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2025年3月8日
労働一般
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2025/07/20
残業代
会社から残業代稼ぎと言われてしまい困っていませんか?
残業代のためだけに残業をしているわけではないのに、このように言われてしまうと悲しいですよね。
残業代稼ぎとは、本来必要ではない残業を行い、残業代を得ようとする行為をいいます。
残業は必要がある場合に会社の指揮監督下で行うべきものであり、必要がないのに残業を行う場合には、いくつかのリスクがあります。
残業代稼ぎが生じる原因は、給料だけではなくもっとお金が欲しいという理由のことが多いですが、仕事以外にやることがないと言ったケースもあります。
もし、残業代稼ぎの意図などなかったのにこのような非難をされて、残業代を支払ってもらえない場合には、残業代を取り戻すために行動を起こしていくべきです。
実は、ブラック企業は、会社側の原因で残業が発生しているにもかかわらず、残業代の支払いを免れるために、あたかも労働者に落ち度があるかのような非難をしてくることがあります。
この記事をとおして、会社側から残業代稼ぎなどと非難された場合に知っておいていただき立ち知識をわかりやすくお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、残業代稼ぎがどのようなものかを説明したうえで、リスクや原因、言いがかりをつけられた場合の対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、残業代稼ぎなどと非難された場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
残業代稼ぎとは、本来必要ではない残業を行い、残業代を得ようとする行為を指します。
一見するとズルい行為のように思えるかもしれませんが、実際の現場では「残業代稼ぎ」と「正当な残業」との線引きは非常に曖昧で、会社と労働者の間で誤解が生じやすい問題です。
そもそも労働基準法では、労働時間は原則として「1日8時間、週40時間」を超えた場合に割増賃金(=残業代)の支払いを義務づけています。
つまり、会社の業務命令や業務都合で発生した残業には、当然残業代が支払われるべきです。
しかし一部の企業では、業務の遅延や不慣れな作業、やむを得ない残業に対しても、「残業代目当てではないか」と労働者に疑いの目を向ける傾向があります。
こうした企業文化があると、本来は正当な残業まで「残業代稼ぎ」と見なされてしまい、労働者のモチベーションが著しく下がる原因にもなります。
例えば、ある事務職の社員が毎日1時間程度の残業をしていたとします。
上司が「定時で終わるはずの内容なのに、なぜ毎日残業しているのか」と問いただしたところ、本人は「日中は雑務が多くて集中できないので、夕方から本格的に作業しています」と答えました。
この場合、本人には悪気がなくても、結果として残業時間を増やしてしまっているため、「残業代稼ぎではないか」と疑われてしまうリスクがあります。
このように、「残業代稼ぎ」とみなされるかどうかは、行動の背景や業務の必要性によって左右される部分が大きいのです。
重要なのは、「残業せざるを得ない事情があるかどうか」です。業務量の多さや急な指示など、正当な理由があって残業している場合には、「残業代稼ぎ」とは言えません。
もし正当に働いているにもかかわらず、会社から「残業代目当てだ」と非難された場合は、記録を残し、冷静に説明できるように備えておくことが大切です。
あなた自身が本当に必要のない残業をわざと行っているような場合には、残業代稼ぎという会社側からの指摘を踏まえ真摯に改善していく必要があります。
また、あなたが意図的に残業代稼ぎをしているわけではなかったとしても、周囲からそのようにみられてしまうと、あなた自身にとっても不利益になってしまう可能性があります。
例えば、残業代稼ぎのリスクとしては、以下の3つがあります。
それでは、これらのリスクについて順番に説明していきます。
会社は、残業の多さが目立つ社員に対して、業務内容にかかわらず「残業は原則禁止」と一律のルールを導入することがあります。
例えば、営業職で日中は外回り、夕方に事務処理を行う必要があるという人でも、会社の方針で「全社員18時完全退社」と決まってしまえば、それに従わざるを得ません。
こうした一律の対応は、本当に必要な残業もできなくなり、業務が回らない原因となってしまいます。
「残業代稼ぎ」と誤解されたことで、本来すべき業務が制限されるというのは、本末転倒です。
残業が多いことで、「仕事の効率が悪い」「時間管理ができていない」といった評価を下されることがあります。
例えば、同じ業務を担当している同僚が定時で帰っているのに、自分だけ毎日1時間以上残業している場合、上司からは「成果に差がないのに残業が多いのはなぜだろう」と思われてしまうことがあります。
たとえ真面目に仕事をしていたとしても、「必要以上に働いている」と見なされると、昇進やボーナスの査定に響くこともあるのです。
もしも実際には働いていないのに残業申告をしていたといったケースでは、会社から懲戒処分を受けるリスクもあります。
例えば、定時後にオフィスに残っていたものの、スマートフォンをいじっていたり、私用の調べものをしていたりした時間を「業務時間」として残業申告していた場合などです。
会社がこれを虚偽の申告と判断すれば、「不正な残業代の請求」として問題視されます。
このような行為は、就業規則に照らして「服務規律違反」や「信義則違反」として、戒告や減給、さらには出勤停止などの懲戒処分の対象になり得ます。
防犯カメラやPCログなどのデジタル証拠をもとに調査されることもあるため、「バレなければ大丈夫」と思ってしまうのは非常に危険です。
残業時間の申告は、あくまで実態に即して正確に行うことが大切です。
もし「仕事していたつもりだけど曖昧かも…」と思った場合には、その時間が本当に「労働時間」として認められるかを確認しておくと安心です。
「残業代稼ぎをしている」と会社から疑われてしまった場合、その評価が悪化するだけでなく、最終的には退職や解雇に追い込まれる可能性もあります。
もちろん、会社がすぐに解雇できるわけではありません。労働法上、解雇には客観的な合理性と社会的相当性が必要です。
しかし現実には、「残業代稼ぎをしている=不誠実な社員」といった評価につながり、配置転換・降格・退職勧奨など、じわじわと働きにくい環境に追い込まれることがあります。
例えば、会社の指示ではない時間に居残って、ほとんど仕事をしていなかったにもかかわらず、残業代を請求した場合、「会社を騙した」として信頼を失うことになります。
