2025年3月8日
労働一般
厚生労働省のブラック企業リスト(2024)!地域と掲載企業の傾向
ブラック企業リスト掲載の事案は、労働安全衛生法違反が多く、実際のイメージとは異なる部分があります。今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、ブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。
2025/10/24
不当解雇


会社から即日解雇されてしまい悩んでいませんか?
いきなり解雇と言われても、これからの生活や人生がどうなってしまうのか心配ですよね。
即日解雇とは、予告せずに解雇を告げたその日に一方的に退職させることを言います。
会社は、解雇の30日前に予告をするのが原則であり、即日解雇をするには解雇予告手当の支払いが必要です。
また、解雇予告手当の支払いをしている場合でも、解雇の理由次第では濫用として無効となることがあります。
労働者は、即日解雇をされた場合には拒否することはできませんが、その不当性を争うことはできます。
実際、即日解雇の事案において、不当解雇であると判断して、会社に対して、慰謝料や高額の賃金の支払いを命じた裁判例が多数あります。
もし、即日解雇されたら、あなた自身の生活や権利を守るためにも、焦らずに冷静に対処していくようにしましょう。
実は、即日解雇をされたことに焦ってしまい不利な発言や態様をしてしまってしまう方が少なくありません。
私が多くの不当解雇の相談を受ける中でも、もう少し早く相談していただきたかったと感じることがあります。
この記事をとおして、即日解雇されてしまい困っている方に法的に不利な立場にならないために是非知っておいていただきたいことをわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、即日解雇されたらどうすればいいかについて、条件や手当と簡単な対処法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、即日解雇されたらどうすればいいのかについてよくわかるはずです。
目次
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即日解雇とは、予告せずに解雇を告げたその日に一方的に退職させることを言います。
本来、会社が労働者を解雇する場合には、30日前にそのことを予告しなければいけないのが原則です。
これに対して、即日解雇の場合には、このような30日前の予告が行われずにその日をもって雇用契約を終了とされてしまいます。
例えば、会社から「今日をもって解雇です」と言われて、その日のうちに貸与品などを回収され、私物をまとめてもう出勤しないようにと言われます。
翌日以降の賃金は支払ってもらえなくなります。社会保険や雇用保険も、後日、解雇日をもって喪失の手続きをされることになります。
このように即日解雇は労働者に対して非常に大きな悪影響を与えることになります。
突然の解雇に戸惑ってしまうこともあるかもしれませんが、法律のルールを知ることで自分の権利を守るようにしましょう。
即日解雇は、会社が自由にできるわけではありません。
労働者を守るため法律上、いくつかの条件があります。
不当な即日解雇で泣き寝入りしないためにも、どんなときに即日解雇が認められるのかを知っておくことが重要です。
例えば、即日解雇の条件としては、以下の3つがあります。
それでは、順番に見ていきましょう。
即日解雇する場合、会社は30日分の手当を解雇予告手当として払う義務があります。
予告なしに解雇されてしまうと労働者が生活に困ることになるためです。
例えば、即日解雇された場合には、その場で解雇予告手当を渡されたり、給与口座に解雇予告手当を振り込まれたりするのが通常です。
ただし、例外的に労働者の責めに帰すべき事由がある場合などには、解雇予告手当を請求できないことがあります。
解雇は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と言えなければ、濫用として無効となります。
労働者の同意なく一方的に退職させるものであり、生活の糧を奪うことになるため、厳格に規制されているのです。
例えば、「会社の方針に合わない」「上司と合わない」などの理由で即日解雇された場合、それが客観的に見て正当とは言えないなら、解雇は無効と判断される可能性があります。
また、本人に改善の機会を与えずにいきなり解雇するのも、濫用と判断されやすくなります。
このように、即日解雇には合理的な理由や相当性が必要であり、それがない場合は解雇が無効とされます。
解雇禁止に反して行われた解雇は無効となります。
法律上、不当解雇が行われやすい類型につて、解雇を明示的に禁止する規定がおかれているのです。
例えば、次のような場合は、原則として解雇できません。
こうした場面で即日解雇が行われた場合は、法律違反となり、解雇は無効になります。
会社が即日解雇を行うときには、何らかの理由を示すのが一般的です。
例えば、即日解雇でよくある理由としては、以下の3つがあります。

