
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/04/27
退職勧奨
ポジションクローズを理由に退職を迫られていて、どうすればいいのか悩んでいませんか。
自分のポジションがなくなってしまうと、これからどうなってしまうのか不安になりますよね。
ポジションクローズとは、文字通り、現在の自分のポジションがなくなってしまうことをいいます。
ポジションクローズの原因は、会社側の経営の合理化のためであることが多いですが、労働者を退職させること自体が目的なこともあります。
労働者がポジションクローズを言い渡された際には、今後労働者の希望するポジションで働き続けることができるは限らず、不利益を受けてしまうリスクがあります。
外資ではポジションクローズが決まると、労働者に対して退職勧奨を行ってくることがよくあります。
ポジションクローズによる特別退職金の相場は、賃金の3ヶ月分~1年6ヶ月分程度です。
会社からポジションクローズを言い渡されたとしても、焦らずに冷静に対処していく必要があります。
実は、外資はポジションクローズにより労働者を退職させるノウハウを蓄積していますので、労働者が会社の言われるままに行動していると、会社の思う壺になってしまいます。
私が多くのポジションクローズについての相談を受ける中でも、もう少し早い段階で相談に来ていただきたかったと感じることが少なくありません。
この記事をとおして、ポジションクローズを言い渡された際に是非知っておいていただきたい知識やノウハウについてお伝えすることができれば幸いです。
今回は、ポジションクローズとは何かを説明したうえで、退職金の相場や2つのリスクと簡単な対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、ポジションクローズを言い渡された場合にどのように対応していけばいいのかがよくわかるはずです。
目次
ポジションクローズとは、文字通り、現在の自分のポジションがなくなってしまうことをいいます。
外資系企業では、ポジションごとに労働者を採用するのが通常であり、ジョブディスクリプションによりその役割を明確に定めています。
例えば、「Sales Manager」、「Sales Director」、「Account Executive」といったポジションなどです。
会社がこのようにポジションをなくすことを決めた場合にポジションをクローズするという表現を使います。
例えば、2025年6月30日をもって、あなたのポジションをクローズすることになりましたと言うように使われます。
また、ポジションクローズは、そのポジションすべてをなくすという意味だけではなく、ポジションの数を減らす場合にも使われます。
例えば、Sales Managerのポジションを3つから2つに減らすような場合、あなたが削減の対象に選ばれた際には、ポジションクローズと言う表現を使われることがあります。
このように現在、あなたに割り当てられているポジションがなくなってしまうことをポジションクローズと言うのです。
ポジションクローズの原因は、会社側の経営の合理化のためであることが多いですが、労働者を退職させること自体が目的なこともあります。
ポジションクローズ自体は、あくまでもあなたのポジションがなくなるという意味に過ぎず、事案により目的も思惑も様々です。
具体的には、ポジションクローズの原因としては、以下の3つがあります。
それhで、これらの原因について順番に説明していきます。
ポジションクローズの原因の1つ目は、組織体制の変更です。
外資系企業では、経営を合理化し、利益率を上げるため、定期的に組織体制の見直しが行われます。
削減されるポジションもあれば、新設されるポジションもあります。部署が統合されることもあります。
また、他の企業に買収された際には大幅なポジションの削減が行われることが通常です。
このように外資系企業では、組織体制の変更を原因として、ポジションがクローズされることがあるのです。
ポジションクローズの原因の2つ目は、人員の削減です。
会社の経営状況が芳しくない場合には、人件費を削減するために不要なポジションを減らそうとします。
例えば、グローバルで大規模なレイオフの通達が行われた後、日本法人において削減するポジションの検討等が行われることがよくあります。
日本法人に対してヘッドカウントを何人減らす等の目的を設定されていることもあります。
ポジションクローズの原因の3つ目は、退職させる方便です。
会社側は、あなたのことが気に入らない場合には、恣意的に企業から排除しようとすることがあります。
例えば、上司に嫌われたり、上司のハラスメントを告発したりした後に、会社から嫌われてしまいターゲットにされてしまったという相談が後を絶ちません。
このような場合において、会社側は、「嫌いだから」と言う理由では労働者を退職させることはできないので、方便としてポジションクローズなどと言うことがあるのです。
労働者がポジションクローズを言い渡された際には、今後労働者の希望するポジションで働き続けることができるは限らず、不利益を受けてしまうリスクがあります。
少なくとも現在のポジションはなくなってしまう以上は、これまでと同じ形で働き続けることは難しいためです。
具体的には、ポジションクローズによるリスクとしては、以下の2つがあります。
それでは、これらのリスクについて順番に説明していきます。
ポジションクローズによるリスクの1つ目は、降格や転勤といった異動を命じられるリスクです。
会社には人員配置について一定の裁量がありますし、会社は解雇を回避するためには他のポジションに配置できないか検討しなければいけないためです。
ただし、降格により労働者の給与を下げるためには、なぜ降格により給与が下がるのが給与テーブル等で説明できる必要がありますし、大幅な減額は濫用として許されません。
また、勤務地を限定する合意がある場合には転勤を命じることはできませんし、退職させるために不当な動機をもって異動を命じることは濫用として許されません。
ポジションクローズによるリスクの2つ目は、リストラなどとして解雇を言い渡されるリスクです。
会社側は、人員を削減する必要性があって、努力しても解雇を回避できない場合には、合理的に対象を選定したうえで、説明等を尽くしたうえで、解雇することがあります。
例えば、収支状況が赤字の会社において、数人しかいない小規模な会社のためポジションを変更することも困難と言った場合です。
また、中規模の会社であっても、現実的な可能性のあるポジションについて労働者側が断り続けていると、解雇されてしまうことがあります。
ただし、ポジションクローズによる解雇は、労働者側の落ち度なく行われるものですので、いわゆる整理解雇として、厳格にその有効性が判断されます。
