固定残業代はやばい？３０時間・４５時間・６０時間の異常性と対処法

固定残業代がやばいのではないかと悩んでいませんか？

給料の固定金額だけ見れば大きく見えるかもしれませんが、働く時間に対価が見合っていなかったと感じる方も少なくないですよね。

固定残業代とは、実際の残業時間に関わらず固定の残業代を給与に含めて支払うものです。不足する場合は追加で払う必要があります。

会社により固定残業代制度を悪用されてしまうことも多く、このような場合には労働者への悪影響が大きいため、やばいと言われることがあります。

とくに、固定残業代が想定する残業時間が４５時間を超えている場合には、職場環境が劣悪な可能性があり注意が必要です。

ただし、固定残業代の制度自体は、適切に運用される限りやばいものではなく、労使双方にとってメリットもあります。

もしも、固定残業代がやばいと感じた場合には、状況を改善するために適切に対処していくようにしましょう。

実は、労働者の無知に付け込んで、低廉な給料を隠すために固定残業代を利用したり、差額の残業代を支払わなかったりと制度を悪用する会社が後を絶ちません。

この記事をとおして、固定残業代がやばいのではないかと感じている方々に是非知っておいていただきたいことを分かりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。

今回は、固定残業代はやばいと言われる理由を説明したうえで、３０時間・４５時間・６０時間など想定される残業時間ごとに分けて解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、固定残業代がやばいと感じたらどうすればいいのかがよくわかるはずです。

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１章　よくやばいと言われる固定残業代とは？そもそも何

固定残業代とは、あらかじめ決まった時間分の残業代を、毎月の給料にまとめて含めて支払う仕組みです。

「定額残業代」や「みなし残業代」と呼ばれることもあります。

例えば、「月に４５時間分の残業代を含む」といった形で給与明細に書かれていれば、それが固定残業代です。

この場合には、４５時間までの残業なら追加の支払いはなく、超えた場合にはその分の残業代が別途必要です。

この制度は、きちんとした手続きで導入されていれば法律上も認められています。

つまり、固定残業代の制度そのものが悪いわけではありません。大事なのは、会社がきちんとルールを守って運用しているかどうかです。

２章　固定残業代がやばいと言われる理由５つ

固定残業代が「やばい」と言われるのは、制度そのものではなく、会社による運用の仕方に問題があるケースが多いためです。

労働者の知らないうちに不利な働き方を強いられることもありますので注意しましょう。

問題に気づかないまま働き続けてしまうと、心身を壊してしまうおそれもあるため、早めに危険なサインに気づくことが大切です。

例えば、固定残業代がやばいと言われる理由としては、以下の５つがあります。

それでは、固定残業代がやばいと言われる理由について、順番に見ていきましょう。

２－１　理由１：長時間残業の温床となる

固定残業代は、長時間労働を当たり前にする原因になりやすい制度です。

なぜなら、会社側は「決められた時間までは残業代を払わなくていい」と考えがちで、その範囲内であれば長く働かせても問題ないという意識になってしまうことがあるからです。

