試用期間でのクビはよっぽどな場合だけ!?5つの例と簡単な対処法

試用期間でのクビはよっぽどな場合だけ!?5つの例と簡単な対処法

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

リバティ・ベル法律事務所|神奈川県弁護士会所属
不当解雇や残業代、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。
【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法


試用期間でクビになるのはよっぽどの場合だけではないか悩んでいませんか

会社から試用期間で退職してほしいと言われたり、業務中に注意されることが多かったりすると、不安になってしまいますよね。

試用期間のクビであっても、よっぽどの理由がないと不当解雇とされる傾向にあります

ここでいうよっぽどの理由とは、雇用を継続しないことについて、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当といえることをいいます。

例えば、能力不足などの他にも近年では心身の不調などが挙げられることもあります。一方で、この会社に合わないと思うなどといった主観的な理由ではクビにすることはできないとされています。

試用期間でよっぽどの理由でクビにされないためには、日ごろから誠実に勤務をして、ミスを繰り返さないよう注意して働くことが重要です。

ただし、どれだけ注意していても、会社から試用期間でクビにされてしまうこともありますので、不当だと感じた場合には、適切に対処していくようにしましょう

実際、試用期間でクビにされた事案であっても、クビにするほどの合理的な理由まではないとして、不当とされる例が非常に多いのです

この記事では、試用期間のクビに困っている方々によっぽどの理由がなければ不当になることもあるということを伝えていきたいと思います。

今回は、試用期間でのクビにされるよっぽどな理由を分かりやすく説明したうえで、5つの例と簡単な対処法を解説していきます。

具体的にはこの記事で説明することは以下のとおりです。

この記事を読めば、よっぽどの理由で試用期間にクビにされないためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。

1章 試用期間のクビはよっぽどの理由がないとできない

試用期間でのクビはよっぽどの理由がないとできない

試用期間中にクビにされるのは、よっぽどの事情がある場合に限られると考えられています

試用期間だからといって、会社が自由にクビにできるわけではありません。

確かに、試用期間は「正式採用の前段階」とされることが多く、企業側の判断で見極めを行う期間です

しかし、そのような試用期間であっても、法律上はすでに雇用契約が成立しているため、解雇には厳しい条件が必要です

例えば、「仕事を任せるのが不安」や「少しミスが目立つ」といった抽象的な不満だけでクビにすることはできません。

会社側が一方的に「合わない」と感じたとしても、それがよっぽどの理由とは認められないこともあります。

そのため、試用期間中に突然クビを言い渡された場合には、それが法律的に認められるだけのよっぽどな事情が本当にあったのかどうかを冷静に見極める必要があります

もし合理的な理由が見当たらないのであれば、不当解雇として争える可能性もあるのです。

次章では、どのような場合が「よっぽどの理由」とされやすいのかについて、もう少し具体的に見ていきましょう。

2章 試用期間でクビになるよっぽどの理由とは

試用期間中のクビが法律上認められるためには、「よっぽどの理由」、つまり正当な解雇理由が必要です

この正当な理由とは、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるかどうか」で判断されます。

試用期間での雇用も、法的にはすでに労働契約が成立しているため、解雇のハードルは想像以上に高いのです。

会社が自由に「クビにしたいから」といって解雇することはできず、きちんとした根拠が求められます。

例えば、「なんとなく合わない」「元気がない」などの主観的な評価だけでは、解雇の理由としては不十分と判断されることがほとんどです。

また、労働者が課題を達成できなかったような場合であっても、労働者に落ち度がなかったような事情があれば、不合理と判断されることも多いです。

つまり、「試用期間だからクビにしやすい」というのは誤解であり、実際には通常の解雇と同じように厳しい基準が求められているのです。

ただし、試用期間であるため、本採用後よりは若干広い範囲で解雇が認められるとされています。

そのため、試用期間という事情が、雇用を継続できないほど重大と言えるかの程度、改善指導が必要な程度、異動などの解雇回避措置の検討を求める程度に影響することはあります。

3章 試用期間でクビになるよっぽどな理由の例5つ

試用期間でクビになるよっぽどな理由については、事案によって異なっています。

ただし、実際によく挙げられる理由には一定の傾向があります

このような傾向を知っておくことで、自分の状況がクビにされるような内容なのか、冷静に判断しやすくなります。

また、不当なクビではないかを見極めるヒントにもなります。

例えば、試用期間でクビになるよっぽどな理由の例としては、以下の5つがあります。

例1:能力不足
例2:勤務態度
例3:経歴詐称
例4:ハラスメント
例5:心身の不調

試用期間でクビになるよっぽどな理由の例5つ

それでは、試用期間でクビになる具体的な例を順番に見ていきましょう。

3-1 例1:能力不足

試用期間中のクビの理由として、とくに多いのが能力不足です

任された業務をこなすうえで必要なスキルや理解力が明らかに足りない場合、会社としては雇用を継続することが難しいと判断されることがあります。

例えば、基本的なパソコン操作ができなかったり、接客業なのにお客様対応が極端に不自然だったりすると、業務に支障が出ると評価されやすくなります。

能力不足が理由とされる場合でも、その内容が客観的で合理的かどうかが重視されます

能力不足を理由とする解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-2 例2:勤務態度

勤務態度に問題があると、試用期間中であってもクビの理由になり得ます

なぜなら、職場では協調性や報告・連絡・相談など、基本的なマナーが欠かせないからです

例えば、上司の指示に従わなかったり、無断で遅刻や早退を繰り返したり、注意しても態度を改めなかったりする場合、職場の秩序に悪影響を与えると判断されることがあります。

