
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/04/29
退職勧奨
ガーデンリーブがどのようなものか知りたいと悩んでいませんか?
転職も決まっていない状態で退職することになるとキャリア上のブランクが空いてしまうことになりますので、なるべく退職時期を後ろにずらして転職に専念したいですよね。
ガーデンリーブとは、最終出勤日から退職日までの就労免除期間のことです。
会社は、労働者に対して、退職勧奨を行う際、労働者を説得するためにガーデンリーブを提示してくることがあります。
ガーデンリーブの平均期間は2か月~6か月程度です。
ガーデンリーブは退職条件の一つであり、交渉次第で延長できる場合があります。
実は、私が多くの退職勧奨の相談を受ける中でも、生活の不安と言うよりは、キャリア上の不安が大きいので、少しでも在籍期間を延ばしてほしいと言う方が多いです。
この記事をとおして、ガーデンリーブについての知識や考え方、ノウハウをわかりやすく伝えることができれば幸いです。
今回は、ガーデンリーブとは何か、その意味を説明したうえで、平均期間と退職勧奨時の交渉方法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、ガーデンリーブがどのようなもので、どうやって交渉していけばいいのかがよくわかるはずです。
目次
ガーデンリーブとは、最終出勤日から退職日までの就労免除期間のことです。
スペルはGarden Leaveです。
就労免除期間なので、ガーデンリーブ期間中は業務を行う必要はありません。引継ぎに必要な作業など一定の協力を求められることはあります。
また、就労免除期間中については、業務を行っていなくても、給料が支払われるのが通常です。
つまり、ガーデンリーブ期間中は、働かずにお給料を支払ってもらうことができるということになります。
例えば、2025年4月1日から6月30日までのガーデンリーブと言う場合には、この3か月出勤する必要はありませんし、3ヶ月分の給料も支払われることになります。
そのため、労働者は、ガーデンリーブ期間中、生活の不安なく、転職活動をしたり、自宅でゆっくりしたりと事由に過ごすことができることになります。
ただし、外資金融などでは、情報流出防止のためにガーデンリーブが設けられることもあり、この場合にはガーデンリーブ期間中の転職活動を禁じられることがあります。
このような目的でガーデンリーブが付される場合には、入社の時点でガーデンリーブに関する条件が明示されているのが通常です。
ガーデンリーブについては、労働者と会社いずれにもメリットがありますし、デメリットがある場合もあります。
メリットとデメリットを正しく理解したうえで、どの程度のガーデンリーブを設けることが適切なのかを検討することになります。
具体的には、ガーデンリーブについて、労働者側と会社側のメリットとデメリットを整理すると以下のとおりです。
それでは、これらのメリットとデメリットについて順番に説明していきます。
ガーデンリーブの労働者側のメリットとしては、キャリア上のブランクなく転職しやすいということです。
退職日まで数か月の猶予ができ、その期間中は転職活動に専念することができます。在籍しながら採用面接に挑むことができますので、転職理由も自然に説明できます。
ただし、会社側は、秘密情報の流出を防止する目的でガーデンリーブを付けている場合には、転職活動を制限されることがあります。
これに対して、ガーデンリーブの労働者側のデメリットとしては、特別退職金としてもらうより手元に残る金額が少なくなりがちであることです。
ガーデンリーブがつけられる際は特別退職金とトレードオフであることが多く、ガーデンリーブ期間中の給与に相当する特別退職金を減額されがちです。
ガーデンリーブ期間中の給与は、給与所得として処理されるため社会保険料が控除されますし、退職所得よりも税金は高くなります。
そのため、特別退職金として一括でもらうよりも、ガーデンリーブ期間中の給与としてもらう方が手元に残る金額は少なくなるというデメリットがあります。
ガーデンリーブの会社側のメリットとしては、労働者に退職に応じてもらいやすいことです。
労働者は、会社から退職するように求められても、転職先も決まっていない状況では、退職に応じません。
一方で、ガーデンリーブが付与されれば、転職への不安が緩和されるため、退職に応じてもらいやすくなるという意味で、会社側にもメリットがあります。
なお、転職活動を禁止する場合には、秘密情報の流出を防止できること自体が会社のメリットとなります。数か月間、転職を禁止し、業務と切り離すことで情報を陳腐化させるのです。
これに対して、ガーデンリーブの会社側のデメリットとしては、働いていない労働者に対して給与を支払う必要がある。
ガーデンリーブ期間中の人件費が嵩んでしまうことになります。また、ガーデンリーブ期間中は在籍していることになるため社会保険料の会社側負担分も生じることになります。
会社は、労働者に対して、退職勧奨を行う際、労働者を説得するためにガーデンリーブを提示してくることがあります。
退職勧奨とは、会社が労働者に自主的に退職するように促すことです。
退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも労働者の自由ですので、労働者は退職に応じたくなければ、自由にこれを断ることができます。
