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2025年3月8日
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2025/09/30
退職勧奨
会社から退職に追い込む異動をされてしまい悩んでいませんか?
遠方への転勤やこれまでと大きく異なるキャリアへの異動を提示されて、退職以外選択肢がないと感じている方もいますよね。
退職に追い込む異動は、違法となる可能性があります。
異動には会社の裁量がありますが、必要性や相当性を欠けば濫用とされることもあるためです。
裁判例においても、異動を無効とした例や損害賠償請求を認めた例があります。
あなたが会社から退職に追い込む異動をされてしまった場合には、不利にならないよう焦らずに冷静に対処していくことが必要です。
実は、日本では解雇が厳しく規制されており、会社では、労働者を自主的に退職するように追い込むため非現実的な異動を命じてくることがあります。
この記事をとおして、退職に追い込む異動をされてしまった方に是非知っておいていただきたい知識やノウハウを分かりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、退職に追い込む異動は違法であることを説明したうえで、裁判例3つと簡単な対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、退職に追い込む異動をされた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
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退職に追い込むような異動は、法律上、違法になることがあります。
会社には異動を命じる権限がありますが、どんな命令でも自由に出せるわけではないからです。
法律では、会社の人事権も無制限ではなく、必要かつ相当なものでなければなりません。
とくに、異動によって労働者が退職を考えざるを得ないような状況に追い込まれる場合には、その異動命令の有効性を巡りトラブルとなることがよくあります。
会社による異動命令であっても、それが労働者を守る法の趣旨に反するものであれば、無効となることもあるのです。
「仕方ない」とあきらめる前に、法的にどのような扱いになるかを知ることが大切です。
会社による異動命令は、必要かつ相当な範囲で行う必要があり、濫用することは許されません。
例えば、退職に追い込む異動が違法となるケースとしては、以下の3つがあります。
それでは、これらのケースについて順番に説明していきます。
会社が労働者を退職させるために異動を命じた場合、その異動は違法と判断される可能性があります。
人事異動の目的が「退職させること」であるなら、正当な業務上の必要とは認められないからです。
そもそも異動命令は、会社が業務を円滑に進めるための手段です。
しかし、気に入らない社員を辞めさせるために無理な異動を押しつけるような行為は、正当な権利の行使とはいえません。
労働者が耐えきれずに辞めるよう仕向けた異動は、退職強要として損害賠償の対象になることもあります。
例えば、管理職会議の議事録や社内メールで「〇〇さんを辞めさせるには、あの部署に異動させればいい」と言った発言がある場合です。
会社が嫌がらせを目的として異動を命じた場合、その異動は違法と判断される可能性があります。
労働者に精神的苦痛を与えることを狙って行われた異動は、業務上の必要性を欠いており、正当な人事とは認められないためです。
嫌がらせの異動には、外見上は通常の人事を装っていても、内容を見れば明らかに不自然なものが多く見られます。
とくに、必要性がない単純作業を長時間続けさせたり、本人の人格を否定するような業務に従事させたりする場合には、
異動が業務のためではなく、労働者を追い詰めることを目的としていると評価されやすくなります。
例えば、管理職だった社員が異動後、何の説明もなく毎日8時間ひたすらシュレッダーで紙を処理させられるような場合です。
他にも、真夏の炎天下に「会社周辺の美化活動」と称して、長時間ひとりでゴミ拾いを命じられたりするようなケースが考えられます。
これらは業務としての必要性や合理性がほとんど見当たらず、嫌がらせ以外に目的がない異動内容と判断されやすいです。
実際に、こうした扱いを受けた労働者が体調を崩し、精神的苦痛を訴えることも少なくありません。
このように、異動の内容や勤務実態が、客観的に見て不自然で人格を傷つけるようなものである場合には、違法とされる可能性が高くなります。
