
2025年2月22日
不当解雇
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2025/04/25
残業代
残業代請求をしても失敗してしまうのではないかと不安に感じていませんか?
残業代を請求するからには失敗することは避けたいのは当然ですよね。
残業代請求の失敗とは、残業代請求の目的を達成することができないことを言います。
残業代請求の失敗例は多岐にわたりますが、いずれも原因は経験や知識の不足からくるものです。
残業代請求の失敗を減らすためには、事前の綿密な準備だけではなく、適切な見通しの分析と方針の策定が重要となってきます。
もっとも、残業代請求の失敗を過度に恐れる必要はありません。
実は、残業代請求は勤怠記録や給与明細、給与規程と言った資料から見通しを立てやすいことが多く、比較的失敗の少ない類型の事案です。
万が一、残業代請求が失敗してしまったとしても、これによって労働者が損するのは、これまでにかけた労力と費用程度です。
この記事をとおして、少しでも多くの方に残業代請求で失敗しないために必要な知識やノウハウをお伝えすることができれば幸いです。
今回は、残業代請求の失敗例7つを説明したうえで、失敗を減らす簡単な方法4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、残業代請求で失敗しないためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
残業代請求の失敗とは、残業代請求の目的を達成することができないことを言います。
残業代を請求したとしても、必ずしも労働者の望むような結果にはならないこともあります。
残業代の請求は、相手方のいることになりますので、会社側の対応次第で、結果も変わってくるためです。
また、交渉や裁判と言った法律の手続きについて、経験がないとイメージがしにくいことも多く、労働者が思っていたのとは違うということもあるでしょう。
例えば、一般的な感覚としては、残業をすれば残業代が支払われるのは当然のことなので、請求書を送れば、すぐに未払いの残業代が振り込まれると思う方もいるかもしれません。
しかし、実際には違います。会社側からは、反論が出されることになり、残業代金額の減額を交渉される事例がほとんどです。
労働者が少ない労力ですぐに請求したとおりの金額が振り込まれると期待して、残業代の請求を行ったとすると、失敗したと感じてしまうこともあるでしょう。
このように残業代の請求では、当初の目的を達成することができず、失敗してしまうこともないわけではないのです。
残業代請求の失敗例は多岐にわたりますが、いずれも原因は経験や知識の不足からくるものです。
どのような場合に残業代請求が失敗してしまうかを知ることで、失敗しないためにはどうすればいいのかということも見えてくるはずです。
例えば、残業代請求の失敗例としては、以下の7つがあります。
それでは、これらの失敗例について順番に説明していきます。
残業代請求の失敗例の1つ目は、時効期間の徒過です。
残業代請求には3年の時効があり、支払日から3年が経過したものから消滅していきます。
例えば、2025年1月25日が支払日の残業代は2028年1月25日には消滅時効が完成することになります。
もっとも、時効については、通知書を送付して未払い残業代の請求をしておくことで、6か月間時効の完成を猶予させることができます。
この6か月の猶予期間内に労働審判や訴訟の提起など時効を止める方法をとらないと、猶予されていた分の残業代も含めて時効により消滅してしまうことになります。
例えば、残業代を請求する通知書が2025年1月31日に会社に配達された場合には、2025年7月31日までに、労働審判又は訴訟を提起する必要があります。
これが1日でも過ぎてしまうと残業代金額が大幅に減ってしまうことになります。弁護士が入っている場合でも、時折見られる怖い失敗例です。
残業代請求の失敗例の2つ目は、証拠不足による立証困難です。
労働者と会社側で主張が食い違う場合には、裁判所は証拠に基づいて判断を下すことになります。
例えば、残業代の請求では、残業時間が何時間であったのかについて、主張が食い違うことがよくあります。
労働者は、毎日1時間も休憩などできていない、休憩をとれたとしても1日20分程度だと主張をしていたとしましょう。
これに対して、会社側は、就業規則どおり12時00分~13時00分までの1時間は休憩していたなどと反論してくることがあります。
そうすると、裁判所は、労働者に対して、1時間の休憩時間を取れなかったのはなぜか、12時00分~13時00分までどのようなことをしていたのか、証拠はあるのかを確認してきます。
そこで、昼休みの電話当番表を提出できたり、業務スケジュールで1日の予定が埋まっていたりする証拠などを提出できると、労働者の主張を採用してもらえることがあります。
