
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/05/19
退職勧奨
割増退職金がどのようなものか知りたいと悩んでいませんか?
通常よりも退職金を割り増すと言われても、本当に適正な条件を提示されているのかもよくわからないですよね。
割増退職金とは、退職に応じる対価として通常の退職金とは別に割り増して支払われる退職金のことです。
割増退職金の相場は、賃金6ヶ月分~賃金1年6ヶ月分と言われています。
割増退職金が出るのは、労働者が退職したいと考えているわけではないのに、会社側から退職を促される場合です。
割増退職金を増額するには、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針に基づいて一貫した対応を行っていく必要があります。
割増退職金については、通常、税務上は退職所得として所得税と住民税が源泉されることになります。会計上は、特別退職金としての勘定で、特別損失として処理されます。
割増退職金以外にも、ガーデンリーブや有給買取など獲得すべき退職条件はたくさんあります。
実のところ、なるべく少ない負担で済ませようとする会社も多く適正な割増退職金が提示されないことも多く、交渉した場合にだけ増額に応じると言った会社も少なくありません。
この記事では、私がこれまで多くの割増退職金の交渉を行ってきた経験から、割増退職金を提示された場合に是非知っておいていただきたい知識やノウハウをわかりやすくお伝えしていければ幸いです。
今回は、割増退職金とはどのようなものなのか、早期退職時等の相場や増額方法4つと税金・会計処理について説明していきます。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事を読み終わったら、割増退職金が提示された際にどうすればいいのかが分かるようになっているでしょう。
目次
割増退職金とは、退職に応じる対価として通常の退職金とは別に割り増して支払われる退職金のことです。
会社は、労働者に対して、自主的に退職するように促すことがあります。
しかし、退職を促された場合に、労働者がこれに応じるかどうかは自由です。通常、生活にも、キャリアにも不安があるため、何もメリットがなければ退職には応じないでしょう。
そこで、会社は、労働者に対して、退職に応じるように説得するための材料として割増退職金を提示してくるのです。
例えば、通常の退職金に加えて500万円を支給すると言われた場合はどうでしょうか。
それなりの金額であり半年程度で転職できそうな場合には応じる方もいるのではないでしょうか。
例えば、通常の退職金に加えて1000万円を支給すると言われた場合はどうでしょうか。
55歳を超えている場合でも、1000万円が加算されれば、通常の退職金と併せて、老後の貯えとして十分やっていけると判断して、早期退職を検討する方もいるかもしれません。
このように会社は、とくに支給する義務があるわけではありませんが、退職に応じてもらうために割増退職金を提示することがあるのです。
割増退職金の相場は、賃金6ヶ月分~賃金1年6ヶ月分と言われています。
割増退職金は、法律上、会社に支払いが義務付けられているようなものではありませんので、決まった金額はなく、相場にも幅があります。
会社ごとに割増退職金の決め方は様々ですが、勤続年数をベースにしつつ、退職を促す理由などを加味して金額を提示している会社が多いように感じます。
もっとも、最終的には、労働者が働き続けたいという気持ちがどの程度強いか、会社側が労働者を退職させたい気持ちがどの程度強いかなどもかかわってきます。
例えば、勤続年数が長く10年以上、働いていたような方に対しては1年を超えるような金額が提示されることも珍しくありません。
一方で、勤続年数が数か月程度の方に対しては、2ヶ月程度の金額しか提示されないこともあります。
ただし、最終的な割増退職金額については話し合いにより決まることになりますので、同じ事案でも交渉力の違いによって金額が大きく変わってきます。
割増退職金が出るのは、労働者が退職したいと考えているわけではないのに、会社側から退職を促される場合です。
会社側が労働者に対して自主的に退職に応じてもらうために提示されるのが割増退職金だからです。
例えば、割増退職金が出るケースとしては以下の3つがあります。
それでは、これらのケースについて、順番に説明していきます。
まず、リストラの場合には、会社から割増退職金が提示されることがあります。
会社側は、解雇を回避する努力をする義務がありますし、労働者の理解を得るように相当な手続を踏まなければいけないためです。
例えば、全体ミーティングや社内告知で、会社の経営状況の不振が伝えられ、人員を何パーセント削減する必要があるなどと説明されます。
そして、あなたが対象になってしまった場合には、人事とミーティングを設定され、対象となったことや退職条件を提示されます。
その退職条件の中で割増退職金が提示されることが通常です。
リストラについては労働者に落ち度のない会社側の理由となりますので、割増退職金も勤続年数等に比して労働者に有利な提示がされやすい傾向になります。
次に、退職勧奨の場合には、会社から割増退職金が提示されることがあります。
退職勧奨とは、会社が労働者に対して自主的に退職するように促すことをいいます。
会社は、パフォーマンス不足などで解雇を言い渡す前に、退職勧奨を行う傾向にあります。
解雇を強行すると紛争となるリスクがあり、解雇が無効となった場合に、多額の支払いをすることになってしまう可能性もあるためです。
例えば、ミーティングの中で、あなたのパフォーマンスは会社の期待に達していないので、これ以上、雇用を継続することは難しいと言われることがあります。
その中で、会社側で退職条件を用意したので、この内容で退職することを検討してほしいと、割増退職金を提示されることになるのです。
最後に、早期退職の場合には、会社から割増退職金が提示されることがあります。
会社は、人員削減や社員の入れ替え等の目的で、早期退職者を募集することがあります。
例えば、55歳以上の従業員を対象に早期退職者を募り、応募し退職した方には一定の割増退職金を支払うとするのです。
