2025年3月8日
労働一般
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能力不足を理由とする解雇には厳格な条件があり、主観的な理由や不合理な理由では解雇できないとされています。実際、解雇を不当とした判例も多いです。今回は、能力不足で解雇できないケースを説明したうえで、判例3つとクビにされた場合の対処手順を解説します。
2025/12/18
不当解雇


能力不足を理由に解雇を言い渡されてしまい悩んでいませんか?
会社の期待に沿わなかったとしても、解雇と言われてしまうと、生活やキャリアにも大きな支障が生じてしまいますよね。
能力不足を理由とした解雇は、非常に多くなっています。
一方で、法律では、能力不足を理由に解雇するには、厳格な条件があります。
能力不足を理由に解雇できないにもかかわらず、不当に解雇がされるケースも少なくないのです。
実際、判例でも能力不足を理由とした解雇を不当としたものが数多く存在しています。
もし、あなたが能力不足を理由に解雇されてしまった場合には、あせらず冷静に対処していく必要があります。
実は、能力不足を理由とした解雇は最も典型的な解雇理由の一つですが、私が多くの解雇の相談を受ける中でも、本当に解雇が有効であると感じる事例はほんの一部にすぎません。
この記事をとおして、能力不足を理由とした解雇は簡単には認められないということを誰でもわかりやすいようお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、能力不足で解雇できないケースを説明したうえで、判例3つとクビにされた場合の対処手順を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、能力不足を理由に解雇された場合にはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
能力不足による解雇については、以下のショート動画で60秒程度でまとめています。時間がない方は是非コチラをご覧ください。
目次
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解雇通知書サンプル
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能力不足を理由に解雇されることは、実際に多くの職場で起こっています。
最も典型的な解雇理由の一つともいます。
法的にも能力不足を理由とした解雇を一切することができないとはされておらず、就業規則の解雇事由にも能力不足が挙げられているのが通常です。
とくに、成果が出ない・スキルが足りないなどといった評価から、解雇につながるケースが見られます。
経済的な競争が激しくなる中で、企業が即戦力を求めるようになり、「期待通りでない」と感じた社員に対して厳しい対応を取ることがあるのです。
例えば、営業ノルマを継続して達成できなかったり、同じミスを繰り返してしまったりした場合に、能力不足による解雇をされることがあります。
このように、能力不足を理由にした解雇は、現実的に起こり得るものです。
会社が能力不足を理由に労働者を解雇するには、客観的に見て合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められることが必要です。
この条件が満たされていない場合には、労働契約法上、解雇は濫用として無効になるとされています。
労働者にとって解雇は、生活や将来に大きな影響を与える重大な出来事です。そのため、法律では会社が一方的に解雇できないよう、厳しいルールが定められています。
とくに能力不足を理由とする解雇は、評価があいまいになりやすく、不当解雇として争われることも少なくありません。
例えば、自分が若かったころより仕事ができていないなどとの主観的な理由だけでは、解雇することはできないのです。
また、能力が不足している事実であったとしても、直ぐに解雇するというのは相当とは言えませんので、まずは指導したり、異動したりといった措置が必要となります。
このように、能力不足による解雇は、慎重に判断されるべき問題であり、法律上もとても厳格に労働者の権利が守られています。
能力不足を理由に解雇できないケースもあります。
先ほど見たように、解雇には客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが必要であるためです。
労働者にとって、どのような場合に解雇が無効となる可能性があるかを知っておくことは、自分の身を守るうえでとても大切です。
例えば、能力不足を理由に解雇できないケースとしては、以下の4つがあります。