また、同僚への言動が高圧的だったり、チームでの業務に協力しなかったりする態度も評価に大きく影響します。

このように、勤務態度の悪さが明らかで、改善の見込みがないと判断された場合には、「よっぽどの理由」とされてクビになることがあります。

誠実に働く姿勢を見せることが、試用期間中にはとても重要です。

勤務態度を理由とする解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-3 例3:経歴詐称

重大な経歴詐称があった場合は、試用期間中でもクビの理由になり得ます

採用の判断に決定的な影響を与える行為とされるからです

例えば、仕事に直結する重要な資格や職歴について、事実と異なる情報を伝えていたケースもあります。

内容の重みや影響の大きさによっては、信頼関係の破綻と評価されることがあります。

一方で、軽微な誤りや些細な表現の違いだけでは、解雇の理由としては弱いとされます。

重大な経歴詐称にあたる場合のみ、よっぽどの理由としてクビが認められることがあります。

3-4 例4:ハラスメント

重大なハラスメント行為がある場合は、試用期間中であってもクビの理由になり得ます

ハラスメントは職場環境を著しく害するだけでなく、場合によっては犯罪にもあたるからです

例えば、パワハラに該当するケースとしては、暴言や身体的な威圧を繰り返す行為などがあります。

セクハラとしては、相手の意思に反して身体へ触れたり、性的な発言を繰り返したりすることが挙げられます。

いずれも、相手に深刻な精神的苦痛を与えたり、警察への相談につながったりするような内容であれば、懲戒や解雇の対象となることがあります。

このように、ハラスメントが重大であれば、よっぽどの理由として解雇が認められる可能性は十分にあります。

ハラスメントを理由とする解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-5 例5:心身の不調

心身の不調が深刻で、業務の継続が著しく困難な場合には、クビの理由とされることがあります

会社には、従業員に安全に働いてもらう義務があるからです

例えば、体調不良による長期の欠勤が続いたり、強い精神的な不調で勤務がまったくできなかったりするようなケースがあります。

業務の遂行が極めて難しく、改善の見込みがないと判断される場合には、雇用継続が困難とされることもあります。

労働者としては職場に原因があって心身の不調をきたしていると考えている場合でも、業務起因性を立証することは容易ではなく、私傷病と判断されてしまうことも多くなっています。

うつ病を理由とする解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

4章 試用期間でよっぽどの理由でクビにされない簡単な対策4つ

試用期間でクビにされないためには、日ごろから意識して対策をとることが大切です

クビの判断は、能力や態度などの目に見える行動に大きく左右されるからです。

たとえ仕事に自信がなかったとしても、誠実に取り組む姿勢や、周囲とのコミュニケーションによって評価は変わることがあります

事前に意識して行動すれば、「よっぽどの理由」があると判断されるリスクを減らすことができます。

例えば、試用期間でよっぽどの理由でクビにされない簡単な対策としては、以下の4つがあります。

対策1:指示には素直に従い、報連相をこまめに行う
対策2:ミスを繰り返さないようメモや復習を徹底する
対策3:職場の人間関係に配慮し、言動に注意する
対策4:体調管理をして安定して勤務を続ける

