
2025年1月31日
不当解雇
「明日から来なくていいよ」は違法?給料や行かないリスク3つと裁判例
「明日から来なくていいよ」との発言には、複数の法的意味があります。労働者の対応次第で結果が大きく変わってきますので、冷静かつ適切に対応するよう心がけましょう。今回は、「明日から来なくていいよ」は違法かを説明したうえで、給料や行かないリスク3つと裁判例を解説します。
2025/03/14
不当解雇
会社をクビになってしまうのではないかと不安に感じていませんか?
もしクビになってしまったら生活やキャリアに大きな不利益が生じることになりますので、心配になりますよね。
会社をクビになる際には、通常、前兆があります。
もっとも、前兆の内容については、状況や業種、雇用形態によっても変わってきます。
会社をクビになる前兆を感じた場合には、最悪の事態を避けるために、早い段階で対策を講じておくべきです。
万が一、前兆なく会社をクビになってしまった場合には、自分の生活やキャリアを守るためには、焦らずに冷静に対処していく必要があります。
実は、クビになる前兆がわかっていれば、労働者は、不利にならないように立ち回りやすくなり、解雇されてしまった場合の結果も格段に良いものになる可能性があります。
この記事をとおして、クビになってしまわないか不安に感じている労働者の方々に解雇の前兆をわかりやすく説明することができれば幸いです。
今回は、会社をクビになる前兆9個を説明したうえで、解雇の前兆を感じた際の対策と対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます、
この記事を読めば、会社をクビになる前兆を感じた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
会社をクビになる際には、通常、前兆があります。
解雇は最終手段とされており、雇用を継続するための措置を尽くさなければいけないとされているためです。
具体的には、会社をクビになる前兆としては、以下の9個があります。
それでは、会社をクビになる前兆について順番に説明していきます。
会社をクビになる前兆の1つ目は、業務改善を求められることです。
業務改善を求められるということは、会社はあなたの勤務状況に満足していないということになります。
もっとも、会社は、解雇を行う前に労働者に対して、改善指導を行わなければなりません。
そのため、業務改善を求められても、改善しなかった場合には、解雇される可能性があることになります。
会社をクビになる前兆の2つ目は、最低評価の成績が続くことです。
最低評価の成績が続く場合には、会社側があなたのパフォーマンスに不満を持っているということになります。
また、会社側は、労働者を解雇する証拠とするために解雇の直前には低い成績をつけることがあります。
そのため、最低評価の成績が続く場合には、解雇を言い渡される可能性があることになります。
会社をクビになる前兆の3つ目は、上司に冷たい態度をとられることです。
上司は、自分の気に入らない社員について、会社に対して悪く報告して、目の敵のようにすることがあります。
また、会社の中で上の地位にある方は、気に入らない社員を退職させるための材料を集めようとしてくることがあります。
そのため、上司に目をつけられてしまうと、理由をつけて、解雇まで追い込まれてしまうことがあるのです。
会社をクビになる前兆の4つ目は、度重ねて始末書を指示されることです。
労働者が会社の規律を乱すような行為をする場合には、会社はまずは始末書の提出などの軽い措置を繰り返したうえで、治らない場合には重い処分を検討することになります。
また、会社側は、問題行動の内容を始末書に記載させて、解雇する際に証拠とできるよう準備することも多くなっています。
そのため、度重ねて始末書を指示される場合には、解雇の前兆となるのです。
会社をクビになる前兆の5つ目は、業績が悪化することです。
業績が悪化する場合には、会社を維持するために人件費を削減しようとすることがあります。
例えば、収支が赤字になるような状態が続いているという場合、業績目標を大幅に下回っているといった場合には、クビを言い渡される前触れとなります。
会社をクビになる前兆の6つ目は、新規の求人が停止されることです。
会社は経営状態が良くない場合には、人員を削減しようとします。
もっとも、まずは既存の従業員を退職させるのではなく、新規の採用を止めようとします。
そのため、新規の採用を止めても業績が回復しない場合には、既存の従業員の削減が検討されることになります。
会社をクビになる前兆の7つ目は、退職勧奨されることです。
退職勧奨と言うのは、自主的に退職するように促すことをいいます。
会社側は、解雇を行うことになると紛争化し、高額の支払いを命じられるリスクがあるため、まずは穏当に自主的に退職するよう説得してくることが多くなっています。
会社をクビになる前兆の8つ目は、自宅待機を命じられることです。
会社側は、その人に与える仕事がないと自宅待機を命じてくることがあります。
もっとも、会社は働いていない従業員に給与を支給し続けることは難しいので、自宅待機が続くと解雇を言い渡されることがあります。
昨今では、退職勧奨の際に併せて自宅待機を命じられることも多くなっており、労働者が自主的に転職するように仕向けてくる会社も増えています。
会社をクビになる前兆の9つ目は、解雇予告されることです。
会社は、解雇する際には、原則として、30日前に解雇の予告をしなければならないとされています。
