恋愛詐欺とは?典型的な手口5つと見分け方・実際の被害事例・対処法

恋愛詐欺とは?典型的な手口5つと見分け方・実際の被害事例・対処法

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・取材】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこっと弁護士Q&A、東京新聞、毎日新聞、週刊女性他

恋愛詐欺かもしれないと感じても、好意を寄せている相手を疑うのはつらいものです。

優しく接してくれていた相手なら、お金を求められても、本当に困っているのだと信じたくなることもあります。

しかし、信じたい気持ちから無理に援助してしまうと、自分の生活まで苦しくなってしまうことがあります。

ホウペン

この記事の要点

・恋愛詐欺は、恋愛感情や結婚への期待を利用して金銭などを騙し取る行為で、実際に会って交際している相手から被害を受けることもあります。

・投資や結婚資金などを理由にお金を求められた場合は、恋愛詐欺の可能性であることも踏まえ、相手の身元や説明内容のほか、送金先などを確認しておくことが大切です。

・被害を疑ったときは追加の送金を止め、やり取りや送金記録を保存したうえで、金融機関や警察などに相談しましょう。

この記事を読めば、恋愛詐欺の手口や見分け方、被害に遭ったときの対処法がよくわかるはずです。

目次

1章 恋愛詐欺とは|成立条件と似た手口との違い

恋愛詐欺の被害に遭うと、お金を失うだけでなく、信じていた相手に裏切られたことにも深く傷つくものです。

一方で、好意があるために不審な点があっても気付きにくく、周囲にも相談できずに悩んでしまうことがあります。

まずは、恋愛詐欺について以下の4つの点から説明していきます。

・恋愛感情を利用して金銭などを騙し取ること
・詐欺罪が成立する条件と刑罰
・結婚詐欺・ロマンス詐欺・デート商法との違い
・恋愛詐欺の被害に遭いやすい人の特徴

それでは、恋愛詐欺の意味や成立条件などについて順番に解説していきます。

1-1 恋愛感情を利用して金銭などを騙し取ること

恋愛詐欺とは、相手の恋愛感情や結婚への期待を利用して、金銭などを騙し取る行為をいいます。

好意を寄せている相手から頼まれると、「力になりたい」「困っているなら助けたい」という気持ちから、お金を渡してしまうことがあります。

恋愛詐欺では、こうした気持ちにつけ込み、交際や結婚に真剣であるかのように振る舞って、相手の信用を得ようとするのです。

例えば、結婚するつもりがないのに結婚を約束し、新居の準備費用などと偽ってお金を受け取るケースが挙げられます。

実際に会ってデートを重ね、恋人として付き合っている場合でも、恋愛詐欺に巻き込まれてしまうことがあります。

親密に過ごしてきた時間があるために、相手の言葉を信じてしまい、お金を渡すことに疑問を持ちにくくなるのです。

1-2 詐欺罪が成立する条件と刑罰

恋愛詐欺は、相手を騙して金銭などを交付させるなどの条件を満たすと、詐欺罪に該当する場合があります。

金銭を騙し取るケースでは、主に以下のようなつながりが必要です。

・お金を渡すかどうかの判断に関わる嘘をつくこと
・被害者がその嘘を本当だと信じること
・嘘を信じたために、被害者がお金を渡していること
・相手や第三者がそのお金を受け取ること

加えて、相手には、騙して金銭を自分や第三者のものにする意思があることも必要になります。

例えば、実際には手術の予定がないのに「手術代が必要だ」と嘘をつき、それを信じた交際相手からお金を受け取った場合には、詐欺罪が成立する可能性があります。

お金を受け取る際にどのような説明をしていたか、その時点で騙し取る意思があったかなどを見ていくことになります。

なお、詐欺罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑とされています。

1-3 結婚詐欺・ロマンス詐欺・デート商法との違い

結婚詐欺やロマンス詐欺は、恋愛詐欺と意味が重なる部分があり、明確に分けられるものではありません。

他方で、デート商法は、恋愛感情を利用して商品やサービスを契約させる点に特徴があります。

それぞれの主な特徴は、以下のとおりです。

・恋愛詐欺:恋愛感情や結婚への期待を利用して、金銭などを騙し取る行為を広く指す言葉
・結婚詐欺:結婚するつもりがないのに結婚を約束し、相手を信用させて金銭などを騙し取る手口
・ロマンス詐欺:恋愛関係を装って金銭などを騙し取る手口で、SNSやマッチングアプリなどを通じて親しくなり、会わないまま送金させるケースが代表的
・デート商法:相手の恋愛感情や好意につけ込み、アクセサリーなどの高額な商品やサービスを契約させる商法

