
2025年1月31日
不当解雇
「明日から来なくていいよ」は違法?給料や行かないリスク3つと裁判例
「明日から来なくていいよ」との発言には、複数の法的意味があります。労働者の対応次第で結果が大きく変わってきますので、冷静かつ適切に対応するよう心がけましょう。今回は、「明日から来なくていいよ」は違法かを説明したうえで、給料や行かないリスク3つと裁判例を解説します。
2025/03/08
労働一般
ブラック企業リストについて知りたいと悩んでいませんか?
就職活動でブラック企業を避けるためにも、入社する会社がブラック企業なのか事前に知っておきたいですよね。
ブラック企業リストとは、厚生労働省が公表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」をいいます。
ブラック企業リストは各都道府県の労働局の公表内容を集めたものであり、労働基準法等に違反した企業の名称や違反の事実を地域ごとに知ることができます。
そのため、ブラック企業リストは就職活動で企業を選ぶ際の参考となるのです。
しかし、ブラック企業リストは、すべてのブラック企業を掲載しているわけではないため、あなた自身の目で見極める必要があります。
実は、昨今、ブラック企業から賃金や残業代が支払われていないとご相談いただくことが非常に増えています。ブラック企業リストだけでは、ブラック企業の見極めが難しいことも多いのです。
この記事をとおして、就職先企業に悩まれている労働者の方々に、ブラック企業を避けるために必要な知識をお伝えすることができれば幸いです。
今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、リストの注意点とブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、どのような企業がブラック企業リストに掲載されているのかよくわかるはずです。
目次
ブラック企業リストとは、厚生労働省が公表している資料であり、正式名称は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」といいます。
正式名称だと長いため、「ブラック企業リスト」「ブラックリスト」と簡単に表現されることが多いです。
ブラック企業リストは、厚生労働省が過労死等ゼロを目指す取組みとして公開され、2024年現在においても定期的に更新されています。
公表される企業の基準2つを整理すると以下のとおりです。
※参考:平成29年3月30日基発0330第11号「掲載する事案」
ブラック企業リストとして公表されている事案につき、都道府県ごとに整理していきます。
具体的には、労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和5年11月1日~令和6年10月31日において、公表されている)において、公表されている441企業の傾向を分析していきます。
労働安全衛生法違反が76%と最も多く、労働基準法と最低賃金法違反は合計しても23%となっています。
違反件数が最も多い地域は愛知であり、他にも東京・神奈川・大阪・兵庫・福岡と、人口が多いほど違反件数も増えやすい傾向があります。
より詳細には、以下のとおりとなります。
ブラック企業リストで公表されている事案においては、違反する法令に一定の傾向があります。
具体的には、ブラック企業リストで公表されている事案の傾向3つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらの傾向について順番に説明していきます。
ブラック企業リストで公表されている事案の傾向1つ目は、労働基準法違反です。
ブラック企業リストの労働基準法違反について、件数順に整理すると以下のとおりです。
このように、労働基準法に違反する場合、労働時間と賃金等の重大な労働条件に関する違反が多くなっています。
ブラック企業リストで公表されている事案の傾向2つ目は、最低賃金法違反です。
最低賃金法に違反する場合、給与が最低賃金額に満たないことの違反のみとなっています。
具体的には、公表されている事案では以下のような違反例が紹介されています。
ブラック企業リストで公表されている事案の傾向3つ目は、労働安全衛生法違反です。
ブラック企業リストの労働安全衛生法違反について、件数順に整理すると以下のとおりです。
公表されている事案では、事業者が労働者を使用する場合に、必要な措置を行っていなかったことが多くなっています。
例えば、公表されている事案では以下のような違反例が紹介されています。
ブラック企業がリストとしてまとめられていることで、様々なメリットが生じます。
具体的には、ブラック企業リストのメリット3つを挙げると以下のとおりです。
それでは、これらのメリットについて順番に説明していきます。
ブラック企業リストのメリット1つ目は、情報の信頼性が高いことです。
ブラック企業リストは、公的機関である厚生労働省が作成したものであり、社会的な信頼が確立されているためです。
そのため、情報の正確性が担保されており、企業を適切に評価しやすくなるのです。
ブラック企業リストのメリット2つ目は、企業選びのリスクを回避できることです。
ブラック企業がリストとして一元化されていることで、事前に就職先がブラック企業なのか確認することができるためです。
実際、求人を探す際にブラック企業リストがあれば、自分に適した求人を見つけやすくなるでしょう。
ブラック企業リストのメリット3つ目は、コンプライアンス意識が向上することです。
ブラック企業リストに掲載されると、企業の評判が下がり、離職率が増えるだけでなく求職者も減少するリスクがあるためです。
このようなリスクを避けるため、企業は法令順守に努める必要がありコンプライアンス意識が向上するのです。
ブラック企業リストを利用するにあたり、注意していただきたい点がいくつかあります。
具体的には、ブラック企業リストの注意点3つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらの注意点について順番に説明していきます。
ブラック企業リストの注意点1つ目は、掲載されていないブラック企業も存在することです。
ブラック企業リストは、特に悪質性の高い事案について、1年間掲載するものであるためです。
そのため、軽微な事案や掲載から1年経過した企業については、ブラック企業リストに載っていないことがあるのです。
ブラック企業を回避したい場合、企業の労働条件等から実質的に判断することが大切となります。
ブラック企業リストの注意点2つ目は、労働安全衛生違反が多いことです。
ブラック企業と聞くと、「長時間残業」や「残業代未払い」等のイメージがついています。
しかし、実際にはこれらの違反は労働安全衛生法違反の10分の1程度であり、実態とイメージとの間に齟齬があります。
そのため、労働基準法違反や最低賃金法違反の企業を回避したい場合には、労働条件や労働環境を慎重に確認しておくことが重要です。
ブラック企業リストの注意点3つ目は、下請け企業の掲載が中心となっていることです。
下請け企業が法律に違反する原因は様々ですが、原因の1つに発注元からの無理な要請が挙げられます。
下請け企業が無理な要請に応えた結果、労働環境が悪化したとしても、発注元がブラック企業リストに掲載されることはないのです。
そのため、下請け企業がブラック企業リストに掲載されても、根本的な解決に繋がらないことがあるのです。
就職活動でブラック企業を避けるためには、ホワイト企業との違いを見分ける方法を押さえておくことが大切です。
具体的には、ブラック企業とホワイト企業を見極めるポイント10個を、チェックリスト形式で簡単に整理すると以下のとおりです。
そのため、ブラック企業を回避したい場合、これらのポイントを事前に確認しておくといいでしょう。
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以上のとおり、今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、リストの注意点とブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が、ブラック企業リストについて知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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