ブラック企業の通報先3つ!会社にバレず効果的な通報にするポイント

ブラック企業の通報先3つ!会社にバレず効果的な通報にするポイント

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日


ブラック企業の通報をどこにすべきか悩んでいませんか

労働環境を改善したくても、通報したことがバレてしまい、不利な取り扱いを受けないか不安になりますよね。

ブラック企業の通報先は複数ありますが、それぞれ特徴が異なるため事前に把握しておくことが重要です

一般的な通報先7つの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。

ブラック企業の通報先7つ

通報先を間違えてしまうと、具体的に対応してもらえないこともあるため、事前の準備が大切となります

ただし、通報の準備をしていることが会社にバレてしまうと、会社に居づらくなるおそれがあります。

実は、通報がバレてしまう方の多くは、会社内での相談や通報のタイミングなどから、バレやすい状況ができてしまっているというのが実情です

この記事をとおして、匿名性を保ちながら実効的な通報にするための必要な知識を伝えていくことができればと思います。

今回は、ブラック企業の通報先を説明したうえで、効果的な通報のポイントや通報がバレないための対策について解説していきます。

具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事でわかること

この記事を読めば、ブラック企業の通報を効果的にする方法がよくわかるはずです。

1章 ブラック企業の代表的な通報先3つ!

ブラック企業の通報先は複数ありますが、通報先として利用されやすい相談窓口があります

具体的には、ブラック企業の通報先として利用されやすい相談窓口を3つを挙げると以下のとおりです。

通報先1:労働基準監督署
通報先2:労働条件相談ほっとライン
通報先3:弁護士

それでは、これらの通報先について順番に説明していきます。

1-1 通報先1: 労働基準監督署

ブラック企業の代表的な通報先1つ目は、労働基準監督署です

労働基準監督署は、労働基準法違反について調査指導を行うための機関です。

労働基準監督署への通報は、職場環境の改善など会社の労働基準法違反状態の是正を目的として行われることが多いです。

例えば、ブラック企業では長時間残業や給料未払い、予告なしの解雇が横行しやすいため、これらの事実について相談し、調査・指導を受けられる可能性があります。

しかし、労働基準監督署は、労働基準法違反を対象としているため、ハラスメントなどの民事上の問題については対応してもらえないことがあります

また、労働基準監督署の指導には法的効力がなく、職場環境の根本的な改善に繋がらないこともあるため注意が必要です。ただし、是正勧告に繰り返し応じず悪質な場合には、社名の公表や書類送検されることがあります。