結婚詐欺では、結婚の約束によって相手を信用させることが、金銭を騙し取る手段になっています。

ロマンス詐欺でも結婚を約束する場合があるため、SNSで知り合った相手に結婚を持ちかけられて送金したケースなどは、両方の特徴を持つことがあります。

デート商法では、「相手に嫌われたくない」「相手の仕事を応援したい」といった気持ちを利用して、購入や契約へ誘導します。

ただし、デート商法がすべて詐欺罪に当たるわけではなく、刑事責任については、詐欺罪の構成要件に該当するか個別の事情を当てはめていくことになります。

1-4 恋愛詐欺の被害に遭いやすい人の特徴

恋愛詐欺の被害は、幅広い年代で発生しています。

警察庁が公表した令和7年の暫定値では、SNS型ロマンス詐欺の被害の75.5%を40~60代が占めています。

※出典:令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)|警察庁

ただし、20~30代の被害も確認されており、年齢だけで被害に遭う可能性を判断することはできません。

また、恋愛詐欺では、相手を信じたい気持ちや、困っているなら助けたいという気持ちにつけ込まれることがあります。

特に、年齢にかかわらず次のような状況には注意が必要です。

・結婚への期待が大きく、相手のことを十分に知る前に将来の話を進めようとする
・相手を信じたい気持ちが強く、不審な説明にも納得しようとしてしまう
・困っていると言われると、自分が助けなければいけないと感じる
・相手に嫌われたくなくて、お金を求められても断れない
・恋愛やお金の悩みを周囲に相談しづらく、一人で抱え込んでしまう

相手との将来を真剣に考えているからこそ、関係が壊れるのではないかと不安になることもあります。

ただし、こうした特徴に当てはまる人だけが被害に遭うわけではありません。

信頼している相手の言葉を疑うのは難しいため、被害に遭ったとしても、自分を責めすぎる必要はありません。

2章 恋愛詐欺の典型的な手口5つ

恋愛詐欺では、よく見られる典型的な手口があります。

好意から応じてしまうこともあるため、どのような名目でお金を求められるのか事前に知っておくことが大切です。

例えば、恋愛詐欺の典型的な手口として、以下の5つが挙げられます。

手口1:2人の将来のためと投資を勧める
手口2:結婚の準備や新居の費用を求める
手口3:本人や家族の治療費・生活費を求める
手口4:会いに来る渡航費や荷物の受取費用を求める
手口5:事業資金や仕事上の支払いを立て替えるよう求める