異動によって労働者に著しい負担がかかる場合、その異動は違法と判断される可能性があります。
たとえ業務上の必要があったとしても、労働者の家庭状況や健康状態などに深刻な影響を与える異動は、正当とはいえないからです。
例えば、介護をしている労働者に対して、遠方の支店へ異動を命じるような場合です。
他にも、持病があり専門的な医療機関に通院している方が、遠方に転勤されてしまうような場合には、労働者への負担が大きいことがあります。
このように、異動が労働者の生活や健康に深刻な悪影響を及ぼすものである場合には、会社の人事権の行使が認められず、異動命令そのものが無効とされる可能性があるのです。
退職に追い込むような異動が違法と認められるかどうかは、実際の裁判でどのように判断されているかを見ることが重要です。
こうした裁判例を知っておくことで、自分のケースでも違法性があるかどうかの判断に役立てることができます。
例えば、退職に追い込む異動に関する裁判例としては、以下の3つがあります。
【事案の概要】
原告は被告Y1が設置するY2学園中学校・高等学校の数学科教員でした。
前件の解雇無効判決が確定した後も、原告は元の学校への復職を拒否され、敷地内への立ち入りも禁じられました。
その後、被告Y1は原告に対し、C市所在のB学院中学校・高等学校への配転命令を発令しました。
原告は、この配転命令が不当な退職誘導目的の権利濫用であると主張し、B学院での就労義務がないことの確認を求めました。
【結論】
裁判所は配転命令を権利濫用と認め無効と判断し、原告が被告Y1のB学院で勤務すべき義務はないことを確認しました。
【理由】
本件配転命令は業務上の必要性が限定的でした。
しかし、解雇無効判決確定後も被告Y1が原告の職場復帰を約9ヶ月間拒否し続け、不当に排除した経緯から、不当な動機や目的が強く疑われました。
また、20年以上勤務した学校から遠方への異動は、原告に著しい精神的苦痛を与えるものであり、これらの事情を総合的に考慮し、命令は権利の濫用と判断されました。
【事案の概要】
退職勧奨を拒否した総合職社員が、業務上の必要性が乏しい大阪倉庫へ配転され、課長職を解かれる降格処分を受け、賃金が大幅に減額された事案です。
社員は配転・降格命令の無効確認、減額された賃金・賞与の支払、不法行為に基づく損害賠償を会社に求めました。
控訴審では原審の一部が変更され、賠償額と差額給与が増額されました。
【結論】
配転・降格命令は無効とされ、未払賃金が認容。配転・賞与査定の不法行為が認められ、計133万0906円の損害賠償が認容された。
【理由】
配転命令は、業務上の必要性が乏しく、退職強要等の不当な動機に基づく権利濫用で無効と判断されました。
降格命令もこれに伴い無効とされました。これらは人格権侵害の不法行為にあたります。
また、総合職としての賞与査定を怠った点も、裁量権逸脱の不法行為であると判断されました。
【事案の概要】
原告は、被告から受けた配転命令と降格処分が無効であると主張し、処分前の地位の確認と減額された賃金等の支払いを求めた事案です。
原告は開発業務に長く従事し、フジアルファの部長職にあったが、**筑波工場への配転(本件配転命令1)と副参事職への降格(本件降格処分)を受け、さらに奈良工場への配転(本件配転命令2)**も命じられました。
【結論】
配転命令は無効であり、降格処分も無効とされました。原告は、処分前の地位と減額された賃金の一部を認められました・
【理由】
配転命令は、原告を退職に追い込む嫌がらせであり、業務上の必要性もないため、権利の濫用として無効と判断されました。
降格処分は、就業規則に明確な要件規定がなく無効とされ、人事権の行使としても不当とされました。
退職に追い込むような異動を命じられた場合には、そのまま従うのではなく、法的に適切な対応を取ることが重要です。
「どうせ逆らえない」と諦めてしまうと、違法な扱いを受けたまま退職に追い込まれるおそれもあるため、状況に応じて適切な行動をとることが、心身を守るうえでも重要です。
具体的には、退職に追い込む異動をされた場合の対処法としては、以下の4つです。
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
退職に追い込む異動を受けたときは、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。
異動が違法かどうかを正確に判断し、今後の対応方針を明確にするためには、法律の専門知識が必要となるためです。
