控訴状とは?書式や記載例・書き方と提出先【wordダウンロード】

控訴状とは?書式や記載例・書き方と提出先【wordダウンロード】

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日


控訴状をどのように書けばいいのか知りたいと悩んでいませんか

訴状であれば書いたことがある方であっても、控訴状になると書き方が分からないという方もいますよね。

控訴状とは、第一審の判決に不服がある場合に控訴をするために裁判所に提出する書面のことです

控訴状の書き方としては、控訴を提起することを記載したうえで、原判決の表示、控訴の趣旨、控訴の理由を記載することになります。

控訴状を提出する際には、不服のある判決をした第一審裁判所です。郵送でも提出できますし、直接持参して提出することもできます。

控訴状の提出期限は、判決の送達を受けた日(判決が届いた日)の翌日から14日以内です。

実は、控訴状は、控訴審の出発点となる書面であり、控訴状の記載を誤ってしまうと結果にも大きく影響してしまう可能性があります

この記事をとおして、控訴状がどのようなものか、弁護士の経験から分かりにくい実務上の対応について説明していくことができれば幸いです。

今回は、控訴状とは何かを説明したうえで、書式や記載例・書き方と提出先を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、控訴状についてよくわかるはずです。

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1章 控訴状とは

控訴状とは

控訴状とは、第一審の判決に不服がある場合に裁判所に提出する書面のことです

控訴を提起するには、控訴状を提出しなければならないとされています。

民事訴訟法286条(控訴提起の方式)
1「控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。」

例えば、あなたが300万円の損害賠償を請求して第1審で請求が60万円しか認容されなかったとしましょう。

判決に不服があると感じた、あなたは控訴を提起したいと考えるかもしれません。

このような場合には、第一審の判決に不服がある旨の控訴状を提出したうえで、控訴審で審理をしてもらうため手続をとることになります

控訴状は、形式的な書類と思われがちですが、控訴の意思を伝える唯一の方法であり、控訴審の出発点となる重要な書類です。

2章 控訴状の書式・記載例や書き方【wordダウンロード付き】

控訴状の書式については、以下のとおりです。

以下では、それぞれの項目について書き方を説明していきます。

2-1 作成年月日(①)

控訴状を作成した日を提出します

提出する日などを記載しておくといいでしょう。

2-2 宛先(②)

控訴審を担当する裁判所を記載することになります

控訴状の提出先は、第一審ですが、宛先は控訴審の裁判所を記載しておくのが通例なので注意しましょう。

控訴状を提出する時点では、控訴審の担当部や係は決まっていませんので、「●●高等裁判所 御中」との記載で足ります。

2-3 作成者(控訴人)(③)

作成者として、控訴人の名前を記載しておきましょう

名前の右横に押印をします。

民事訴訟法第286条(控訴提起の方式)
2「控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」
一「当事者及び法定代理人」
二「第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨」

2-4 送達場所(④)

送達場所として、あなたの連絡先を記載しておきましょう

記載した連絡先に裁判所から電話が来たり、FAXが届いたりします。

また、相手方からも、控訴答弁書などが直接FAXされたり、郵送されたりすることになります。

第一審のときと同様の送達場所を記載することで問題ありません。

2-5 被控訴人(⑤)

被控訴人として、相手方当事者の住所と名前を記載しておきましょう

相手方が法人の場合には、代表者の名前も記載しておきます。

民事訴訟法第286条(控訴提起の方式)
2「控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」
一「当事者及び法定代理人」
二「第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨」

2-6 事件名(⑥)

事件名は、「●●請求控訴事件」などと記載します

第一審の事件名の末尾に「控訴」という文字を追記するのが通例です。

2-7 控訴状の印紙代(⑦)