例えば、「月４５時間分の固定残業代を含む」とされている場合、会社としては４５時間までは実質的に無料で働かせることができるという状態になってしまいます。

これにより、最初から４５時間の残業を前提とした働かせ方が常態化してしまうのです。

その結果、社員が毎月長時間働くことになっても、「残業代はもう払っているから問題ない」という扱いをされてしまい、働き方の改善が進まないこともあります。

このように、固定残業代があることで、かえって長時間残業が固定化されてしまうことがあるため、やばいと言われることがあるのです。

２－２　理由２：定時で帰りづらい雰囲気がある

固定残業代がある職場では、たとえ定時で業務が終わっても、すぐに帰りにくい雰囲気が生まれてしまうことがあります。

その理由は、固定残業代が「残業するのが当たり前」という空気をつくってしまうからです。

会社や上司の中には「残業代を払っているのだから残って仕事をするのが当然」と考えている場合もあります。

例えば、固定で月３０時間分の残業代が支払われている職場で、定時で帰る人が続くと「残業代がもったいない」「やる気がない」などと言われてしまうこともあります。

このような職場では、実際には仕事がなくても何となく帰りづらくなってしまいます。

このように、固定残業代によって無言のプレッシャーがかかり、定時退社がしにくくなることがあるため、「やばい」と感じる人が出てくるのです。

２－３　理由３：給料が低廉なことがある

固定残業代があると、実は給料の中身が思っていたより少ないということがあります。

なぜなら、固定残業代を高く見せることで、基本給が極端に低く設定されているケースがあるからです。

見た目の給料額は多く見えても、実際は基本給が抑えられているため、賞与や昇給の金額が小さくなることがあります。

例えば、「月給３０万円（固定残業代１０万円を含む）」という求人があった場合、基本給は実質２０万円しかないことになります。

このようなケースでは、ボーナスが「基本給×○ヶ月」で支給される場合、期待よりも大幅に少なくなる可能性があります。

このように、固定残業代によって給料の中身が不透明になり、実質的に低い給料しかもらえていないというケースがあるため、「やばい」と言われることがあります。

２－４　理由４：適法に運用されていないことがある

固定残業代は、会社によってルールが守られずに使われていることが多く、それが「やばい」と言われる原因の一つです。

本来は「何時間分の残業代で、金額はいくらか」をきちんと示さなければなりませんが、「月給に残業代を含む」などとしか書かれていない場合があります。

さらに、本来は差額の残業代を払わなければいけないのに「固定残業代があるから、どれだけ残業しても追加の残業代は出ない」と言われてしまうケースもあります。

会社自身も固定残業代がどのようなものなのか法的に正しく理解できていないことがあるのです。

このように、制度の名前だけを使って、内容をあいまいにし、労働者に不利な働かせ方をしている職場もあるため、固定残業代はやばいと感じられやすいのです。

２－５　理由５：労務トラブルとなりやすい

固定残業代は、会社との間でトラブルになりやすい制度のひとつです。

その理由は、制度の内容がわかりにくく、説明不足のまま働き始める人が多いからです。

残業代が支払われていないことにあとから気づいても、「固定残業代に含まれている」と一方的に言われてしまうことがあります。

また、会社が制度の仕組みを十分に理解していないまま運用していることもあり、労働者が声を上げたときに対応できず、紛争に発展することもあります。

