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2025年3月8日
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2025/08/01
退職勧奨
働いている会社から自主退職を促されてしまって困っていませんか?
辞めるようにと言われてしまうと退職以外に選択肢がないように感じてしまう方もいますよね。
自主退職を促すことは正確には退職勧奨と呼ばれます。あくまでも任意で退職するようお願いされているに過ぎないので拒否することができます。
自主退職を促される理由は事案により異なっており、労働者側に原因があることがあれば、会社側の原因であることもあります。
自主退職を促された際には、いくつかもらえる可能性のあるお金があります。
もし、会社から自主退職を促された場合には、安易に退職には応じず、生活やキャリアを守るために必要な補償を獲得できないよく確認するようにしましょう。
実は、自主退職を促されて、会社から言われるままに退職合意書にサインをしてしまう方が後を絶たず、もう少し早く相談に来ていただきたかったと感じることが少なくありません。
この記事をとおして、自主退職を促されて困っている多くの方に、是非知っておいただきたい知識やノウハウをわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、自主退職を促された場合について、促される理由4つと誰でもできる簡単な対処手順を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、自主退職を促されたらどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
自主退職を促すことは正確には、退職勧奨と呼ばれます。
あくまでも任意で退職するようお願いされているに過ぎないので、労働者は自由に拒否することができます。
会社が労働者に自主退職を促すこと自体は違法ではありませんが、労働者に対して不当な心理的圧力を加えたり、名誉感情を害するようなことを言ったりすることは、許されません。
(参照:東京地判平成23年12月28日労経速2133号3頁[日本アイ・ビー・エム事件])
例えば、労働者が会社から自主退職を促される際には、以下のような流れとなることが多いです。
ある日、人事の担当者から用件を伝えらずに面談を設定されます。
面談室に行ってみると、上司や人事担当者がいて、「あなたを雇用し続けることが難しくなった」と言われます。
自主退職を促す理由については、端的に一言程度で説明されることが多くなっています。
その後、会社から、退職合意書にサインをするようにと言われます。面談時にその場でサインを求められることもあれば、面談後にメールなどで送られてくることもあります。
あなたが退職合意書にサインをしないでいると、1週間に一回程度の頻度でミーティングを設定され、検討状況を確認されるとともに説得が行われます。
このように自主退職を促される場合には、会社は、あの手この手で労働者から退職の承諾を引き出そうとしてくるのです。
自主退職を促される理由は事案により異なっています。
労働者側に原因があることがあれば、会社側の原因であることもあります。
理由次第で法的な見通しや検討すべき事項も異なってきますので、なぜ自主退職を促されているのかを把握することは大切です。
例えば、自主退職を促される理由としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
自主退職を促される理由の1つ目は、能力不足です。
最も典型的な自主退職を促される理由の1つです。あなたの働きぶりが会社の期待に達していないので退職してほしいとお願いされることがあります。
例えば、業務上のミスを繰り返していることなどを挙げられることが多いです。
その他にも、業務の処理が遅く期限までに成果物を提出できなかったと言われたり、提出した成果物のクオリティが低いなどと言われたりします。
また、営業職の方であれば、売り上げが目標に達していなかったと指摘されたり、訪問件数が少ないと指摘されたりすることがよくあります。
自主退職を促される理由の2つ目は、業務態度です。
昨今では、能力不足だけではなく、働いている際の発言や態度など、やる気や協調性と言ったことを理由としてくるケースも増えてきました。
例えば、他の従業員からあなたの態度について悪い評判が上がってきているなどと言われることがよくあります。
その他に、会議で全く発言しておらずやる気がないと言われたり、指示した業務に対して消極的な発言をしたと指摘されたりすることがよくあります。
自主退職を促される理由の3つ目は、業績不振です。
労働者側の原因だけではなく、会社の売り上げが落ちているような場合にも、人員削減として退職を促されてしまうことがあります。
例えば、会社の業績が赤字となっているような場合において、会社を存続するために従業員の何人かに退職してもらうと言ったような場合です。
なお、外資系企業などでは、経営状態が悪いわけではなくても、利益率を上げるためであったり、組織改革であったりを理由として、従業員を退職させようとすることがあります。
リストラされたらどうすればいいかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促される理由の4つ目は、精神疾患です。
最近、非常に増えているのがうつ病や適応障害の方に対する退職勧奨です。
うつ病や適応障害で休職していた方が、休職期間満了が近づいてきて、復職の申請をすると退職勧奨をされるケースです。
例えば、復職を許可する診断書を提出しても、会社において産業医の診断も受けるようにと指示されたり、会社においても復職可能かを審査させてほしいと言われたりします。
そして、何らかの理由をつけて、あなたを復職させることは難しいなどと言われて、自主的に退職するように促されるのです。
その他、休職期間中に新たな従業員を採用してしまって、あなたをもとの業務内容で復職させることは難しいので、退職してほしいなどと促されることもあります。
休職と退職勧奨については、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促された際には、いくつかもらえる可能性のあるお金があります。
退職した後は、会社からお給料を支払うことができなくなってしまいますので、生活をしていくためにも補償を獲得することは大切です。
例えば、自主退職を促された際には、以下の4つのお金をもらうことができるか確認するといいでしょう。
それでは、これらのお金について順番に説明していきます。
自主退職を促された際に確認すべきお金の1つ目は、特別退職金です。
特別退職金とは、退職に応じる対価として通常の退職金とは別に支払われる退職金です。
