新卒はクビにできない?試用期間の解雇とクビになった際の対処法4つ

新卒はクビにできない?試用期間の解雇とクビになった際の対処法4つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

悩み

新卒として入社したものの、会社からクビにされてしまい困っていませんか

社会人になってわずか数か月で解雇になってしまうと、これから自分の生活やキャリアはどうなってしまうのか不安ですよね。

新卒は、簡単にはクビにできない傾向にありますが、絶対にクビにされないということではありません

新卒がよくクビになる理由としては、能力不足や業務態度、経歴詐称などがあります。

新卒として入社して最初の3か月から6か月の間の試用期間でクビにされてしまう事例もあります。

新卒がクビになった際には、焦らずに冷静に対処していくことが大切です

新卒としてのキャリアは非常に重要であり、今後の再就職にも少なからず影響があります。

実は、新卒でブラック企業に入ってしまい、理不尽な理由でクビを言い渡されてしまうという事例が後を絶たちません

この記事をとおして、新卒社員がファーストキャリアを傷つけられないために必要な知識をわかりやすく説明できれば幸いです。

今回は、新卒はクビにできないかを説明したうえで、試用期間の解雇とクビになった際の対処法4つを解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事でわかること

この記事を読めば新卒で入社した会社にクビにされてしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。

1章 新卒はクビにできない?

新卒はクビにできない?

新卒は、簡単にはクビにできない傾向にありますが、絶対にクビにされないということではありません

新卒については、会社側も職務経験がないことを知ったうえで採用を行うことになり、通常、即戦力として採用するわけではありません。

なので、採用時の期待がそこまで高くないとの認定となることが多く、会社は十分な指導を行うことなく解雇することが難しいのです

もっとも、一般に解雇することが難しいとしても、理由次第では有効に解雇を行うことができる場合もあります。

解雇をするハードルが高いというだけで、解雇できないというわけではないためです。

そのため、新卒であったとしても、クビになるリスクはありますので緊張感をもって働くようにしましょう。

2章 新卒がクビになる理由

新卒がクビになる理由には、一定の傾向があります

新卒がどのような場合にクビになるかを知ることで、リスクを回避したり対策を立てたりしやすくなります。

例えば、新卒がよくクビになる理由としては、以下の3つがあります。

理由1:能力不足
理由2:業務態度
理由3:経歴詐称

新卒がクビになる理由3つ

それでは、これらの理由について順番に説明していきます。

2-1 理由1:能力不足

新卒がよくクビになる理由の1つ目は、能力不足となります

ミスが多かったり、仕事が遅かったりと言った理由で解雇されることがあります。

昨今では、コミュニケーション能力が低いという理由で解雇されるような事例も増えてきました。

新卒社員の場合には社会人経験が無いため、ある程度は仕方ないということで、丁寧に指導をしてもらえる傾向にあります。

もっとも、同じようなミスを何度も繰り返すような場合には、能力不足を理由にクビにされてしまうこともありますので注意が必要です

2-2 理由2:業務態度

新卒がよくクビになる理由の2つ目は、業務態度となります

遅刻が多かったり、仕事中にサボっていたり、乱暴な言葉遣いをしたり、返事をしなかったりと言った場合です。

新卒であったとしても、誠実な態度で業務を行うことは可能です

例えば、社会人になったばかりであっても、遅刻やサボりがいけないことは当然わかるはずです。

そのため、新卒であっても、業務態度が悪ければクビにされてしまいます。

2-3 理由3:経歴詐称

新卒がよくクビになる理由の3つ目は、経歴詐称となります

重大な経歴詐称を偽っていた場合には、解雇理由となります。

とくに新卒社員の場合には、職歴がないため、中途採用社員以上に学歴が重要な意味を持つことになります。

出身大学を偽っていたような場合には、会社側は本当のことを知っていた場合には採用しなかったとして解雇が有効となってしまう可能性が高いでしょう

3章 新卒の試用期間とクビ

新卒として入社して最初の3か月から6か月の間の試用期間でクビにされてしまう事例もあります

正社員として入社する際、通常、3~6か月間の試用期間が設けられている傾向にあります。

試用期間とは、採用の時点では知ることができなかったことについて、入社後の働きを見て見定める期間です

例えば、試用期間が終わる1週間程度前に、会社から「あなたの働きぶりを見させていただいたが、期待に沿う働きをしていただけていないので、本採用できない」などと切り出されることがよくあります。

