
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
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2025/04/19
残業代
残業代請求の和解金がどのくらいになるか知りたいと悩んでいませんか?
残業代の請求をした際に、実際にいくら支払ってもらうことができるのか気になりますよね。
結論から言うと、残業代請求の和解金に相場はありません。
もっとも、残業代に関する紛争を全体としてみた場合には10万円~240万円程度の範囲で和解が成立することが多いと推計されます。
残業代請求の和解金については、労働者と会社双方の主張から未払い残業代金額の見通しを立てたうえで、双方が歩み寄りを検討していく方法により決まるのが通常です。
残業代請求の和解金を増額するためには、事前の準備を怠らず、工夫しながら、あなたに有利な主張や計算を説得的に行っていくことが必要となります。
残業代請求の和解金は、給与所得ではなく一時所得として処理されることも多いですが、最終的には実態として処理されることになります。
実は、残業代請求の和解金額を適正な金額とするためには、法律や判例の知識が必要となり、交渉力の格差が金額に大きく影響していきます。
この記事をとおして、残業代請求の和解金で損しないために、是非、知っておいていただきたい知識やノウハウをお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、残業代請求の和解金に相場はないことを説明したうえで、簡単な増額方法4つと税金や源泉徴収を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、残業代請求の和解金で後悔しないためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
残業代請求の和解金には、相場はありません。
なぜなら、人によって残業代金額は大きく変わってくるためです。
例えば、残業時間が月10時間の人と月100時間の人とでは残業代の金額も大きく変わってきます。
また、残業代の金額は、基礎賃金をベースに計算しますので、基本給20万円の方と基本給50万円の方では、残業代の金額も大きく変わってきます。
加えて、請求できるのは未払いの残業代だけであり、既に支払われた部分は当然請求することができないため、既払い部分が多ければ和解金額も減ることになります。
そのため、未払い残業代は大きい場合には1000万円以上になることもありますし、少ない場合には数十万円程度にとどまることもあるのです。
このように、残業代請求については、和解金の相場は出すことはできないのです。
残業代に関する紛争を全体としてみた場合には、10万円~240万円程度の範囲で和解が成立することが多いと推計されます。
労働審判における残業代の請求金額は、1万~300万円が78%を占めています。つまり、労働審判における残業代請求のうち4分の3は、請求金額が300万円未満なのです。
参考:労働審判事件等における解決金額等に関する調査に係る主な統計表.pdf
ちなみに、労働審判における残業代請求の平均額は219万7814円、中央値は102万8327円です。
もっとも、あくまでも上記の金額は請求金額です。労働審判では、会社側から反論が行われることになりますので、請求金額より一定の減額がされることになります。
残業時間や基礎となる賃金の金額、既払金額などにつき反論される結果、請求金額の8割程度で和解すると想定すると、和解金額は10万円~240万円程度が多いことになります。
残業代請求の和解金については、労働者と会社双方の主張から未払い残業代金額の見通しを立てたうえで、双方が歩み寄りを検討していく方法により決まるのが通常です。
和解金額が決まる流れを知ることにより、残業代の和解金をイメージしやすくなるでしょう。
具体的には、残業代請求の和解金については、以下の流れで決まることになります。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
まず、労働者において、未払い残業代金額を計算したうえで、会社側に支払うよう請求を行うことになります。
残業代は請求する側において主張立証しなければいけないものだからです。
例えば、エクセル表に始業時刻や終業時刻、休憩時間などを入力して計算していくことが一般的です。
裁判所においても、きょうとソフトという弁護士会と裁判所により作成されたエクセル表を用いて審理が行われるのが通常です。
次に、会社側から、反論が行われることになります。
残業時間は実際にもっと短かったと反論されることがよくあります。
とくに、最近の傾向としては、始業時刻前の早出残業については、会社側も素直に支払いに応じてこないことも多いです。
その他、固定残業代を支払っていたとの反論、管理監督者であるとの反論、賃金の性質についての反論、時効の援用などを行ってきます。
裁判所を用いた手続きであれば、労働者側の主張と会社側の反論を踏まえたうえで、裁判所の心証が示されることになります。
各争点について裁判所の判断が示されることになり、この判断に基づいて残業代が試算されることになります。
裁判所は、この試算した金額により和解するように、当事者双方を説得します。
これに対して、裁判所外の交渉であれば、お互い相手方の主張を見たうえで、訴訟になった場合の裁判所の判断を予想することになります。
以上を踏まえたうえで、最終的に、労働者、会社のいずれも、和解に向けて歩み寄ることが可能かどうかを検討することになります。
ときには、裁判所の試算した金額による和解には応じることができないと伝えることもあります。
裁判所の判断が見通しと異なる場合には、更に主張立証を尽くしたり、控訴審まで争ったりすることなどもあり得るためです。
