懲戒解雇は再就職先にバレる?5つの原因と転職を成功させるコツ4つ

懲戒解雇は再就職先にバレる?5つの原因と転職を成功させるコツ4つ

著者情報

籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

悩み

懲戒解雇をされてしまい再就職できないのではないか悩んでいませんか

懲戒解雇だと印象が悪くどの会社に応募しても採用してもらえないのではないか不安になってしまいますよね。

懲戒解雇でも、再就職は無理ではありませんが、難しくなってしまいます

懲戒解雇は隠そうとしても、いくつかの原因から再就職先にバレてしまうことがあります。

懲戒解雇が再就職後にバレた場合には、再度懲戒解雇をされてしまったり、働きにくなってしまったりといったリスクがあります。

懲戒解雇された人が再就職するコツとしては、まずは採用面接にたどり着くことです

もっとも、採用面接で嘘をつくことはできませんので、再就職の可能性を上げるためには、懲戒解雇の経歴を消すことも検討しましょう。

実は、懲戒解雇が許されるかは非常に厳格に判断されていますので、会社が行った懲戒解雇が不当であるケースも多いのです

この記事をとおして、懲戒解雇をされた方が再就職をするために必要な知識をわかりやすく伝えることができれば幸いです。

今回は、懲戒解雇は再就職先にバレる5つの原因を説明したうえで、転職を成功させるコツ4つを解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事で分かること

この記事を読めば、懲戒解雇をされた場合に再就職するためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。