1-2 通報先2:労働条件相談ほっとライン

ブラック企業の代表的な通報先2つ目は、労働条件相談ほっとラインです

労働条件相談ほっとラインは、労働問題に専門的知識を持っている方が、電話で状況に応じた助言を行うための機関です。

労働条件相談ほっとラインの対応範囲は、労働基準関係法令の問題であり、長時間残業から、過重労働による健康障害など広範な問題について相談することができます。

電話で相談することができるため、全国どこからでも匿名で相談できることがメリットとして挙げられます。

ただし、労働条件相談ほっとラインは相談内容に基づいて助言してくれるものであり、実際に職場環境を改善するには自ら行動を起こす必要があります。

1-3 通報先3:弁護士

ブラック企業の代表的な通報先3つ目は、弁護士です

弁護士は、法律の専門家であり、法的問題を幅広く相談することができます。

例えば、労働問題においては、残業代・賃金・慰謝料請求などの直接的な解決手段についても相談することができます。

弁護士との相談においては、法的な請求の見通しやそれに係る期間のほか、必要となる費用などを聞くことができます。

また、弁護士に依頼した場合には、労働審判の申立てや訴訟提起のほか、相手方との交渉を全て任せてしまうこともできます

そのため、長時間残業や賃金の未払いなど、ブラック企業をどこに通報すべきか迷ったら、弁護士に相談してみるのがおすすめです。

2章 ブラック企業の通報を弁護士にするメリット3つ

ブラック企業の通報を弁護士にするメリットはいくつか考えられます

例えば、ブラック企業の通報を弁護士にするメリット3つを挙げると以下のとおりです。

メリット1:労働問題に柔軟に対応できる
メリット2:強制執行できる可能性がある
メリット3:有力な証拠を集めやすい

それでは、これらのメリットについて順番に説明していきます。

2-1 メリット1:労働問題に柔軟に対応できる

ブラック企業の通報を弁護士にするメリット1つ目は、労働問題に柔軟に対応できることです

働いている会社がブラック企業である場合、不当解雇やハラスメントなど違法な状態が複数発生していることも多いためです。

これらの問題に対応するには、法的な助言だけでなく、解雇の無効や慰謝料の請求など具体的な行動へと移していく必要があります

弁護士は、状況に応じた柔軟な解決策を提案できるだけでなく、請求書の送付や相手方との交渉など多様な労働問題に適切に対応することができるのです。

2-2 メリット2:強制執行できる可能性がある

ブラック企業の通報を弁護士にするメリット2つ目は、強制執行できる可能性があることです

裁判で勝訴した場合、裁判所によって強制的に未払い賃金等を回収することができます。

しかし、この手続きには法的知識が必要となり、複雑な書類を作成することになるため、多大な負担となる場合もあります

これらの手続きも弁護士に任せることができ、依頼した場合には書類作成などの負担から解放され、自由に時間を使うことができます。

2-3 メリット3:有力な証拠を集めやすい

ブラック企業の通報を弁護士にするメリット3つ目は、有力な証拠を集めやすいことです

ブラック企業への請求を認められやすくするには、証拠に基づいた説得的な主張が必要となります。

しかし、退職後などでは証拠集めが困難となることもあり、どのような証拠が有効なのか事前に知っておくことが大切です

早い段階でご相談いただけた場合には、重要な証拠やその集め方など、適切なアドバイスを受けることができ、効率的な証拠収集が可能となります。

3章 ブラック企業の通報を効果的にするポイント3つ

ブラック企業の通報をより効果的にするには、相談前の入念な準備が大切です

具体的には、ブラック企業の通報を効果的にするポイント3つを整理すると以下のとおりです。

ポイント1:通報目的の明確化
ポイント2:事実関係の整理
ポイント3:証拠の確保

ブラック企業の通報を効果的にするポイント3つ

それでは、これらのポイントについて順番に説明していきます。

3-1 ポイント1:通報目的の明確化

ブラック企業の通報を効果的にするポイント1つ目は、通報目的の明確化です

なぜなら、通報目的によって通報先や解決方針が異なってくるためです。

例えば、弁護士に相談した場合でも、「職場環境を改善したい」場合と「残業代や損害賠償を請求したい」場合では、助言の内容も大きく変わってきます。

望んだ解決に向けて行動するためにも、どのような解決がしたいのか通報目的を明らかにしておくといいでしょう。

3-2 ポイント2:事実関係の整理

ブラック企業の通報を効果的にするポイント2つ目は、事実関係の整理です

事実関係が散らかっていると、正確に情報を伝えることができず、適切な助言を受けられないおそれがあるためです。

具体的には、「誰が」「いつ」「どこで」「どのような言動があったか」整理しておくといいでしょう。

3-3 ポイント3:証拠の確保

ブラック企業の通報を効果的にするポイント3つ目は、証拠の確保です

証拠が十分ある場合、通報先で説得的な主張をするだけでなく、正確な助言を得ることも可能となるためです。

具体的には、以下のような証拠を集めておくといいでしょう。

【残業代請求】
・雇用契約書
・労働条件通知書
・就業規則
・賃金規定
・タイムカード
・PCのログ
・業務日報
・始業時刻や終業時刻付近で送信した業務メール
・給与明細