それでは、順番に見ていきましょう。
能力不足による解雇には、客観的な根拠が必要です。
単に「期待した成果が出なかった」といったあいまいな理由だけでは、解雇は認められません。
なぜなら、評価基準が主観的すぎると、労働者にとって不公平だからです。
明確な証拠がないまま解雇されてしまえば、どのように改善すればよかったのかもわからず、納得のしようがありません。
例えば、上司が「仕事のレベルが低い」と感じていたとしても、具体的なミスや遅延の記録がなければ、それは単なる印象にすぎません。
このような場合、解雇が不当と判断される可能性が高くなります。
労働者に落ち度がない場合には、能力不足を理由に解雇することはできません。
結果が思わしくなかったとしても、その原因が本人にないのであれば、解雇は正当とはいえないのです。
これは、解雇という重い処分を正当化するには、労働者に何らかの責任や過失があることが前提になるからです。
まじめに取り組んでいて、会社の指示に従って誠実に働いていたにもかかわらず、成績が上がらなかったような場合には、責任を問うのは不適切です。
例えば、誰でも達成が難しい高すぎる目標が設定されていたり、会社側の製品や方針に問題があって成果が出ていなかったりする場合には、労働者の能力不足とは言えません。
このように、本人に責任がない場合には、能力が不足していたとは言えず解雇することはできないでしょう。
能力不足を理由に解雇するには、事前に改善の機会が与えられていることが重要です。
いきなり解雇するのではなく、段階的な指導や注意が必要とされています。
これは、労働者に改善のチャンスを与えずに解雇するのは不当だからです。
本人が努力しようとしていたにもかかわらず、突然解雇されてしまうのでは、あまりにも一方的です。
例えば、遅刻や業務ミスがあったとしても、注意や面談などを通じて指導を行い、それでも改善されない場合に初めて解雇が検討されるのが一般的です。
改善指導をしていない場合には、解雇の必要性や合理性が弱いと判断されやすくなります。
会社は、解雇という最終手段を取る前に、異動や配置転換など他の方法で解決できないかを検討する必要があります。
これは、解雇が最後の手段であるという法的な考え方に基づいています。可能なかぎり雇用を継続する努力をすべきというのが基本です。
例えば、営業で成果が出なかった人を、事務やサポート部門に異動させて様子を見るといった方法が考えられます。
そうした選択肢を試さずに解雇した場合には、「なぜ他の方法を取らなかったのか」と裁判で問われることになります。
異動などの解雇回避策がない場合には、企業側の対応が不十分と評価されかねません。
能力不足を理由とする解雇の判例については多く蓄積されています。
これらの判例を見ていくことによって、どのような場合に解雇が不当となるかが分かるでしょう。
例えば、能力不足を理由とする解雇の判例を3つ厳選すると以下のとおりです。

それでは、これらの判例について順番に説明していきます。
【事案】
自動車教習所の受付・レジ担当事務員が、多発するミスのため解雇されました。
当該事務員は、解雇の無効を確認し、従業員としての地位と未払賃金の支払いを求めました。
【結論】
解雇は無効であり、請求は認められました。
【理由】
会社主張のミスの多くは原告の責任と認められず、業務に重大な支障もありませんでした。
原告の明確なミスは少数で単純であり、常態化していません。
原告は責任ある地位になく、就業規則の解雇事由に当たらないため無効と判断されました。
【事案】
損害保険会社がリストラで全社員を再配置した結果、不適切な部署へ配転され、十分な指導もないまま、退職を迫られた労働者らが、些細な事由で解雇されました。
賃金仮払いと地位保全を申し立てた事案です。
【結論】
解雇は濫用として無効と判断されました。
【理由】
長期勤続者の解雇は、単なる能力不足では足りず、企業に重大な支障を及ぼし、改善の見込みがない場合に限られます。
本件では、不適切な配転後の指導不足や解雇事由が些細な事項にとどまっていたことから解雇権濫用とされ、解雇は無効とされました。
【事案】
中途採用の金融情報通信社記者が、約4年8か月後に勤務能力低下を理由に解雇され、地位確認と賃金支払いを求めて提訴しました。
これは、3回の業績改善プラン実施後の解雇でした。
【結論】
解雇は無効となりました。
【理由】
勤務能力低下を理由とする解雇は、その低下が契約継続を期待できないほど重大か、使用者側が改善を促し機会を与えたか等を総合考慮すべきです。
本件では、記者の協力関係不構築、執筆速度や記事数、記事の質の低さといった問題は、解雇事由となるほど重大ではないと判断されました。
また、会社は具体的な改善矯正策を講じていないか、記者は会社の指示に従い改善姿勢を示していたため、客観的合理性を欠くとされました。
能力不足で解雇された場合には、焦らず冷静に対処していく必要があります。
あなた自身の生活やキャリアを守る必要があるためです。
解雇されてしまい何もせずに放置していると、不当な解雇であっても、会社側はそのまま手続きを進めてしまいます。
具体的には、能力不足で解雇された場合には、以下の手順で対処していきましょう。

