
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/06/06
労働一般
労働審判がどのような制度が知りたいと悩んでいませんか?
労働審判という言葉を聞いたことがある人はいるかもしれませんが、経験したことがないとイメージをもちにくいですよね。
労働審判とは、全三回の期日で調停による解決を目指し、調停が成立しない場合は労働審判委員会が審判を下す手続きです。
労働審判は、迅速性を重視しており、第一次的には調停を目指すもので、非公開により行われる点で労働裁判と違います。
労働審判の平均審理期間は3ヶ月とされており、申立後40日以内に第1回期日が指定され、期日の1週間程度前に答弁書が提出され、通常、2~3週間後に第2回期日、第3回期日と進んでいきます。
労働審判に必要な費用としては合計32万円~104万円程度となります。
労働審判のやり方は、裁判所に必要書類を提出するだけですが、専門的で内容次第で結果も変わってきますし、不備があると解決までの時間も余計にかかってしまいます。
実は、労働審判を上手に活用していくことで、早期に少ない労力や負担で良い解決をすることができる可能性があります。
この記事をとおして、労働審判制度について誰でもわかりやすいように説明していくことができれば幸いです。
今回は、労働審判とは何かを説明したうえで、労働審判の流れや期間・制度をわかりやすく簡単に解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読み終わったら、労働審判とはどのような制度かよくわかるようになっているはずです。
目次
労働審判とは、全三回の期日で調停による解決を目指し、調停が成立しない場合は労働審判委員会が審判を下す手続きです。
労働審判制度は「紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決」(労働審判法1条)が目的とされています。
つまり、トラブルの状況に合わせて、早く、正しく、しっかり解決することが目的として作られた制度です。
平均審理期間は3ヶ月程度とされており、解決率は約80%程度とされています。
労働審判制度は平成18年4月から開始され、令和に入ってからは年間で約3000件~約4000件程度が新規に申し立てられています。
ただし、労働審判を利用できるのは、労働関係について個々の労働者と雇用主との間に生じた民事に関する紛争に限られています。
例えば、労働審判を利用して、労働者の方が雇用主の代表者個人を相手方にすることはできません。
労働審判と労働裁判については、以下のような違いがあります。
労働審判は期日の回数の制限があり全3回までの期日で審理されます。これに対して、労働裁判は期日の回数の制限はありません。
労働審判の平均審理期間は3か月程度です。これに対して、労働審判の平均審理期間は1年程度です。
労働審判の審理は、審判官(裁判官)だけではなく、専門的な知見を有する2名の労働審判員がいます。これに対して、労働裁判の審理は、裁判官のみにより行われます。
労働審判の審理の方法は、書面だけではなく期日当日の口頭による確認も多いです。これに対して、労働裁判は書面が中心となります。
労働審判は、口頭による確認も多いため代理人だけではなく本人も一緒に出席します。これに対して、労働裁判は代理人のみで出席し、期日後に本人と書面の準備をします。
労働審判は非公開の手続きですが、労働裁判は公開の手続きとなります。
労働審判の申立手数料(印紙代)は、労働裁判の約半眼程度となっており、少ない負担で申し立てをすることができます。
労働審判の平均審理期間は3ヶ月とされています。
申立後40日以内に第1回期日が指定され、期日の1週間程度前に答弁書が提出され、通常、2~3週間後に第2回期日、第3回期日と進んでいきます。
具体的には、労働審判の流れ・期間は以下のとおりです。
それでは、これらの流れについて順番に説明していきます。
まずは、最初に労働審判を申し立てることによって、労働審判が始まることになります。
裁判所に申立書や証拠を提出することになります。申立の方法は第5章で詳しく説明します。
第1回期日の1週間程度前に会社側から答弁書が提出されます。
答弁書とは、申立の趣旨に対する答弁や申立人の主張に対する認否、相手方の主張などを記載した書面です。
答弁書が提出されたら、第1回期日に向けて、主張の補充や当日の説明の準備をすることになります。
労働審判を申し立ててから、原則として40日以内に第1回期日(初回期日)が指定されることになります。
第1回期日当日は通常2~3時間程度かかります。
期日の前半30分~1時間程度で裁判所から事実関係を確認されることになります。
期日の後半では調停の試みが行われることになります。裁判所から心証が示され、労働者と会社の和解についての意向が聴取されます。
第1回期日でも労働者と会社との間で折り合いがつけば調停が成立することもありますし、調停が困難と判断されれば審判が出されることもあります。
第1回期日で調停成立せず、審判にもならなかった場合には、通常、2~3週間程度後に第2回期日が設定されます。
第1回期日の続きになりますので、第1回期日で確認された検討事項等への検討結果を踏まえて協議を調停の試みが再開されるのが通常です。
期日間に労働者と会社との間で調停案について合意が成立している場合には、調停条項が読み上げられるだけで終わることもあります。
なお、期日間に主張の補充や証拠の提出があれば15分程度、事実関係のヒアリングをされることもあります。
第2回期日で調停成立せず、審判にもならなかった場合には、通常、2~3週間程度後に第3回期日が設定されます。
第3回期日は最終回となりますので、調停が成立しない場合には、審判が出されることになります。
審判が出されたら、労働者と会社のいずれも2週間以内に異議の申し立てをすることができます。
