不倫や浮気の慰謝料は離婚しないでも請求できる!相場とポイント4つ

不倫や浮気の慰謝料は離婚しないでも請求できる!相場とポイント4つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣 弁護士

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・取材】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこっと弁護士Q&A、東京新聞、毎日新聞、週刊女性他

離婚しない場合でも不倫慰謝料を請求することはできます

むしろ、離婚しない場合の方が多いかもしれません。慰謝料を請求することで接触禁止などの条件を約束させるきっかけにもなります。

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この記事の要点

・離婚しない場合の不倫慰謝料の相場は、50万円~200万円程度です。悪質性を補充する主張や証拠を用意することが大切です。

・離婚しない場合には、不貞相手にだけ慰謝料を請求することが多く、配偶者に求償権を行使されるリスクに留意が必要です。

この記事を読めば、離婚しない場合の慰謝料の請求や相場についてよくわかるはずです。

不倫の慰謝料相場は、「浮気・不倫(不貞行為)の慰謝料相場はいくら?判例368個を独自調査」でまとめています。

1章 不倫の慰謝料は離婚しないでも請求できる

不倫の慰謝料は離婚しないでも請求できる

配偶者が不倫をしたからといって、必ずしも離婚を選択する必要はなく、夫婦関係を維持したまま不倫相手に慰謝料を請求できます

例えば、子供の生活環境を変えたくなかったり、配偶者が深く反省していたりする場合でも、不倫相手に対してのみ責任を追及することは可能です。

1-1 離婚しないでも慰謝料が認められる理由

不倫の慰謝料が認められるのは、平穏な夫婦生活を送る権利が害されるためです

そして、程度の差はありますが、離婚しなくても、平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された事実に変わりありません。

例えば、不倫が発覚した後も同じ家で暮らし続けたり、これまで通り家族として食事を共にしたりしていても、過去に受けた心の傷が消えるわけではありません。

そのため、離婚しなくても不倫慰謝料を請求をすることはできるのです

1-2 夫婦関係を維持しながら請求するメリット

離婚をせずに慰謝料を請求することには、不倫相手との関係を完全に断ち切らせるという大きなメリットがあります

単に金銭を受け取るだけでなく、示談書の中に「今後二度と接触しない」という約束を盛り込むことで、再発を防ぐ抑止力になるからです。

例えば、相手に慰謝料を支払わせたり、謝罪の言葉を文書で残させたりすることで、不倫相手は事の重大さを痛感することになります。

これにより、配偶者との関係を再構築するための環境を整えたり、自分自身の気持ちに整理をつけたりするきっかけとなります。

離婚せずに夫婦関係を続けながら、不倫相手と配偶者を別れさせる具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

2章 不倫・浮気で離婚しない場合の慰謝料相場|50万円~200万円

離婚しない場合の不倫慰謝料の相場は、およそ50万円から200万円程度となっています。

別居に至っている場合には150万円前後、別居に至っていない場合には100万円前後となることが多いです。

離婚する場合に比べると金額は低くなる傾向にありますが、不倫の内容がひどかったり、こちらの精神的なショックが大きかったりする場合には金額が上がることもあります。

2-1 離婚しないでも200万円以上となりやすいケース

夫婦関係を継続する場合であっても、不倫の内容が社会的に見て許容しがたいほど悪質なときは、慰謝料が200万円を超えることがあります

単なる浮気の枠を超えて、こちらの家庭を壊そうとしたり、生活の基盤を脅かしたりする行為は、精神的な苦痛が極めて大きいと判断されます。

例えば、以下のようなケースでは、高額な慰謝料となりやすいです。

☑家計に大きな損害を与えた場合
不倫相手に高級車やマンションを買い与えたり、子供の学費として貯めていた数百万円ものお金を旅行などに使い込んだりしたケースです。これは心の傷だけでなく、家族の財産を不当に奪う行為といえます。

☑不倫の期間が長く、回数が多い場合
数ヶ月といった短期間ではなく、数年から10年以上にわたって関係が続いていたケースです。ほぼ毎日会っていたり、同棲に近い二重生活を送っていたりした場合は、悪質性が高いと判断されます。

☑不倫相手が積極的に嫌がらせをした場合
わざと不倫の証拠写真を送りつけたり、職場に乗り込んで騒ぎ立てたりして、離婚を迫るようなケースです。平穏な家庭生活をわざと壊そうとする意図が見えるため、増額の理由になります。

