
2025年4月13日
ハラスメント
逆パワハラとは|仕返しはNG?6つの事例や判例と簡単な対処法5つ
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントのことを言います。今回は、逆パワハラとは何かを説明したうえで、6つの事例や判例と簡単な対処法5つを解説します。
2025/05/07
残業代
管理監督者にふさわしい待遇を受けることができていないのではないかと悩んでいませんか?
管理職だからと言って安いお給料で長時間の労働を強いられていては不満ですよね。退職を考えてしまう方もいるかもしれません。
管理監督者にふさわしい待遇とは、定期給与、賞与、その他の待遇において、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていることをいいます。
管理監督者にふさわしい待遇がいくらかついて明確な基準があるわけではありませんが、一般職員が平均的な時間残業しても得られないほどの年収になっているが一つの目安となるでしょう。
例えば、管理監督者にふさわしい待遇とは言えない例としては、基本給や役職手当等の優遇措置が不十分な場合、支払われた賃金の総額が一般職以下の場合、時間単価がアルバイトやパート等の賃金額に満たない場合があります。
もし、あなたが管理監督者にふさわしい待遇をもらうことができていない場合には、3年の時効にかかっていない範囲で遡って残業代を請求できる可能性があります。
あなたが行動しない限り状況はよくなりませんので、早めに弁護士に相談したうえで、証拠を集めて、適切な対応をとっていくべきです。
実のところ、私が多くの管理職の方の残業問題の相談を受ける中でも、この人が法律上の管理監督者としてふさわしい待遇を受けている方だと感じることはあまりありません。
会社からは管理監督者とされていても法的に名ばかり管理職に過ぎないということが非常に多いのが現状なのです。
この記事では、管理監督者としてふさわしい待遇を受けることができていないと感じている方々に対して、管理監督者の待遇についての考え方や実務をわかりやすく伝えていきたいと考えています。
今回は、管理監督者にふさわしい待遇とは何かを説明したうえで、適正な待遇差やNG例3つと対処法を解説していきます。
この記事でわかることは、以下のとおりとなります。
この記事を読み終わった後には、管理監督者もふさわしい待遇についてよくわかるようになっているはずです。
目次
管理監督者にふさわしい待遇とは、定期給与、賞与、その他の待遇において、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていることをいいます。
管理監督者に該当すると労働基準法の労働時間や休日、休憩に関する規定が適用されないことになります。
例を示すと、労働基準法上では、労働時間は1日8時間まで週40時間までとされており、週に1回は休日を与えなければならないとされています。
しかし、管理監督者に該当することになると、これらの規定は適用されないことになります。
その結果、管理監督者は1日8時間・週40時間働くことや1週間毎日働くことに規制が適用されず、これらについての残業代も発生しないことになってしまっています。
このように働く上での最低基準とされている労働基準法の保護が一部適用されないことになる関係で、管理監督者にはそれ相応の待遇がされていることが必要とされています。
つまり、会社は、管理監督者に対しては、労働時間や休日、休憩についての保護が与えられなくても仕方ないといえるだけの待遇をしなければいけないとされているのです。
管理監督者にふさわしい待遇がいくらかついて明確な基準があるわけではありません。
一般職員が平均的な時間残業しても得られないほどの年収になっているかが一つの目安となるでしょう。
例えば、高額の年収を払っていれば、それだけでふさわしい待遇となるわけではありません。
管理監督者に1000万円の年収を払っていたとしても、同じように一般職員にも1000万円の年収を払っていれば、ふさわしい待遇とは言えないでしょう。
そもそも、裁判所は安易には額面のみから高額な金額であるとは認めない傾向にあり、891万円でも特に高額であるとはいえないとしています(大阪地判令2年12月17日労判ジャーナル109号22頁)。
一応、参考として、役職別の賃金の統計を整理すると以下のとおりとなっています。
(参考:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別)
上記統計の賃金額はいずれも額面のみから特に高額であるといえるようなものではないということになります。
上記のような給与をもらっている方であっても、一般職員と比べて十分な優遇措置が図られていないという場合には、ふさわしい待遇とは言えないでしょう。
管理監督者にふさわしい待遇かどうかを判断する要素としてはいくつかあります。
優遇措置と言っても金額だけに着目するわけではなく、労働時間などにも着目して判断される傾向にあります。
具体的には、管理監督者にふさわしい待遇とは言えないNG例としては以下の3つがあります。
それでは、これらのNG例について順番に説明していきます。
管理監督者にふさわしい待遇とは言えないNG例の1つ目は、基本給や役職手当等の優遇措置が不十分な場合です。
通常、管理監督者として扱われる場合には、高額な基本給や役職手当など一般職にはない優遇した措置が取られることになります。
例えば、一般職と管理職において、基本給の給与テーブルが区別されており、管理職になると基本給の金額も大幅に上昇する仕組みとしておくことがあります。
また、管理監督者以上の役職になると、その役職に応じて数3万円~15万円程度の役職手当などが支給されることがあります。
しかし、基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護にかける恐れがあると認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素になるとされています。