いずれかが異議を申し立てると通常訴訟に移行することになります。いずれも異議を申し立てないと審判は確定することになります。
なお、2週間については、審判調書が届いた日からではなく、審判が口頭で告知された日からカウントが開始するので注意が必要です。
労働審判に必要な費用としては合計32万円~104万円程度となります。
労働審判の費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判のやり方は、裁判所に必要書類を提出するだけですが、専門的で内容次第で結果も変わってきます。
不備があると解決までの時間も余計にかかってしまうこともあるので、焦らずにしっかりと準備するようにしましょう。
具体的には、労働審判のやり方は、以下のとおりです。
それでは、労働審判のやり方について順番に説明していきます。
労働審判をやる際の手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
労働審判の制度は専門的な手続きとなっており、あなたの主張を適切に法的に整理したうえで主張していく必要があるためです。
一度行った主張と異なる主張を後から行うことは難しいことも多いですし、労働審判で解決できなかった場合の訴訟にも影響してしまうことがあります。
あなたが不利にならないように一貫した法的な主張を行うためにも、方針を決める最初の段階で弁護士に相談しておいた方が良いでしょう。
ただし、労働審判については、通常の訴訟とは異なりますので、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働事件に注力している弁護士を探しましょう。
次に、労働審判やる際の手順の2つ目は、申立書の作成と証拠の整理です。
労働審判を申し立てる際は、労働審判手続申立書と証拠を提出することになります。
労働審判手続申立書については、申立の趣旨、申立の理由、予想される争点、申立に至る経緯等を記載する必要があります。
裁判所のホームページなどで所定の書式が公開されていますが、弁護士に依頼して弁護士に申立書を作成してもらった方がいいでしょう。
また、提出する証拠については甲号証として整理し、甲第●号証等の番号を振っていきます。
次に、労働審判をやる際の手順の3つ目は、収入印紙や郵便切手の準備です。
労働審判を申し立てる際には、裁判所に収入印紙を収める必要があります。
収入印紙代は、申立価額に応じて以下のとおりとされています。
また、労働審判を申し立てる際には、郵便切手を裁判所に予納する必要があります。
予納郵便切手代は、500円~4000円です。裁判所ごとに運用が異なりますので、申立の前に裁判所に電話をして郵便切手の金額を確認しておくとスムーズです。
最後に、労働審判をやる際の手順の4つ目は、裁判所への提出です。
具体的には、以下の書面等を裁判所に提出することになります。
ただし、証拠説明書と甲号証については、裁判所によっては5部提出を求められることもあります。
労働審判制度についてよくある疑問としては、以下の6つがあります。
それでは、順番にこれらの疑問について解消していきましょう。
労働審判の裁判所は、以下のとおりです。
例えば、横浜に本店がある会社であれば、横浜地方裁判所に労働審判を申し立てることができます。
また、東京に本店がある会社であっても、横浜の事業所で働いている場合には、横浜地方裁判所に労働審判を申し立てることができます。
A.会社が労働審判を無視すると、労働者のみから確認した事実関係等に基づいて審判が行われることになります。
つまり、会社側が十分な反論をしないまま審判が出されることになるため、労働者に有利な審判が出る可能性が高いことになります。
A.労働審判は代理人だけではなく、当事者本人も一緒に出頭することになります。
少ない期日で迅速に解決する手続きであるためです。
もしも、会社側との同席が困難である等の事情がある場合には、裁判所に事前に上申書等を提出しておくことになります。
A.労働審判は、申し立てた後に取り下げることもできます。
労働審判法24条の2で「労働審判手続の申立ては、労働審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。」とされているためです。
とくに相手方の同意も不要です。
A.労働審判で残業代を請求する際には、併せて付加金も申し立てておいた方が良いでしょう。
労働審判の申し立てをした時点から3年の除斥期間による消滅を防ぐことができるためです。
労働審判で付加金の支払いが命じられることはありませんが、除斥期間による消滅を防ぐため、併せて付加金も申し立てておくのが通常です。
付加金については申立価額に含まれませんので、印紙代が高くなることもありません。
A.労働審判員は、労働関係に関する専門的な知識経験を有する者から任命されるとされています。
労働審判手続では、裁判所(労働審判委員会)は、労働審判官1名と労働審判員2名からなります。
労働審判官は裁判官ですが、労働審判員は裁判官ではありません。労働審判員は、全国で使用者団体、労働者団体からそれぞれ推薦された方がなっています。
労働審判に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、労働審判とは何かを説明したうえで、労働審判の流れや期間・制度をわかりやすく簡単に解説しました。
この記事で説明したことを簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が労働審判がどのような制度が知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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