☑妊娠・出産や、病気のリスクを負わせた場合
不倫相手が配偶者の子供を妊娠・出産したり、逆に妻が妊娠中という大変な時期に不倫をしたりしたケースです。また、避妊をせずに性交渉を続け、配偶者に性感染症をうつすような危険な行為があった場合も、身体的な安全を脅かすものとして厳しく判断されます。
里帰り出産中の不倫については、「里帰り出産中の不倫への対処法3つ!取り得る選択肢と請求上の注意点」で詳しく解説しています。

☑精神疾患を発症した場合
不倫が原因でうつ病や適応障害になり、通院や休職を余儀なくされたケースです。診断書などによって、生活に支障が出るほどのショックを受けたことが証明できれば、損害が重大であると認められやすくなります。

2-2 100万円以下となりやすいケース

夫婦関係を維持している場合、不倫相手に請求できる慰謝料が100万円を下回るケースも少なくありません

不倫が一時的な過ちであったり、発覚までに非常に長い年月が経過していたりすると、法的な賠償額は抑えられる傾向にあるからです。

例えば、以下のような状況に当てはまる場合は、相場よりも低い金額で解決することが一般的です。

☑不倫から数十年が経過し、配偶者の死後に発覚した場合
不倫が行われていたのが10年以上前で、配偶者が亡くなった後に初めてその事実を知ったケースです。長年にわたって平穏な夫婦生活を継続できていた実績があるため、不倫が家庭に与えた実害は限定的であると判断されることがあります。

☑配偶者が主導権を握って誘っていた場合
不倫相手が交際を断ろうとしたのに、配偶者が執拗に誘い出したり、職場の立場を利用して無理に関係を持ったりしたケースです。相手が「受け身」の立場で逆らえなかった事情があるときは、不倫相手一人が負うべき責任は軽くなることがあります。

☑すでに社会的・心身の制裁を受けている場合
不倫が原因で会社を解雇されたり、自主退職して収入を失ったりして、すでに厳しい社会的ペナルティを受けているケースです。また、心から深く反省して謝罪文を提出したり、二度と連絡を取らないと誓ったりしている場合は、高額な賠償を重ねて求める必要性が低いと評価されることがあります。

☑不倫の回数や期間がごくわずかな場合
一度きりの関係であったり、出会ってから1ヶ月も経たないうちに解消されたりしたケースです。不倫が日常化しておらず、夫婦生活に与えた負の影響が一時的であると判断されると、金額は低くなりやすくなります。

☑配偶者の嘘を信じてしまった事情がある場合
配偶者が「もう何年も夫婦の会話がない」と言い張ったり、偽造した離婚届を見せたりして、相手を積極的にだましていたケースです。相手に「既婚者だと気づく余地」があったとしても、配偶者の巧妙な嘘を信じてしまうような状況があれば、責任を軽減する理由になります。

3章 不倫で離婚しない場合の慰謝料請求のポイント

離婚を選択せずに不倫相手へ慰謝料を請求する場合、夫婦関係を維持するからこそ注意すべきポイントがあります

単にお金を受け取って終わりにするのではなく、今後の生活に支障が出ないよう手続きを進める必要などもあります。

例えば、不倫で離婚しない場合の慰謝料請求のポイントとしては以下の4つがあります。

ポイント1:不貞相手にだけ請求することが多い
ポイント2:求償権を行使されることがある
ポイント3:接触禁止を約束させる
ポイント4:悪質性を補充する主張や証拠を用意する

