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会社から突然「今日付けで解雇する」と告げられたとき、「解雇予告手当はもらえるのだろうか」「支払われる金額は正しいのだろうか」と、疑問や不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
解雇予告手当とは、会社が一定の予告期間を設けずに労働者を解雇する際に、労働者に支払われる手当で、法律上支払いが義務付けられています。突然の解雇による生活への影響を和らげるための制度ですが、実際には支払われなかったり、計算が誤っていたりするケースも少なくありません。
本記事では、労働問題を数多く担当する弁護士が、解雇予告手当の基本的な仕組みから、計算方法、請求方法、支払われなかった場合の対処法までをわかりやすく解説します。自分が手当の対象になるのか、支払われる金額は適正かを確認したい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の要点
● 解雇予告手当は、30日前の予告なしに解雇された場合、または予告日数が不足する場合に、不足日数分の平均賃金が支払われる制度です。
● 試用開始14日以内・日雇い・2か月以内の短期契約など、対象外となる例外ケースがあるため、まず自分が対象かどうかの確認が重要です。
● 手当の金額は「平均賃金×不足日数」で計算でき、平均賃金は原則として直前3か月の賃金総額を暦日数で割って求めます。
● 不当解雇を争いたい場合、解雇予告手当を受け取ると「解雇を前提とした金銭解決への合意」と解釈されるリスクがあるため、受領前に弁護士への相談が必要です。
目次

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解雇予告手当は、労働基準法第20条に基づく制度です。同条では、会社が労働者を解雇する場合、次のいずれかの対応をとらなければならないと定められています。
解雇予告手当は、会社の規模や雇用形態、給与水準にかかわらず、要件を満たす場合には支払いが義務付けられます。正社員に限らず、パートやアルバイト、契約社員なども対象となり得る点を押さえておきましょう。
なお、解雇予告が口頭でも有効となる理由や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

解雇予告手当を受け取る権利が生じるのは、会社が法律上求められる手続きを守らずに解雇を行った場合です。具体的には、以下の2つのケースが該当します。
会社は、労働者を解雇する場合、原則として解雇日の30日前までに解雇を予告しなければなりません。この予告なしに即日解雇された場合、労働者は、直前3か月の賃金をもとに算出した1日あたりの平均賃金の30日分を解雇予告手当として請求できます。
たとえば「今日でクビ」などと突然告げられた場合がこれにあたります。
即日解雇された場合の対処法については、以下の記事でも詳しく説明しています。
解雇予告はあったものの、その予告日から実際の解雇日までの日数が30日に満たなかった場合、労働者は不足する日数分の平均賃金を解雇予告手当として請求できます。
たとえば、解雇日の20日前に予告された場合、不足する10日分の平均賃金を受け取る権利があります。「予告はあったから手当は不要」と会社に言われた場合でも、予告期間が30日に達していなければ、その差分を請求することが可能です。
解雇予告手当は、すべての労働者が無条件に受け取れるわけではありません。労働基準法第21条では、一定の雇用形態や状況にある労働者は、原則として解雇予告の対象外とされています。
ただし、いずれのケースにも例外が設けられており、形式上は対象外に見える場合でも、実態によっては手当が発生することがあります。それぞれの具体的な条件と例外を確認していきましょう。
試用期間中の労働者であっても、試用開始から14日以内であれば、解雇予告なしに解雇することが認められています。
ただし、試用期間中であっても、14日を超えて継続して雇用されている場合は、通常どおり解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要です。
「試用期間中だから予告も手当も不要」という判断は誤りであり、試用開始から15日目以降に解雇する場合には、通常の解雇と同様の手続きが求められます。
以下の雇用形態にある労働者も、原則として解雇予告の対象外とされています。