控訴審の訴額を算定したうえで、控訴状の印紙代を計算します

控訴審の訴額は、不服を申し立てる範囲の金額となります。

控訴状の印紙代は、以下のとおりとなります。

控訴状の印紙代

例えば、300万円の請求をして、60万円しか認容されなかったため、残額の240万円について控訴審で審理してほしいという場合を想定します。

この場合には、控訴審の訴額は240万円となり、印紙代は2万5000円です。

訴額については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-8 不服の範囲と控訴する旨(⑧)

控訴状には、不服の範囲を記載しておきましょう

第一審が全部棄却判決であれば、「全部に不服があるため」との記載をするのが通常です。

第一審が一部棄却判決であれば、「控訴人敗訴部分に不服があるため」との記載をするのが通常です。

民事訴訟法第286条(控訴提起の方式)
2「控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」
一「当事者及び法定代理人」
二「第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨

2-9 原判決の表示(⑨)

原判決の表示として、第一審の判決の主文を記載しましょう

判決を見ながら、「主文」の箇所を書き写すだけです。

民事訴訟法第286条(控訴提起の方式)
2「控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」
一「当事者及び法定代理人」
二「第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨」

2-10 控訴の趣旨(⑩)

控訴の趣旨を記載しましょう

控訴の趣旨とは、控訴審の裁判所に求める判決の内容です。

【記載例1:原告が第一審で全部勝訴し、被告が控訴するケース】
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
※請求が複数出ない場合には、第2項の「いずれも」の記載は不要です。

【記載例2:被告が第1審で全部勝訴し、原告が控訴するケース】
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、金●万円を支払え。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。

【記載例3:原告が第1審で一部勝訴した場合-被告が控訴するケース】
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。

【記載例4:原告が第1審で一部勝訴した場合-原告が控訴するケース】
300万円請求して第一審で60万円が認容された場合を想定
[パターン①]
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、金240万円を支払え。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
[パターン②]
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人は、控訴人に対し、金300万円を支払え。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。

2-11 控訴の理由(⑪)

控訴の理由については、「おって、控訴理由書提出する」とだけ記載しておくことが多いです

控訴理由書については、控訴の提起後50日以内に提出することになっています。

民事訴訟規則182条(第一審判決の取消し事由等を記載した書面)
「控訴状に第一審判決の取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、控訴人は、控訴の提起後五十日以内に、これらを記載した書面を控訴裁判所に提出しなければならない。」

2-12 控訴状の添付書類(⑫)

控訴状の添付書類としては、以下のとおりです。

第一審で提出している場合でも、控訴審では再度新たに提出する必要があります。

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3章 控訴状の提出先・提出方法

控訴状の提出先は、不服がある判決をした第一審の裁判所です

控訴の提起には、控訴状を第一審裁判所に提出しなければならないとされているためです。

民事訴訟法286条(控訴提起の方式)
1「控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。」

控訴状を提出する方法については、郵送でも可能ですし、裁判所に持参することでも可能です。

郵送の場合には、レターパックライトなどの追跡できる方法で送ることが多いです。控訴期限に注意して送りましょう。念のため、裁判所に届いたか電話でも確認するといいでしょう。