そのため、会社は、解雇をする前に労働者に対して解雇の予告をしてくるのです。
ただし、解雇の予告に代えて、解雇予告手当を支払うことにより、予告を短縮することもできるため、このような場合には急に解雇されることもあります。
クビになる前兆の内容については、状況や業種、雇用形態によっても変わってきます。
事案に応じて、契約の内容も手続きも、会社からの期待も異なってくるためです。
以下では、6つのケースに分けて、それぞれ会社をクビになる前兆を説明していきます。
試用期間でクビになるケースでは、試用期間の延長や満了前の退職勧奨をされることがあります。
試用期間については、通常、3ヶ月、6ヶ月などの期間が決められています。試用期間が過ぎてしまうと、会社は本採用拒否を拒否することはできなくなってしまいます。
例えば、試用期間満了時点で会社側の期待に応えることができるか悩ましい状態だと、試用期間を延長されることがあります。
そして、延長後にやはり期待に応えることができていないと判断されるとクビにされてしまうことがあります。
また、試用期間満了の1ヶ月程度前頃から、会社は、本採用拒否する予定の従業員に対しては、自主的に退職するように促し始めることが多くなっています。
正社員でのクビになるケースでは、クビになる前にまずは降格や異動などの措置が行われることが多くなっています。
正社員の場合には、通常、長期にわたり雇用されると期待が強い一方で、転勤や異動、役職の変更なども想定されていることが多いためです。
会社側は、可能な限り雇用を維持するため、降格や異動などをしたうえで、どうにか雇用を継続できないか検討します。
そのため、正社員は、クビになる前に降格や異動などの辞令が出されることも多くなっています。
バイトやパートがクビになるケースでは、シフトに入れてもらえないことが増えてきます。
シフトを減らすことで、給料をなるべく支払わないようにするのです。
シフトにほとんど入れてもらうことができず、事実上、クビとほとんど変わらない状態にされてしまうこともあります。
ただし、週に何日のシフトを入れる等の合意があったと認められる場合もありますので、このような場合にはシフトに入れなかった日の給料を請求できる可能性もあります。
アルバイトのクビについては、以下の記事で詳しく解説しています。
派遣がクビになるケースでは、現在の派遣先からもう来なくていいと言われ、次の派遣先が見つからず待機状態が続くことがあります。
会社は数か月程度、新しい派遣先を探しても見つからないような場合には、これ以上、働いていない従業員に給料を支払いたくないとして、クビにしようとしてくるのです。
契約社員がクビになるケースでは、更新できない旨を伝えられたり、更新の際に次回は更新しない旨を明記されたりする傾向にあります。
契約社員については、一定の期間が定められていますので、その期間の満了時にもう次の契約はしない旨を告げられることが多いのです。
法的には、解雇ではなく、雇い止めと言われるものになります。
ただし、雇い止めも、労働者に更新の期待が認められれば、解雇と同様、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と言えなければ、更新を拒絶できないことになります。
外資をクビになるケースでは、PIPやパッケージの提案が行われることが多くなっています。
PIPとは、業務改善プログラムのことです。
パフォーマンスが不足している労働者に対して、2~3ヶ月間で具体的な目標を設定したうえで週に1回程度のフィードバックを行います。
達成できない場合には、降格や解雇等となる可能性があることを承諾する旨が記載されていることもあります。
次に、パッケージとは、労働者が自主的に退職するように促す対価のことで、特別退職金や就労免除(ガーデンリーブ)などが提示される傾向にあります。
勤続年数や貢献等に応じて、給料の2か月分から2年分程度の利益が提示されることが多いです。
会社をクビになる前兆を感じた場合には、最悪の事態を避けるために、早い段階で対策を講じておくべきです。
早い段階で対策をしておくことで、解雇を避けることができたり、解雇された場合でも有利に進めることができたりすることがあるためです。
具体的には、会社をクビになる前兆を感じた場合には、以下の対策を講じておくといいでしょう。
それでは、これらの対策について順番に説明していきます。
会社をクビになる前兆を感じた場合の対策の1つ目は、改善を促された点は改善することです。
会社側が改善を促してくる部分については、会社側問題点であると感じている部分です。
問題点が改善すれば、会社側も雇用を継続することに支障はなくなるはずですので、解雇を回避できる可能性があります。
一方で、改善を求められたにもかかわらず、改善をすることができていない場合には、解雇された際にも、そのようなエピソードを指摘されることになります。
そのため、改善を促された点を改善しておけば、仮に解雇されたとしても、改善しているにかかわらず解雇することは不当であると指摘しやすくなります。
会社をクビになる前兆を感じた場合の対策の2つ目は、有利な証拠を集めることです。
解雇をされた後は、証拠を集めることが難しくなってしまい、会社側から解雇理由を指摘されても、具体的な反論が困難となってしまうことがあります。
早い段階で有利な証拠を集めておくことで、仮に解雇された場合に会社側から具体的な事実を主張された場合でも、あなたの落ち度ではないとの主張をしやすくなります。
例えば、メールやチャット、録音、業務スケジュール、成果物など、解雇理由とされる可能性のある事項に応じて集めておくことで反論できることがあります。