このように、固定残業代は誤解や不信感を生みやすく、結果としてトラブルに発展しやすいため、「やばい」と言われる原因のひとつになっているのです。

３章　固定残業代は何時間からやばい？

固定残業代がやばいと感じるかどうかは、その制度が想定している「残業時間の長さ」によって大きく変わります。

基本的に固定残業代が想定している残業時間が長ければ長いほど注意が必要になります。

以下では、固定残業代が想定している残業時間について、３０時間、４０時間、４５時間、６０時間、８０時間に分けて一つずつ説明していきます。

３－１　固定残業代３０時間はやばい？

固定残業代が３０時間分ある場合、人によっては負担が大きいと感じることがあります。

１か月に３０時間の残業は、１週間あたり７～８時間、毎日１時間以上の残業をしている計算になります。

これが毎月続くと、体力的にも精神的にもきつくなってしまうことがあります。

例えば、仕事が終わるのが１９時半頃になり、家に帰っても休む時間が足りないという生活が続けば、疲れもたまりやすくなります。

仕事量が少ない月でも、３０時間分の残業代が含まれているからといって、定時で帰りづらくなることもあります。

３０時間という数字は、そこまで多くないように見えても、人によっては十分に「やばい」と感じる残業時間です。

３－２　固定残業代４０時間はやばい？

固定残業代が４０時間分ある場合、やばいと感じる人が増えてきます。

月４０時間の残業は、週に１０時間ほどに相当し、ほぼ毎日２時間近い残業をしていることになります。

こうした働き方が当たり前になると、体力的にも精神的にも負担が大きくなります。

例えば、毎日２０時近くまで働く状態が続くと、夕飯を取る時間も遅くなり、平日の自由時間がほとんどなくなります。

また、会社によっては４０時間に満たない月でも、「まだ働けるはず」とプレッシャーを感じさせられることもあります。

４０時間という数字は、すでに生活に支障が出るラインに近く、「やばい」と感じるには十分な時間といえます。

３－３　固定残業代４５時間はやばい？

固定残業代が４５時間分ある場合は、やばいと感じる人が多くなります。

月４５時間というのは、労働基準法でも「原則として超えてはいけない」とされる残業時間の上限であり、健康への影響が出やすいラインとされています。

例えば、毎日２時間以上の残業をしている状態が続けば、帰宅が２１時近くになり、休む時間や家族との時間も取れなくなってしまいます。

こうした生活が続くと、疲れがたまりやすくなり、心身に不調が出るリスクも高まります。

４５時間の固定残業代があるということは、それだけ働かせる前提の制度とも言えるため、「やばい」と言われやすくなるのです。

３－４　固定残業代６０時間はやばい？

固定残業代が６０時間分ある場合、多くの人にとって明らかにやばいと感じる水準です。

月６０時間の残業は、週に１５時間ほどにあたり、毎日３時間前後の残業をしていることになります。これだけの残業が続けば、心や体に大きな負担がかかるのは当然です。

例えば、定時が１８時の職場であれば、２１時すぎまで働き続ける生活になります。

平日のほとんどが仕事で終わってしまい、食事・入浴・睡眠など最低限の生活だけで一日が終わってしまうこともあります。

また、月６０時間を超える残業には、割増率が２５％から５０％に上がるとされています。つまり、健康面だけでなく、労働時間としても特別な扱いになるほど危険な時間数です。