1章 懲戒解雇でも再就職(転職)は無理ではないが難しい

懲戒解雇でも再就職(転職)は無理ではないが難しい

懲戒解雇でも、再就職は無理ではありませんが、難しくなってしまいます

懲戒解雇は、懲戒処分の中でも極刑と言われています。会社は、労働者がよほど大きな問題を起こさなければ懲戒解雇をすることができないのです。

採用担当者は、懲戒解雇という経歴を知れば、入社後にも同じような重大な問題を起こすのではないかと心配し、採用しないとの判断を下す傾向にあります

例えば、和やかな雰囲気で順調に採用プロセスが進んでいても、懲戒解雇という経歴を伝えた途端、不採用メールが届いてしまうということも珍しくありません。

そのため、一度、懲戒解雇されてしまうと、再就職することが難しくなってしまうのです。

ただし、懲戒解雇された場合でも、再就職することができないというわけではありません

懲戒解雇された方の中にも、無事に再就職できている方がたくさんいます。

そのため、懲戒解雇されてしまったとしても、あきらめずに再就職するための努力をすることが大切です。

2章 懲戒解雇は隠しても再就職(転職)時にバレる?5つの原因

懲戒解雇は隠そうとしても、いくつかの原因から再就職先にバレてしまうことがあります

会社は、採用の際に、応募者の経歴や退職理由を確認するためです。

具体的には、懲戒解雇については、以下の5つの原因からバレてしまうことがあります。

原因1:履歴書
原因2:採用面接
原因3:離職票
原因4:雇用保険受給資格者証
原因5:ニュースや報道

懲戒解雇が転職先にバレる5つの原因

それでは、これらの原因について順番に説明していきます。

2-1 原因1:履歴書

懲戒解雇が再就職先にバレる原因の1つ目は、履歴書です

履歴書の職歴欄に前職の退職理由を懲戒解雇と記載する場合には、その記載から懲戒解雇が明らかになることになります。

2-2 原因2:採用面接

懲戒解雇が再就職先にバレる原因の2つ目は、採用面接です

採用面接では、通常、前職の退職理由を聞かれることになります。

これにより前職を懲戒解雇により退職したことが明らかになることになります。

2-3 原因3:離職票

懲戒解雇が再就職先にバレる原因の3つ目は、離職票です

懲戒解雇された場合には、離職票の離職理由欄について「重責解雇」にチェックされること傾向にあります。

また、具体的な事情記載欄については、懲戒解雇と記載される傾向にあります。

そのため、離職票の提出を求められて、これを提出した場合には懲戒解雇をされたことが知られてしまうことがあります

ただし、離職票については、通常、失業保険を受給する際にハローワークに提出するものです。

そのため、再就職活動の際には、離職票が手元にない場合も多いため、離職票の提出を求められたとしても、必ずしもこれを提出しなければいけないわけではないでしょう。

2-4 原因4:雇用保険受給資格者証

懲戒解雇が再就職先にバレる原因の4つ目は、雇用保険受給資格者証です

採用が決まった後には、再就職先に雇用保険受給資格者証を提出することになります。

雇用保険受給資格者証には、離職理由のコードが記載されています。

離職理由欄に「50」又は「55」と記載されている場合には、被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇であることが分かります

