
2025年1月31日
不当解雇
「明日から来なくていいよ」は違法?給料や行かないリスク3つと裁判例
「明日から来なくていいよ」との発言には、複数の法的意味があります。労働者の対応次第で結果が大きく変わってきますので、冷静かつ適切に対応するよう心がけましょう。今回は、「明日から来なくていいよ」は違法かを説明したうえで、給料や行かないリスク3つと裁判例を解説します。
2025/03/14
不当解雇
不当解雇をされてしまい、解決金をもらうことができないか悩んでいませんか?
解雇されてしまうと生活も苦しくなってしまうため、解雇が不当なのであれば一定の補償をしていただきたいと考えることは、当然ですよね。
不当解雇の解決金とは、解雇が不当である際に支払われる紛争を解決することを目的とした対価のことをいいます。
不当解雇の解決金の相場は、給料の3ヶ月分から1年分程度です。
試用期間における不当解雇の場合には、解決金額の相場も若干下がる傾向にあります。
不当解雇で高額の解決金を獲得するには、綿密な準備と適切な方針の策定、様々な工夫が必要となってきます。
不当解雇による解決金については、第一次的には一時所得として処理されることが多いですが、最終的には税務署が実態に即してその性質を判断することになります。
実は、解雇事件の多くは和解による金銭解決がされる傾向にありますので、不当解雇をされた際に良い解決をするためには解決金について正しく理解することが不可欠なのです。
この記事をとおして、不当解雇をされて困っている労働者の方に解決金について考え方をわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、不当解雇の解決金相場を説明したうえで、高額の和解金を獲得する方法5つと税金について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、不当解雇をされた際に少しでも有利な解決金を獲得するにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
不当解雇の解決金とは、解雇が不当である際に支払われる紛争を解決することを目的とした対価のことをいいます。
労働者は、不当解雇をされた場合には、通常、労働者としての地位の確認と解雇日以降の給与の支払いを請求します。
もっとも、これらは、訴訟の判決において、裁判所が判断する事項であり、実際には判決に至る前に、労働者と会社との間で金銭解決されることが多くなっています。
このように判決に至る前に和解する場合には、会社から労働者に対して、一定の解決金が支払われることになります。
例えば、不当解雇を和解する際の典型的な和解の条項は以下のとおりです。
上記の和解条項のうち第2項で記載されているのが解決金です。通常、和解日から、1か月程度を目途に支払日を設定します。
不当解雇の解決金の相場は、給料の3ヶ月分から1年分程度です。
不当解雇の解決金の金額は、見通しやリスク、解決に要した期間などによっても変わってきますので一定の幅があります。
会社側は、解決金を支払うことで裁判所からの高額の支払いを命じられるリスクを回避しようとします。
解雇が無効とされてしまうと、解雇日から解決日までの給料を遡って支払うように命じられてしまう可能性があるためです。
労働者側は、解雇が有効とされてしまい請求が認められないことになってしまうリスクを回避しようとします。
解雇が有効とされてしまったら、解雇日以降の給与は1円も請求できず、金銭の支払いが一切認められない可能性もあるためです。
また、不当解雇を争う際には、解雇日以降の給料を請求するため、解雇日から期間が経つほどに、不当解雇と認められた場合に支払われる給料は増えていくことになります。
上記のような理由から、不当解雇の解決金の相場を手続きごとに整理すると以下のとおりとなるように感じます。
労働審判、訴訟と手続きが進むにつれて、解決に必要な期間も増えますので、その分未払いの給料金額が増えていき、解決金額が高額になりやすくなります。
また、裁判所の心証によって、双方のリスクも変わってきますので、不利な心証の方が相手方に歩みよらざるをえないことになります。
交渉段階では裁判所の心証が出ていないため、会社側は解雇が無効であることを前提とした金額での和解には応じない傾向にありますので解決金額が低くなりがちです。
試用期間における不当解雇の場合には、解決金額の相場も若干下がる傾向にあります。
なぜなら、試用期間中の方が解雇のハードルが若干低く設定されており、本採用後よりも解雇が有効となりやすい傾向にあるためです。
また、勤続年数が短く会社への貢献がまだ少ない労働者に対して、高額の解決金を支払うことができないという理由が述べられることがあります。
これは感情的な意味で言われることもありますが、外資系企業の場合は勤続年数に応じて特別退職金を計算する傾向にあるので慣習の違いが理由のこともあります。
もっとも、試用期間中の不当解雇であっても、解雇が無効である場合には、本採用後と同様、解雇日以降の給料を遡って支払ってもらえるというのが日本の法制度です。
そのため、労働者としては、解雇が無効であるとの自信がある場合には、試用期間であるからと言って解決金につき譲歩する必要はありません。
不当解雇で高額の解決金を獲得するには、綿密な準備と適切な方針の策定、様々な工夫が必要となってきます。
交渉事になりますので、あなたの対応次第で獲得できる金額は大きく変わってきます。
