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2025年3月8日
労働一般
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2025/07/28
不当解雇
不当解雇をされてしまい慰謝料を請求したいと悩んでいませんか?
不当解雇により不安な気持ちや悔しい気持ちを抱え、大きな精神的苦痛を被ったと感じている方も少なくないでしょう。
不当解雇の慰謝料とは、不当解雇により生じた精神的苦痛に対する補償としての金銭です。
不当解雇の慰謝料については、解雇が不当であるだけではなく、著しく社会的相当性に欠けると言える場合に認められます。
不当解雇の慰謝料相場は50万円~100万円程度です。
会社側は、不当解雇の慰謝料については裁判所の判決で支払いが命じられない限り、簡単には支払ってこない傾向にあります。
不当解雇の慰謝料を請求するには、焦らず冷静に、かつ、早い段階で労働者自身が行動を起こしていく必要があります。
実は、不当解雇の慰謝料は現在の裁判所では請求のハードルがかなり高く、簡単には認めてもらえない傾向にあります。
不当解雇の中心私的な請求は慰謝料ではなくバックペイとなることが通常であり、バックペイとの整合性を維持しながら、慰謝料を獲得するために十分な準備が必要となります。
この記事をとおして、不当に解雇されてしまった方々に慰謝料を請求するために必要な知識やノウハウ、気を付けてほしい点をわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、不当解雇の慰謝料について、相場を説明したうえで、判例や簡単な請求方法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、不当解雇されて慰謝料を請求したいと感じた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
不当解雇の慰謝料とは、不当解雇により生じた精神的苦痛に対する補償としての金銭です。
民法上、違法に他人の権利を侵害した場合には、不法行為として損害賠償責任を負うと規定されています。
精神的苦痛についても損害の一種となりますので、権利を侵害されて精神的苦痛を被った場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
例えば、解雇理由がまったく説明されていなかったり、嫌がらせのように人格を否定されながら辞めさせられたりした場合には、慰謝料が認められる可能性があります。
一方で、「解雇は不当だけど、労働者にも落ち度があり会社にも言い分がある」といったケースでは、慰謝料までは認められないことも多いです。
つまり、「不当解雇=必ず慰謝料が出る」ではなく、どれだけ精神的な被害を受けたか、どんな事情があったかが大きく影響するのです。
まずは、「この解雇、本当に納得できない…」と思ったら、それが慰謝料の対象になり得るのかを冷静に見極めることが大切です。
そのうえで、自分の感じたつらさや、どんな経緯で解雇されたかを整理しておくと、今後の請求に向けた第一歩となります。
不当解雇の慰謝料については、解雇が不当であるだけではなく、著しく社会的相当性に欠けると言える場合に認められます。
裁判所は、不当解雇と認定した場合でも、簡単には慰謝料の支払いまでは命じない傾向にあります。
例えば、不当解雇の慰謝料が認められやすいケースとしては、以下の3つがあります。
それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。
不当解雇の慰謝料が認められやすいケースの1つ目は、解雇の理由が何もない場合です。
何らかの理由があるものの解雇は重過ぎするとして解雇が不当とされる場合には、著しく社会的相当性に欠けるとまでは言えないでしょう。
一方で、何も解雇の理由がないような場合には、著しく社会的相当性に欠けると判断される可能性が高いでしょう。
例えば、あなたはうちの社風に合わないとだけ言われて、具体的になぜ社風に合わないのかなどの説明がされないような場合です。
不当解雇の慰謝料が認められやすいケースの2つ目は、前職から引き抜き後の早急な解雇の場合です。
ヘッドハンティングされて、長年勤めていた前職を退職することになったのに、転職後すぐに解雇されたという場合には、労働者に大きな不利益が生じてしまいます。
会社からの誘いを受けて、これまで築き上げてきたキャリアや信頼を捨てて、新しい会社に入社したのに、直ぐに解雇されてはすべてを失うことになりかねません。
このような場合に十分な回避の措置を行わずにすぐに解雇してしまうことは著しく社会的相当性を欠くとされる可能性があります。
ただし、従業員としての地位の確認とバックペイが認められた場合には、労働者への不利益も一定程度緩和されると見られる可能性もあります。
不当解雇の慰謝料が認められやすいケースの3つ目は、嫌がらせを伴う場合です。