ただし、これらにも例外があります。日雇いの場合は1ヶ月を超えて、2ヶ月以内の短期契約や4か月以内の季節的業務の場合はそれぞれの契約期間を超えて、引き続き雇用されていた場合は解雇予告の対象となります。
たとえば、「2か月以内の契約」で雇用されていたとしても、実態として更新を繰り返し長期間継続して勤務していた場合には、対象外とは言い切れません。雇用形態だけで一律に判断することはできないため、自分の実態に即して確認することが重要です。
労働者が横領や傷害など重大な背信行為を行った場合、会社が所轄の労働基準監督署長から解雇予告除外認定を受けていれば、解雇予告手当なしの即時解雇が認められます。
ただし、この認定は会社側が手続きをとる必要があります。会社が認定を受けずに「重大な問題があったから手当は払わない」と主張するだけでは法的には不十分であり、認定がない場合は原則として労働者は手当を請求できます。
地震や洪水などの天災、またはこれに準じるやむを得ない事由により、事業の継続が不可能となった場合も、解雇予告除外認定が認められれば、解雇予告手当なしの即時解雇が可能です。
ただし、単に「経営が苦しい」「売上が落ちた」といった経営上の理由はこれに該当しません。あくまで「事業継続が物理的・客観的に不可能な事態」であることが求められ、こちらも労働基準監督署長の認定が必要です。
解雇予告手当の金額は、「平均賃金」と「予告が不足している日数」の2つの要素によって決まります。計算の仕組みを正しく理解しておくことで、会社から提示された金額が正確かどうかを自分で確認できるようになります。

解雇予告手当の計算式は以下のとおりです。
「不足日数」とは、30日から実際の予告日数を引いた日数のことです。
たとえば、解雇日の10日前に予告された場合、不足日数は「30日-10日=20日」となり、平均賃金の20日分が解雇予告手当として発生します。予告がまったくなかった場合(即日解雇)は、不足日数が30日となるため、平均賃金の30日分が支払われます。
1日分の平均賃金の算出方法は、労働基準法第12条に定められています。
原則として、解雇予告をした日の直前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数(カレンダー上の日数)で割って求めます。なお、賃金締切日がある場合は、解雇予告をした日の直前の賃金締切日からさかのぼった3か月間を基準に計算します。
この「賃金総額」に含まれるもの・含まれないものは以下のとおりです。
| 区分 | 具体例 |
| 含まれるもの | 基本給、残業代、通勤手当、住宅手当、家族手当、皆勤手当、職務手当など。税金・社会保険料等を控除する前の賃金総額で計算する。 |
| 含まれないもの | 臨時で支払われた賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、法令または労働協約に基づかない現物給与など。 |
なお、日給制や時間給制などの場合は、上記の原則式に加えて「直前3か月の賃金総額÷その期間の労働日数×0.6」で計算した金額と比較し、高い方を平均賃金として採用します。
【参考】平均賃金について【賃金室】
実際の計算イメージをつかみやすくするため、ケース別に試算してみます。
直前3か月の暦日数を91日、賃金総額を90万円とすると、
直前3か月の暦日数を92日、賃金総額を75万円とすると、
直前3か月の賃金総額を54万円、暦日数を91日、労働日数を60日とすると、
時給・日給制の場合は2つの計算式を比較し、高い方を採用します。
上記はあくまで概算です。実際の金額は、賃金総額に含まれる手当の範囲や雇用形態によって変わるため、「会社から提示された金額が正しいか確認したい」という場合は弁護士に相談することをおすすめします。
労働基準法第20条の趣旨からすると、解雇予告手当は、会社が解雇を言い渡す時点で支払われるのが原則です。
「即日解雇します、手当は後日振り込みます」といった対応は、本来であれば法律の要件を満たさない可能性があります。
実務では、解雇予告手当が最後の給与と合わせて支払われるケースも見られます。
ただし、これはあくまで会社側の運用上の慣行であり、労働者は原則どおり解雇の言い渡し時に支払うよう求めることができます。
また、解雇予告手当の請求権には時効があります。労働基準法第115条により、解雇予告手当の請求権は2年間行使しないと時効によって消滅します。逆に言えば、解雇後に「やはり請求しよう」と思った場合でも、2年以内であれば請求できる権利が残っています。
なお、時間が経つほど証拠が失われたり、交渉が困難になったりするため、早めの対応が望ましいでしょう。