もし、あなたが不当解雇で高額の解決金を獲得したいと考えた場合には、以下の5つの方法を試してみるといいでしょう。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
不当解雇で高額の解決金を獲得する方法の1つ目は、解雇が無効との心証を勝ち取るためです。
解雇が無効となった場合には、会社側は、解雇日から解決日までの給料を遡って支払う必要があるためです。
一方で、解雇が有効となった場合には、会社側は、解雇日以降の給料を支払う必要はありません。
そのため、解雇が無効との心証を獲得して、裁判所から会社に対して、和解が成立しない場合には、判決により遡って給料を支払うことになると説得してもらいましょう。
例えば、会社側が主張している1つ1つの解雇理由について、あなたの言い分を丁寧に主張していき、裏付けとなる証拠などを整理していくことになります。
不当解雇で高額の解決金を獲得する方法の2つ目は、復職の意思が強いことを強調することです。
労働者が復職する意思が弱い場合には、会社側は解雇を撤回するという方策を講じることで、それ以上未払い金額を増えないような対策を講じやすくなります。
また、労働者が復職しないことが明らかであれば、会社側は解雇が無効でも解雇日から解決日までの給料を遡って支払えば、労働者が自主的に退職するため、それ以上の給料は支払わずに済むことになります。
一方で、労働者の復職の意思が強い場合には、会社は、解雇が無効とされると、解雇日から解決日までの給料を払って、更に労働者が復職することになるため、復職日以降の給料も支払い続けることになります。
そのため、労働者の復職の意思が強い場合には、会社は、解雇日から解決日までの給料に加えて、上澄みの補償を出す必要が生じる傾向にあります。
ただし、会社は、労働者の復職の意思が強いことを受けて、真摯に復職の可否を検討して、本当に復職を認めてくれることもあります。
このような場合において、実は復職したくなかったなどと言うのは、不誠実ですし、裁判所の印象も悪いでしょう。
そのため、復職の意思が弱い場合には、復職の意思が強いということはリスクもありますので注意した方が良いでしょう。
不当解雇で高額の解決金を獲得する方法の3つ目は、訴訟手続を用いることです。
訴訟手続を用いることで、裁判所をとおして、明確な見通しを会社側も認識することになります。
例えば、交渉や労働審判の段階では、会社側は、訴訟になったら、裁判所から解雇が有効との心証が示される可能性もあるかもしれないと考え、訴訟で解雇が無効とされた場合と同等の水準での和解には応じてこない傾向にあります。
また、交渉や労働審判よりも、解決に必要な期間も長くなりますので、その分、和解時点における未払給料の金額も大きくなっています。
そのため、訴訟手続では、解決金が労働審判や交渉よりも大きくなる傾向にあります。
不当解雇で高額の解決金を獲得する方法の4つ目は、未払い残業代等も併せて請求することです。
不当解雇をされた方の相談を受けていると、未払いの給料や残業代があるケースも多くなっています。
未払いの残業代等を請求し裁判所がこれを認める判決を出せば、単純に解雇を争っているだけの場合よりも、会社側から支払ってもらえる金額は当然大きくなります。
そのため、判決になった場合の会社側のリスクも大きくなり、和解における解決金の金額も大きくなりやすいのです。
不当解雇で高額の解決金を獲得する方法の5つ目は、弁護士に相談することです。
高額の解決金を獲得するためには、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針を立てて、説得的な主張や証拠の整理、交渉を行っていく必要があります。
そのため、法律の専門家である弁護士に依頼して、不当解雇への対応から、解決金の獲得に向けた交渉を任せてしまうことがおすすめです。
ただし、不当解雇の事案については、専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働問題に力を入れていて、解雇について実績のある弁護士を探すといいでしょう。
不当解雇による解決金については、第一次的には一時所得として処理される傾向にあります。
解決金は、請求している金額だけではなく、敗訴した場合のリスク、訴訟追行費用の節約など、当事者ごとに異なる思惑をもってその金額が決まることになります。
そのため、紛争を解決するための費用と言う以上にその性質を明確に判別することが難しいのです。
(参考:長崎地判平成30年6月8日D1-Law.com判例体系)
ただし、最終的には税務署が実態に即してその性質を判断することになります。支給の内訳を明確に区分できるような場合などには、給与所得等とされる可能性もあります。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、不当解雇の解決金相場を説明したうえで、高額の和解金を獲得する方法5つと税金について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が不当解雇をされてしまい、解決金をもらうことができないか悩んでいる労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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