
2025年1月31日
不当解雇
「明日から来なくていいよ」は違法?給料や行かないリスク3つと裁判例
「明日から来なくていいよ」との発言には、複数の法的意味があります。労働者の対応次第で結果が大きく変わってきますので、冷静かつ適切に対応するよう心がけましょう。今回は、「明日から来なくていいよ」は違法かを説明したうえで、給料や行かないリスク3つと裁判例を解説します。
2025/02/28
労働一般
ブラック企業を訴えたいと思うものの、具体的にどう訴えるべきかわからず悩んでいませんか?
会社から不当な取り扱いを受けていても、訴えたことで仕返しを受けないか不安になりますよね。
ブラック企業を訴える場合におすすめしている方法を簡単にまとめると以下のとおりです。
通知書の段階では請求が拒否されることも多いため、労働審判や訴訟を見据えて交渉していくことになります。
しかし、ブラック企業に該当する場合でも、全ての事案で訴えられているわけではありません。
なぜなら、「法的な権利が発生していない」「証拠が不十分」といったケースでは、会社への請求が認められないことがあるためです。
実は、ブラック企業への訴えが長期化してしまうケースの多くは、事前準備が不十分であり、説得的な主張ができていないというのが実情です。
この記事をとおして、ブラック企業を訴えるのに必要な知識をわかりやすく伝えていくことができればと思います。
今回は、ブラック企業を訴える方法を説明したうえで、訴えるための準備や訴えた結果のリスクについて解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、ブラック企業を訴える場合にどう行動すればいいのかよくわかるはずです。
目次
劣悪な労働環境であったためか、ブラック企業に「仕返ししたい」と感じられる方も少なくありません。
しかし、ブラック企業への仕返しの方法を間違えると、かえって立場が悪くなるおそれがあります。
例えば、SNSに「●●はブラック企業だ!」と投稿してしまうと、会社イメージが悪化したとして、損害賠償請求や刑事告訴を受ける可能性があるのです。
そこで、私がおすすめしているブラック企業を訴える方法4つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
ブラック企業を訴える方法1つ目は、通知書の送付です。
ブラック企業を訴えるには、会社に対してあなたが持つ権利を主張していくことになります。
例えば、解雇の無効を主張する場合には、解雇の撤回と業務指示を求める旨を通知書に記載することになります。
この請求は、後の証拠とするため、記録として残る内容証明郵便で請求するといいでしょう。
そのため、ブラック企業を訴えたい場合、まずは「内容証明郵便に配達証明を付けて送付」することになります。
ブラック企業を訴える方法2つ目は、交渉です。
通知書を送付すると、会社から回答書が送られてきます。
回答書には会社の主張が記載されているため、その内容から争点が明らかとなります。多くの場合、会社は「請求には応じられない」と回答します。
そのため、争点を踏まえて会社と話し合い、合意に向けて協議することになります。
ブラック企業を訴える方法3つ目は、労働審判です。
話し合いでの解決が難しい場合、労働審判を申し立てることになります。
労働審判は、会社との間における、労働関係のトラブルを迅速かつ柔軟に解決するための手続きです。
労働審判の解決率は8割程度と高く、迅速かつ柔軟な解決ができることから、近年使われやすい制度となっています。
なお、訴訟については、労働審判を申し立てず直接提起することもできます。
ブラック企業を訴える方法4つ目は、訴訟です。
訴訟は、法的紛争を解決するための手続きであり、労働問題も例外ではありません。
訴訟は、労働審判の3回までという制限はなく、月に1回程度の頻度で期日が入ります。
ただし、訴訟の場合は十分に審理するため、解決まで1年程度と長時間を要することもあります。
ブラック企業を訴えるには条件があります。
例えば、ブラック企業を訴えることが可能なケース5つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。
ブラック企業を訴えることが可能なケース1つ目は、残業代が支払われていない場合です。
労働者に残業させた場合、会社は残業代を支払わなければいけません。
残業代が支払われているか確認する場合、残業代を計算する必要があります。
具体的には、残業代の計算方法は以下のとおりです。
基礎賃金÷所定労働時間×割増率×残業時間
ブラック企業を訴えることが可能なケース2つ目は、不当解雇された場合です。
不当解雇された場合、労働者は以下の2つの方法により争うことができます。
解雇後の賃金請求は、就労の意思がある場合に限り、出勤できなかったのは会社に原因があるとして、解雇された日よりも後の賃金を請求することになります。
慰謝料請求は、解雇によって受けた精神的苦痛について、会社に対して損害賠償請求することができ、その相場は50万~100万円程度とされています。
ブラック企業を訴えることが可能なケース3つ目は、違法な退職勧奨をされた場合です。
会社は、労働者に対し退職するよう説得することはできますが、説得の域を超えて退職を促すことはできません。
例えば、「断っているのに長時間説得を続けた場合」「暴言や暴力を伴う場合」には、損害賠償請求できる可能性があります。