これに対して、裁判所の試算した金額よりも、少ない金額での和解に応じざるを得ないこともあります。
労働者として、これ以上紛争に労力とコストをかけたくなかったり、裁判所の判断が見通しよりも有利なもので今後の審理次第で不利な判断になるリスクもあったりするためです。
このようにして、お互い、金額につき歩み寄っていき、最終的に合致した金額が和解金額になります。
残業代請求の和解金を増額するためには、事前の準備を怠らず、工夫しながら、あなたに有利な主張や計算を説得的に行っていくことが必要となります。
会社側も和解金額を減らすためにあの手この手で交渉してきますので、労働者側も和解金額を増やすように交渉していかないと、適正な金額にはならないのです。
具体的には、残業代請求の和解金を増額する方法としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの方法について順番に説明していきます。
残業代請求の和解金を増額する方法の1つ目は、弁護士に相談することです。
残業代請求の和解金額を適正な金額とするには、法律や判例の知識が必要となるためです
残業代についてどのように計算するか、相手方から想定される反論に判例などに基づいて再反論できるかにより、金額は大きく変わってきます。
残業代請求については、法律についての専門的なノウハウが必要となるので、法律の専門家である弁護士に相談するべきなのです。
ただし、残業請求については専門性が高い分野であるため、弁護士であれば、誰でもいいというわけではありません。
労働問題に注力していて、残業問題について実績のある弁護士を探すといいでしょう。
残業代請求の和解金を増額する方法の2つ目は、証拠を集めることです。
労働者と会社との間で争いのある事項については、裁判所が証拠に基づいて判断することになるためです。
あなたが自身に有利な証拠を集めることができていれば、あなたに有利な判断をしてもらいやすくなりますので、和解金額も高くなりやすくなります。
集めておくべき証拠については、想定される争点により変わってきますので、早い段階で弁護士に見通しを確認して、どのような証拠を集めるべきか助言してもらいましょう。
残業代請求の和解金を増額する方法の3つ目は、労働審判や訴訟を活用することです。
会社によっては、どれだけあなたが説得的な主張をしたとしても、裁判所から一定の心証が示されない限りは、譲歩してこない場合もあるためです。
相手方の言うことには聞く耳をもたない会社もいますし、実際に裁判までして残業代を請求してこないだろうと足元を見ている会社もいます。
このような場合には、適正な和解金額とするためには、裁判所を用いた手続きのなかで、法的に適正な金額を示してもらうことが有効です。
会社側は仮に和解を拒み続けても、裁判所が判決を出せば、財産を差し押さえられるなどして強制的に残業代を回収されてしまうことになるためです。
残業代請求の和解金を増額する方法の4つ目は、遅延損害金を請求することです。
残業代請求の和解では、会社側も、裁判所も、遅延損害金は当然に労働者側が譲歩するものとの前提で説得を行ってきます。
「早期解決の和解なのですから、遅延損害金については譲歩いただくのが一般的ですよね」などと言われることがよくあります。
しかし、和解だから遅延損害金を譲歩しなければいけないというルールはありません。
とくに、退職後に残業代を請求するような場合には、退職日以降の遅延損害金は原則として年14.6%となります。
残業代の請求をしている中で期間が経過していけば、遅延損害金だけで100万円以上になることも珍しくありません。
そのため、和解金を増額したい場合には、安易に遅延損害金を譲歩しないという姿勢を示すことも有効です。
残業代請求の和解金は、給与所得ではなく、一時所得として処理されることも多いです。
会社側は、残業代の有無や金額を争っていて、リスク回避や訴訟費用の節約のために支払いに応じることがよくあります。
労働者も、未払い残業代の金額だけではなく、遅延損害金の金額や判決になった場合のリスク、訴訟を続けることの労力や負担をも検討しながら和解金を検討します。
そのため、紛争解決の目的という以上に具体的な内訳等を明らかにすることが難しい場合も多いのです。
一時所得として処理される際には、労働者自身において確定申告をすることになりますので、和解金から税金の源泉徴収は行われないことになります。
ただし、当事者間で第一次的には一時所得として処理することにしても、最終的には実態として処理されることになります。
そのため、税務署からの指摘次第では、給与所得として税金を負担しなければいけないこともあります。
会社側は、このようなリスクを気にして、和解の際に給与所得としての処理にしてほしいと言ってくることがあります。
税務署は、給与所得と判断した場合には、源泉義務を負う会社に税金の支払いを求めるためです。
当事者間で第一次的には給与所得として処理することにした場合には、和解金から税金が源泉徴収されたうえで、控除後の金額が、振り込まれることになります。
このような処理をする際には、通常、和解の条項において、控除後の金額を振込金額としておいたり、任意に支払う場合には源泉徴収できる旨を明記しておいたりすることになります。
残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、残業代請求の和解金に相場はないことを説明したうえで、簡単な増額方法4つと税金や源泉徴収を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が残業代請求の和解金がどのくらいになるか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
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