業務委託契約を締結していた社員からの「解雇無効」と「残業代」請求リスクの最小化(会社側)
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相談前の状況
依頼者である清掃管理会社は、問題行動が目立つ業務委託契約の「個人事業主」に対し、契約終了の方針を伝えました。しかし、この個人事業主は、
・週7日(365日)現場で作業を行っており、休日がなかった。
・会社に雇用形態に関する不信感を抱き、「解雇が事実であれば、労働基準監督署に申し出を行い、法的処置を持って争う」と主張しました。
・会社側は、雇用契約書ではなく業務委託契約を前提としていたため、この対応に法的なリスクを感じていました。
特に、「365日働いている」という実態から、もし裁判所で「労働者」と認定されれば、多額の未払い残業代請求(サービス残業代)が発生し、「大損害になる」という危機感を持っていました。
相談後の対応・結果
当職は、依頼者側の「業務委託契約だから容易に解除できる」という希望的な観測を排除し、実態に基づいた法的リスクの評価を最優先で実施しました。
初期リスク評価の提示:弁護士は、契約書の形式にかかわらず、「労働者性」は客観的に会社の指揮監督下にあるか否かによって判断されることを指摘しました。そして、権利意識が強い相手方に対し、業務委託を前提に解約通知を送った後に裁判で労働者性が認められた場合、解雇無効と多額の未払い賃金という最大のリスクがあることを明確に伝えました。
事実関係の徹底的な確認:依頼者に対し、雇用時の契約書、勤務実態(時間的・場所的拘束の程度)、給与の算定方法など、労働者性の判断要素となる客観的な事実を詳細に収集・整理するよう指示しました。
戦略的な対応方針の確立:集めた証拠と事実関係に基づき、本件の労働者性が高く、解雇リスクが大きいと判断し、交渉による「退職合意」を目指す方針を確立しました。これにより、多額の未払い残業代請求という潜在的な負債を清算しつつ、法的紛争を避け、会社側の将来的なリスクを最小限に抑えた形で関係を終了させることができました。
弁護士のコメント
労働事件において最も危険なのは、「契約書のタイトル」と「実態」が乖離しているケースです。本件のように、業務委託契約を結んでいても、会社の指揮命令下で365日勤務するような実態があれば、裁判所は「労働者」と判断します。この判断が下されると、それまで未払いだった残業代や解雇予告手当、慰謝料など、会社は膨大な負債を抱えることになります。
本件の依頼者様には、早期に実態を把握するための情報収集をご協力いただき、最大リスクを回避するための「交渉による円満退職」という着地点を共有・実現できました。問題社員への対応や雇用形態の切り替えを検討する際は、感情的な対応ではなく、まず客観的な事実に基づく「労働者性」の判断を行い、訴訟リスクを最小化するための戦略的な一手を打つことが極めて重要です。
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