このように、６０時間という設定自体が異常といえるため、「やばい」と言われるのも無理はありません。

３－５　固定残業代８０時間はやばい？

固定残業代が８０時間分ある場合は、非常に危険な状態といえます。

月８０時間の残業は、過労死ラインと呼ばれる水準であり、厚生労働省も強い健康リスクがあるとしています。

長時間労働によるストレスや睡眠不足が続けば、重大な病気を引き起こす可能性もあります。

例えば、毎日４時間以上の残業をしている状態が１か月続けば、帰宅は２２時を過ぎ、食事や睡眠の時間が削られるだけでなく、休日もほとんど休めなくなります。

このような働き方が習慣になると、心身の限界を迎える人も出てきます。

また、８０時間という高い時間数があらかじめ給与に組み込まれている場合、それだけの残業を想定している職場だということになります。

このように、８０時間の固定残業代は「やばい」というよりも、すでに異常な状態といえます。

４章　やばいと言われる固定残業代のメリット

固定残業代には「やばい」というイメージがつきまといがちですが、適正に運用される場合には、労働者・会社の両方にとってメリットがあります。

例えば、固定残業代のメリットを整理すると、以下の４つがあります。

それでは、それぞれのメリットについて順番に見ていきましょう。

４－１　労働者のメリット１：毎月の給料が安定しやすい

固定残業代があると、残業の有無にかかわらず一定額が給料に含まれているため、毎月の収入が大きく変動しにくくなります。

たとえば、月３０時間分の固定残業代が含まれている場合、その月の実際の残業が少なくても一定の残業代が支給されるため、収入が安定します。

４－２　労働者のメリット２：残業の申請をしなくてもよい

固定残業代が導入されていると、毎日の残業について会社に都度申請したり、上司に事前に確認を取ったりする必要がない場合があります。

とくに忙しい職場では、こうしたやりとりが手間になることもあるため、あらかじめ決まった時間分の残業が含まれていれば、精神的な負担が軽くなると感じる方もいます。

ただし、実際の残業時間が固定分を超えることもあるため、清算のための勤務時間の記録は引き続き必要です。

申請が不要だからといって、タイムカードや勤怠管理をおろそかにしてはいけません。

４－３　会社のメリット１：給与計算や残業管理がシンプルになる

会社にとっては、残業代を個別に計算する必要がなくなるため、給与計算や勤怠管理が効率化されます。

とくに人数が多い会社や、繁忙期に変動がある職場では、事務作業の負担を大きく減らすことができます。

４－４　会社のメリット２：人件費の見通しを立てやすい

固定残業代をあらかじめ設定しておくことで、毎月の人件費が安定し、予算管理がしやすくなります。

急な残業や業務量の増減にも対応しやすく、コスト管理の面で計画が立てやすくなるのがメリットです。

５章　固定残業代がやばいと感じた場合の対処法

固定残業代がやばいと感じた場合には、状況を改善するために適切に対処していくようにしましょう。

固定残業代が「やばい」と感じたまま働き続けていると、心身に限界がきたり、大きな損をしてしまったりすることもあるためです。

制度の内容が不透明だったり、残業時間が多すぎたりする場合は、まず自分の状況を見直し、必要な行動をとることで、状況を改善できる可能性があります。

例えば、固定残業代がやばいと感じたときの対処法としては、以下の４つが考えられます。

それでは、一つずつ順番に見ていきましょう。

５－１　対処法１：弁護士に相談する

固定残業代に不安を感じたら、弁護士に相談することがおすすめです。

制度が正しく使われているか、残業代がきちんと払われているかなどを、法律の専門家が判断してくれます。

会社とのやりとりに不安がある場合でも、弁護士が間に入ることで安心して対応できます。

例えば、「何時間分の残業代が含まれているのか分からない」「残業しても追加の残業代が出ない」といった場合には、法的に問題があることもあります。

こうしたときに相談すれば、必要な手続きや進め方を教えてもらえます。

一人で悩まず、まずは早めに法律の専門家である弁護士の意見を聞いてみることが大切です。

５－２　対処法２：改善を促す

固定残業代の内容に疑問があるときは、まず職場に改善を求めることも一つの方法です。

会社が制度を正しく理解していないだけで、話し合いによって見直しが進むこともあるからです。とくに中小企業では、制度の内容があいまいなまま使われていることもあります。

例えば、「残業代が何時間分なのか説明がない」「実際の残業時間と合っていない」といった問題に気づいたら、上司や人事に確認をとってみましょう。

丁寧に伝えれば、誤解が解けたり、就業規則が見直されたりするきっかけになることもあります。

すぐに改善されるとは限りませんが、まずは自分の働き方について声を上げることが大切です。

５－３　対処法３：未払残業代を請求する

固定残業代がある場合でも、実際の残業時間がそれを超えていれば、超えた分の残業代を請求できます。

さらに、固定残業代が法律のルールを満たしていない場合は、「固定残業代」としては認められず、むしろその金額が残業代の計算の基礎になることもあります。

例えば、「金額が明示されていない」「雇用契約書又は就業規則に記載がない」といった場合には、制度として成立していないことがあります。

こうしたときは、固定残業代という扱いが無効になり、そこから改めて残業代を計算し直すことになります。

未払分を請求するには、タイムカードやシフト表、給与明細などの記録が重要です。不安がある場合は、早めに証拠を整理しておくと安心です。

５－４　対処法４：転職する

固定残業代の働き方がどうしてもつらいと感じた場合は、転職も選択肢のひとつです。

無理をして働き続けると、体調を崩したり、精神的に限界を迎えてしまったりするおそれがあるからです。

制度の改善が見込めず、会社に相談しても変わらない場合は、環境を変えることで自分を守ることができます。

例えば、「固定残業代で長時間働かされているのに、追加の残業代も出ない」「帰るのが毎日２２時すぎで体力的に限界」といった状況が続くなら、転職を考えるタイミングかもしれません。

最近では、残業時間や制度の明記に配慮している企業も増えており、事前に求人票や面接で確認することで、同じようなトラブルを避けることができます。

自分の健康や生活を大切にするためにも、「辞める」という選択肢を否定せず、前向きに検討することが大切です。

なお、退職した後でも、３年の時効にかかっていない範囲で残業代を請求することができます。

６章　残業代請求に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

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７章　まとめ

以上のとおり、今回は、固定残業代はやばいと言われる理由を説明したうえで、３０時間・４５時間・６０時間など想定される残業時間ごとに分けて解説しました。

この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。

この記事が固定残業代がやばいのではないかと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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