2章 恋愛詐欺の典型的な手口5つ

それでは、恋愛詐欺の典型的な手口について順番に解説していきます。

2-1 手口1:2人の将来のためと投資を勧める

恋愛詐欺の手口として、2人の将来のためにお金を増やそうと投資を勧めるものがあります。

結婚後の暮らしなどを話題にし、将来を真剣に考えているように見せることで、投資の勧誘を受け入れやすい状態を作り出すのです。

例えば、「結婚資金を一緒に準備しよう」「一緒に暮らすために資産を増やそう」などと持ちかけ、FXや暗号資産への投資に誘導するケースがあります。

相手が紹介したサイトやアプリを通じて入金すると、画面上では利益が出ているように表示され、さらに多くのお金を入れるよう勧められることもあります。

しかし、その利益は見せかけの数字にすぎず、実際にお金が増えているわけではない場合があります。

将来を約束した相手からの提案でも、紹介された投資先まで安全だと判断しないことが大切です。

2-2 手口2:結婚の準備や新居の費用を求める

恋愛詐欺の手口として、結婚の準備や新居に必要だと説明し、お金を求めるものがあります。

結婚に向けた費用だと言われると、2人の生活のために必要な支出だと考え支払ってしまうことがあります。

例えば、結婚式場の予約金や新居の契約費用、家具・家電の購入費などの名目で、「先に立て替えてほしい」とお金を求めるようなケースがあります。

この手口では、実際には契約や購入予定がないにもかかわらず、結婚の準備を進めているように装ってお金を受け取るのです。

結婚式や新居の話が出ていても、実際に手続が進んでいるとは限りません。

式場の予約金などを求められた場合は、どの式場に申し込んだのか、いくら請求されているのかを、申込書や請求書などで確認しておくことが大切です。

2-3 手口3:本人や家族の治療費・生活費を求める

恋愛詐欺の手口として、治療費や生活費が足りないと訴え、お金を求めるものがあります。

病気や生活苦を理由にすることで、「困っている相手を助けたい」という気持ちから支払いに応じさせようとするのです。

例えば、「親が入院して治療費を払えない」「病気で働けず、家賃や食費が足りない」などと嘘をつき、援助や一時的な立替えを頼むようなケースが挙げられます。

「すぐに支払わないと治療を受けられない」と言われると、事情を確かめるよりも送金を優先してしまうことがあります。

しかし、相手が困っていると話していても、その説明が事実とは限りません。

治療費であれば、どの医療機関で何の治療を受けるのか、請求額はいくらなのかなどを確認し、曖昧な状況のまま送金しないことが大切です。

2-4 手口4:会いに来る渡航費や荷物の受取費用を求める

恋愛詐欺の手口として、海外から会いに来るための渡航費や、送った荷物を受け取るための費用を求めるものがあります。

「もうすぐ会える」「プレゼントを贈りたい」などと伝え、会いたい気持ちや贈り物への期待を利用して送金させようとするのです。

例えば、海外にいると説明する相手から「会いに行きたいけれど航空券を買うお金が足りない」と言われ、渡航費を立て替えるよう頼まれるケースが挙げられます。

また、「荷物を送った」と伝えられた後、配送業者を名乗る人物から、受け取りに必要な通関料や手数料を請求する手口もあります。

荷物の受取費用を請求された場合は、相手から送られた連絡先だけを頼らず、配送業者の公式窓口で荷物や請求が実在するか確認することが大切です。

渡航に関しては、「日本に向かうため空港へ行ったところ、税関で拘束された」「罰金を払わないと刑務所に入れられる」などと訴え、送金を求める手口も報告されています。

航空券などの費用にとどまらず、会いに来る途中のトラブルを装い、助けるためのお金まで求められることがあるのです。

2-5 手口5:事業資金や仕事上の支払いを立て替えるよう求める

恋愛詐欺の手口として、事業資金や仕事上の支払いを理由に、金銭の立て替えを求めるものがあります。

一時的にお金が足りないだけだと説明し、「仕事を支えたい」「すぐに返してもらえるなら大丈夫」という気持ちから支払いに応じさせようとするのです。

例えば、「新しい事業を始めるための資金が必要だ」「仕事で必要な支払いを立て替えてほしい」などと持ちかけるケースが挙げられます。

経営者を名乗る本人だけでなく、秘書や従業員を装う人物も協力を求め、事業の話を信用させる場合もあります。

複数の人物から同じ説明を受けると安心してしまうこともありますが、その人物たちが口裏を合わせている可能性もあります。

「必ず返す」という約束だけで判断せず、何の支払いにいくら必要なのか、返済に充てるお金はどこから入るのか確認し、曖昧なまま支払わないことが大切です。

3章 恋愛詐欺を見分けるための特徴6つ

恋愛詐欺を見分けるには、言葉だけでなく具体的な行動にも目を向けることが大切です。

相手に好意を抱いていると、不自然な点があっても受け入れてしまうことがあるため、注意すべき特徴を押さえておきましょう。

例えば、恋愛詐欺を見分けるための特徴として、以下の6つが挙げられます。

特徴1:知り合って間もないのに愛情や結婚を強調する
特徴2:職業や経歴が立派でも身元を確認できない
特徴3:会う約束やビデオ通話を避ける
特徴4:早い段階で別の連絡アプリや外部サイトへ誘導する
特徴5:送金先が本人と異なる名義になる
特徴6:周囲への相談を嫌がり送金を急がせる

3章 恋愛詐欺を見分けるための特徴6つ

それでは、恋愛詐欺を見分けるための特徴について順番に解説していきます。

3-1 特徴1:知り合って間もないのに愛情や結婚を強調する

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、知り合って間もないのに愛情や結婚を強調することが挙げられます。

短期間で特別な関係だと感じさせることで、頼み事を受け入れやすい状況を作り出そうとするためです。

例えば、まだお互いのことを十分に知らない段階で「結婚して一緒に暮らそう」と繰り返したり、すでに夫婦であるかのような呼び方をしているケースがあります。

将来を真剣に考えている場合、投資や金銭の援助を求められても、2人の関係に必要なことだと受け止めてしまうことがあるのです。

ただし、早い段階で結婚の話が出たとしても、恋愛詐欺とは限りません。

注意したいのは、お互いを知るためのやり取りが不十分であるにもかかわらず、愛情や結婚を理由に金銭の支払いを求められることです。

関係が深まる速さに戸惑いがある場合は、相手のペースに合わせて金銭の援助まで決めないことが大切です。

3-2 特徴2:職業や経歴が立派でも身元を確認できない

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、職業や経歴が立派でも、身元を確認できないことが挙げられます。

