連絡不能となった休職者の対応と、解雇リスクを回避した自然退職手続き(会社側)
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相談前の状況
精神的な不調により休職中の社員がいましたが、復職の可能性について連絡を取っていたところ、ある時点から、会社が送付した重要な通知書が届かず、電話やメールでの連絡も一切取れない状態が続きました。
会社は、このまま雇用関係を維持すると、在籍している限り社会保険料の会社負担分を納付し続ける義務が発生することに強い危機感を持っていました。しかし、一方的に退職扱いとした場合、後日「会社から何の連絡もなく不当に退職とされた」として不当解雇や休業損害を請求されるリスクを恐れ、適切な対応策が分からず当事務所にご相談されました。
相談後の対応・結果
当職は、まず貴社の就業規則を精査し、本件は「解雇」ではなく、就業規則に基づく「退職」として穏当に進められることを確認しました。
就業規則に基づく方針決定:就業規則の「休職期間が満了してもなお就労が困難な場合には、退職とする」という規定に基づき、休職期間満了日をもって自然退職として扱う方針を決定しました。
法的リスクの最小化(証拠の確保):後日の紛争リスクを回避するため、「会社として、連絡を取るためにあらゆる合理的な手段を尽くした」という客観的な事実を証拠として残すことを最重要課題としました。
最終通告の実施:具体的な対策として、連絡が取れない状況と休職期間満了による自然退職の適用条項を記載した最終通告書を作成し、内容証明郵便(配達証明付き)で送付することを強く推奨しました。
内容証明郵便が宛先不明で返送された場合でも、「会社が正式な手続きに則って、最終的な意思確認と通知を試みた」という極めて強力な証拠が残り、会社側は法的なリスクを最小限に抑えつつ、計画通り休職期間満了による自然退職手続きを完了させることができました。
弁護士のコメント
連絡不能となった休職社員への対応は、使用者側にとって最も法的なリスクが高いケースの一つです。安易な退職扱いは「解雇権の濫用」と判断され、多額のバックペイの支払いを命じられることになります。
本件のポイントは、就業規則の規定を厳格に適用しつつ、会社が取るべき通知義務を、連絡不能という状況下でも「内容証明郵便(配達証明付き)」という最も証明力の高い方法で履行した点にあります。これにより、社員が後日「連絡がなかった」と主張する可能性を事前に排除し、会社側の意図通りに雇用関係を法的にクリーンな形で終了させることができました。
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