他方で、何も証拠がないと、労働者の主張立証は失敗し、休憩時間は1時間とされてしまう可能性があります。
残業代請求の失敗例の3つ目は、落としどころを誤り泥沼化です。
少ない労力と負担で解決するには、裁判所の判決を適切に見通したうえで、会社側を説得して、示談により適正な金額を獲得するのが理想です。
いつまでも和解をすることができず、訴訟の判決まで行うことになると、数年単位の争いになることもあるためです。
そして、適正な金額で示談を行うためには、どのような裁判所の判決になるかを適切に見通すことが大切です。
例えば、実際には判決になっても100万円しか認められない事案で、500万円での示談にしか応じないとの態度をとれば、和解を成立させることは難しいでしょう。
数年かけて訴訟で争うことになり、想定していたほどの金額も回収できないということになってしまいます。
残業代請求の失敗例の4つ目は、不慣れな弁護士への委任です。
残業代請求は専門性が高い類型であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではないためです。
例えば、残業代に関する法律や判例についての深い知識、解決に導くノウハウが必要となります。
残業代に不慣れな弁護士に依頼してしまうと、スムーズに解決することができない可能性もあります。
弁護士ごとに得意分野や専門分野は異なりますので、労働問題に注力していて、残業代について実績がある弁護士に相談するといいでしょう。
残業代請求の失敗例の5つ目は、見通しが甘く費用倒れになってしまうことです。
残業代を請求するには、実費や弁護士費用がかかることになります。
例えば、30万円の残業代を回収したとしても、実費と弁護士費用を引いたら、手元にほとんど費用が残らないか、実費でマイナスになってしまう可能性があります。
また、弁護士を入れずに残業代を請求する場合であっても、未払い金が数万円程度の場合には、やはり実費によりマイナスになってしまう可能性が高いです。
そのため、残業代を回収するために必要なコストが、回収できる残業代金額に見合ったものであるか、事前に検討するようにしましょう。
残業代請求の失敗例の6つ目は、勝訴したが回収不能です。
判決はあくまでも差し押さえ等の強制執行を行うために必要なものにすぎず、勝訴判決を得れば自動的に残業代を回収できるというわけではありません。
国があなたの代わりに取り立ててくれるようなこともありません。
会社側にお金がなければ、勝訴判決を得たとしても、残業代を回収することができない可能性があります。
また、仮に、会社側にお金がある場合であっても、労働者側においてその財産を把握することができなければ、差し押さえることができず、やはり回収できない可能性があります。
このように、判決を獲得して勝訴した後にどのような財産を差し押さえることができるのか、回収できる可能性があるのかといった検討を事前にしておく必要があるのです。
この検討を怠ると、費用と時間をかけて勝訴判決を獲得したのに、結局、獲得できたものはなかったという結果になりかねません。
残業代請求の失敗例の7つ目は、不利な主張や計算による損です。
残業代請求については、計算方法や主張によっても金額は大きく変わってきます。
基礎賃金や固定残業代、管理監督者性、変形労働時間制など、これらの争点について裁判所の判断が変わるだけで、残業代金額は大きく増減します。
そのため、労働者側が不利な主張をしたり、不利な計算をしたりすると、実際に回収できるはずの金額より損をしてしまうことがあり、失敗してしまうことがあります。
残業代請求の失敗を減らすためには、事前の綿密な準備だけではなく、適切な見通しの分析と方針の策定が重要となってきます。
会社側は、素直に残業代を支払ってくることばかりではなく、少しでも金額を減らそうと交渉してくることが通常です。
労働者としても、事前に様々な事態を想定したうえで、一貫した対応をすることができるように備えておくべきなのです。
具体的には、残業代請求の失敗を減らす簡単な方法としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
残業代請求の失敗を減らす方法の1つ目は、証拠を集めることです。
証拠を集めることで、そもそも残業代請求が認められないという可能性を大幅に減らすことができます。また、証拠を集めることで、見通しも明確になります。
例えば、会社側が、あなたが残業をしていないと言ってきたとしても、勤怠記録やメール、チャット、業務スケジュール、シフトなどの証拠があれば、反論しやすいでしょう。
事前にどの程度の残業時間が認定される可能性が高いのかについても見通しを立てやすくなります。
そのため、残業代請求の失敗を減らしたい場合には、まずは証拠を集めるべきなのです。
残業代請求の失敗を減らす方法の2つ目は、見通しを立てることです。
判決になった場合にどの程度の金額が認められるかを把握することで、適切な落としどころを設定でき、早期に適正な金額による解決をすることができる可能性が高まります。