退職金制度がない会社でも支払われることがありますし、退職金制度がある会社では通常退職金に加えて支払われることがあります。
特別退職金の相場は、賃金の3ヶ月分~6か月分程度ですが、1年分以上の金額が支払われることもあります。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促された際に確認すべきお金の2つ目は、有給の買取です。
有給の買取とは、退職時に消滅することになる有給休暇の残日数に応じた手当です。
通常は、有給休暇の買い取りを行うことは禁止されています。
しかし、退職時は、買い取りを行わなくても有給は消滅することになるため、残日数に相当する手当を支給することもできます。
ただし、会社には、就業規則等にその義務を規定していない限り、有給の買い取りを行う義務はありませんので、買い取りを交渉する必要があります。
自主退職を促された際に確認すべきお金の3つ目は、退職日までの給与です。
労働者が転職活動に集中することができるよう、退職合意日から退職日までの間の期間を数か月程度空けて置き、就労を免除することがあります。
このような期間のことをいわゆるガーデンリーブと言います。
このような退職合意日から退職日まで給与についても、労働者が安心して転職活動ができるよう支給されることが多いです。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促された際に確認すべきお金の4つ目は、失業保険です。
失業保険とは、求職期間中の生活のために国から支払われる手当です。
会社から自主退職を促されたことにより退職した場合には、会社都合退職として扱われることになります。
会社都合退職の場合には、自己都合退職よりも受給条件や受給期間について有利に取り扱われることになります。
ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
もし、会社から自主退職を促された場合には、安易に退職に応じず、焦らず、かつ、冷静に対処していくようにしましょう。
促されるままに退職してしまったら、会社の思うツボであり、あなた自身の生活やキャリアを守ることはできないためです。
具体的には、自主退職を促された場合の対処手順は、以下のとおりです。
自主退職を促された場合の対処手順の1つ目は、退職届や退職合意書にサインせず持ち帰ることです。
一度、退職届や退職合意書にサインをしてしまうと後から撤回することは容易ではありません。
会社は、労働者からのサインをもらった時点で目的を達成してしまいますので、それ以降は交渉を行うことも難しくなってしまいます。
現実的にも、その場でサインを求められても、冷静に内容やリスクを理解することは困難です。
そのため、自主退職を促された場合でも、「弁護士に相談したいので、一度持ち帰らせていただきます」とだけ回答して、一度持ち帰るようにしましょう。
なお、退職届や退職合意書にサインをしなくても、口頭の発言や態様でも退職の合意が成立してしまいますので注意が必要です。
退職合意書の拒否については、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促された場合の対処手順の2つ目は、弁護士に相談することです。
自主退職を促された場合には、法的な見通しを分析して、あなたの意向を踏まえた方針を策定したうえで、一貫した対応を行っていく必要があります。
まずは弁護士に相談したうえで法的な助言をしてもらうようにしましょう。
自主退職を促されたら、あなたの一つ一つの発言や態様で結果が大きく変わる可能性があるため、弁護士にサポートしてもらいながら進めることがおすすめです。
ただし、専門的であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、退職勧奨対応に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
自主退職を促された場合の対処手順の3つ目は、通知書を送付することです。
自主退職を促された場合に、あなたが何も異議を唱えないでいると、退職手続を進められてしまったり、次のステップに進められてしまったりすることがあります。
方針に基づいてあなたの立場や考え方を会社側に通知書として送付するようにしましょう。
ただし、通知書については、紛争になった場合には、証拠となり裁判所も見る可能性がありますので、その記載については細心の注意が必要です。
自主退職を促された場合の対処手順の4つ目は、交渉をすることです。
会社側と話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみましょう。
話し合いをして協議がまとまった場合には、その内容を合意書にすることになります。
退職条件の交渉については、以下の記事で詳しく解説しています。
自主退職を促された場合によくある疑問としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A:自主退職を促されたらパートでも拒否することができます。
退職勧奨を行う際に労働者の意思を尊重しなければいけないのは、正社員の場合も、パートも場合も同様であるためです。
A:会社側の発言や態様次第ではパワハラになることもあります。
自主退職を行うこと自体がパワハラに当たるわけではないです。
ただし、自主退職を促す際に人格を否定するような発言が用いられたら、精神的な攻撃としてパワハラになることがあります。
また、労働者の意思に反して業務から外したり、無視したりした場合には、人間関係からの切り離し、過小な要求として、パワハラになる可能性があります。
A:退職届の撤回や取り消し、退職強要として慰謝料を請求できる場合もありますが、立証が容易ではないことも多いです。
退職届であれば、権限がある方が受理するまでであれば撤回できることがあります。
退職届や退職合意書が、騙されたり、無理矢理書かされたりしたものであれば、取り消せることもあります。
自主退職を促す際の会社の発言や態様に次第では、慰謝料が認められることもあります。
ただし、いずれも労働者側の主張立証のハードルが高く容易には認められない傾向にあるため、安易に自主退職に応じないように十分注意しましょう。
退職勧奨対応に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、今回は、自主退職を促された場合について、促される理由4つと誰でもできる簡単な対処手順を解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が会社から自主退職を促されて困っている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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