それでは、順番に見ていきましょう。
勤務態度を理由に、会社から即日解雇されることがあります。
しかし、それだけで正当な解雇になるとは限りません。
仕事中の態度が悪かったり、遅刻や欠勤が多かったりしても、まずは会社が注意や指導をして、改善の機会を与えなければいけないためです。
例えば、「あいさつをしない」「やる気がない」などの理由だけで、いきなり即日解雇された場合、違法とされることもあります。
このように、勤務態度の問題があっても、すぐに解雇できるわけではありません。
注意もなく突然解雇されたときは、その正当性を疑ってみることが大切です。
勤務態度を理由とする解雇は、以下の記事で詳しく解説しています。
会社から「あなたの言動がハラスメントにあたる」と言われて、即日解雇されることがあります。
たしかに、職場での嫌がらせは問題ですが、それだけで正当な解雇になるとは限りません。
犯罪に該当するようなハラスメントは別ですが、通常、ハラスメントがあっても会社は改善指導を行うことが必要とされています。
例えば、同僚への注意の仕方が少し強かっただけで「パワハラ」とされ、即日解雇された場合でも、あとで解雇が無効とされることがあります。
暴力行為を理由に即日解雇されるケースもあります。
実際に殴る、押す、物を投げるといった行為があった場合には、即日解雇が認められてしまう可能性があります。
暴力は職場の秩序や安全を乱すものとされ、解雇理由として重く見られがちであるためです。
例えば、上司や同僚と口論になり、手をあげてしまった場合などは、正当な解雇と判断されることもあるでしょう。
ただし、会社が一方的に暴力と決めつけたり、軽い接触を誇張して伝えたりするケースもあります。
暴力行為は即日解雇につながりやすい理由ではありますが、事実関係に争いがあるときは慎重に対応しましょう。
即日解雇を言い渡されても、その場で拒否することはできません。
解雇は、会社の一方的な意思表示で成立するため、労働者が「嫌です」と言っても、効力が生じてしまいます。
たとえ納得がいかなくても、解雇そのものを止めることはできません。
例えば、出勤し続けようとしても、会社が「もう雇用契約は終わっています」と主張すれば、職場に入れないケースもあります。
ただし、即日解雇を拒否することはできませんが、その有効性を争うことはできます。
即日解雇をされ納得がいかない場合には、「不当解雇なので争わせていただきます」と伝えて、弁護士に相談しましょう。
即日解雇が不当とされた判例が存在しています。
これらの判例を見ることでどのような場合に即日解雇が不当となるか理解しやすくなるでしょう。
例えば、即日解雇が不当とされた判例としては、以下の3つがあります。

それでは、順番にこれらの判例を紹介していきます。
約12年間有期雇用契約で勤務した社員が、同僚との軽微な暴行を理由に即日で懲戒解雇された事案です。
裁判所は、この懲戒解雇を懲戒権の濫用として無効と判断しました。
しかし、同社員の過去の勤務態度や反省の不十分さから、会社側には契約更新を拒む「特段の事情」があったと認められ、有期雇用契約は期間満了をもって終了したと判断されました。
結果として、会社は、不当な解雇から契約終了までの賃金と、解雇による精神的苦痛に対する慰謝料(平均賃金の2ヶ月分、44万4060円)の支払いを命じられました。
これは、軽微な暴行による即日解雇は行き過ぎである一方、雇用継続への合理的な期待はあったものの、総合的に見て雇止めが相当とされた判断です。
大学教授である原告が、学園から「学長特命による授業改善プログラム」への従事命令や複数の懲戒処分、配転命令、降任処分を受け、最終的に即日解雇された事案です。
裁判所は、学園が原告に行ったこれらの行為について、いずれも業務上の必要性や合理性を欠き、原告の労働組合活動に対する不当労働行為であるとして無効と判断しました。
結果として、原告の教授としての地位が確認され、学園は未払い賃金等の支払いを命じられました。
さらに、これらの不法行為による原告の精神的苦痛に対し、学園とその理事長は連帯して300万円の慰謝料を支払うよう命じられました。
なお、学園が原告のブログ記事による名誉毀損を主張した請求は棄却されました。
無銭飲食や友人等への不正な割引・無償提供、レジ金の着服行為、勤務態度不良などを理由に即日解雇された事案です。
裁判所は、原告Xが被告会社に対し労働契約上の権利を有する地位にあることを確認しました。
そのうえで、解雇後の賃金として、平成28年9月26日以降毎月25万円の支払いを命じる判決を下しました。
理由は、被告会社による解雇は懲戒解雇でしたが、懲戒解雇の根拠となる就業規則が存在しなかったためです。
仮に普通解雇としても、被告会社が主張するレジ金着服や勤務態度不良については裏付ける証拠が一切なく、無銭飲食や過剰なサービスについても、飲食店として直ちに解雇事由に該当するとは認められませんでした。
そのため、懲戒解雇としては無効です。また、普通解雇としても客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当ではありませんでした。
会社から即日解雇をされたら、焦らずに冷静に対処していくようにしましょう。
即日解雇は不当となることも多いですが、労働者が何もしないでいると解雇が有効であることを前提に手続きを進められてしまうためです。
具体的には、即日解雇をされたら以下の手順で対処していきましょう。

