
2025年1月31日
不当解雇
「明日から来なくていいよ」は違法?給料や行かないリスク3つと裁判例
「明日から来なくていいよ」との発言には、複数の法的意味があります。労働者の対応次第で結果が大きく変わってきますので、冷静かつ適切に対応するよう心がけましょう。今回は、「明日から来なくていいよ」は違法かを説明したうえで、給料や行かないリスク3つと裁判例を解説します。
2025/03/04
退職勧奨
会社から休職期間満了時に退職するように言われて困っていませんか?
療養に専念していたのに突然退職するように言われても、転職先も決まっていないので不安になってしまいますよね。
休職期間満了時の退職については、退職勧奨であれば拒否できますが、自然退職や解雇は労働者の同意を必要としないため納得できない場合には拒否ではなく争うという対応になります。
会社が休職期間中に退職勧奨を行ってくる理由は、紛争リスクを回避しようとするためです。
休職期間満了で退職させられる場合には、自分の生活を守るためにも焦らずに冷静に対処していく必要があります。
休職期間満了時の退職を拒否した後には、稀に会社から報復をされることがありますが、過度に不安に感じる必要なく一つ一つ適切に対処していくようにしましょう。
実は、休職期間満了時に会社から言われるままに退職届に署名押印をしてしまう方が少なからずおり、もう少し早く弁護士に相談していただきたかったと感じることが少なくありません。
この記事をとおして、休職期間満了時の退職を拒否するために知っておくべき知識をわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、休職期間満了時の退職は拒否できるかを説明したうえで、休職中の退職勧奨への対処法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、休職期間満了時に退職を求められた際に拒否するにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
休職期間満了時の退職を拒否できるかは、状況によって異なります。
休職期間満了時に労働者が退職する状況は複数想定されるためです。
具体的には、休職期間満了時の退職の状況を3つに分けたうえで、拒否できるかを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
休職期間満了時に退職勧奨をされている場合には、拒否することができます。
退職勧奨とは、労働者に自主的に退職するように促すものです。
あくまで任意に退職するように説得するものにすぎないため、退職を強要することはできないとされています。
そのため、労働者は、退職したくない場合には、退職勧奨を拒否することはできます。
休職期間満了時に自然退職とされる場合には、拒否することはできません。
自然退職とは、休職期間満了時までに働くことができる状態に治っていなかった場合に自動的に退職することになるものであり、労働者の同意は想定されていないためです。
就業規則において、休職期間満了時に治癒していなかった場合には自然退職になると定められていることがあります。
ただし、労働者は、自然退職を拒否することはできませんが、自然退職になっていないとして争うことができます。
通常、休職期間満了時に治癒しておらず復職できないことが自然退職の条件とされているためです。
労働者は、休職期間満了時には働くことができる状態に治っていたため、復職することができた以上、自然退職になっていないと争うことができるのです。
休職期間満了時の自然退職については、以下の記事で詳しく解説しています。
休職期間満了時に解雇とされる場合には、拒否することはできません。
解雇とは、雇用主が一方的に労働者を退職させることであり、労働者の同意は想定されていないためです。
会社から、解雇通知書を交付されて、退職手続きを進められてしまうことがあります。
ただし、解雇については、労働者の同意がいらない代わりに、法律上、厳格な条件が定められています。
労働契約法16条では、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と言えない場合には、解雇は無効になるとされているためです。
労働者としては、解雇は客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当ではないため無効であると争うことが考えられるのです。
会社が休職期間中に退職勧奨を行ってくる理由は、紛争リスクを回避しようとするためです。
労働者が退職勧奨に応じて退職合意書に署名押印をした場合には、労働者自身が退職を認めていたことになり、後から退職を争うことが容易ではなくなります。
なので、会社は、労働者自主的に退職してもらうことによって、自然退職や解雇の場合のように争われるリスクを減らすことができるのです。
例えば、休職期間満了の1週間~2週間程度前になると人事からミーティングを設定されることになります。
そのミーティングにおいて、人事から、「あなたの現在の状況では復職は難しいとの判断です。つきましては、今週中にこの退職合意書にサインしてください。」などと言われます。
そして、退職合意書に一度署名押印をしてしまうと、後から、やはり復職したいと会社に伝えても、「退職に合意しましたよね」と言われて、聞く耳を持ってもらえなくなります。
会社としては、労働者から退職合意書に署名押印をもらった時点で目的を達成し、紛争リスクも下げることができているため、話し合いや交渉に応じる理由がなくなるためです。
そのため、休職期間中に退職勧奨をされるのは、労働者が後から退職を争うことを困難とするためであり、納得していない場合には安易に署名押印しないよう注意が必要です。