社会的に信用のある職業や成功した経歴を装うことで、安心して付き合える相手だと思わせようとするのです。

例えば、「会社を経営している」「海外で医師として働いている」などと説明する一方で、勤務先の正式名称や所属を尋ねると、具体的な回答を避けるようなケースです。

また、身元を証明するものとして写真や身分証の画像を送ってきても、他人の写真を使っている場合もあります。

相手が挙げた会社や病院が実在していても、その人が本当にそこで働いているとは限りません。

肩書だけで判断せず、説明内容と勤務先の公開情報に食い違いがないか確認し、身元が分からないまま金銭のやり取りをしないことが大切です。

交際相手が独身かどうかも確認したい場合、既婚者か調べる方法については以下の記事で詳しく解説しています。

3-3 特徴3:会う約束やビデオ通話を避ける

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、会う約束やビデオ通話を避けることが挙げられます。

写真やプロフィールとは別の人物がやり取りしている場合、恋愛詐欺の発覚を避けようとすることがあるためです。

例えば、「会いたい」と伝えてくるのに、具体的な日程を決めずビデオ通話も理由をつけて応じないようなケースがあります。

仕事の都合や体調などで予定が合わないこともありますが、通話などを先延ばしにするにもかかわらず、金銭の話だけ進める場合には注意が必要です。

また、AIなどを使って他人になりすました映像を見せる可能性もあるため、ビデオ通話で顔が見えたとしても信用できる相手とは限りません。

「会いたい」と言いながら、日程の相談やビデオ通話を避ける場合は、恋愛詐欺の可能性も考えて慎重に判断することが大切です。

3-4 特徴4:早い段階で別の連絡アプリや外部サイトへ誘導する

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、知り合って早い段階で、別の連絡アプリや外部サイトへ誘導することが挙げられます。

マッチングアプリからLINEなどへ連絡手段を移した後、投資の勧誘を受けるケースが報告されています。

このような場合、投資の勧誘につなげるために、個人的なやり取りができる連絡アプリへ誘導し、早期に親密な関係を築こうとすることがあります。

ただし、連絡先の交換自体は通常の交際でも行われるため、別のアプリへの移動を提案されたことをもって恋愛詐欺とは判断できません。

注意したいのは、お互いを知らないうちに移動を急かされたり、移動後すぐに金銭の話を持ちかけられた場合です。

やり取りを始めたばかりで連絡先の交換に不安がある場合は、利用中のアプリでもう少し話したいと伝え、焦らないことが大切です。

3-5 特徴5:送金先が本人と異なる名義になる

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、送金先の口座が、相手の名前とは異なる名義になっていることが挙げられます。

本人を助けるための金銭であるにもかかわらず、実際には誰に渡すことになるのか分からない場合があるのです。

例えば、治療費を援助してほしいと頼まれたのに、本人や医療機関ではなく、知らない人物の口座を指定されるようなケースがあります。

また、投資資金の振込先として個人名義の口座を指定され、送金のたびに別の名義の口座へ振り込むよう求められるケースも報告されています。

「知人が代わりに受け取る」などと説明されても、本当にその人物と関係があり、説明どおりの目的にお金が使われるとは限りません。

口座の名義が相手の名前と違う場合は、名義人との関係や、その口座へ支払う理由が確認できないまま送金するのはやめた方がよいでしょう。

3-6 特徴6:周囲への相談を嫌がり送金を急がせる

恋愛詐欺を見分けるための特徴として、家族や友人への相談を嫌がり、送金を急がせることが挙げられます。

周囲から不審な点を指摘されたり、嘘に気付かれる前に、お金を支払わせようとしているためです。

例えば、「2人だけの秘密にしてほしい」と口止めしたうえで、「すぐに支払わないと大変なことになる」などと送金を迫るようなケースがあります。

大切に思っているほど「約束を守りたい」「早く助けたい」という気持ちから、誰にも相談せず支払いに応じてしまうことがあります。

しかし、相手への好意が大きくても、家族や友人への相談を遠慮する必要はありません。

秘密にするよう求められたり、事情を確認する時間もなく送金を迫られた場合は、その場で応じず、信頼できる人に相談するとよいでしょう。

4章 恋愛詐欺の実際の被害事例3つ

恋愛詐欺では、交際相手を信じてお金を渡してしまい多額の被害に遭うケースがあります。

実際に被害が生じた経緯を知っておくことで、恋愛詐欺に巻き込まれるリスクを減らすことができます。

ここでは、報道された以下の3つの被害事例を紹介します。

事例1:経営者を名乗る交際相手に事業資金などとして約2700万円を渡した
事例2:同棲を持ちかけた女性に借金返済などの名目で約500万円を騙し取られた
事例3:将来の共同生活を約束した相手の投資話で6000万円以上を失った