それでは、クビを防ぐための具体的な対策について順番に見ていきましょう。

4-1 対策1:指示には素直に従い、報連相をこまめに行う

試用期間中は、上司の指示に素直に従い、報告・連絡・相談をこまめに行うことが大切です

なぜなら、コミュニケーション不足が「態度が悪い」「指示を聞かない」といった誤解につながることがあるからです。

例えば、「わからないことをそのままにして失敗する」「ミスを隠してトラブルになる」などの行動は、印象を悪くしてしまいます。

一方で、こまめに相談しながら働けば、たとえ失敗しても「誠実に仕事に向き合っている」と評価されやすくなります。

素直な姿勢と丁寧な報連相を意識することで、不要なトラブルを避け、信頼を得ることができます。

4-2 対策2:ミスを繰り返さないようメモや復習を徹底する

同じミスを何度も繰り返すと、業務がこなせない」と判断されることがあります

そうならないためには、仕事を教わったら必ずメモを取り、あとで復習することが効果的です

例えば、一度注意された内容をメモせずにまた間違えてしまうと、「覚える気がない」と受け取られてしまうこともあります。

逆に、きちんとメモを取り、同じミスを防げれば、能力不足の評価を避けやすくなります。

仕事に不慣れな段階では、復習と対策の積み重ねが信頼につながります。

4-3 対策3:職場の人間関係に配慮し、言動に注意する

試用期間中は、周囲との人間関係や自分の言動にも気を配る必要があります

協調性がない、態度が悪いといった印象を持たれると、勤務態度の問題として評価が下がるからです

例えば、あいさつをしなかったり、表情が硬くて話しかけにくかったりすると、本人に悪気がなくてもマイナス評価を受けることがあります。

また、敬語や言葉づかいが丁寧でないと、社会人としての常識が疑われてしまうこともあります。

職場では「仕事の能力」だけでなく「人としての接しやすさ」も大事にされるため、言動には十分注意しましょう。

4-4 対策4:体調管理をして安定して勤務を続ける

安定して勤務を続けることも、試用期間中の評価には大きく関わります

体調不良による欠勤が続くと、「業務を任せられない」と判断される可能性があるからです。

例えば、朝起きられずに遅刻が続いたり、何度も早退してしまったりすると、心身に不調があるのではと心配されることがあります。

そのような状態が長引くと、「仕事を続けるのは難しい」と判断されてしまうかもしれません。

無理をしすぎず、自分の健康を守りながら安定して勤務を続けることで、信頼を築くことができます。

5章 よっぽどの理由がないのにクビにされた場合の対処法

試用期間中にクビを言い渡されたとしても、よっぽどの理由がなければ、不当な解雇とされる可能性があります

法律では、解雇には客観的な合理性と社会的な相当性が必要とされているからです。

クビを受け入れてしまう前に、自分のケースが本当に解雇の基準を満たしているのかを確認しましょう

冷静に対応することで、会社側と話し合ったり、法的に救済を求めたりすることもできます。

例えば、よっぽどの理由がないのにクビにされた場合の対処法としては、以下のとおりです。

手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する

よっぽどの理由がないのにクビにされた場合の対処法

それでは、不当なクビに対してとるべき対処法を順番に見ていきましょう。

5-1 手順1:弁護士に相談する

試用期間中のクビに納得できない場合は、まず労働問題に詳しい弁護士に相談しましょう

なぜなら、自分の状況が不当解雇にあたるかどうか、法律の専門家でないと判断が難しいことが多いからです

例えば、「能力不足と言われたが具体的な説明がなかった」「退職届を書けと一方的に言われた」などのケースでは、自分では気づかないうちに不当な扱いを受けていることもあります。

弁護士に相談すれば、今後どう動くべきか、書面を残すべきかなどの具体的なアドバイスがもらえます。

クビを言い渡されたときこそ、冷静に専門家の力を借りることが大切です。

5-2 手順2:通知書を送付する

会社の対応に問題があると感じたときは、自分の意思を明確に伝える通知書を送付することが大切です

黙っていると、解雇を認めていたとか、働く意思がなかったと受け取られてしまうおそれがあるからです。

例えば、「解雇は濫用であり不当である」といった内容を簡潔に記載した文書を出すことで、誤解を防ぐことができます。

また、解雇理由証明書の交付を求めることで、より具体的に解雇の理由を明らかにすることができ、主張や証拠の準備を行いやすくなります。

5-3 手順3:交渉する

弁護士を通じて、会社と話し合いの場を持つことも選択肢のひとつです

なぜなら、裁判などを起こす前に交渉で解決できれば、時間や費用の負担を軽減できるからです

例えば、「解雇ではなく退職扱いにしてもらう」「一定の解決金を支払ってもらう」など、こちらの希望を伝えることで、納得できる解決に至ることもあります。

自分だけで交渉するのが難しい場合でも、弁護士が間に入ることで、落ち着いて話を進めることが可能です。

早期に交渉を持ちかけることで、円満に問題を解決できる可能性も高まります。

5-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する

話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討しましょう

労働審判は、訴訟よりも迅速に解決することを期待できる手続きで、原則3回以内の期日で解決を目指します。平均審理期間は3か月程度です。

労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。

労働審判とは何かについては、以下の動画で詳しく解説しています。

一方、訴訟は時間がかかりますが、より正式な判断を得たいときに利用されます。解決まで1年以上を要することもあります。

不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。

6章 解雇に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

解雇に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

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7章 まとめ

以上のとおり、今回は、試用期間でのクビにされるよっぽどな理由を分かりやすく説明したうえで、5つの例と簡単な対処法を解説しました。

この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

ホウペン

まとめ

・試用期間中にクビにされるのは、よっぽどの事情がある場合に限られると考えられています。

・試用期間でクビになるほどのよっぽどな理由があるかは、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるかどうか」で判断されます。

・試用期間でクビになるよっぽどな理由の例としては、以下の5つがあります。
例1:能力不足
例2:勤務態度
例3:経歴詐称
例4:ハラスメント
例5:心身の不調

・試用期間でよっぽどの理由でクビにされない簡単な対策としては、以下の4つがあります。
対策1:指示には素直に従い、報連相をこまめに行う
対策2:ミスを繰り返さないようメモや復習を徹底する
対策3:職場の人間関係に配慮し、言動に注意する
対策4:体調管理をして安定して勤務を続ける

・よっぽどの理由がないのにクビにされた場合の対処法としては、以下のとおりです。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する

この記事が試用期間でクビになるのはよっぽどの場合だけではないか悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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籾山 善臣

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