休職期間満了で退職させられる場合には、自分の生活を守るためにも焦らずに冷静に対処していく必要があります。
何も行動を起こさないと退職処理されてしまうことがありますし、言動や態様についてもよく観察されているため労働者に不利な事情とされてしまうことがあるためです。
具体的には、休職期間満了で退職させられる場合には、以下の方法により対処しましょう。
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
休職で退職させられる場合の対処法1つ目は、退職に応じない旨を伝えることです。
会社から自主的に退職するように促された際に、何も不満を言わないでいると退職に同意していたと主張されてしまうことがあるためです。
退職については、退職届や退職合意書への署名押印がなくても、行動や態度によっても成立してしまいます。
そのため、退職に応じない旨を明確に伝えたうえで証拠に残しておきましょう。
休職で退職させられる場合の対処法2つ目は、就業規則を確認することです。
休職制度に関するルールは会社ごとに就業規則に規定されているためです。
就業規則を見ることで、休職期間や復職の場合の手続、復職の条件、復職できなかった場合の処理についてしることができます。
休職制度のルールを知れば不利にならないように立ち回るにはどうすればいいのかを検討することができます。
そのため、退職させられそうな場合にはまずは就業規則を確認しましょう。
休職で退職させられる場合の対処法2つ目は、診断書と復職申請を出すことです。
復職するには、休職期間満了前に労働者から復職可能の診断書と復職の申請をすることが必要とされている会社が多くなっています。
会社によっては、診断書の提出と復職申請の提出を促してくれないこともあり、忘れていると復職手続きをしなかったではないかと指摘されてしまうことがあります。
そのため、会社から退職させられそうな場合には、忘れずに診断書の提出と復職申請を行うようにしましょう。
休職で退職させられる場合の対処法4つ目は、弁護士に相談することです。
復職を求めているのに復職させてもらえず退職させられそうな場合には、弁護士に相談するようにしましょう。
退職処理が有効かどうかについては、法的な事項であるため、法律の専門家である弁護士のサポートを得るべきだからです。
とくに、休職期間満了に伴う退職に係る事例については、休職期間満了前の対応や証拠の収集によって大きく結果が変わってくる可能性があります。
ただし、この分野については専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に力を入れている弁護士を探すといいでしょう。
休職期間満了時の退職を拒否した後には、稀に会社から報復をされることがありますが、過度に不安に感じる必要なく一つ一つ適切に対処していくようにしましょう。
例えば、休職期間満了時に退職を拒否した後に想定される報復と対応としては以下の3つが挙げられます。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
異動や降格をされた場合には、その根拠を確認したうえで、濫用にならないかを検討しましょう。
根拠なく異動や降格を行うことはできませんし、その必要性や労働者に与える影響の大きさによっては濫用となることがあるためです。
とくに、異動や降格が給料の減額を伴うものである場合には、会社は簡単には行うことができません。
異動や降格をされても当然に給料が減額されるわけではありません。
給与テーブルなどによって、異動や降格をされるとなぜ、元々の給料金額から新しい給料金額に変化するのかを説明できる必要があります。
また、仮に、給料テーブルによって、このような説明をすることができる場合であっても、給料を半分近く減額するような場合には濫用となります。
嫌がらせをされた場合には、パワハラ等のハラスメント該当性を確認したうえで、配慮を求めたり、慰謝料を請求したりすることを検討することになります。
職場におけるパワーハラスメントを行うことは禁止されていますので、会社側はこのような環境を是正する措置を講じなければなりません。
ハラスメントであると感じた場合には、まずは社内のハラスメント相談窓口等をとおして、調査や配慮、改善を求めていきましょう。
もし、これでも解決しない場合には、弁護士に相談して慰謝料を請求することも検討することになります。
再度休職命令を出された場合には、休職命令の条件を検討したうえで、異議を述べることを検討することになります。
会社は一度復職を認めている以上、その時点では働くことが可能な程度に治っていたと認めていることになります。
その後、再度、休職を命じるということであれば、会社側は、復職後に再度、業務に堪えられないような状況に症状が悪化したことを説明する必要があります。
そのため、労働者として、症状が悪化しておらず、通常どおりに業務を行うことが可能であると感じるのであれば、再度の休職については異議を述べることになります。
休職による退職に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、休職期間満了時の退職は拒否できるかを説明したうえで、休職中の退職勧奨への対処法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が休職期間満了時に退職するように言われて困っている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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