会社は労働者の働きやすい職場環境に配慮する義務があり、労働者に対して嫌がらせを行うことは許されません。
例えば、解雇する際に労働者に対して人格を否定する発言を行ったり、他の従業員の前で労働者のことを馬鹿にするような発言を行ったりした場合です。
このような場合には不当解雇の態様について著しく社会的相当性に欠けると判断される可能性があります。
不当解雇の慰謝料相場は、50万円~100万円程度です。
不当解雇の慰謝料は、解雇が無効であると確認されて、解雇後の賃金の請求が支払われても癒えないような特段の精神的苦痛がある場合に認められるものとなります。
不当解雇された場合には、「雇用契約上の権利を有する地位の確認」と「バックペイ」を求めていくことが通常です。
雇用契約上の権利を有する地位の確認とは、現在も会社の従業員であることの確認を求めるものとなります。
バックペイとは、解雇日から解決日までの給料を遡って支払うように求める請求となります。
例えば、2025年7月末に解雇された場合に解雇を争って2026年7月末に解雇が無効であったと確認された場合には、1年分の給料が遡って払われる可能性があります。
これにより不当解雇により生じた経済的な損失については回復することになり、精神的苦痛についても一定程度癒えるものと考えられています。
そのため、不当解雇の慰謝料については、実際に被った労働者の精神的苦痛に比して大きな金額となりにくい傾向にあります。
ただし、バックペイの金額は、数百万円になることが多く、1000万円を超えるケースも珍しくありませんので、会社から支払われる金銭の総額としては大きくなる傾向にあります。
不当解雇の慰謝料の判例についても、少しずつ蓄積してきました。
例えば、不当解雇の慰謝料の判例としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの判例について順番に説明していきます。
旅行ツアーの派遣添乗員が適格性を著しく欠けていることを理由に解雇されて、解雇の無効を主張し、不法行為に基づき損害賠償を請求した事案です。
裁判所は、本件解雇により被った精神的損害の慰謝料としては15万円が相当であるとしました。
これまで会社が本件解雇の理由として主張してきた内容や、その大半が事実に基づくものとは認められないこと、当該添乗員が従事した添乗業務の回数・内容、勤続年数等諸般の事情が考慮されています。
旅行業を営む会社で働いていた従業員が暴言等を受け、最終的に解雇された事案について、損害賠償等を請求した事案です。
裁判所は、暴言を加え、違法な解雇をしたという不法行為に対する慰謝料として、100万円が相当であるとしました。
暴言の内容、態様や、当該従業員が月額20万円前後の給料と額面7万円の夏期手当、額面10万円の冬期手当を受給していたという解雇前の賃金受給の状況等の諸事情が総合勘案されています。
旅行事業等を営む会社で働いていた従業員が会社から解雇されて、雇用契約上の地位の確認及び解雇から退職での間の賃金の支払いを求めるとともに、在職中に執拗な嫌がらせを受けたとして損害賠償を請求した事案です。
裁判所は、当該従業員の受けた精神的苦痛に対する慰謝料は、150万円が相当であるとしました。
食欲不振や不眠を訴えるようになったこと、精神的ストレスから全身にじんましんが出たこと、「うつ病」との診断を受けたこと、その後も数か月、医師のカウンセリングを受けたこと、本件解雇により事実上退職を余儀なくされたことなどが考慮されています。
証券会社に入社し営業職として勤務していたが解雇され、損害賠償請求等をした事案です。
裁判所は、当該従業員の被った精神的苦痛を慰謝するには150万円とするのが相当であるとしました。
社長らの勧誘に応じて前職を退社して入社したにも関わらず、試用期間の満了を待つことなくわずか3か月ほどで成績不振を理由に解雇されるに至っているのであって、本件解雇に至る被告の対応は性急にすぎ、本件解雇は無効かつ違法なものといわざるを得ない上に、当該従業員は突然の解雇により顧客の信頼も少なからず損なわせたとの点が考慮されました。
会社側は、不当解雇の慰謝料については裁判所の判決で支払いが命じられない限り、簡単には支払ってこない傾向にあります。
会社側は可能な限り会社の支払い金額を少なく済ませようと対応をしてきますので、根拠や理由のない金額は支払おうとしません。
第2章で説明したとおり、不当解雇とされた場合であっても、慰謝料までは認容されないことも少なくありません。
そのため、会社側は、交渉や和解交渉の場では、会社側は、判決になった場合には慰謝料までは認められないという見通しに基づいて、金額を提示してくるのです。
労働者としては、不当解雇の慰謝料まで勝ち取りたいのであれば、訴訟の判決を獲得することも覚悟して望む必要があります。
不当解雇の慰謝料を請求するには、焦らず冷静に、かつ、早い段階で労働者自身が行動を起こしていく必要があります。
会社は解雇が不当でない前提で手続きを進めてしまいますので、あなたが何もしなければ慰謝料を獲得することもできないためです。