4章 恋愛詐欺の実際の被害事例3つ

それでは、恋愛詐欺の実際の被害事例について順番に解説していきます。

4-1 事例1:経営者を名乗る交際相手に事業資金などとして約2700万円を渡した

マッチングアプリで知り合った経営者を名乗る男性に、40代の女性が約2700万円を渡した事例が報じられています。

男性は、女性が通うリハビリ施設への送迎や食事などを重ね、親身になれる交際相手として信頼を得ていました。

ところが、交際から約1か月後、男性は秘書役の人物とともに、財布をなくして翌日の支払いに困っているように振る舞い、助けたいと考えた女性は400万円を貸しました。

その後も男性は、新規事業に資金が必要だと説明し、近いうちに増やして返すと約束して、女性からお金を借り続けました。

秘書役の人物も、男性は女性のために事業を頑張っていると説明しており、女性は協力したいという気持ちから支払いに応じたといいます。

貸した金額は約2700万円に膨らみ、女性は後に別の女性から、男性が結婚詐欺を繰り返していたことを知らされました。

この事例からは、実際に会って親切にしてくれる相手でも、金銭を求める理由や返済の約束まで信用できるとは限らないことが分かります。

※参考:大事故でリハビリ中の女性も2700万円の被害に「両手いっぱいの赤いバラで告白されて…」|集英社オンライン

4-2 事例2:同棲を持ちかけた女性に借金返済などの名目で約500万円を騙し取られた

マッチングアプリで知り合った女性から同棲を持ちかけられ、60代の男性が約500万円を騙し取られた事例が報じられています。

女性は、滞納している家賃を支払わなければ同棲できないと説明し、まず21万円を受け取りました。

さらに、スカウトマンに借金があると嘘をつき、スカウトマンを装った共犯者を登場させて、男性に170万円を支払わせました。

その後も、風俗店で働く契約を解消しなければ同棲できないと訴え、違約金の名目で300万円を受け取っています。

女性はその後、拉致されたという話を持ち出して男性との連絡を絶ち、心配した男性が警察に相談したことで事件が発覚しました。

女性には、他の被害者への詐欺も含めて、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が言い渡されたと報じられています。

この事例では、同棲への期待や相手を助けたいという気持ちを利用し、お金を払わなければ一緒に暮らせないと思わせることで、繰り返し金銭を支払わせています。

※参考:「被害者の感情を逆なでしている」とSNSで大炎上!|文春オンライン

4-3 事例3:将来の共同生活を約束した相手の投資話で6000万円以上を失った

SNSで知り合った男性の投資話を信じ、50代の女性が老後のために蓄えていた6000万円以上を失った事例が報じられています。

男性は大手金融機関の投資アナリストを名乗り、ほぼ毎日LINEで好意を伝えて、女性の信用を得ていました。

女性が紹介された暗号資産の取引サイトに350万円を入金すると、画面上では短時間で利益が出たように表示されました。

男性は、投資で得たお金でハワイに土地を買って一緒に暮らす話も持ち出し、さらに多額の入金を求めました。

一度は実際に1万ドルが女性の口座へ振り込まれたため、女性は安心して追加の送金を重ね、被害額は6000万円を超えたといいます。

その後、兄の指摘を受けて警察に相談したところ、利用していたのは実在する取引所を装った偽サイトだったことが判明しました。

この事例からは、画面上で利益が出ていたり、一度お金を引き出せたりしても、その投資先が安全だとは判断できないことが分かります。

※参考:「愛しているよ」「ふたりでハワイに住もう」国際ロマンス詐欺の“ヤバすぎる手口”|文春オンライン

5章 恋愛詐欺の被害に遭った場合の対処法6つ

恋愛詐欺の被害に気付いても、信じていた分、どのように動くべきか迷ってしまうことがあります。

被害を広げないためにも、1人で抱え込まず、相談に向けた準備を進めていくことが大切です。

例えば、恋愛詐欺の被害に遭った場合の対処法として、以下の6つが挙げられます。

対処法1:追加の送金や金品の提供を止める
対処法2:やり取りや送金履歴を保存しておく
対処法3:振込先の金融機関や利用した決済事業者へ連絡する
対処法4:警察に相談して被害届や告訴を検討する
対処法5:利用したSNSやアプリの運営者に通報する
対処法6:弁護士や消費生活センターに相談する