ただし、必要な証拠や証拠の集め方については、事案に応じて弁護士に相談してみた方が良いでしょう。
会社をクビになる前兆を感じた場合の対策の3つ目は、不利な証拠を取られないようにすることです。
会社側はクビにする前に解雇理由を証明するための証拠を集めようとします。
証拠を集めることができなければ、解雇に踏み切れないこともありますし、解雇を強行しても裁判所から不当な解雇であるとされる可能性が高くなります。
例えば、始末書を記載する際、業務改善指導書への署名押印を求められた際などにも、自身の認識と異なる部分がないかをよく確認するようにした方が良いでしょう。
裁判になった場合には、細かい事実関係が争われる傾向にあり、よく確認せずにサインしてしまうと後から、争うことが難しくなってしまうこともあるためです。
会社をクビになる前兆を感じた場合の対策の4つ目は、退職条件を交渉することです。
会社から退職勧奨をされた場合には、退職条件を提示されることがあります。
もしも解雇されてしまった場合には、解雇が有効となってしまう可能性があるような場合には、退職条件を交渉したうえで解雇を回避することも考えられます。
解雇が有効となってしまえば、解雇日以降の給料は請求できなくなってしまい、特別退職金も支給されないことになってしまうためです。
退職条件を交渉する際には、正確にリスクを分析したうえで、適切な方針を立てて、一貫した対応を行うことが重要です。
パッケージ交渉や退職勧奨対応に詳しい弁護士を探して相談するといいでしょう。
前兆なく会社をクビになってしまった場合には、自分の生活やキャリアを守るためには、焦らずに冷静に対処していく必要があります。
十分なプロセスを経ずに解雇が行われる際には不当とされることが多いですが、あなたが何も行動を起こさなければ、解雇が有効な前提で手続きを進められてしまうためです。
具体的には、前兆なく解雇された場合には以下のとおり対処していくといいでしょう。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
前兆なく会社をクビになった場合の対処法の1つ目は、弁護士に相談することです。
解雇が有効かどうかは、法的な事項であり、法律の専門家である弁護士に相談するべきです。
解雇された際に良い解決をしたいと考えた場合には、法的な見通しを踏まえて、適切な主張や反論、証拠を検討することが不可欠です。
とくに、解雇問題については専門性が高い分野であり、解雇事件について実績のある弁護士に相談するといいでしょう。
前兆なく会社をクビになった場合の対処法の2つ目は、通知書を送付することです。
解雇された際に何もせずに放置していると解雇が有効であると認めていたと指摘されたり、働く意思を失っていたと指摘されたりすることがあるためです。
早い段階で解雇が無効である旨を記載した通知書を送付するようにしましょう。
また、併せて、会社に対して、解雇理由証明書を交付するように求めましょう。
会社は、労働者から求められた場合には、解雇理由を記載した証明書を交付する義務があります。
解雇理由証明書を取得することで、見通しはより明確になりますし、準備すべき主張や証拠も具体的に検討しやすくなります。
前兆なく会社をクビになった場合の対処法の3つ目は、交渉することです。
裁判所を利用する前に、話し合いにより解決することができるか交渉を試みることが通常です。
裁判所を利用した解決は、長期間を要し、労力や費用の負担も大きくなってしまうためです。
話し合いにより解決することができれば、少ない負担で良い解決をすることができる可能性があります。
そのため、話し合いにより折り合いをつけることが可能か協議してみるといいでしょう。
前兆なく会社をクビになった場合の対処法の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いで解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
最近では、訴訟の前に労働審判を利用されることが多くなっています。
労働審判とは、全3回の期日で調停による解決を目指す手続きです。裁判所が間に入りますので、法的な見通し即した解決を行いやすくなります。
調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下すことになり、労働者又は会社のいずれかから異議があれば、通常の訴訟に移行することになります。
訴訟とは、期日の回数の制限などはとくになく、判決まで1年以上を要することも多くなっています。
裁判所の指揮に応じながら、労働者と会社が1か月に1回程度の頻度で相互に主張を繰り返していき、証人尋問を経て、判決が下されるという流れになっていきます。
訴訟でも適宜のタイミングで裁判所から和解を勧められることもあります。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、会社をクビになる前兆9個を説明したうえで、解雇の前兆を感じた際の対策と対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が会社をクビになってしまうのではないか不安に感じている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
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