実際には、解雇予告手当が支払われなかったり、計算額が正確でなかったりするケースがあります。
そのような場合でも、段階的に対応することで権利を守れる可能性があります。まずは自分が対象かどうかの確認から始め、会社への請求、行政への相談、法的手段へと順を追って進めていきましょう。
支払われないケースの具体的な内容については、以下の記事も参考にしてください。

まず最初に、前述の「もらえないケース」に自分が該当しないかを確認しましょう。
試用開始から14日以内の解雇や、日雇い・短期契約などの例外に該当する場合は、原則として解雇予告手当は発生しません。
一方、形式上は短期契約や試用期間であっても、実態として継続雇用されていた場合など、対象となるケースもあります。判断が難しい場合は弁護士への相談を検討してください。
労働基準法第22条では、労働者は退職(解雇を含む)の際に解雇理由証明書の交付を請求できると定められています。
解雇の理由を書面で明確にさせることは、手当の支払いを求めるうえでも重要です。会社が主張する解雇理由が、予告除外事由(重大な背信行為など)に該当するかどうかを確認しやすくなるためです。
あわせて、解雇予告手当の計算根拠(平均賃金の算定に使用した期間・金額・日数など)の開示も書面で求めることをおすすめします。会社には根拠を示す義務があり、開示された情報をもとに、提示された金額が正しいかどうかが確認できます。
解雇理由証明書の内容に納得できない、または記載された解雇理由に疑問がある場合は、以下の記事も参考にしてください。
解雇予告手当の不払いは、労働基準法違反にあたります。
会社に請求しても支払われない場合は、所轄の労働基準監督署に申告することができます。労基署は調査の結果、法違反と判断した場合には会社に是正を指導・命令する権限を持っており、支払いにつながるケースもあります。
また、各都道府県の労働局が設置する総合労働相談コーナーでは、解雇に関する相談を無料で受け付けています。状況に応じて、労働局の担当者が間に入って会社との話し合いを促すあっせん手続きへの案内も行っており、費用をかけずに解決の糸口を探ることができます。
会社が任意での支払いに応じない場合や、金額について折り合いがつかない場合は、労働審判や少額訴訟などの法的手段も選択肢になります。
ただし、解雇自体が不当であると考えており、解雇の無効を争う意思がある場合には、解雇予告手当を請求・受領することには注意が必要です。解雇予告手当を受け取ると、会社側から「解雇を前提とした金銭解決に同意した」と解釈されるリスクがあるためです。
職場復帰や解決金の獲得を目指す場合は、手当の受領前に弁護士へ相談し、法的手段の選択も含めた対応方針を確認することをおすすめします。

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解雇予告手当を適切に受け取るためには、事前の確認と準備が欠かせません。以下のポイントを押さえておきましょう。
まず、会社から解雇を告知された日付と、実際の解雇日(最終出勤日や退職日)を正確に把握してください。
この2つの日付の差が30日未満であれば、その不足分が解雇予告手当として発生します。
解雇予告がいつ行われたかについては、口頭での告知であっても記録として残しておくことが重要です。
解雇を告げられた日時・場所・発言内容をメモに残し、可能であれば録音しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。
解雇予告手当の金額を正確に算出するためには、直前3か月分の給与明細が必要です。
基本給だけでなく、各種手当や残業代を含む支給総額を確認してください。
また、雇用契約書は雇用形態や賃金の取り決めを確認するうえで重要な書類です。
手元に用意しておくと、会社との交渉や弁護士への相談がスムーズになります。これらの書類は解雇後に入手が難しくなる場合があるため、解雇を告げられた段階で早めに確保しておくことをおすすめします。
解雇予告手当は、労働者に認められた正当な権利ですが「本当に自分のケースだともらえるの?」と判断に迷いやすいものでもあります。ここでは、解雇予告手当に関してよくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
A.解雇予告手当は、会社側から一方的に解雇された場合にのみ発生します。自己都合退職(労働者自らが退職を申し出た場合)には適用されません。