5章 恋愛詐欺の被害に遭った場合の対処法6つ

それでは、恋愛詐欺の被害に遭った場合の対処法について順番に解説していきます。

5-1 対処法1:追加の送金や金品の提供を止める

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、まず追加の送金や金品の提供を止めましょう。

詐欺かどうか確信が持てない段階でも、不審に感じたら支払いをいったん止めてください。

一度金銭を渡していると、追加の支払いを求められた際に、「ここで断ると、これまでのお金も返してもらえなくなる」と不安になることがあります。

しかし、投資したお金を引き出すための税金や手数料などを口実に、さらに送金を求める手口もあるため、取り戻そうとして支払いを重ねないことが重要です。

「今回だけ」「すぐに返す」と言われても、その場で支払いを即決するのは避けた方がよいでしょう。

5-2 対処法2:やり取りや送金履歴を保存しておく

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、相手とのやり取りや送金履歴を保存しておきましょう。

警察や弁護士へ被害を説明する際に、金銭を渡した経緯やその金額を確認できる記録が必要になるためです。

メッセージは、相手の名前や日時、前後の会話が分かるように、スクリーンショットなどで残しておきましょう。

振込明細や取引履歴も、送金先・日付・金額を確認できる形で保管しておくことが大切です。

恋愛詐欺に気づいてやり取りを消したくなっても、削除や退会などは解決までしない方がよいでしょう。

証拠を集める際に避けたい行為や、日付・人物が分かる記録を残すポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

5-3 対処法3:振込先の金融機関や利用した決済事業者へ連絡する

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、振込先の金融機関や利用した決済事業者へ早めに連絡しましょう。

銀行振込の場合、振込先の口座に残っている金銭から、被害額の全部または一部の支払いを受けられる可能性があります。

振込先の口座にお金が残っていない場合、この制度による支払いは受けられないため、被害に気づいたら速やかに金融機関へ連絡しましょう。

クレジットカードや電子マネーを利用した場合も、カード会社や発行会社に連絡し、支払いの取消しや利用停止など、可能な対応を確認しておくとよいでしょう。

連絡する際は、利用明細などを手元に用意し、支払った日時・金額・送金先と、詐欺を疑った経緯を説明しましょう。

5-4 対処法4:警察に相談して被害届や告訴を検討する

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、警察に相談し、被害届の提出や告訴を検討しましょう。

相談する際は、どのような説明を信じてお金を渡し、その後、何が嘘だと分かったのかを具体的に説明することになります。

メッセージや送金履歴などを持参すると、被害の経緯を説明しやすくなります。

詐欺に当たるか判断できない場合も、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」で相談することができます。

5-5 対処法5:利用したSNSやアプリの運営者に通報する

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、利用したSNSやマッチングアプリの運営者にも通報しましょう。