そのため、雇用保険受給資格者証の離職理由欄から、懲戒解雇により退職したことが明らかになってしまいます。

2-5 原因5:ニュースや報道

懲戒解雇が再就職先にバレる原因の5つ目は、ニュースや報道です

懲戒解雇の理由が犯罪である場合には、インターネットで名前を検索するとネットニュースなどが出てきてしまう場合があります。

採用の際には、その人の名前をインターネットやSNSで検索して悪評が出てこないかなどを調べることも珍しくありません

そのため、インターネットやSNSに逮捕された情報などが残っていると、懲戒解雇により退職したことが明らかになってしまいます。

3章 懲戒解雇が再就職(転職)後にバレた場合のリスク

懲戒解雇が再就職後にバレた場合には、リスクがあります

採用時に懲戒解雇のことが知られなかったとしても、採用後に知られてしまいトラブルになってしまうことも多いのです。

例えば、懲戒解雇が再就職後にバレた場合のリスクとしては以下の2つです。

リスク1:経歴詐称で懲戒解雇される
リスク2:信頼を失い働きにくくなる

懲戒解雇が再就職(転職)後にバレた場合のリスク2つ

それでは、これらのリスクについて順番に説明していきます。

3-1 リスク1:経歴詐称で懲戒解雇される

懲戒解雇が再就職後にバレた場合のリスクの1つ目は、経歴詐称で懲戒解雇されることです

あなたが前職をなぜ退職したか聞かれた際に、一身上の都合で退職した等の事実とは異なる回答をした場合には、経歴詐称となります。

再就職後に、実は、一身上の都合ではなく、懲戒解雇であったことが明らかになれば、会社は、重大な経歴を詐称したとして、懲戒解雇を行う可能性が高いでしょう

前職も懲戒解雇により退職となり、再就職先でも懲戒解雇されたとなると、益々、転職することは難しくなってしまいます。

3-2 リスク2:信頼を失い働きにくくなる

懲戒解雇が再就職後にバレた場合のリスクの2つ目は、信頼を失い働きにくくなることです

採用の際に前職の退職理由などを聞かれず、経歴を詐称したわけではないものの懲戒解雇を知られずに、再就職できたという場合もあるでしょう。

このような場合には、再就職後に前職を懲戒解雇により退職していたことが明らかになってしまうと、信頼を失い働きにくくなってしまいます

あなたが嘘をついたわけではないとしても、再就職からすると懲戒解雇されたことを隠していたように見えてしまうためです。

出社することは難しくなるでしょうし、自主的に退職するように退職勧奨をされる可能性もあります。

そのため、懲戒解雇が再就職後にバレた場合には、信頼を失い働きにくくなってしまうリスクがあります。

4章 懲戒解雇された人が再就職(転職)を成功させるコツ

懲戒解雇された人が再就職を成功させるには、コツがあります

何も努力や工夫もせずに挑んでも、不採用とされてしまうでしょう。

例えば、懲戒解雇をされた人が再就職を成功させるコツを4つ挙げると以下のとおりです。

コツ1:たくさん応募する
コツ2:履歴書には「退職」と記載する
コツ3:採用面接では嘘をつかない
コツ4:懲戒解雇の経歴を消す

懲戒解雇された人が再就職(転職)を成功させるコツ4つ

それでは、これらのコツについて順番に説明していきます。

4-1 コツ1:たくさん応募する

懲戒解雇された人が再就職を成功させるコツの1つ目は、たくさん応募をすることです

懲戒解雇により前職を退職した場合には、簡単には採用してもらうことができません。

たくさん応募して、少しでも多くの会社の採用面接までたどり着くことができれば、それだけ採用してもらえる可能性も上がります。

そのため、まずは不採用となっても挫けずに地道にたくさん応募することが大切です。

4-2 コツ2:履歴書には「退職」と記載する

懲戒解雇された人が再就職を成功させるコツの2つ目は、履歴書には「退社」と記載することです

一般の履歴書の書式では、退職の理由まで記載することは求められていないのが通常です。

ハローワークインターネットサービスで紹介されている「シンプルな例」でも、「〇〇会社 退社」とだけ記載されています。

(出典:ハローワークインターネットサービス 応募書類の作り方パンフレット7頁

履歴書の段階で懲戒解雇と記載をしてしまうと、書類の段階で落とされてしまい面接までたどり着くことができず、話も聞いてもらえません

履歴書については上記のシンプルな例に従い、「退社」とだけ記載しておくのがいいでしょう。

4-3 コツ3:採用面接では嘘をつかない

懲戒解雇された人が再就職を成功させるコツの3つ目は、採用面接では嘘をつかないことです

採用面接では、積極的に不利なことを言う必要まではないとされていますが、嘘をつくことは禁止されています。

採用面接で嘘をついて入社をすると経歴詐称となってしまい、再度、懲戒解雇をされてしまうリスクがあります

そのため、採用面接で前職の退職理由を聞かれた際には、嘘をつかないようにしましょう。

ほとんどの会社で前職の退職理由は聞かれることになりますので、事前にどのように説明するかを考えておくといいでしょう。

4-4 コツ4:懲戒解雇の経歴を消す

懲戒解雇された人が再就職を成功させるコツの4つ目は、懲戒解雇の経歴を消すことです

懲戒解雇の経歴がなくなれば、通常どおり再就職を行うことができるようになるためです。

懲戒解雇については、法律上厳格な条件がありますので、このような条件を満たされていない場合には無効となります。

懲戒解雇が無効となれば、あなたが懲戒解雇により退職したという経歴もなくなることになります。

また、懲戒解雇が無効である可能性が高いと会社側が認識するに至れば、話し合いにより懲戒解雇を撤回してもらい、合意での退職に変更してもらえることもあります

そのため、懲戒解雇されてしまい再就職に不安がある場合には、懲戒解雇の経歴を消すことを検討するというのも一つの方法となります。

5章 懲戒解雇の経歴を消して再就職(転職)する方法

懲戒解雇が不当である場合には、懲戒解雇の経歴を消すことができる場合があります

法律上、懲戒処分が客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当といえない場合には、無効になるとされているためです。