労働者本人では、異動の妥当性や会社の反論可能性までを見通すことは困難です。
一方で、弁護士であれば過去の裁判例や法律に基づき、異動の違法性や今後の選択肢について的確なアドバイスが可能です。
とくに、退職強要や嫌がらせがあった場合には、慰謝料請求なども視野に入れて検討することができます。
例えば、「この異動は納得できないけれど拒否してよいのか」「このまま退職してしまった方がよいのか」など、一人で悩まず、法律の専門家に相談することで冷静に判断できます。
不当な異動に直面したときこそ、まずは弁護士に相談し、自分に有利な対応を取るための第一歩を踏み出すことが重要です。
異動が違法であることを主張するためには、客観的な証拠を集めることが重要です。
異動の目的や内容を裏付ける証拠がなければ、会社の正当性主張を覆すことは難しくなるためです。
証拠として有効なのは、上司の発言の録音、社内メールのやり取り、議事録、業務命令書、勤務記録、異動前後の業務内容の違いなどです。
また、「辞めてほしい」「この異動は君を辞めさせるためのもの」といった発言があった場合には、録音やメモで残しておくことがとても重要です。
例えば、異動命令を出された前後の上司との会話を録音しておくことで、会社の目的が明確になることがあります。
また、異動後の業務が明らかに不合理なものであれば、その実態を日記や写真で記録しておくのも有効です。
違法な異動に対しては、後から主張を裏付けるための証拠を冷静に集めておくことが、法的な交渉や手続きのうえで欠かせません。
異動命令に納得できない場合は、会社に対して正式な通知書を送る方法があります。
書面によって自分の意思を明確に伝えることで、会社側の不当な対応を抑制する効果が期待できるからです。
また、場合によっては、リスクを抑えるため、異動を争うことを留保しつつ、一時的に異動命令後の業務に応じるようなこともあります。
何も留保せずに異動に従ってしまうと異動に同意していたなどと指摘されることもありますので、異動に同意していないことを証拠として残しておいた方がいいでしょう。
そのため、方針を決めたら異動に対するあなたの立場を内容証明郵便により会社に対して通知しましょう。
会社との話し合いや通知書での交渉でも解決しない場合には、労働審判や訴訟による法的手続きに進むことが考えられます。
不当な異動によって実際に損害を受けた場合には、裁判所に法的な判断を仰ぐことで救済を受けることができるからです。
労働審判とは、全3回の期日の中で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には裁判所が審判を下します。早期に実態に即した解決をすることが期待できます。
ただし、審判には労働者も会社も異議を出すことができ、いずれかが異議を出したら通常の訴訟に移行します。
労働審判とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とは何かについては、以下の動画で詳しく解説しています。
訴訟については、期日の回数の制限などはとくになく、月1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことが多いです。解決まで1年以上要する傾向にあります。
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労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、退職に追い込む異動は違法であることを説明したうえで、裁判例3つと簡単な対処法を解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。
まとめ
・退職に追い込むような異動は、法律上、違法になることがあります。
・退職に追い込む異動が違法となるケースとしては、以下の3つがあります。
ケース1:退職させる目的の場合
ケース2:嫌がらせである場合
ケース3:労働者に著しい負担が生じる場合
・退職に追い込む異動に関する裁判例としては、以下の3つがあります。
・退職に追い込む異動をされた場合の対処法としては、以下の4つです。
対処法1:弁護士に相談する
対処法2:証拠を集める
対処法3:通知書を送付する
対処法4:労働審判や訴訟を提起する
この記事が会社から退職に追い込む異動をされてしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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