労働者は、通常、突然退職するように言われても、次の転職先も決まっていませんし、転職には期間を要することになります。
そのため、労働者は、会社から、すぐに退職するようにと求められても、応じられないと回答する他ありません。
しかし、会社側から、ガーデンリーブを提示されれば、労働者は、安心して転職を行うことができますので退職に応じてもらいやすくなります。
つまり、会社は、退職勧奨の際に、労働者を説得する材料として、ガーデンリーブの提示を行います。
例えば、ある日、人事担当者からミーティングを設定されたとします。人事担当者からは、「あなたを雇用し続けることはできないとの判断になりました。」と言われます。
その際、「最終出勤日は令和7年3月31日、退職日は令和7年5月31日となります。この期間は、転職活動をしていただいても構いません。後で、退職合意書を送りますので、確認の上サインをお願いします。」などと説明されます。
ただし、退職勧奨について、あまり詳しくない会社では、ガーデンリーブが何か知らないこともありますし、何らの条件も提示されないこともあります。
ガーデンリーブの平均期間は、2か月~6か月程度です。
ガーデンリーブについては、転職にどの程度の期間が必要かということを基準にすることが通常です。
会社側は、なるべく経済的な負担を少なくしようとして、最初は1か月や2か月など短い期間しか提示してこないことも多いです。
しかし、平均的な転職期間は4か月程度となっていますので、1か月や2か月では不安が大きいという方も多いでしょう。
また、年齢が55歳を超えている場合や入社して1年未満の場合などには、転職活動に難航することも想定され、転職に5~6か月を要してしまう可能性もあります。
そのため、ガーデンリーブの期間は2か月~6か月程度とされることが多いのです。
ガーデンリーブは退職条件の一つであり、交渉次第で延長できる場合があります。
会社側はなるべく経済的負担を少なくしようとするので、何も交渉せずに応じてしまうと十分なガーデンリーブを獲得できない可能性があります。
そもそも退職勧奨に慣れていない会社では、労働者の方で説明し交渉していかないと、ガーデンリーブを付与するという発想自体ない場合もあります。
具体的には、ガーデンリーブの交渉方法としては、以下の4つです。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
ガーデンリーブの交渉方法の1つ目は、退職合意書にサインせずに持ち帰ることです。
一度、退職合意書にサインをしてしまうと、それ以上の交渉を行うことは容易ではないためです。
会社側は、退職合意書にサインをしてもらった時点で、労働者に退職してもらうという目的を達成してしまいますので、それ以上労働者に有利な条件を提示することはなくなります。
例えば、「弁護士に相談したいので、一度持ち帰らせていただきます」とだけ答えて、一度、持ち帰るようにしましょう
ガーデンリーブの交渉方法の2つ目は、弁護士に相談することです。
ガーデンリーブの交渉については、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針を立て、一貫した対応を行っていくべきだからです。
事案によりどの程度の期間のガーデンリーブが妥当なのかは変わってきますし、ガーデンリーブ以外の条件を交渉するべき場合もあります。
ただし、この分野はとくに専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働問題に注力していて、退職パッケージの交渉について実績のある弁護士を探すようにしましょう。
ガーデンリーブの交渉方法の3つ目は、有給休暇の残日数を示すことです。
有給休暇の残日数がある場合には、労働者は有給休暇を使用すれば、その期間は働かずに給与を支払ってもらうことができます。
そのため、有給の残日数に相当する期間についてガーデンリーブを延長してほしいというのは、会社からも納得が得られやすい部分となります。
ガーデンリーブの交渉方法の4つ目は、特別退職金を割り当てることです。
会社側から、特別退職金が提示されている場合には、その一部をガーデンリーブに充ててほしいと交渉する方法があります。
例えば、3ヶ月分の特別退職金と2ヶ月のガーデンリーブが提示されている場合には、特別退職金をなしにしていいので、5ヶ月のガーデンリーブとしてほしいと交渉するのです。
会社側も支払いの総額が大きく変わらなければ、比較的延長に応じてきやすい傾向にあります。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職勧奨に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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以上のとおり、今回は、ガーデンリーブとは何か、その意味を説明したうえで、平均期間と退職勧奨時の交渉方法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が、ガーデンリーブがどのようなものか知りたいと悩んでいる労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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