ただし、試用期間と言っても、会社が自由に労働者を解雇することができるというわけではありません

労働者は他の会社に入社する機会を放棄したうえで、その会社に入っている以上、客観的に合理的な理由がなければ、本採用を拒否することはできないとされているのです。

例えば、あなたのことが嫌いだからとか、そのような主観的な理由によりクビにすることはできません。

また、能力不足によりクビにするような場合にも、なぜ能力不足と言えるのかについて具体的なエピソードや根拠となる事実を示す必要があります

4章 新卒がクビになった際の対処法4つ

新卒がクビになった際には、焦らずに冷静に対処していくことが大切です

これまでに説明したように、法律上、新卒をクビにすることは簡単にはできませんが、あなたが何も言わなければ、会社は解雇が有効な前提で手続きを進めてしまいます。

大切なキャリアを守るためには、あなた自身が行動をしていく必要があるのです。

具体的には、新卒がクビになった際の対処法としては以下の4つがあります。

対処法1:弁護士に相談する
対処法2:通知書を送付する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判・訴訟を提起する

新卒がクビになった際の対処法4つ

それでは、これらの対処法について順番に説明していきます

4-1 対処法1:弁護士に相談する

新卒がクビになった際の対処法の1つ目は、弁護士に相談することです

解雇が有効かどうかは法的な事項であり、見通しを分析したうえで、一貫した対応を行うべきだからです。

また、早い段階で、あなたに有利な証拠をしっかりと集めることができるかによって、結果は大きく変わってきます。

そのため、新卒をクビにされてしまった場合には、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

ただし、労働問題については専門性が高いので、労働問題に力を入れている弁護士を探すようにしましょう。

4-2 対処法2:通知書を送付する

新卒がクビになった際の対処法の2つ目は、通知書を送付することです

クビになった後に何もせずに放置している、解雇が有効であると認めていたと指摘されたり、働く意欲を失っていたと指摘されたりすることがあるためです。

いきなりクビになってしまい動揺してしまうかもしれませんが、不当な解雇をされた場合には、速やかに、解雇が無効である旨を通知するようにしましょう。

また、その際には、併せて、解雇理由証明書の交付を求めるようにしましょう

解雇理由証明書とは、文字通り、解雇の理由を記載した書面であり、会社は労働者の求めに応じてこれを交付する義務があります。

解雇理由証明書を見ることで、労働者は、解雇が不当かどうかより明確な見通しを持つことができますし、どのような反論や証拠を準備すればいいのかがわかります。

会社は、事実上、後から、他の解雇理由を主張しづらくなるという意味もあります。

4-3 対処法3:交渉する

新卒がクビになった際の対処法の3つ目は、交渉することです

会社側から解雇理由等が明らかにされたら、話し合いにより折り合いをつけることが可能か協議してみましょう。

お互いに共通の見通しや認識を持つことができれば、早期に少ない負担でいい解決ができる場合があります。

4-4 対処法4:労働審判・訴訟を提起する

新卒がクビになった際の対処法の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。

話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。

労働審判とは、全3回の期日の中で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には裁判所が審判を下します。早期に実態に即した解決をすることが期待できます。

ただし、審判には労働者も会社も異議を出すことができ、いずれかが異議を出したら通常の訴訟に移行します。

訴訟については、期日の回数の制限などはとくになく、月1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことが多いです。解決まで1年以上要する傾向にあります。

5章 新卒がクビになったら再就職できない?

新卒としてのキャリアは非常に重要であり、今後の再就職にも少なからず影響があります

再就職活動をする中で採用面接まで行くと、ほとんどの会社は前職を退職した理由を尋ねてきます。

その際に、前職を解雇されたと話すと、新卒でクビにされてしまうということは大きな問題がある方なのではないかと悪印象を持たれてしまうことがあります

そうすると、採用面接まで行っても、前職の退職理由を説明すると中々採用してもらえないということが続くことになってしまうのです。

もっとも、解雇が不当である場合には、その解雇を争う中で解雇の経歴を消すことができる場合があります

解雇はその条件を満たしていなければ無効となるためです。早期の和解などでも、「解雇を撤回して合意で退職したことを確認する」との合意をすることがよくあります。

そのため、新卒でクビになると再就職に悪影響が生じてしまうことがありますが、解雇が不当と感じる場合には、解雇の経歴を消せないか検討してみるといいでしょう。

6章 新卒のクビに強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

新卒のクビに強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

7章 まとめ

以上のとおり、今回は、新卒はクビにできないかを説明したうえで、試用期間の解雇とクビになった際の対処法4つを解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・新卒は、簡単にはクビにできない傾向にありますが、絶対にクビにされないということではありません。

・新卒がよくクビになる理由としては、以下の3つがあります。
理由1:能力不足
理由2:業務態度
理由3:経歴詐称

・新卒として入社して最初の3か月から6か月の間の試用期間でクビにされてしまう事例もあります。

・新卒がクビになった際の対処法としては以下の4つがあります。
対処法1:弁護士に相談する
対処法2:通知書を送付する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判・訴訟を提起する

・新卒としてのキャリアは非常に重要であり、今後の再就職にも少なからず影響があります。

この記事が新卒で入社した会社からクビになってしまい困っている方の助けになれば幸いです。

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籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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