例えば、懲戒解雇が不当な場合に経歴を消して再就職する手順は、以下のとおりです。

手順1:弁護士に相談する
手順2:懲戒解雇の撤回を求める
手順3:交渉する
手順4:労働審判又は訴訟を提起する

懲戒解雇の経歴を消して再就職(転職)する方法4つ

それでは、これらの手順について順番に説明していきます。

5-1 手順1:弁護士に相談する

懲戒解雇が不当な場合に経歴を消すための手順の1つ目は、弁護士に相談することです

懲戒解雇が不当かどうかは法的な事項です。

懲戒解雇をされた場合には、法的な見通しを分析したうえで、一貫した対応をしていく必要があります。

早い段階であなたに有利な証拠をしっかりと集めることが成功の秘訣です。

ただし、懲戒解雇については、専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません

専門的に労働問題を扱っていて、解雇問題について実績がある弁護士を探すといいでしょう。

5-2 手順2:懲戒解雇の撤回を求める

懲戒解雇が不当な場合に経歴を消すための手順の2つ目は、懲戒解雇の撤回を求めることです

何もせずに長期にわたり放置していると、仮に懲戒解雇が不当であったとしても、懲戒解雇が有効であると認めていた等の指摘をされてしまうことがあるためです。

また、併せて、解雇理由証明書を請求しましょう。会社側は、労働者から、解雇理由証明書の交付を求められた場合には、これに応じなければいけないためです

解雇理由証明書を見ることで、解雇の有効性について見通しがより明確になりますし、どのような反論や証拠を準備すればいいのかも明らかになります。

会社は、後から、懲戒解雇の理由を追加したり、変更したりすることが難しくなります。

5-3 手順3:交渉する

懲戒解雇が不当な場合に経歴を消すための手順の3つ目は、交渉することです

会社側からの回答があると、見通しや争点が明らかになりますので、話し合いにより折り合いをつけることが可能か協議するようにしましょう。

会社側も、懲戒解雇の主張を維持し続けた場合に無効とされてしまえば、高額の支払いをしなければいけなくなってしまうリスクがあります

そのため、和解により懲戒解雇ではなく合意退職に変更することを認める会社も少なくありません。

5-4 手順4:労働審判又は訴訟を提起する

懲戒解雇が不当な場合に経歴を消すための手順の4つ目は、労働審判又は訴訟を提起することです

話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。

労働審判とは、全3回の期日の中で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には裁判所が審判を下します。早期に実態に即した解決をすることが期待できます。

ただし、審判には労働者も会社も異議を出すことができ、いずれかが異議を出したら通常の訴訟に移行します。

訴訟については、期日の回数の制限などはとくになく、月1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことが多いです。解決まで1年以上要する傾向にあります。

6章 懲戒解雇でも再就職(転職)できた人のブログ

懲戒解雇でも再就職できた人のブログとして、キリオさんが運営する「ぼくだからできること。」があります。

「ぼくだからできること。」は、逮捕や前科、懲戒解雇などの経歴に不安を抱える方々の再スタートを支援するキャリアブログです

管理人のキリオさん自身が30歳で逮捕・懲戒解雇を経験し、その後ホワイト企業への再就職を果たした体験をもとに、同様の境遇にある人々へのアドバイスや情報を提供しています。

勇気がもらえるはずですので、興味がある方は是非読んでみてください。

また、キリオさんが運営する人生やり直しラボというサイトでも、以下の記事で懲戒解雇で再就職できた実例が紹介されています。

懲戒解雇になっても再就職できた!転職成功する人の7つの共通点|人生やり直しラボ

7章 懲戒解雇問題に強い弁護士を探すなら労働弁護士コンパス

懲戒解雇問題に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください

労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます

初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。

どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。

8章 まとめ

以上のとおり、今回は、懲戒解雇は再就職先にバレる5つの原因を説明したうえで、転職を成功させるコツ4つを解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・懲戒解雇でも、再就職は無理ではありませんが、難しくなってしまいます。

・懲戒解雇については、以下の5つの原因からバレてしまうことがあります。
原因1:履歴書
原因2:採用面接
原因3:離職票
原因4:雇用保険受給資格者証
原因5:ニュースや報道

・懲戒解雇が再就職後にバレた場合のリスクとしては以下の2つです。
リスク1:経歴詐称で懲戒解雇される
リスク2:信頼を失い働きにくくなる

・懲戒解雇をされた人が再就職を成功させるコツを4つ挙げると以下のとおりです。
コツ1:たくさん応募する
コツ2:履歴書には「退職」と記載する
コツ3:採用面接では嘘をつかない
コツ4:懲戒解雇の経歴を消す

・懲戒解雇が不当な場合に経歴を消して再就職する手順は、以下のとおりです。
手順1:弁護士に相談する
手順2:懲戒解雇の撤回を求める
手順3:交渉する
手順4:労働審判又は訴訟を提起する

この記事が懲戒解雇をされてしまい再就職に不安を感じている労働者の方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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籾山 善臣

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所

神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題を数多く担当している。【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

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