また、必要な費用に見合うだけの十分な金額を回収できるかを把握することができ、途中で費用倒れになってしまうという事態を減らすことができます。
そのため、残業代を請求する際には、適宜のタイミングで都度、見通しを立てたり、修正するようにしましょう。
残業代請求の失敗を減らす方法の3つ目は、適切な主張や方針を選択することです。
残業代の金額や計算の方法や主張によって大きく変わってきます。主張や計算の方法が違うだけで、残業代が半分以下になったり、倍になったりすることも珍しくありません。
例えば、事実関係や相手方から想定される反論、判例の枠組みを踏まえたうえで、有利になるように選択していく必要があります。
裁判所は、あくまでもあなたが主張したことを前提に判断しますので、あなたが有利な主張に気が付かなければ基本的に教えてくれないのです。
残業代請求の失敗を減らす方法の4つ目は、弁護士に相談することです。
法的な見通しを分析してもらったうえで、どのような証拠を集めるべきか、どのような主張を行うのが適切か助言してもらうべきだからです。
残業代請求のついての経験が豊富な弁護士に相談することができれば、あなたの事案に応じた適切な助言を得ることができるはずです。
これに対して、実際に残業代を請求した経験がないと、自分自身で、適切に証拠を集めたり、主張の方針を組み立てたりすることは容易ではありません。
一度行った主張は、後から撤回することが難しくなってしまうこともありますので、当初より弁護士に任せてしまって、代わりに請求してもらうことも検討するといいでしょう。
残業代請求の失敗を過度に恐れる必要はありません。
請求をしなければ残業代を取り戻すことはできませんし、労働者が残業代の請求を行っていくことでサービス残業を減らすことができます。
少しでも多くの方が残業代の未払いは不当なものであると声を上げていくことが大切です。
残業代請求の失敗が怖い人に是非知っておいていただきたいこととして、以下の3つがあります。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
まず、1つ目は、残業代請求で失敗してしまったとしても、リスクはかけた労力と費用が無駄になってしまう程度であるということです。
憲法上、裁判を受ける権利が保障されていますので、仮に残業代請求が認められなかったとしても、そのことを理由に逆に会社から損害賠償を請求されるということは通常ありません。
会社への嫌がらせや報復の目的で、明らかに虚偽の請求をしたりするような場合は別ですが、訴訟提起自体を理由とする損害賠償請求は基本的に認められにくいのです。
また、仮に残業代請求が失敗してしまったとしても、名誉を棄損することは許されませんので、会社側があなたの悪評を言い触らすようなことも許されないのが原則です。
そのため、残業代請求で失敗してしまったとしても、通常、あなたの被るリスクとしては、かけた費用や労力が無駄になってしまうということくらいなのです。
残業代請求のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
次に、2つ目は、法律は労働者の味方であるということです。
労働基準法は、労働者に適用される労働条件の最低限度を定めたものであり、労働者を強く保護しています。
残業代については、基本的にこの労働基準法に基づき請求をしていくことになります。
労働基準法に反するような契約や就業規則になっていたとしても無効になり、労働基準法により規律されることになります。
このように法律は怖いものではなく、むしろ労働者の味方になってくれるものなのです。
最後に3つ目は、弁護士の心強いサポートがあることです。
弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として代わりに残業代を請求してくれます。
一人で請求すると、法律や手続も分からないでしょうし、会社とのやり取りに不安になってしまう方も多いでしょう。
しかし、弁護士に依頼すれば、法的な主張や残業代の計算、交渉を弁護士が代わりにやってくれます。
また、労働審判についても弁護士が一緒に出頭してくれますし、訴訟については基本的に弁護士が代わりに出頭してくれることになります。
このように弁護士に依頼することで不安や負担を大幅に軽減されることになるはずです。
残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、残業代請求の失敗例7つを説明したうえで、失敗を減らす簡単な方法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が残業代請求をしても失敗してしまうのではないかと不安に感じている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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