そのため、人員を削減する必要性がなかった、解雇を回避する努力されていなかったり、人員選定が恣意的であったり、十分な説明がされていなかったりすると、無効となります。
外資系企業の解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
外資ではポジションクローズが決まると、労働者に対して退職勧奨を行ってくることがよくあります。
日系企業では、ポジションではなく人に着目して雇用されるのが通常ですので、今の業務がなくなれば他の業務を命じられるだけで、使い捨てにはされない傾向にあります。
これに対して、外資では、いわゆるジョブ型雇用として、ポジションごとに採用が行われる結果、そのポジションがなくなると不要と判断されてしまうためです。
例えば、ポジションクローズが決まった場合には、ある日、突然HRや上司からミーティングを設定されることになります。
そして、ミーティングに行くと、「残念ながら、あなたのポジションは●月●日でなくなります。」と言い渡されます。
あなたが戸惑っていると、HRは、続けて、「あなたは今のポジションで働き続けることができません。あなたには2つの選択肢があります。退職に応じるか、自分で別のポジションを探してみるか、選んでください。」などと言われます。
会社側は、退職勧奨の際に、退職合意書を交付してくることもありますし、ミーティング後にメール等で退職合意書のデータを送ってくることもあります。
このように外資系企業では、ポジションクローズが決まると退職勧奨を行ってくる傾向にあるのです。
ポジションクローズによる特別退職金の相場は、賃金の3ヶ月分~1年6ヶ月分程度です。
会社側は、ポジションクローズにより、労働者に対して、退職勧奨を行う際には、通常の退職金とは別に、特別退職金を提示することがよくあります。
退職勧奨をされた際にこれに応じるかどうかは労働者の自由であり、何らの補償もなければ、労働者は退職に応じないためです。
会社側は、特別退職金を提示することで、労働者に退職に応じてもらおうとするのです。
特別退職金の金額は、勤続年数×1か月分程度が提示されることが多いですが、ポジションクローズの場合には労働者に落ち度がなくもう少し上乗せされる傾向にあります。
もっとも、労働者が退職勧奨に応じるかどうかは自由であり、納得のいかない金額であれば退職に応じる必要はありません。
最終的には、労働者と会社の交渉力により金額が決まることになりますので1年以上の金額になることも珍しくありません。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
会社からポジションクローズを言い渡されたとしても、焦らずに冷静に対処していく必要があります。
労働者が焦って、一度、退職合意書にサインしてしまうと、後からこれを撤回することは容易ではありません。
会社側は、限られた予算の範囲で労働者を退職させようとしてくるため、労働者が何も交渉しなければ、不利な条件のまま退職することを強いられてしまいます。
これに対して、外資と言っても、法律上は、ポジションクローズと言う理由だけで、労働者を退職させることはできませんので、適切に対応すれば結果は大きく変わってきます。
具体的には、労働者がポジションクローズを言い渡された場合には、以下のように対応していきましょう。
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
ポジションクローズへの対処法1つ目は、弁護士に相談することです。
退職勧奨への対応は、法的な見通しを分析したうえで、適切な方針を立てて、一貫した対応行っていくことが成功の秘訣です。
また、外資系企業は、ポジションクローズにより労働者を退職させることに慣れています。労働者側も、対等な立場で交渉していくためには弁護士にサポートしてもらうべきなのです。
ただし、外資のポジションクローズについては非常に専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
外資系企業の退職勧奨や解雇問題に実績がある弁護士を探すといいでしょう。
ポジションクローズへの対処法2つ目は、退職条件の交渉をすることです。
会社側は特別退職金等の退職条件を提示する際には、少ない金額から提示してくることが通常です。
ポジションクローズにより退職勧奨を行う際、通常、日本法人には予算が設定されていて、限られた予算の範囲で退職を促そうとするためです。
つまり、交渉せず素直に退職合意書にサインした労働者には少ない特別退職金しか提示せず、交渉した者にだけ増額されることが多いのです。
自身の生活やキャリアを守るためには、十分な補償を確保する必要がありますので、労働者としてもそのまま応じるのではなく、積極的に交渉していくべきなのです。
ポジションクローズへの対処法3つ目は、別ポジションを検討するよう伝えることです。
会社側は、ポジションがなくなったとしても、解雇する前に別のポジションに異動することができないかを検討する義務があります。
そのため、仮にポジションがクローズされる場合であっても、労働者としては、「退職したくないので、別のポジションを検討してください」ということができるのです。
もし、具体的にあなたが行うことができポジションが空いているようであれば、このポジションへの異動を検討してほしいと言ってみるといいでしょう。
ポジションクローズへの対処法4つ目は、転職することです。
自分の希望のポジションにつくことができずモチベーションが上がらないという場合には、転職も選択肢としてあり得るでしょう。
もっとも、転職先が決まっていない状況で、直ぐに退職してしまうとキャリア上のブランクが空いてしまいますし、生活にも窮してしまいます。
転職先が決まっていない状況で安易に退職に応じるのは控えた方が良いでしょう。
また転職活動のタイミングなどについては交渉にも影響しますので、事案に応じて弁護士に相談するといいでしょう。
退職勧奨に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、ポジションクローズとは何かを説明したうえで、退職金の相場や2つのリスクと簡単な対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事がポジションクローズを理由に退職を迫られていて、どうすればいいのか悩んでいる労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
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不当解雇
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