退職勧奨(会社から退職を促される行為)についても、労働者が自分の意思で退職に応じた場合は解雇として扱われず、解雇予告手当は発生しません。ただし、退職勧奨が実質的に強迫や強要に当たるケースでは、退職の意思表示が無効となる可能性があります。
「会社から退職を迫られたが、本当は辞めたくなかった」という場合は、弁護士への相談が有効です。
A.雇止め(有期契約の期間満了時に更新を行わないこと)は、原則として「解雇」ではなく契約の終了にあたるため、解雇予告手当は発生しません。
ただし、契約更新が繰り返されて実質的に継続雇用と同視できる状態にある場合や、労働者が更新を期待することに合理的な理由がある場合には、雇止めが「解雇」と同等に扱われ、一定の保護が認められることがあります。
形式的に「契約期間満了」とされていても、実態として継続雇用と見なせるかどうかによって保護の有無が変わります。自分のケースが雇い止め法理の対象になるかどうかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
A.有給休暇の消化中であっても、解雇予告の規定は通常どおり適用されます。有給休暇と解雇予告手当は別個の規定によるものであるためです。
つまり、有休消化中に突然解雇を告げられた場合、30日前の予告がなければ解雇予告手当が発生する可能性があります。会社から有給消化を勧められた後に解雇を告げられた場合でも、予告期間が30日に満たなければ、不足する日数分の手当を請求できる権利があります。
A.不当解雇を争う場合、解雇予告手当の請求・受領は慎重に判断する必要があります。解雇予告手当を請求することで、会社側から「解雇が有効であることを認めていた」と主張されるリスクがあるためです。
解雇の無効を主張し、職場への復帰や未払い賃金(バックペイ)を求める場合には、解雇予告手当を受け取る前に弁護士に相談し、対応方針を確認することが重要です。解雇予告手当の扱いが、後の交渉や裁判における主張に影響を与える可能性があります。
A.原則として、解雇予告手当は解雇を言い渡したタイミングで支払われるべきものであり、通常の給与とは別の性質を持つ金銭です。ただし実務上は、最後の給与と合算して支払われることが多く見られます。
支払い方法(別途振込か給与に合算か)や支払い時期については、会社との取り決めによって異なります。最終給与と合算して支払われる場合、給与と解雇予告手当の区別がわかりにくいことがあるため、内訳が不明な場合は、明細の提示を求めるとよいでしょう。
A.解雇予告手当は、所得税法上「退職所得」として課税の対象となります。
そのため、源泉徴収が行われますが、退職所得であれば退職所得控除が適用されて税負担が軽減されます。
受け取った金額がそのまま手取りになるわけではない点に注意が必要です。年末調整や確定申告の際に、他の所得とあわせて精算されます。
解雇予告手当に関するトラブルは、「支払われない」「金額が少ない」「受け取ってよいかどうか判断できない」など、状況によって対応が異なります。特に不当解雇を同時に争う場合は、解雇予告手当の扱い方一つで、その後の交渉や法的手続きに影響が生じることもあります。
労働弁護士コンパスでは、解雇問題や労働トラブルに注力する弁護士を検索できます。「まず自分の状況が対象になるかを確認したい」「会社への請求方法がわからない」という段階からでも、弁護士に相談することで適切な対応の方向性が見えてきます。一人で抱え込まず、早めに弁護士のサポートを活用することを検討してください。

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解雇予告手当は、会社が30日前の予告なしに労働者を解雇する際、または予告日数が不足する場合に、その不足分を平均賃金で補うために支払われる手当です。突然の解雇に対して法律が定めた、労働者の正当な権利です。
手当が支払われない、あるいは金額が少ないと感じた場合は、まず給与明細や雇用契約書をもとに自分で計算を確認し、会社に計算根拠の開示を求めることが第一歩です。それでも解決しない場合は、労働基準監督署への申告や弁護士への相談といった手段があります。
特に注意が必要なのは、解雇そのものが不当であると考えている場合です。手当を安易に受け取ると、会社側から「解雇を前提とした金銭解決に合意した」と解釈されるリスクがあります。少しでも疑問を感じた段階で、労働問題に詳しい弁護士へ早めに相談することをおすすめします。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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