【ハラスメントや不当な人事等】
・会社とのメール
・会社から交付された書面
・会社の発言の録音
・メモや日記

4章 ブラック企業の通報がバレないための対策3つ

通報がバレてしまう原因は、通報先から漏れているわけではなく他にあります

例えば、他の従業員に相談した場合など、通報のための行動が会社に見つかってしまうこともあるのです。

そこで、ブラック企業の通報がバレないための対策3つを整理すると以下のとおりです。

対策1:他の従業員に言わない
対策2:タイミングに気を付ける
対策3:会社内で通報の準備をしない

ブラック企業の通報がバレないための対策3つ

それでは、これらの対策について順番に説明していきます。

4-1 対策1:他の従業員に言わない

ブラック企業の通報がバレないための対策1つ目は、他の従業員に言わないことです

通報したことを他の従業員に話すと、その従業員から噂が広がってしまうためです。

例えば、労働基準監督署に通報した場合、立入調査の際に「○○が通報したことが原因だ」と漏らす可能性があります。

そのため、通報したことは他の従業員に言わない方がいいでしょう。

4-2 対策2:タイミングに気を付ける

ブラック企業の通報がバレないための対策2つ目は、タイミングに気を付けることです

通報したタイミングによっては、通報したことが会社にバレてしまうことがあるためです。

例えば、会社に不満を言った直後に、労働基準監督署に通報し調査が行われた場合には、通報がバレてしまうおそれがあります。

通報したことがバレたくない場合は、少し間を空けるなど、タイミングに気を付けるといいでしょう。

4-3 対策3:会社内で通報の準備をしない

ブラック企業の通報がバレないための対策3つ目は、会社内で通報の準備をしないことです

会社内で準備していると、これが見つかった場合に不審に思われてしまうためです。

例えば、社内PCで労働基準監督署のWEBサイトを閲覧したり、通報のためのメモを会社内で作成した場合、会社にバレてしまう可能性があります。

そのため、会社内では最低限の証拠収集だけにとどめ、その他の準備は会社外で行うようにしましょう。

5章 ブラック企業を通報したい方によくある質問3つ

Q1.匿名で通報できますか?

A.ブラック企業の通報は匿名で行うことも可能です
例えば、労働基準監督署では直接面談に行った場合でも「自分の名前を言いたくない」と伝えれば匿名で取り扱ってもらえます。

Q2.通報すると報復されますか?

A.基本的に通報しても報復されることはありませんが、場合によっては報復されることもあります
しかし、通報を理由とする報復は禁止されているため、報復された場合には報復行為も通報しましょう。

Q3.ブラック企業を通報する義務はありますか?

A.ブラック企業を通報することは、労働者の義務ではありません

6章 労働問題に強い弁護士を探すなら弁護士コンパス

労働問題に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

7章 まとめ

以上のとおり、今回は、ブラック企業の通報先を説明したうえで、効果的な通報のポイントや通報がバレないための対策について解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・ブラック企業の代表的な通報先3つを整理すると以下のとおりです。
通報先1:会社内の通報先
通報先2:労働基準監督署
通報先3:労働組合や弁護士

・ブラック企業の通報を弁護士にするメリット3つを整理すると以下のとおりです。
メリット1:労働問題に柔軟に対応できる
メリット2:強制執行できる可能性がある
メリット3:有力な証拠を集めやすい

・ブラック企業の通報を効果的にするポイント3つを整理すると以下のとおりです。
ポイント1:通報目的の明確化
ポイント2:事実関係の整理
ポイント3:証拠の確保

・ブラック企業の通報がバレないための対策3つを整理すると以下のとおりです。
対策1:他の従業員に言わない
対策2:タイミングに気を付ける
対策3:会社内で通報の準備をしない

この記事が、ブラック企業の通報で悩んでいる方の助けになれば幸いです。

弁護士に相談することで、お悩みを解決できる場合があります

残業代の未払い、不当解雇、職場でのハラスメント…
一人で抱え込まず、その問題に対する経験が豊富な弁護士に相談してみませんか
「何から始めればいいかわからない」
「相談していいのかわからない」

そんな不安を持つ方も多いですが、弁護士があなたに寄り添い、最適な道筋を一緒に見つけます。
あなたが望む解決に近づけるためにも、まずはお気軽にご相談ください
信頼できる弁護士が、あなたの力になります。
勇気を出して、最初の一歩を踏み出してみませんか

弁護士に相談する

  • 神奈川

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

記事一覧へ