例えば、不当解雇の慰謝料を請求する方法は、以下のとおりです。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
不当解雇の慰謝料を請求する方法の1つ目は、弁護士に相談することです。
法的な見通しを確認したうえで、あなたの意向を踏まえて、どのような方針をとるべきか助言してもらうといいでしょう。
とくに不当解雇をされた際にどのような請求をしていくかについて、最終的に獲得できる金額にも大きく影響していきます。
慰謝料を請求する場合であっても、他の請求に支障が生じないように注意すべき必要があり、弁護士にサポートしてもらいながら請求していくといいでしょう。
ただし、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、労働問題に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
不当解雇の慰謝料を請求する方法の2つ目は、通知書を送付することです。
解雇された後に何もせずにいると、労働者自身も解雇を認めていたと指摘されてしまうこともあります。
不当解雇であると感じた場合には、早い段階で解雇が不当である旨を通知しておくようにしましょう。
通知書は一度送付すると後からその記載内容を修正することはできませんので、弁護士に依頼したうえで、代理人として通知書を送付してもらうといいでしょう。
不当解雇の慰謝料を請求する方法の3つ目は、交渉することです。
会社から回答があったら話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか、協議してみましょう。
示談により解決することができれば、早期に少ない負担と労力で良い解決をすることができる可能性があります。
不当解雇の慰謝料を請求する方法の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
労働審判とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とは何かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
不当解雇の慰謝料についてよくある疑問としては、以下の6つがあります。
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A:不当解雇の慰謝料で1000万円が認められることは難しいでしょう。
不当解雇の慰謝料の相場は50万円~100万円程度だからです。
ただし、不当解雇によりうつ病や適応障害の精神疾患を発症し自死するに至った場合で、かつ、労災の認定がされた場合には、1000万円を超える慰謝料なる可能性があります。
A:不当解雇の慰謝料については、アルバイトでも請求することができます。
解雇に関する規制については、正社員とアルバイトで区別されていないためです。
アルバイトのクビについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
A:不当解雇の慰謝料の時効は、解雇された時から3年です。
不法行為に基づく損害賠償請求の時効は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間とされているためです。
A:不当解雇の慰謝料の税金は、非課税です。
ただし、最終的には実態で判断されることになります。
相場から外れた高額な金額を慰謝料名目にしたとしても、一時所得、又は、給与所得、退職所得として課税される可能性もあるため注意が必要です。
A:不当解雇によりうつ病を発症した際には、慰謝料の増額理由となる可能性があります。
ただし、うつ病が不当解雇により発症したことの立証は容易ではありません。
診断書だけでうつ病が不当解雇により生じたことになるわけではありませんので注意が必要です。
これに対して、うつ病により就労する能力がなくなってしまうと、不当解雇と認められた場合でも、バックペイの請求は認められないリスクがあります。
そのため、慰謝料を増額するためにうつ病の診断書を取得しようとしている場合には、依頼する弁護士に十分に相談してからにした方が良いでしょう。
A:不当解雇の慰謝料の示談金の相場は、給料の3ヶ月分~6ヶ月分程度です。
裁判所を用いた解決であれば、1年以上の金額になることも少なくありません。
不当解雇の解決金の相場は、以下のとおりです。
解雇に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、不当解雇の慰謝料について、相場を説明したうえで、判例や簡単な請求方法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が不当解雇をされてしまい慰謝料を請求したいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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