不倫で離婚しない場合の慰謝料請求のポイント

そもそも慰謝料を請求するべき悩んでいる方は、「慰謝料請求で後悔する理由6つ!しない方がいいことと後悔した体験談」もお読みください。

それでは、離婚しない場合の慰謝料請求のポイントについて順番に見ていきましょう。

3-1 ポイント1:不貞相手にだけ請求することが多い

離婚をしないケースでは、配偶者ではなく、不倫相手に対してのみ慰謝料を請求するのが一般的です

同じ家計で生活している配偶者に慰謝料を請求しても、結局は家族の共有財産の中で預金が移動するだけであり、経済的な意味が薄くなってしまうからです。

例えば、夫に慰謝料を支払わせても、そのお金はもともと生活費や貯金として使われるはずだったものかもしれません。

そのため、外側の存在である不倫相手にのみ責任を取らせる形を選ぶ方が多く見られます。

3-2 ポイント2:求償権を行使されることがある

不倫相手にだけ慰謝料を請求する際には、求償権に注意が必要です

不倫は配偶者と相手の2人で行った共同の責任であるため、不倫相手が全額を支払った後で「配偶者の負担分を返してほしい」と要求してくる権利があるからです。

例えば、不倫相手が100万円を支払った後に、その半分の50万円を自分の配偶者に請求してくるケースが考えられます。

これでは、せっかく受け取った慰謝料の一部が家庭から出ていくことになり、家計全体で見ると損をしてしまう恐れがあります。

そのため、求償権行使されることを避けるため、示談の際に求償権の放棄を求めることも多いです

求償権の意味や請求できる金額、配偶者へ請求される時期については、以下の記事で詳しく解説しています。

求償権放棄については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-3 ポイント3:接触禁止を約束させる

離婚せずに夫婦関係を修復する際には、慰謝料の支払いと同時に「接触禁止」を約束させるべきです

示談書などの書面に「今後、一切の連絡や接触をしない」という条項を盛り込むことで、再び不倫が繰り返されるのを防ぐことができます。

例えば、もし約束を破って連絡を取り合ったり、二人で会ったりした場合には、追加の違約金を支払うというルールを決めておくことも多いです。

これにより、不倫の再発を防止し、夫婦関係の修復に専念することができます

接触禁止については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-4 ポイント4:悪質性を補充する主張や証拠を用意する

離婚しない場合の慰謝料は相場が低くなりがちですが、こちらが受けている苦痛や状況を具体的に伝えることで、金額を調整できる可能性があります

離婚という形を取らなくても、それと同等、あるいはそれ以上の深い傷を負っていることを客観的に示す必要があるからです。

例えば、以下のような事情がある場合には、これを丁寧に伝えることで慰謝料を増額できる可能性があります。

☑子供のことを考え、無理をして離婚を耐えている
本当は別れたいほどのショックを受けているが、子供の成長や教育のためにやむを得ず婚姻関係を維持しているという事情です。