それでは、順番に見ていきましょう。
即日解雇されたら、まず弁護士に相談することをおすすめします。
法的な見通しやリスクを分析したうえで、あなたに合った方針を助言してもらえる可能性があります。
例えば、解雇予告手当を請求していくべきか、不当解雇として争うべきかと言ったことは、事案によって異なります。
不当な扱いを受けたまま泣き寝入りしないためにも、弁護士への相談が第一歩です。
初回相談が無料の事務所もあるので、早めの行動を心がけましょう。
即日解雇されたときは、会社に通知書を送って自分の立場をはっきりさせておくことが大切です。
あとから「解雇を自分から受け入れていた」や「就労の意思がなかった」などと会社に言われるのを防ぐためです。
併せて、「解雇理由証明書を交付してください」と書いておくと、会社に理由の開示を求めることができます。これは法律で認められた労働者の権利です(労働基準法22条)。
例えば、「本件解雇は濫用として無効である。争点を明らかにするため解雇理由証明書を文書で交付してください」と内容証明で送ると、後の交渉や証拠にも使えます。
感情的な表現は避け、事実だけを簡潔にまとめて送るようにしましょう。
即日解雇されたときは、会社と交渉することで解決できる場合があります。
法的なルールを理解したうえで冷静に対応すれば、解雇の撤回や金銭的な補償を引き出せることもあります。
会社側も、解雇が違法となればトラブルになることを避けたいと考えるため、話し合いに応じる可能性があります。
一方的に主張を通そうとせず、事実と法的根拠を示しながら進めることがポイントです。
示談で解決することができれば、少ない負担と朗六で良い解決をできる可能性があります。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討しましょう。
労働審判は、訴訟よりも迅速に解決することを期待できる手続きで、原則3回以内の期日で解決を目指します。平均審理期間は3か月程度です。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とは何かについては、以下の動画で詳しく解説しています。
一方、訴訟は時間がかかりますが、より正式な判断を得たいときに利用されます。解決まで1年以上を要することもあります。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
不当解雇の裁判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
即日解雇でよくある疑問としては、以下の9つがあります。
それでは、これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.試用開始から14日以内の即日解雇の場合には、解雇予告手当をもらうことはできません。
試用期間14日以内の場合には、例外的に解雇予告は不要とされているためです。
ただし、15日目以降は手当が必要になるため、解雇された日が何日目かを確認することが大切です。
A.口頭でも即日解雇は法律上有効です。
ただし、後のトラブルを防ぐため、書面で書面を求めることが重要です。
例えば、「本当に解雇されたのか」「理由は何か」をはっきりさせるために、解雇理由証明書を請求して記録を残しておくことをおすすめします。
A.即日解雇は、会社都合退職になります。
解雇は重責解雇を除き会社都合として処理されることになるためです。
会社都合になると、失業保険の給付が早まり、給付日数も多くなるなどのメリットがあります。
そのため、退職届などを出さずに、会社都合であることをはっきりさせることが大切です。
解雇と失業保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.即日解雇が不当だった場合は、慰謝料を請求できることがあります。
理由のない解雇や違法な手続きで精神的苦痛を受けたときなどが該当します。
ただし、必ず認められるわけではなく、証拠や事情によって判断されます。
慰謝料を請求したい場合は、弁護士に相談して見通しを確認するとよいでしょう。
不当解雇の慰謝料については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.即日解雇された場合には、解雇日以降の給料は払われなくなります。
ただし、解雇が無効である場合には、解雇日以降の給料を後から遡って請求できる可能性があります。
解雇後の給料については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.解雇されると、健康保険証は原則として返却が必要になります。
使い続けると不正利用とみなされることがあるので、早めに会社に返しましょう。
その後は、国民健康保険への加入や、任意継続の手続きを検討することになります。
A.アルバイトでも即日解雇が不当とされることがあります。
雇用形態にかかわらず、労働者としての権利は守られます。
解雇予告や手当、解雇理由の正当性は、正社員と同じように確認されます。
不当だと感じたら、遠慮せずに声をあげましょう。
アルバイトのクビについては、以下の記事で詳しく解説しています。
A.労働基準監督署に相談できます。
解雇予告手当の未払いなど、労基法違反がある場合は調査してもらえることがあります。
ただし、解雇が不当かどうかの判断は、最終的には裁判などで行われます。
不安なときは、弁護士に相談して判断を仰ぐとよいでしょう。
A.外資系企業でも、日本企業と同様、即日解雇は不当となることがあります。
日本国内で働いていれば、外資系企業であっても、日本の労働法が適用されるためです・。
「外資だから法律が違う」と思い込まず、日本の労働者としての権利をきちんと確認することが大切です。
外資系企業のクビについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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以上のとおり、今回は、即日解雇されたらどうすればいいかについて、条件や手当と簡単な対処法4つを解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ
・即日解雇とは、予告せずに解雇を告げたその日に一方的に退職させることを言います。
・即日解雇の条件としては、以下の3つがあります。
条件1:解雇予告手当の支払い
条件2:解雇権濫用とならないこと
条件3:解雇禁止に反しないこと
・即日解雇でよくある理由としては、以下の3つがあります。
理由1:勤務態度
理由2:ハラスメント
理由3:暴力行為
・即日解雇を言い渡されても、その場で拒否することはできません。ただし、即日解雇を拒否することはできませんが、その有効性を争うことはできます。
・即日解雇が不当とされた判例としては、以下の3つがあります。

・即日解雇をされたら以下の手順で対処していきましょう。
対処法1:弁護士に相談する
対処法2:通知書を送付する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判・訴訟を提起する
この記事が会社から即日解雇されてしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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