運営者が規約違反を確認すれば、アカウントの利用停止や強制退会などの対応に繋がる可能性があります。

通報機能や問い合わせ窓口から、相手のアカウント情報と、金銭を求められた経緯を具体的に説明しましょう。

金銭を要求されたことが分かるメッセージなどがあれば、いつでも提出できるよう準備しておきましょう。

5-6 対処法6:弁護士や消費生活センターに相談する

恋愛詐欺の被害に遭った場合は、弁護士や消費生活センターに相談しましょう。

弁護士には、返金の見通しや必要な証拠のほか、交渉などの進め方を相談することができます。

依頼を検討する際は、対応してもらえる範囲や費用についても確認しておきましょう。

消費生活センターでは、投資や商品購入などに関するトラブルへの対応方法について助言を受けることができます。

最寄りの窓口が分からない場合は、消費者ホットライン「188」に電話すると、地域の消費生活相談窓口を案内してもらえます。

6章 恋愛詐欺の立証が難しい理由3つ

恋愛詐欺では、金銭の授受があっても騙されたことを証明するのが難しい場合があります。

例えば、恋愛詐欺の立証が難しい理由として、以下の3つが挙げられます。

理由1:金銭を受け取った時点の騙す意思が争われやすい
理由2:好意による贈与や単なる貸し借りとの区別が必要になる
理由3:相手の本名や所在が分からないことがある

6章 恋愛詐欺の立証が難しい理由3つ

それでは、恋愛詐欺の立証が難しい理由について順番に解説していきます。

6-1 理由1:金銭を受け取った時点の騙す意思が争われやすい

恋愛詐欺の立証が難しい理由の1つは、金銭を受け取った時点で、相手に騙す意思があったかどうかが争われやすいことです。

詐欺を立証するには、嘘であると知りながら、金銭を交付させるために虚偽の説明をしたことを示す必要があります。

例えば、結婚資金を渡した後に別れたとしても、相手から「当時は本当に結婚するつもりだった」と説明されることがあります。

結婚しなかったという結果からは、金銭を受け取るために婚約したとは判断できません。

内心の確認は難しいため、金銭を要求された際の説明や実際の使い道などから、当時の意思を裏付けていく必要があるのです。

6-2 理由2:好意による贈与や単なる貸し借りとの区別が必要になる

恋愛詐欺の立証では、好意による贈与や通常の貸し借りと、騙されて金銭を渡した場合とを区別する必要があります。

交際中の金銭のやり取りについて、相手から「好意で援助してもらった」「借りたお金を返せていないだけだ」と説明されることがあるためです。

ただし、贈与や貸し借りの形であっても、虚偽の説明を信じて金銭を交付した場合には、詐欺に該当する可能性があります。

当時のやり取りなどから、どのような説明を信じて支払いに応じたのかを示せるよう準備しておきましょう。

6-3 理由3:相手の本名や所在が分からないことがある

恋愛詐欺の立証が難しい理由として、相手の本名や所在が分からないことも挙げられます。

SNSやマッチングアプリで知り合った場合、名乗っていた名前が本名とは限らず、連絡を絶たれてしまうと居場所すらわからなくなることがあります。

また、送金先が別人名義の口座であれば、口座情報が分かっていても、やり取りしていた相手の特定にまで至らない場合もあります。

相手の身元が分からない場合でも、やり取りや送金の記録を持参し、警察に被害を相談することは可能です。

返金請求を検討している場合は、弁護士にも相談し、相手の身元を調べる方法や請求の進め方について助言を受けることができます。

7章 恋愛詐欺に遭った際に特に残しておきたい証拠3つ

恋愛詐欺の被害を説明する際は、どのような経緯で被害にあったのかを証拠から説明できることが重要になります。

例えば、恋愛詐欺に遭った際に特に残しておきたい証拠として、以下の3つが挙げられます。

証拠1:金銭を求めた理由が分かるメッセージ・録音
証拠2:プロフィール・アカウント・連絡先などの身元情報
証拠3:振込明細・送金先・暗号資産の取引記録

7章 恋愛詐欺に遭った際に特に残しておきたい証拠3つ

それでは、恋愛詐欺に遭った際に特に残しておきたい証拠について順番に解説していきます。

7-1 証拠1:金銭を求めた理由が分かるメッセージ・録音

恋愛詐欺の証拠として、金銭を求めた理由が分かるメッセージ・録音を残しておきましょう。

例えば、以下のようなやり取りは、相手のどのような説明を信じて金銭を支払ったのか説明しやすくなります。

・「結婚後に2人で住む家を借りたいから、初期費用を出してほしい」
・「母の手術費用が足りないので、来月返す約束でお金を貸してほしい」
・「取引先から入金があれば返せるから、仕事の支払いを立て替えてほしい」

メッセージは、金銭を要求された部分だけでなく、日時や相手の名前、前後の会話も分かる形で保存しましょう。

電話や対面での会話を録音している場合は、元の音声データを保存しておくことが大切です。

LINEのやり取りを証拠として残す方法や、前後の文脈・日時・送信者を記録するポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

7-2 証拠2:プロフィール・アカウント・連絡先などの身元情報

恋愛詐欺の証拠として、相手のプロフィールやアカウント、連絡先などの身元情報も残しておきましょう。

例えば、以下のような情報が挙げられます。

・SNSやマッチングアプリのプロフィール画面
・アカウント名・ID・プロフィールページのURL
・電話番号・メールアドレス
・相手が名乗っていた氏名・住所・勤務先
・相手から送られた顔写真・名刺・身分証の画像

アカウント名などが実態にそぐわない場合でも、相手の特定や、どのような身分を名乗っていたのかを確認する際に有用です。

プロフィールの変更やアカウントの削除によって確認できなくなる情報もあるため、画面の保存や連絡先の記録は早めに行いましょう。

SNSの投稿内容や、投稿者を特定するためのプロフィール情報を保存する際の注意点については以下の記事で詳しく解説しています。

7-3 証拠3:振込明細・送金先・暗号資産の取引記録

恋愛詐欺の証拠として、振込明細や暗号資産の取引記録も残しておきましょう。

特に、明細や取引履歴の以下の項目が確認できると、被害額や送金先を説明しやすくなります。

・銀行振込の日付・振込金額
・振込先の金融機関名・支店名・口座番号・口座名義
・暗号資産の送付日時・種類・数量
・暗号資産の送付先アドレス
・暗号資産の取引を識別するトランザクションID(TXID)