特定の人を狙い撃ちにするのではなく、条件に納得した方が応募するというものになるため、割増退職金の増額交渉は行いにくい傾向にあります。
割増退職金を増額するには、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針に基づいて一貫した対応を行っていく必要があります。
なぜなら、会社は、なるべく支払いを少なくしようとして、適正な金額を提示してこないことがありますし、交渉された場合だけ増額するということも多いためです。
具体的には、割増退職金を増額するには、以下の手順により対応するといいでしょう。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
まず、増額交渉をするには、退職合意書にサインせず持ち帰るようにしましょう。
一度、退職合意書にサインをしてしまうと、後から撤回することは容易ではありません。
また、会社は、サインをもらった時点で目的を達成してしまいますので、それ以上は退職条件の交渉にも応じなくなります。
例えば、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせていただきます」とだけ回答して、退職合意書にはサインせず持ち帰ってくるようにしましょう。
退職合意書の拒否については、以下の記事で詳しく解説しています。
次に、退職合意書を持ち帰ってきたら、弁護士に相談しましょう。
退職条件が適正化を判断するには法的な見通しを分析することが不可欠です。
また、良い解決をするためには、適切な方針を策定したうえで、一貫した対応を行っていくことが必要です。
そのため、早い段階で、退職勧奨対応に詳しい弁護士に相談し、助言をもらったり、サポートしてもらったりするようにしましょう。
次に、法的な見通しを分析し方針を決めたら、会社と交渉を行うことになります。
もし、退職条件次第で退職に応じても良いと考えるのであれば、適正な割増退職金になるように交渉していきます。
書面によりやり取りすることもあれば、電話や面談により交渉をすることもあります。
退職パッケージの交渉については、以下の記事で詳しく解説しています。
最後に、交渉が折り合わない場合において、会社側が強硬的に解雇してくる場合には労働審判や訴訟も検討することになります。
会社から退職を促されたとしても、これに応じるかどうかは労働者の自由なので、労働者が断れば合意退職は成立しません。
会社側は、労働者が合意していないにもかかわらず、一方的に労働者を退職させるには解雇を行う必要があります。
解雇については、労働者の合意が必要ない代わりに法律上厳格な条件があります。
そのため、会社側が、解雇を強行してくるようであれば、労働者としてはその解雇が不当であるとして、裁判所を用いた解決をしていくことを検討することになるのです。
割増退職金については、通常、退職所得として処理されることになります。会計上は、特別退職金としての勘定で、特別損失として処理されます。
社会保険料は控除されず、税金については所得税や住民税が源泉されます。税金については、給与所得に比べて、少なく済む傾向にあります。
適正な金額で源泉してもらうには、会社に退職所得の受給に関する申告書を提出する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁
ただし、最終的には、税務署が実態により判断することになります。
また、昨今では、勤続年数が5年未満の場合には、退職所得の節税効果も弱くなりましたので、勤続年数が短いと退職所得であっても源泉される金額が大きくなってきています。
割増退職金以外にも、獲得すべき退職条件はたくさんあります。
割増退職金というのはあくまでも退職条件の1つにすぎないのです。
例えば、割増退職金以外の退職条件を一部紹介すると以下のとおりです。
それでは、これらの条件について順番に説明していきます。
まず、ガーデンリーブという退職条件を獲得することが考えられます。
ガーデンリーブというのは、最終出勤日から退職日までの就労を免除し、会社がその期間の給料を補償するものです。
労働者は、生活の不安なく、転職活動に専念することができ、キャリア上のブランクを空けることなく転職しやすくなります。
例えば、最終出勤日を4月末として5月から7月までをガーデンリーブとするなどと取り決めることになります。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
次に、有給の買い取りをしてもらうことが考えられます。
退職すると残っている有給休暇も消滅してしまうためです。
もし、買い取ってもらえない場合には、有給を消化した後に退職することも考えられます。
次に、離職理由が会社都合退職になっているかを確認することが考えられます。
退職勧奨による退職は会社都合退職になるとされているためです。
会社都合退職の場合には、失業保険を受給できるまでの期間や失業保険の給付日数が自己都合退職の場合よりも有利となります。
ただし、会社都合退職とするように求めると労働者が退職を承諾していると誤解されることも多いので、他の条件が整った後に交渉した方が良いでしょう。
最後に、アウトプレースメントがあります。
アウトプレースメントとは、会社の負担で外部の転職支援サービスを受けることができるものです。
積極的に交渉する必要はありませんが、会社側から提示されることがよくあり、あえて断る理由はないでしょう。
ただし、退職の合意が成立する前に、アウトプレースメントを利用することは控えましょう。
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今回の記事では、割増退職金とはどのようなものなのか、早期退職時等の相場や増額方法4つと税金・会計処理について説明しました。
この記事でお伝えしたことは、次のとおりです。
この記事でお伝えしたことが、割増退職金がどのようなものか知りたいと悩んでいる方の役に立てばうれしいです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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