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2025年1月20日
ハラスメント
パワハラで訴える方法4つ!パワハラを訴える基準と有力な証拠6つ
パワハラに該当する場合には慰謝料請求が可能ですが、すべての事案で訴えられているわけではないため、訴える基準を知っておくことが有益です。今回は、パワハラで訴える方法4つを説明したうえで、パワハラを訴える基準や有力な証拠について解説していきます。
2025/02/18
労働一般
始末書にいかなる処分もお受けしますと記載するように求められて困っていませんか?
記載すると何をされてしまうのか不安になる一方で記載を拒否していいものか不安になりますよね。
始末書の「いかなる処分もお受けします」との記載は、文字通りに読めば、会社側から解雇や降格、異動等どんな不利益な処分を受けても文句を言わないという意味です。
「今後、●●をした場合には、解雇、退職金の取り消し等いかなる処分もお受けします。」等の記載をするように求められます。
もっとも、始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載されていたとしても、無効とされることが多いでしょう。
会社から始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載するよう求められたとしても、直ちに応じるのではなくどのような記載にするべきか慎重に考えるようにしましょう。
実は、始末書ついては、会社との間で紛争になった際に証拠として提出されることが多く、その記載内容次第では労働者に不利になってしまうことも多いのです。
この記事をとおして、始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載するよう求められている労働者の方に必要な知識をわかりやすく説明することができれば幸いです。
今回は、始末書の「いかなる処分もお受けします」との記載について、例文や有効性を説明したうえで、4つの対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、会社から始末書にいかなる処分もお受けしますと記載するよう求められた際にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
始末書の「いかなる処分もお受けします」との記載は、文字通りに読めば、会社側から解雇や降格、異動等どんな不利益な処分を受けても文句を言わないという意味です。
会社は、今後、労働者に対して処分を行う際に、労働者が納得しやすいようにするため、このような記載を求める傾向にあります。
例えば、始末書を記載した後に、再度、労働者が何か問題を起こした際に、あの時「いかなる処分もお受けします」と言ったよねと、不利益な処分に応じるよう説得してくるのです。
ただし、労働者としては、必ずしも不利益な処分を受ける覚悟をもって記載するばかりではなく、会社の言われたままに記載することも多いのでトラブルになりがちなのです。
始末書に「いかなる処分もお受けします」との記載を求められた際によくある例文は、以下のとおりです。
「今後、●●をした場合には、解雇、退職金の取り消し等いかなる処分もお受けします。」等の記載をするように求められます。
始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載されていたとしても、無効とされることが多いでしょう。
その理由としては以下の3つがあります。
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
まず、理由の1つ目は、本心とは言えないことです。
労働者としては、会社側から記載するように言われた内容をそのまま記載してしまったということがよくあります。
また、少しでも処分を軽くしたいと考え、反省を伝えるためにこのような記載をしたという方も多いでしょう。
民法では、相手方が、意思表示が真意でないことを知っていた場合や知ることができた場合は、無効とすると規定されています。
そのため、労働者が本心でいかなる処分もお受けしますと記載したわけではなく、会社側もそれを知っていた場合には、そのような記載は無効となるのです。
次に、理由の2つ目は、いかなる処分の内容が不明確であることです。
いかなる処分をお受けしますと記載されていたとしても、いかなる処分というのがどのような処分を指しているのかが分からない場合には、法的な効果は発生しないでしょう。
法律行為の内容が不明確である場合には、その意思表示は無効になるとされているためです。
ただし、いかなる処分の前に、「解雇」、「退職金の取り消し」などの例示がされている場合には、不明確とはされない可能性もあるでしょう。
最後に、理由の3つ目は、労働契約法等に違反することです。
労働契約法では、解雇や懲戒処分は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と言えなければ無効とされています。
また、就業規則などに記載されている解雇事由や懲戒事由を満たしていなくても、これらの処分をできることになり、最低基準効にも反してしまいます。
このような規定よりも不利益な合意をしたとしても無効とされる可能性が高いでしょう。
始末書に「いかなる処分を受けても異議がない」と記載されていた事案として、武富士事件があります。
この事案では、競業会社の役員への情報提供を理由とする懲戒解雇の有効性が争われました。
労働者は、始末書において、「本件につき、解雇、退職金の取消し等いかなる処分を受けても異議がない。」と記載していましたが、
裁判所は、「このように記載することによって、被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待をしたものであって、真意に出たものとは認めがたい。」として、懲戒解雇を無効としました。
(東京地判平6.11.29労判673号108頁[武富士事件]参考)
会社から始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載するよう求められたとしても、直ちに応じるのではなくどのような記載にするべきか慎重に考えるようにしましょう。
このように記載をすることで、あの時どんな処分を受けと書いただろうと言われてしまうことがありますし、始末書の内容次第では不利益になってしまうこともあるためです。
例えば、始末書にいかなる処分もお受けしますと記載するように求められた際には、以下のような対処をすることが考えられます。
それでは、これらの対処について順番に説明していきます。
まず、対処法の1つ目は、弁護士に相談することです。
始末書は法的な紛争になった際に証拠とされることもある一方で、労働者の対応次第では反省していないとされてしまうこともあるためです。
事案に応じて最適な対応は異なってきます。
労働問題に精通している弁護士であれば、貴方がどのような対応するのがベストなのか助言することができるでしょう。
ただし、始末書への対応については、まだ紛争が発生していないため、初回無料相談の対象としていない事務所が多いでしょう。
もし相談を断られてしまった場合には有料相談であれば可能か確認してみたり、元々有料相談を行っている事務所に問い合わせてみたりするといいでしょう。
次に、対処法の2つ目は、「いかなる処分もお受けします」との記載を拒否することです。
会社は、始末書の記載内容についてまで、労働者に強制することができるわけではありません。
労働者が「いかなる処分もお受けします」との記載を書きたくなければ、このような記載をしないこともできます。
「いかなる処分もお受けします」との記載をせずに反省の意思を示したような場合には、「私としても至らない点については改善していきたいと考えております」等の記載をするといいでしょう。
次に、対処法の3つ目は、「いかなる処分もお受けします」との記載の効力を争うということです。
よく考えずにこのような記載をしてしまった場合や断り切れずに記載してしまった場合でも悲観する必要はありません。
先ほど、説明したように「いかなる処分もお受けします」と記載したとしても、無効とされることが多いでしょう。
なので、会社から、「いかなる処分もお受けします」と記載しただろう言われたとしても、安易に退職等の不利益な措置に同意する必要はありません。
万が一、不利益な処分を強行されたとしても、そのような処分の有効性を争うことも考えられます。
最後に、対処法の4つ目は、有利な証拠を集めることです。
始末書に「いかなる処分もお受けします」との記載を求められている場合には、会社側はその後に不利益な処分を行うことも想定している可能性が高いです。
例えば、会社は、始末書を記載した後も、労働者が同じような問題行動を起こしていないかを注意深く観察しています。
労働者としては、問題なく働いているつもりであっても、問題行動かのように仕立て上げられてしまうこともあります。
そこで、万が一、会社から不利益な処分をされた場合に備えて、有利な証拠を集めておくと安心なのです。
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以上のとおり、今回は、始末書の「いかなる処分もお受けします」との記載について、例文や有効性を説明したうえで、4つの対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が始末書に「いかなる処分もお受けします」と記載するように求められて困っている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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