それでは順番に見ていきましょう。
まずは労働問題に詳しい弁護士に相談することが重要です。
解雇が正当かどうかを判断するには、法律の知識や過去の判例を踏まえた専門的な判断が必要になるからです。
自分では「能力不足かもしれない」と思っていても、法的には不当な解雇であるケースも多くあります。
会社側の説明だけを鵜呑みにせず、第三者の意見を聞くことが大切です。
早い段階で弁護士に相談すれば、証拠の集め方や対応のしかたについて的確なアドバイスを受けることができ、後々の手続きが有利に進めやすくなります。
解雇に不満がある場合には、会社に対して解雇が不当であるとの通知書を送付しておくようにしましょう。
何もせずに放置している、解雇を認めていたと指摘されたり、働く意思を失っていたと反論されたりすることがあるためです。
また、併せて、解雇理由証明書の交付を請求しておくといいでしょう。
解雇理由証明書を見ることで、見通しがより明確になりますし、どのような主張や証拠を準備すればいいのかが明らかになるためです。
会社から回答があったら、折り合いをつけることが可能かどうか交渉してみましょう。
話し合いにより解決することができれば、少ない負担と労力で良い解決をできる可能性があります。
話し合いがまとまった場合には示談書を作成することになります。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討しましょう。
労働審判は、訴訟よりも迅速に解決することを期待できる手続きで、原則3回以内の期日で解決を目指します。平均審理期間は3か月程度です。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とは何かについては、以下の動画で詳しく解説しています。
一方、訴訟は時間がかかりますが、より正式な判断を得たいときに利用されます。解決まで1年以上を要することもあります。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
能力不足を理由とする解雇でよくある疑問としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A.新卒でも、能力不足を理由に解雇されることはあります。
ただし、仕事に慣れていないのは当然なので、簡単にはクビにできません。
会社はまず教育やサポートをする必要があります。何も教えずに「期待外れだった」と解雇するのは不当とされやすいです。
まじめに働いている新卒をいきなり解雇することは、原則できないと考えてよいでしょう。
新卒の解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.試用期間中でも、能力不足を理由に解雇するには、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であることが必要です。
本採用後よりも若干解雇が認められる範囲は広くはなりますが、試用期間だから簡単に解雇できるというのは間違いです。
試用期間での解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.はい、能力不足による解雇は基本的に「会社都合退職」になります。
失業保険上、重責解雇を除き、解雇は会社都合となるためです。
自己都合に比べて失業保険上有利に取り扱ってもらうことができます。
解雇と失業保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
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以上のとおり、今回は、能力不足で解雇できないケースを説明したうえで、判例3つとクビにされた場合の対処手順を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ
・能力不足を理由に解雇されることは、実際に多くの職場で起こっています。
・会社が能力不足を理由に労働者を解雇するには、客観的に見て合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められることが必要です。
・能力不足を理由に解雇できないケースとしては、以下の4つがあります。
ケース1:具体的な根拠となる出来事がない場合
ケース2:労働者に落ち度がない場合
ケース3:改善指導が行われていない場合
ケース4:異動などの解雇回避措置が取られていない場合
・能力不足を理由とする解雇の判例を3つ厳選すると以下のとおりです。

・能力不足で解雇された場合には、以下の手順で対処していきましょう。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
この記事が能力不足を理由に解雇を言い渡されてしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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