
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/05/17
残業代
変形労働時間制では残業代が出ないのか知りたいと悩んでいませんか?
長時間働いていることに変わりない以上は、変形労働時間制であっても残業代を支払ってほしいと感じますよね。
結論としては、変形労働時間制でも残業代は出ます。
変形労働時間制でも、以下の3つは残業時間になるとされています。
変形労働時間制の残業代の計算方法についても、残業時間さえ出せば後は通常どおりです。例えば、月給制の方であれば、基礎賃金÷月平均所定労働時間×割増率×残業時間により算定します。
しかし、そもそも変形労働時間制の法律上の条件はとても厳格ですので、適正に運用できる会社は多くなく、法律上無効とされることも非常に多いです。
変形労働時間制が無効となれば、残業時間については通常どおり算定することが可能となりますので、未払いの残業代金額も大幅に増える傾向にあります。
変形労働時間制のもと働いている方で十分な残業代を支払ってもらえていないと感じる場合には、あなた自身が積極的に行動を起こしていく必要があります。
実は、就業規則に変形労働時間制が記載してあるというだけで、適当なシフトを作成して、十分な残業代を支払っていない会社がとても多いのです。
この記事をとおして、変形労働時間制と残業代について知っておいていただきたい知識をわかりやすく説明していくことができれば幸いです。
今回は、変形労働時間制は残業代出ないは間違いであることを説明したうえで、どこから残業になるのか及び計算方法、相殺の可否について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、変形労働時間制で働いている方も残業代を請求できることがよくわかるはずです。
目次
結論としては、変形労働時間制でも残業代は出ます。
変形労働時間制とは、業務の忙しさや特殊性などに応じて時期により労働時間を調整することができる制度です。
あくまでも労働時間を調整する制度にすぎず、残業代が出ないという制度ではないのです。
例えば、1週間の所定労働時間が以下のように定められていたとしましょう。
このようなケースにおいて、月曜日に10時間働いたとすると、2時間の残業があったことになりますので、残業代が発生することになります。
火曜日に13時間働いたとすると、1時間の残業があったことになりますので、やはり残業代が発生することになります。
このように変形労働時間制はあくまでも労働時間を調整する制度にすぎず、残業代を全く出さなくていいという制度ではないのです。
変形労働時間制でも、以下の3つは残業時間になるとされています。
具体的には、変形労働時間制の場合には、以下の3つに分けて残業時間を計算していきます。
日単位の残業時間については、以下の時間が残業時間になります。
例えば、1週間について以下の時間働いたとしましょう。
【月曜日の残業時間】
月曜日の残業時間は、2時間です。8時間を超えて働いた時間は2時間だからです。
【火曜日の残業時間】
火曜日の残業時間は、0時間です。所定労働時間を超えて働いた時間は0時間だからです。
【水曜日の残業時間】
水曜日の残業時間は、0時間です。所定労働時間を超えて働いた時間は0時間だからです。
【木曜日の残業時間】
木曜日の残業時間は、2時間です。8時間を超えて働いた時間は2時間だからです。
【金曜日の残業時間】
金曜日の残業時間は、2時間です。8時間を超えて働いた時間は2時間だからです。
週単位の残業時間については、以下の時間が残業時間になります。
例えば、4週間について、以下の時間働いたとしましょう。
【第1週の残業時間】
第1週の残業時間は、7時間です。40時間を超えて働いた時間は7時間だからです。
【第2週の残業時間】
第2週の残業時間は、7時間です。40時間を超えて働いた時間は7時間だからです。
【第3週の残業時間】
第3週の残業時間は、0時間です。所定労働時間を超えて働いた時間は0時間だからです。
【第4週の残業時間】
第4週の残業時間は、2時間です。所定労働時間を超えて働いた時間は2時間だからです。
変形期間の全体の残業時間については、変形期間の法定労働時間の総枠を超えた時間となります(日単位の残業時間と週単位の残業時間は控除することになります)。
総枠は、1ヶ月単位の変形労働時間制と1年単位の変形労働時間制で異なります。
1ヶ月単位の変形労働時間制では、総枠は1ヶ月の日数に応じて以下のとおりとなります。
【4月の残業時間】
4月の変形期間全体の残業時間は、180時間-171.4時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【5月の残業時間】
5月の変形期間全体の残業時間は、180時間-177.1時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【6月の残業時間】
4月の変形期間全体の残業時間は、180時間-171.4時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【7月の残業時間】
5月の変形期間全体の残業時間は、180時間-177.1時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
1年単位の変形労働時間制では、総枠は1年の日数に応じて以下のとおりとなります。
【2025年の残業時間】
2025年の変形期間全体の残業時間は、2300時間-2085.7時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【2025年の残業時間】
2025年の変形期間全体の残業時間は、2300時間-2085.7時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【2025年の残業時間】
2025年の変形期間全体の残業時間は、2300時間-2085.7時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
【2025年の残業時間】