☑家庭内での会話が全くなくなった
同じ家で暮らしてはいるものの、配偶者との信頼関係が完全に壊れ、日常の会話や交流が途絶えてしまったという事実です。

☑精神疾患により生活に支障が出ている
不倫のショックからうつ病や適応障害を発症し、精神科への通院や仕事の休職を余儀なくされているという健康被害です。

このように離婚したかどうかというのは慰謝料金額を決める際の大きな要素の一つではありますが、これのみで金額が決まるわけではないのです。

不倫とうつ病については、以下の記事で詳しく解説しています。

4章 離婚しないで不倫慰謝料を請求する方法

離婚をせずに不倫相手へ慰謝料を請求する場合、感情に任せて動くのではなく、法的に正しい手順を踏むようにしましょう

きちんとしたステップを踏むことで、相手に言い逃れをさせず、スムーズに話し合いを進めることができるからです。

具体的には、離婚しないで不倫慰謝料を請求する手順は以下のとおりです。

手順1:証拠を集める
手順2:通知書を送付する
手順3:示談交渉をする
手順4:訴訟を提起する

それでは、離婚しないで不倫慰謝料を請求する方法について順番に見ていきましょう。

4-1 手順1:証拠を集める

慰謝料請求の第一歩は、不倫の事実を客観的に証明できる証拠をしっかりと揃えることです

どれほど確信があっても、証拠がなければ相手に「そんな事実は知らない」とはぐらかされてしまう可能性があるからです。

例えば、不倫相手とラブホテルに出入りしている写真や、肉体関係があったことを示すメールのやり取りなどを集めましょう。

また、配偶者が不倫を認めた内容を録音したり、自白した書面を作成したりすることも、後々の交渉を有利に進めるために役立ちます。

不倫の証拠については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。

4-2 手順2:通知書を送付する

証拠がまとまったら、次は不倫相手に対して慰謝料を請求する旨を伝える通知書を送付します

通知書に不貞行為に基づいて慰謝料を請求する旨やその金額を記載しておくことで、あなたが慰謝料を請求する意思がある旨を明確に伝えます。

交渉経緯として証拠に残すため、内容証明郵便などにより送付することが多いです。

不倫慰謝料の通知書の書き方や送り方は、以下の記事で詳しく解説しています。

4-3 手順3:示談交渉をする

通知書を送った後は、不倫相手との間で具体的な支払い金額や条件を決める示談交渉に移ります

裁判をせずに話し合いで解決できれば、時間や費用を抑えつつ、お互いの納得できる形を見つけやすくなるからです。

例えば、慰謝料の金額だけでなく、「今後二度と配偶者に近づかない」といった約束を合意書に盛り込むことで、将来の再発防止を狙うことができます。

相手方の資力に不安があるような場合には、公正証書として執行に備えておくこともあります。

公正証書として強制執行認諾文言を入れておけば裁判をせずに差し押さえができるためです

不倫の示談書については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4 手順4:訴訟を提起する

話し合いがまとまらない場合や、相手が無視を決め込むようなときには、最終手段として裁判所に訴訟を提起します

裁判所が双方の主張や証拠を公平に判断し、判決という形で法的な強制力を持った解決を示してくれます。

相手方が訴訟外では低廉な慰謝料金額しか提示してこなくても、判決であれば適正な慰謝料金額となりやすいです。

相手方も訴訟を提起されたことにより重大さを認識して対応を改めることもあります。

不倫の裁判については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。

5章 離婚しない場合の慰謝料請求でよくある疑問

離婚しない場合の慰謝料請求でよくある疑問を整理すると以下の3つがあります。

Q1:W不倫の場合に慰謝料請求するリスクは?
Q2:配偶者と不貞相手で二重取りはできる?
Q3:慰謝料支払後に離婚することになったら追加で請求できる?

これらの疑問を順番に解消していきましょう。

5-1 Q1:W不倫の場合に慰謝料請求するリスクは?

A.お互いが既婚者である「W不倫」のケースでは、相手に慰謝料を請求することで、逆に自分の家庭が支払いを求められるリスクがあります

不倫相手の配偶者もまた、自分のパートナーを不倫に誘い込んだこちらの配偶者に対して、慰謝料を請求する権利を持っているからです。

例えば、こちらが不倫相手から100万円を受け取ったとしても、相手の配偶者から自分の夫や妻へ100万円の請求が来れば、家計全体で見るとプラスマイナスゼロになってしまいます。

そのため、W不倫でどちらの夫婦も離婚しない場合は、お互いに慰謝料を請求しないという合意書を交わして解決することも多くあります。

ダブル不倫については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。

5-2 Q2:配偶者と不貞相手で二重取りはできる?

A.不倫の慰謝料を、配偶者と不倫相手の両方からそれぞれ全額ずつ受け取る「二重取り」は、法律上認められません

不倫の慰謝料は、一回につき発生した精神的苦痛という一つの損害を、二人で分担して支払うものと考えられているからです。

例えば、裁判などで認められた妥当な慰謝料の総額が100万円だった場合、不倫相手からすでに100万円を受け取っていれば、配偶者への請求権は消滅してしまいます。

ただし、一人が全額を支払えない場合に、足りない分をもう一人に請求したり、二人合わせて合計100万円になるように支払わせたりすることは可能です。

5-3 Q3:慰謝料支払後に離婚することになったら追加で請求できる?

A.一度「離婚しない」という前提で示談をして慰謝料を受け取った後、やはり耐えられずに離婚することになった場合、不倫相手に追加の請求をすることは難しくなります

示談書には通常「今後、本件に関していかなる請求もしない」という清算条項を盛り込むことが一般的であり、一度合意した内容を後から覆すのは法的にハードルが高いからです。

例えば、数年後に離婚が決まったとしても、それが示談した不倫とは別の原因であると判断されれば、追加の慰謝料は認められにくくなります。

将来的に離婚する可能性があるのなら、示談の段階で慎重に条件を検討したり、弁護士などの専門家に相談して文言を工夫したりする備えが必要です。

ただし、不倫相手から支払われた慰謝料では不足する場合には、配偶者に対して離婚慰謝料として追加の請求をできる可能性があります。

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7章 まとめ

以上のとおり、今回は、不倫や浮気の慰謝料は離婚しないでも請求できることを説明したうえで、相場とポイント4つを解説しました。

この記事が離婚しないでも不倫慰謝料を請求したいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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