管理監督者にふさわしい待遇とは言えないNG例の2つ目は、支払われた賃金の総額が一般職以下の場合です。
通常、管理職になると年収も増えることになり、残業代が支払われなくなっても、これまで以上の賃金が支払われることになります。
しかし、一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となります。
例えば、管理監督者とされる前の自分の年収と管理監督者とされた後の自分の年収を比較してみること方法でも、一般職以下になっているかを把握しやすいでしょう。
管理監督者にふさわしい待遇とは言えないNG例の3つ目は、時間単価がアルバイトやパート等の賃金額に満たない場合です。
長時間働けば多くの賃金がもらえるのは一般職であっても当然のことです。
管理監督者になったことで年収が増えていても、労働時間も大幅に増えてしまっているような場合には、ふさわしい待遇とは言えないでしょう。
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合。特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となるとされています。
もし、あなたが管理監督者にふさわしい待遇をもらうことができていない場合には、3年の時効にかかっていない範囲で遡って残業代を請求できる可能性があります。
法律上、管理監督者に該当すると、労働時間や休日に関する規定が適用させなくなる結果、残業代が支払われないことになります。
しかし、管理監督者に該当しなければ、労働時間や休日に関する規定が適用されることになる結果、残業代を支払わなければいえないことになるのです。
管理監督者とどうかは実態で判断されることになるため、会社側が管理職と呼んでいるだけでは管理監督者には当たりません。
契約書上で管理監督者と記載されていても、労働基準法上の条件を満たさなければ無効となりますので、ふさわしい待遇でなければ残業代を請求できる可能性があります。
例えば、あなたが2025年4月以降、会社から管理監督者として扱われて残業代を支払ってもらうことができていなかったとしましょう。
この場合に、あなたが2028年4月に今まで会社からふさわしい待遇を与えられていなかったことに気付いたとすると、3年分の残業代を遡って請求できる可能性があります。
退職した後であっても3年の時効にかかっていない範囲で残業代を遡って請求できますので、退職後にふさわしい待遇ではなかったと感じた場合も残業代を請求できます。
このようにあなたが会社から管理監督者と言われていても、ふさわしい待遇を与えられていなかった場合は、残業代を請求できる可能性があるのです。
あなたが管理監督者としてふさわしい待遇を与えられていない場合には、適切に対処していくようにしましょう。
会社側は、あなたに対する待遇がふさわしいものであるという前提でいますので、あなたが行動を起こさない限り状況は改善しないためです。
具体的には、管理監督者にふさわしい待遇でない場合の対処手順としては以下の4つです。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
管理監督者にふさわしい待遇でない場合の手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
管理監督者に該当するかどうか法的な事項となりますので、事案に応じて見通しを判断する必要があります。
事案に応じて残業代を請求するかどうか、どのような準備をするか、どのタイミングで請求していくかなど異なってきます。
ただし、この分野については専門性が高い分野となりますので、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働問題に注力していて、管理職の残業代問題について実績のある弁護士を探すといいでしょう。
管理監督者にふさわしい待遇でない場合の手順の2つ目は、証拠を集めることです。
あなたが管理監督者の実態がないと主張しても、会社側はすぐに納得せずに反論をしてくることがよくあります。
裁判所は、労働者と会社側で主張が食い違う場合には、証拠に基づいて判断することになります。
例えば、管理監督者にふさわしい待遇ではないと感じた場合には、もし以下のような証拠があれば確保しておきましょう。
ただし、これらの証拠がすべてなければ残業代を請求できないというわけではなく、もしあるようであればなるべく多く集めておいたほうがよいということになります。
管理監督者にふさわしい待遇でない場合の手順の3つ目は、通知書を送付することです。
早い段階で残業代の請求をしておくことで、催告として、時効の進行を一時的に止めることができるためです。
通知書を送付すると残業代の完成が6か月間猶予されることになりますので、この間に正確な残業代を計算したり、交渉をしたりします。
また、不足する資料などについては、会社に開示を求めるといいでしょう。
管理監督者にふさわしい待遇でない場合の手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
管理職の残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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このように、今回は、管理監督者にふさわしい待遇とは何かを説明したうえで、適正な待遇差やNG例3つと対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
本記事でお伝えしたことが、管理監督者にふさわしい待遇を受けることができていないのではないかと悩んでいる方の役に立てば嬉しいです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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