送金が複数回にわたる場合は、1回ごとに記録を残し日付順に整理しておきましょう。

相手が送金先を指定したメッセージも併せて保存しておくと、指示下にあったことを説明しやすくなります。

8章 恋愛詐欺についてよくある疑問5つ

恋愛詐欺についてよくある疑問として、以下の5つがあります。

Q1:恋愛詐欺は複数人のグループで行われることもある?
Q2:相手に頼まれて送金を代行してもよい?
Q3:家族が恋愛詐欺を疑わず送金を続けていたら?
Q4:住所や身分証、写真を送ってしまったら?
Q5:「必ず返金できる」という業者に頼んでもよい?

8章 恋愛詐欺についてよくある疑問5つ

それでは、これらの疑問を解消していきましょう。

8-1 Q1:恋愛詐欺は複数人のグループで行われることもある?

A.恋愛詐欺は、複数人のグループが役割を分担して行うこともあります。

例えば、恋人を装う人物とは別に、友人や空港職員などを名乗る人物が登場し、送金を求めるケースがあります。

第三者からも説明を受けることで、本当に支払いが必要であるかのように信じ込ませるのです。

その第三者も同じグループの仲間である可能性があるため、複数人の説明が一致していたとしても冷静に判断する必要があります。

8-2 Q2:相手に頼まれて送金を代行してもよい?

A.相手から頼まれても、目的や資金の出所が分からない送金の代行はやめましょう。

「投資を手伝ってほしい」などと言われ、自分の口座で受け取った金銭を別の口座へ送ると、マネーロンダリングに利用されるおそれがあります。

犯罪で得たお金だと知りながら送金に協力すれば、自分自身も刑事責任を問われる可能性があります。

既に入金されている場合は、やり取りや入金記録を保存したうえで警察や金融機関に相談しましょう。

8-3 Q3:家族が恋愛詐欺を疑わず送金を続けていたら?

A.まずは本人から話を聞いたうえで、やり取りや送金の経緯を一緒に確認しましょう。

本人は好意を持っている相手であるため、「騙されている」と決めつけてしまうと、反発して話し合いが難しくなることがあります。

警察や国民生活センターが公表する被害事例も示し、要求されている内容と共通する点がないか一緒に考えていくことも大切です。

そのうえで、追加の送金を止めて警察などに相談するよう促しましょう。

本人が相談を拒む場合は、家族から警察相談専用電話(#9110)に状況を伝え、対応について助言を求めることもできます。

8-4 Q4:住所や身分証、写真を送ってしまったら?

A.住所や身分証、写真を送ってしまった場合は、追加の個人情報を送るのを止めましょう。

身分証の画像などは、なりすましや不正な契約に悪用されるおそれがあります。

身分証の画像を送ってしまい不安な場合、CICやJICCなどの信用情報機関の「本人申告制度」を利用してみるのもよいでしょう。

情報の流出を登録することで、加盟する金融機関などにローンやクレジット契約の審査時に注意を促すことができます。

送った情報や相手とのやり取りも保存し、身に覚えのない契約や請求があれば、その事業者や警察へ相談しましょう。

8-5 Q5:「必ず返金できる」という業者に頼んでもよい?

A.「必ず返金できる」と断言する業者への依頼は避けた方がよいでしょう。

被害金を取り戻したいという気持ちにつけ込み、調査費用や手数料などを支払わされるなど、二次被害のおそれがあるためです。

返金の見通しは、相手の身元や財産の状況などによって異なり、必ず取り戻せるとは限りません。

また、探偵や調査会社などは、弁護士のように依頼者の代理人として返金の交渉を行うことはできません。

不審な勧誘を受けた場合は、契約や支払いの前に消費者ホットライン(188)などに相談するとよいでしょう。

興信所に依頼できる調査や、交渉への介入・高額請求などの注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

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10章 まとめ

以上のとおり、今回は、恋愛詐欺の意味や手口を説明したうえで、実際の被害事例や対処法のほか、特に残しておきたい証拠などを解説しました。

この記事が、恋愛詐欺の手口や見分け方、被害に遭ったときの対処法について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・執筆等】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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