう。
なお、退職の合意については、退職合意書にサインをしなくても口頭によっても成立してしまうことがありますので注意が必要です。
退職合意書の拒否については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職パッケージの増額交渉方法の2つ目は、弁護士に相談することです。
退職勧奨をされた際に良い解決をするにあたっては、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針を策定し、一貫した対応を行っていくことが必要です。
早い段階で弁護士に相談してサポートしてもらうようにしましょう。
ただし、パッケージの交渉は非常に専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働問題に注力していて、パッケージの交渉に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
退職パッケージの増額交渉方法の3つ目は、働き続ける意思が強いことを示すことです。
会社側が労働者にパッケージを提示する理由は、退職したくないと考えている労働者を退職するように説得するためです。
労働者自身も退職したいと考えている状況であれば、会社側はパッケージを提示する理由はありません。
待っていれば、パッケージを出さなくても労働者が自分から退職することが明らかであるためです。
そのため、パッケージ交渉を行う際には、納得できるパッケージが提示されない限りは絶対に退職に応じず働き続けるという強い意志をもうことが大切です。
退職パッケージの増額交渉方法の4つ目は、退職勧奨の理由の不合理性を指摘することです。
退職勧奨に合理的な理由がないようであれば、会社は労働者を解雇することはできませんし、解雇が強行した場合のリスクが大きいためです。
会社側に対して退職勧奨の具体的な理由を確認したうえで、あなたの言い分や整理していくことになります。
パッケージを交渉する際には、税務上の処理についても注意する必要があります。交渉する条件次第で税金の金額も変わってくることになるためです。
特別退職金として支給を受ける場合には、退職所得として処理されることになります。社会保険料は控除されず、給与所得よりも税務上も有利となる傾向にあります。
ガーデンリーブ期間中の賃金として支給を受ける場合には、給与所得として処理されることになります。通常の給与と同じように社会保険料も税金も控除されます。
有給休暇の買い取りについては、退職所得として処理されるのが通常です。社会保険料は控除されず、給与所得よりも税務上も有利となる傾向にあります。
退職パッケージについて、よくある疑問としては以下の3つがあります。
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.一般に退職金と言う場合には退職金制度に基づく通常の退職金のことを指します。
これに対して、退職パッケージと言う場合には、通常の退職金とは別に、退職に応じる対価として、会社側から提示される労働者に有利な退職条件のことを指すが通常です。
通常の退職金とは別に、特別退職金やガーデンリーブ、有給の買い取り、アウトプレースメントサービス、会社都合退職などが提示される場合にパッケージと言う言葉を使います。
A.パッケージは法律や規則等で決められたものではないため、パッケージ制度がない会社でも交渉することができます。
また、パッケージはないと会社側が言ってくる場合には、労働者としても退職に応じる理由がありませんので、それであれば退職には応じることができませんと答えれば足ります。
A.パッケージ交渉が決裂した場合には、解雇や異動命令に進んでいくというリスクがあります。
しかし、解雇については、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と言えなければ無効となります。
また、異動命令については会社に一定の裁量がありますが、退職させるために嫌がらせを目的として行うような場合には濫用として無効となります。
そのため、リスクを過度におそれる必要なく、事案に応じて適切に分析する必要があります。
パッケージ交渉に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、退職パッケージとは何かを説明したうえで、外資系の退職勧奨パッケージ相場と交渉方法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が外資系企業から退職パッケージを提示されたもののどうすればいいのかよくわからずに悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
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籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
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