このような信頼関係の破綻を理由に、会社側が懲戒解雇や普通解雇を検討するケースもゼロではありません。
また、「周囲の社員に悪影響を与えている」といった理由を付けられて、退職勧奨に追い込まれることもあります。
つまり、残業代そのものは当然の権利であっても、働いていない時間をあえて申告したり、会社の業務と無関係な時間に居残っていたりすると、その行為自体がリスクになるのです。
「残業代稼ぎ」は、単なるモラルの問題として片づけられがちですが、実際には労働者側の深刻な事情や環境の問題が背景にあるケースも少なくありません。
労働者個人を責める前に、基本給の低さ・賃金設計・ライフスタイル支援の不在など、企業側の制度設計の不備が大きな原因になっていることも少なくありません。
例えば、残業代稼ぎの原因としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの原因について順番に説明していきます。
まず最も大きな原因は、基本給が生活に見合っていないことです。
例えば、月給20万円でフルタイム勤務をしても、家賃や光熱費、通信費、食費を引いたら、自由に使えるお金はほんのわずか…というケースは少なくありません。
さらに、都心部など生活コストの高い地域では、手取り20万円以下では「貯金どころか生活すらギリギリ」という状態もあります。
こうした中で、「定時で帰っていたら暮らせない」「せめて残業代で+数万円は確保したい」と不安に感じてしまい、必要以上に残業をしてしまう方がいます。
もしも、このように給料が引くことを原因に残業代稼ぎせざるを得ないような場合には、転職をして条件のいい会社を探すことも検討しましょう。
現在の生活が成り立っていたとしても、将来の安心が見えないことから残業代に依存してしまう人もいます。
例えば、「昇給の見込みがない」「ボーナスがカットされた」「年金も当てにならない」といった状況が続くと、多くの人が将来の生活に強い不安を感じます。
とくに結婚・出産・マイホームなどを考える世代にとっては、「残業代を稼がないと何も実現できない」という焦りやプレッシャーが募っていきます。
このような状況下では、「仕方のない選択」と思い、必要以上に残業をしてしまう方がいます。
中には、「もうとにかく残業代がないと生活できない」というケースもあります。
とくに、扶養家族がいる人・ローンや奨学金を抱えている人・一人暮らしで頼る人がいない人などは、毎月の支出が多く、基本給だけでは赤字という状況に陥りやすいです。
例えば、子どもが2人いる家庭では、教育費や食費がかさみ、生活費が月に30万円を超えることも珍しくありません。
そうした中で残業代が数万円あるかないかは、「家計の死活問題」に直結します。
このような事情を抱えている人にとって、残業は単なる労働時間の延長ではなく、「家族を養うための命綱」にもなっているのです。
一見すると些細な理由に見えるかもしれませんが、プライベートが充実していない、または人付き合いや趣味が少ない人ほど、仕事に時間を割きがちです。
「帰っても一人だし、誰かと過ごすわけでもないから残っていたほうが気が紛れる」
「他にやることがないから、とりあえず目の前の仕事を片付けていく」
こうした心理的背景から、あえて残業を続けてしまうケースもあります。
とくに、長時間労働が当たり前の職場では、「誰よりも働いている自分」に安心感や居場所を見出してしまうこともあります。
本来であれば、定時退勤後に趣味や家族との時間、健康のための運動などに時間を割くのが望ましいですが、会社以外の選択肢が乏しいと、結果として残業が常態化してしまうのです。
残業代稼ぎの意図などなかったのにこのような非難をされて、残業代を支払ってもらえない場合には、残業代を取り戻すために行動を起こしていくべきです。
会社は、あなたが必要のない残業をしていると考えていますので、あなたが何もしなければ言いがかりをつけたまま残業代を払わない可能性があります。
具体的には、残業代稼ぎだと言いがかりをつけられた場合には、以下の手順で対処していきましょう。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
残業代稼ぎだと言いがかりをつけられた場合の対処手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
残業代を請求できる可能性があるか、どのような手続きをとればいいのかなど、法的な助言をしてもらうといいでしょう。
弁護士に依頼すれば残業代の請求などを代わりに行ってもらうことができますので、必要に応じてサポートを受けることをおすすめします。
ただし、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、残業代の事案に実績のある弁護士を探すといいでしょう、
残業代稼ぎだと言いがかりをつけられた場合の対処手順の2つ目は、通知書を送付することです。
残業代3年の時効にかかっていない範囲で遡って請求することができます。
残業代を請求する旨を通知することで催告として6か月間の時効の完成が猶予されますので、この間に正確な残業代を計算したり、交渉したりします。
また、手元にない証拠などがあれば、併せて開示を求めるといいでしょう。
残業代稼ぎだと言いがかりをつけられた場合の対処手順の3つ目は、交渉することです。
あなたの言い分と会社の言い分を踏まえて、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみましょう。
話し合いにより解決することができれば、少ない負担と労力で早期に良い解決をすることができる可能性があります。
残業代稼ぎだと言いがかりをつけられた場合の対処手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
労働審判とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とは何かについては、以下の動画で詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
残業代の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、残業代稼ぎがどのようなものかを説明したうえで、リスクや原因、言いがかりをつけられた場合の対処法を解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が会社から残業代稼ぎと言われてしまい困っている労働者の方の助けになれば幸いです。
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