退職勧奨における損害賠償請求の相場は、事案により異なるものの、20万~100万円程度となることが多いです。
ブラック企業を訴えることが可能なケース4つ目は、ハラスメントを受けた場合です。
会社は、ハラスメントを防止するための措置を講じなければならず、これを怠った場合には損害賠償請求できる可能性があります。
ハラスメントにおける損害賠償請求の相場は、5万円~200万円程度となることが多いです。
ブラック企業を訴えることが可能なケース5つ目は、危険な業務により病気やケガをした場合です。
会社は、労働者の安全に配慮しなければならず、これを怠ったことにより労働者が病気やケガをした場合、損害賠償請求できる可能性があります。
損害賠償として請求されることが多い費目4つを整理すると以下のとおりです。
ブラック企業への訴えを成功させるには、事前の準備が不可欠です。
具体的には、ブラック企業への訴えを成功させるための対処法3つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
ブラック企業への訴えを成功させるための対処法1つ目は、請求内容を明確にすることです。
ブラック企業を訴える場合、あなたの請求を元に手続きが進行するため、どのような権利を求めているのかが不明確だと手続きを進められないのです。
説得的な主張を展開していくためにも、以下のように請求内容を明確にしておくといいでしょう。
ブラック企業への訴えを成功させるための対処法2つ目は、事実関係を整理することです。
ブラック企業を訴えが認められるには、あなたの権利を説得的に主張していく必要があります。
そのため、「いつ」「誰が」「どこで」「何をしたのか」具体的に整理しておくといいでしょう。
ブラック企業への訴えを成功させるための対処法3つ目は、証拠を集めることです。
会社を訴える場合、請求がそのまま認められることは少なく、会社から反論されることがあります。
この反論があった部分が争点となり、どちらの主張が正しいのか証拠によって明らかにすることになります。
例えば、以下の10個のような証拠を集めておくといいでしょう。
ブラック企業を法的に訴えたい場合、裁判所に訴えることになります。
会社との間でトラブルが発生し、交渉が難しい場合には、裁判所に労働審判を申立てることが多いです。
労働審判は、地方裁判所で行われることが多く、実際に申し立てる場合には以下のいずれかになります。
労働審判の申立てや訴訟の提起は、対応する管轄の裁判所に行う必要があり、管轄は以下のページから確認できます。
裁判所の管轄区域 | 裁判所
ただし、ブラック企業を訴える目的が、事実上の措置である「是正勧告」や「指導」を求めたい場合には、労働基準監督署に申告することになります。
ブラック企業を訴えることが、労働者にとってリスクになることもあります。
例えば、会社を訴えた結果として生じるリスク3つを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらのリスクについて順番に説明していきます。
会社を訴えた結果として生じるリスク1つ目は、会社から損害賠償請求されるおそれがあることです。
訴えの敗訴者に対して、損害賠償請求することは原則として許されません。
なぜなら、訴えの提起が違法となるのは、裁判制度の自由な利用のため、「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」場合に限られるためです(最判昭63年1月26日)。
そのため、訴えの提起自体が違法となる場合には、例外的に損害賠償請求されてしまうおそれがあるのです。
しかし、実際に違法となるケースは少なく、根拠を欠く場合や、根拠がないことを知りながらあえて提訴したような場合に限られるため、過度に恐れる必要はありません。
それでも訴えの提起に不安を感じる方は、事前に弁護士に相談するといいでしょう。
会社を訴えた結果として生じるリスク2つ目は、悪評を流布されるおそれがあることです。
会社を訴えたことで、会社から悪評を流されるかもと心配される方もいらっしゃいます。
しかし、労働者の人権は守らなければならず、ブラック企業は訴えられても悪評を流布することは許されません。
それだけでなく、労働者から訴えられていることは、会社が第三者に知られたくない情報なので、会社が自ら悪評を流すことはほとんどありません。
会社を訴えた結果として生じるリスク3つ目は、解雇されるおそれがあることです。
会社を訴えた場合に、会社からの仕返しとして解雇されてしまうことがあります。
しかし、解雇には厳格な条件が課されているため、単に訴えられたことだけを理由に解雇することは難しいです。
そのため、たとえ解雇されても無効となる可能性が高く、逆に労働者側から損害賠償請求できる可能性があります。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、ブラック企業を訴える方法を説明したうえで、訴えるための準備や訴えた結果のリスクについて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が、ブラック企業の訴え方を知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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