裁判所に持参する場合には、担当部の書記官窓口に持参するようにしましょう。

控訴提起日を明確にするため、控訴状の控えに受領印を押してもらうといいでしょう。

郵送であれば「控え」と「切手を貼った返信用封筒」も併せて送り、送付書などに受領印を押して返送してほしい旨を付記しておくと、返送してもらえます

持参であれば、控えも併せて持っていき、受領印を押してほしい旨を伝えましょう。

4章 控訴状の提出期限

控訴状の提出期限は、判決の送達を受けた日(判決が届いた日)の翌日から14日以内です

民事訴訟法第285条(控訴期間)
「控訴は、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。」

判決を受け取った日は14日のカウントに含まれません

最終日が土日祝日又は年末年始(12月29日~1月3日)であるときは、その翌日が最終日となります。

例えば、2026年1月28日(水)に判決を受け取ったとしましょう。

14日の起算日は、翌日である2026年1月29日(木)となります。

2026年1月29日の14日後は2026年2月11日(水)ですが、建国記念日であり祝日となります。

そのため、控訴期限は2026年2月12日(木)となります。

控訴期間を徒過してしまうと、控訴できなくなってしまうので注意しましょう

よくある控訴期間を徒過してしまうミスの例は以下のとおりです。

例1:控訴期間を数え間違い
例2:誤って控訴状を高裁に送ってしまう
例3:第一審判決を事務員等が受け取り報告がなかった

もし、控訴状の提出期限に不安がある場合には、第一審の裁判所の書記官に電話して、提出期限や送付先をよく確認しましょう。

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5章 控訴状についてよくある疑問

控訴状についてよくある疑問としては、以下の4つがあります。

Q1:控訴状はいつ届く(送達はいつ)?
Q2:控訴状の訂正申立書は?
Q3:控訴状の却下命令は?
Q4:控訴状が届いたら?

これらの疑問を順番に解消していきましょう。

5-1 Q1:控訴状はいつ届く(送達はいつ)?

A.控訴状は、控訴理由書が出された1~2週間後くらいに送達されてくることがあります

控訴が提起されると第一審から控訴審に移審することになり、高裁の担当部が決まったら書類などが一式控訴審に送られます。

その後、控訴状が被控訴人宛に送られてくることになります。

ただし、昨今、事件が多く高裁が忙しいのか、控訴状の送達までに結構時間がかかる傾向にあります

控訴が提起されて、数週間経っても高裁の担当部すら決まっていないということもあります。

控訴状より先に控訴人から控訴理由書が送られてくることもあります。

ひとまず、控訴が提起されたかは第一審の裁判所に電話すれば教えてもらえます

控訴が提起された場合には、高裁の担当部が決まった後、担当部に電話をしてスケジュールを確認するといいでしょう。

5-2 Q2:控訴状の訂正申立書は?

A.控訴状の訂正申立書については、基本的に訴状の訂正申立書と同様です

訴状の訂正申立書については、以下の記事で詳しく解説しています。

5-3 Q3:控訴状の却下命令は?

A.控訴が不適法でその不備を補正できないときは、却下されることになります

例えば、控訴期間を徒過した場合などは、控訴は却下されます。

民事訴訟法第287条(第一審裁判所による控訴の却下)
1「控訴が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、第一審裁判所は、決定で、控訴を却下しなければならない。」

民事訴訟法第290条(口頭弁論を経ない控訴の却下)
「控訴が不適法でその不備を補正することができないときは、控訴裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、控訴を却下することができる。」

5-4 Q4:控訴状が届いたら?

A.控訴状が届いたら、控訴答弁書を提出することになります

弁護士に相談したうえで、控訴答弁書を準備するようにしましょう。

また、裁判所から期日調整や進行に関する照会が届きますので、対応しましょう。

その他、附帯控訴をするかどうかを検討しましょう。附帯控訴とは、控訴に附帯して、被控訴人側も控訴をすることです。

附帯控訴をしておかないと控訴審において、第一審よりも被控訴人に有利な判決は出してもらえないので注意しましょう。

6章 あなたに合った弁護士を探すなら弁護士コンパス

弁護士コンパスでは、分野別に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする弁護士を探すことができます

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7章 まとめ

以上のとおり、今回は、控訴状とは何かを説明したうえで、書式や記載例・書き方と提出先を解説しました。

この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

ホウペン

まとめ

・控訴状とは、第一審の判決に不服がある場合に裁判所に提出する書面のことです。

・控訴状には、作成年月日、宛先、当事者、送達場所、事件名、訴額や貼用印紙額、不服の範囲と控訴する旨、原判決の表示、控訴の趣旨、控訴の理由、添付書類などを記載します。

・控訴状の提出先は、不服がある判決をした第一審の裁判所です。郵送でも、持参する方法でも、提出できます。

・控訴状の提出期限は、判決の送達を受けた日(判決が届いた日)の翌日から14日以内です。

この記事が控訴状をどのように書けばいいのか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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