2025年の変形期間全体の残業時間は、2300時間-2091.4時間-(日単位の残業時間+週単位の残業時間)です。
変形労働時間制の残業代の計算方法についても、残業時間さえ出せば後は通常どおりです。
なぜなら、変形労働時間制は労働時間を調整する制度にすぎないためです。
例えば、月給制の方であれば、「基礎賃金÷月平均所定労働時間×割増率×残業時間」により算定します。
基礎賃金とは、所定労働時間の労働に対して支払われる賃金で以下の手当等を除外したものです。
月平均所定労働時間は、以下の方法により算定します。
割増率は、以下のとおりとなります。
変形労働時間制については、法律上無効とされることもよくあります。
法律上の条件が厳格すぎて、適正に運用できていない会社が多いためです。
例えば、変形労働時間制については、変形期間開始前までにシフトが決められている必要がありますが、これが守られていないことがよくあります。
また、労働パターンや組み合わせの法則を決めておく必要があるとされていますが、これが決められていないことが多く、決められていても守られていないことが多いです。
更に、作成された勤務表が変形労働時間制の総枠の範囲内である必要がありますが、総枠の範囲を超えていることがよくあります。
また、1年単位の変形労働時間制は、就業規則では足りず、労使協定を作成し締結することが必要とされていますが、民主的な方法により過半数代表者が選出されていないことがよくあります。
このように変形労働時間制には厳格な条件がありますので、このようなすべての条件を満たすことができている会社は限られており、無効になることも多いのです。
変形労働時間制が無効となれば、残業時間については通常どおり算定することが可能となりますので、未払いの残業代金額も大幅に増える傾向にあります。
変形労働時間制のもと働いている方で十分な残業代を支払ってもらえていないと感じる場合には、あなた自身が積極的に行動を起こしていく必要があります。
会社側は残業代が不足していることに気が付いていないこともありますし、気が付いていても負担を少なくするために未払いを続けていることもあります。
具体的には、変形労働時間制の残業代の請求手順は以下のとおりです。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
変形労働時間制の残業代を請求する手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
法的な見通しを踏まえて、どのように対応するべきかについて助言してもらうことができるでしょう。
未払い残業代請求するべきかどうか、費用倒れにならないか、請求するタイミングなど丁寧にアドバイスをしてもらえるはずです。
しかし、残業代請求については専門性が高いため、労働問題に注力していて、残業代請求に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
変形労働時間制の残業代を請求する手順の2つ目は、通知書を送付することです。
残業代には3年の時効があり、給料日から3年を経過した部分から消滅時効が完成していきます。
残業代を請求する旨の通知書を送付しておくことで、催告として、6ヶ月間時効の完成が猶予されます。この間に正確な残業代を計算したり、交渉をしたりすることになります。
また、不足している証拠などがあれば、併せて開示を求めるようにしましょう。
変形労働時間制の残業代を請求する手順の3つ目は、交渉することです。
通知書に対して会社側から回答があったら、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議しましょう。
話し合いにより解決することができれば、少ない負担と労力で良い解決をすることができる可能性があるためです。
変形労働時間制の残業代を請求する手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
変形労働時間制の残業代でよくある疑問としては、以下の3つがあります。
これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A.変形労働時間制において、一度残業が発生した後は、後から労働時間を減らしても、既に発生した残業時間を相殺することはできません。
既に残業が発生している以上、事後的に残業をなかったことにはできないためです。
ただし、労働者が働きすぎた分代休をとったような場合には、代休に相当する賃金が控除される可能性はあります。
A.アルバイトであっても、変形労働時間制で残業代は出ます。
労働基準法は、残業時間や残業代の扱いについて、アルバイトか否かにより区別していないためです
A.変形労働時間制と固定残業代は、併用することが可能です。
変形労働時間制のもとにおいて、適法に固定残業代が支給されている場合には、固定残業代が想定している残業時間を超えて残業しない限り、差額の残業代は請求できません。
ただし、固定残業代についても、これが適法とされるには法的な条件がありますので、適法とされる条件を満たしているかは弁護士に確認するといいでしょう。
残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
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初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
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以上のとおり、今回は、変形労働時間制は残業代出ないは間違いであることを説明したうえで、どこから残業になるのか及び計算方法、相殺の可否について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が変形労働時間制では残業代が出ないのか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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